速さを追求するホイールの「ディープリムホイール」
プロのロードレーサーなどのロードバイクを見ると、特に目立つのが大きなリムのディープリムホイールですね。リムの高いホイールは「ディープリムホイール」、逆にリムの低いホイールは「ロープロホイール」と呼ばれています。
ディープリムホイールは、基本的にカーボン素材で、高速域での走行を想定して作られているホイールです。
「カッコイイ!」。だから、選ぶ人もいます
レースで使用されるディープリムホイールですが、見た目の存在感も抜群なのも、人気の秘密です。
エアロ効果の高いカーボンフレームのロードバイクには、ディープリムホイールが抜群にマッチして、ビジュアル面でも使ってみたくなるホイールですよね。
ディープリムホイールが速く走れるのは、なぜ?
速く走ることができるディープリムホイールは、誰でも速く走れる魔法のホイールというわけではありません。ディープリムホイールならではの、特徴をおさえましょう。
高速走行時での空気抵抗を減らす効果
ロードバイクで速さを左右する、大きな要素の空気抵抗。特に高速走行時は、多方向からの気流で、ホイールの中にも空気の渦が発生し、その空気の渦も大きな負荷にもなります。
ディープリムホイールは、高いリムハイトが空気の流れを正して、その負荷を軽減します。高速域の安定性を高くするのが、ディープリムホイールです。
剛性が高く、たわみも少ない
剛性が高くたわみが少ないディープリムホイールは、ペダルの力がきちんと伝わるホイールです。
ロードレースでは、一瞬の加速が勝敗を分けることもありますので、スプリンターにとっては剛性が高く、たわみの少ないホイールが必要になってきます。
スピードに乗ったら、スピードを維持しやすい
ディープリムホイールは、ホイールの外周が重くなる形状をしています。外周が重いと、慣性が大きくなるので、速度が維持しやすくなる特徴があります。
少しマイナスな点も知っておこう
横風を受けやすい
ディープリムホイールは横面の面積が大きいため、横や斜めからの風が強い場合は、風の影響を大きく受けてしまいます。横からの風を、まともに受けると、ロードバイクのコントロールが難しくなります。
通常のホイールよりも重く、走り出しにパワーが必要
ディープリムホイールは、リムの面積が広いので、カーボン素材と言ってもロープロホイールより重くなってしまいます。
高速走行が安定するメリットがありますが、普段の街乗りや、ストップ&ゴーの多い走行では、デメリットにもなってしまいます。
ディープリムホイールはこんな人におすすめ!
ディープリムホイールは、レース用のモデルも多く、競技でないと、使い勝手が悪いと感じてしまう人もいるかもしれません。
ディープリムホイールを検討しているなら、こんな方がおすすめです。
●平地をメインに走る
●重いペダルを踏める脚力がある
●高速走行をする
●高身長など、体格がよい
もちろん、こうでなければ使えないというワケではありませんし、オフロードを走るシクロクロスでもリムに泥が残りにくいので好まれています。
それでは、プロレースでもよく見る定番ブランドから、知る人ぞ知るホビーレースでも人気のモデル、普段の街乗りまで使えるモデルまで
●10万円以下
●10~20万円
●20万円以上
の3つの価格帯に分けてご紹介します。
10万円以下のおすすめディープリムホイール
アルミ素材がメインですが、使いやすく軽量・コストパフォーマンスの高いモデルが揃っている価格帯です。
TOKEN EC40A Resolute
手頃な価格で高品質な製品を提供する、クラフトマンシップに溢れたメーカーTOKENの作るアルミディープです。40mmリムで1,800gを切る軽量なモデルです。
リムハイト | 40mm |
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リム素材 | アルミ |
対応タイヤ | クリンチャー |
対応ブレーキ | リムブレーキ |
重量 | 1796g |
ALEXRIMS RXD3
コストパフォーマンスの高いホイールを多くラインナップするALEXRIMS。後述する「セミディープリムホイール」のジャンルになります。30mmのセミディープは使い勝手が良く、アルミながら1550gという超軽量ホイールです。
リムハイト | 30mm |
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リム素材 | アルミ |
対応タイヤ | クリンチャー・チューブレス |
対応ブレーキ | ディスクブレーキ |
重量 | 1550g |
3T DISCUS PRO C35
3Tの上位モデルと同様の性能を持つアルミディープホイールです。クイックリリース・スルーアクスルどちらにも対応するディスクブレーキ仕様で、シンプルなビジュアルは最新のエアロフレームにもマッチします。
リムハイト | 35mm |
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リム素材 | アルミ |
対応タイヤ | クリンチャー |
対応ブレーキ | ディスクブレーキ |
重量 | 1810g |
10~20万円のおすすめディープリムホイール
各メーカーのミドルグレードをカバーする価格帯で、50mm以上のディープホイールも多くラインナップされています。
TNI Dragon50 TU
数十社にカーボンホイールの技術を提供しているPaul Lew との共同開発で生まれたDragonホイール。極限まで肉抜きされたパーツとチューブラーリムはレース用としても十分に機能を発揮します。
リムハイト | 50mm |
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対応タイヤ | チューブラー |
対応ブレーキ | リムブレーキ |
重量 | 1385g |
FULCRUM WIND 55 DB
くり返し行われた屋外テスト・風洞実験で最適な設計がされたWIND。エアロダイナミクスを求め、横風の影響を最小限に抑えたディープリムホイールです。
リムハイト | 55mm |
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リム素材 | カーボン |
対応タイヤ | クリンチャー・チューブレス |
対応ブレーキ | ディスクブレーキ |
重量 | 1680g |
ALEXRIMS ALX850
55mmという高いリムハイトで1350gの軽量カーボンディープリムホイールです。軽量で強度のあるアルミ合金ハブと、リアには4つのシールドベアリングを使用し、滑らかで軽い回転を実現しています。
リムハイト | 55mm |
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リム素材 | カーボン |
対応タイヤ | チューブラー |
対応ブレーキ | リムブレーキ |
重量 | 1370g |
20万円以上のおすすめディープリムホイール
定番ブランドのトップグレードが揃い、プロレースでも使用されるモデルが多くあります。
CORIMA(コリマ)/WS Black
カーボンホイールのパイオニア的メーカーのひとつであるCORIMA。WS Blackは32・47・58mmのリムがあり、それぞれにクリンチャーとチューブラーを用意している。前後別売りとなるため、リム高の違うモデルを組み合わせて購入も可能です。
CORIMA 47mm WS Black フロント
リムハイト | 47mm |
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リム素材 | カーボン |
対応タイヤ | クリンチャー |
対応ブレーキ | ディスクブレーキ |
重量 | 830g |
CORIMA 47mm WS Black リア
リムハイト | 47mm |
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リム素材 | カーボン |
対応タイヤ | クリンチャー |
対応ブレーキ | ディスクブレーキ |
重量 | 925g |
SHIMANO WH-R9100-C60-CL
SHIMANOのトップグレードであるDURA-ACEは、ロープロからディープまで幅広いラインナップがされています。C60はフルカーボンのチューブラーモデルに対し、クリンチャーモデルはハードなブレーキングにも耐えるカーボンコンポジットを採用しています。
リムハイト | 60mm |
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リム素材 | カーボン・アルミ |
対応タイヤ | クリンチャー |
対応ブレーキ | リムブレーキ |
重量 | 1851g |
MAVIC(マヴィック)/COSMIC PRO CARBON UST DISK Tour de France
Tour de FranceオフィシャルホイールであるMAVICの、Tour de Franceの名を冠したモデルです。COSMICのクオリティはそのままに、リムにはTour de Franceで巡る代表的なステージのグラフィックが施されています。
リムハイト | 45mm |
リム素材 | カーボン |
対応タイヤ | クリンチャー・チューブラー |
対応ブレーキ | ディスクブレーキ |
参考重量 | 1650g |
CAMPAGNOLO BORA WTO 60 2WAY
1998年の発表以来、レースホイールの代名詞として高いパフォーマンスと信頼性を誇るBORAシリーズ。ウィンド・トンネル・オプティマイズドを意味するWTOは、新しいエアロダイナミックを持つディープリムホイールです。
リムハイト | 60mm |
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リム素材 | カーボン |
対応タイヤ | クリンチャー・チューブラー |
対応ブレーキ | リムブレーキ |
重量 | 1496g |
セミディープリムホイールもあるよ
主に50mm以上のホイールをディープリムとホイールと呼びますが、ディープリムとロープロリムの特徴をあわせ持った「セミディープリムホイール」と呼ばれるホイールもあります。
ロープロはリム高24mm以下ですが、セミディープは30~40mmが多く、ディープリムホイールほど風の抵抗を受けず、ロープロよりも剛性が感じられる、オールマイティに使いやすいホイールです。
速さを追求するなら、ディープリムホイール!
難しく機能を説明すると、敷居が高いホイールと感じるかもしれませんが、愛車のビジュアルが良くなれば楽しくなりますし、プロレーサーのようなロードバイクに憧れますよね。
一般的なホイールに比べ、扱いが難しい点も理解して、存分にディープリムホイールを楽しみましょう!