シマノの変速機の特徴
ロードバイクで用いられる変速機のメーカーは、主に3社あります。イタリアのカンパニョーロ、アメリカのスラム、そして日本のシマノです。
シマノは、その高い技術力や信頼性で世界的に高いシェアがあり、プロからアマチュアまでが愛用しているメーカーです。
また、低価格の初心者向けグレードから、上級者向けグレードまでのラインナップの豊富さや、入手から維持までの運用がしやすかったりと、扱いやすいメーカーでもあります。
シマノのコンポ全体に関してや、他社との比較はこちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひ、併せて見てみてくださいね!
変速機のグレード一覧
では、シマノのロードバイク用コンポのグレードのラインナップを、確認していきましょう。「グレード」「型番」「変速段数」を抑えておくと、全体像が掴みやすくなりますよ。
グレード | 型番 | 変速段数 |
DURA-ACE(デュラエース) | R92〇〇 | 2×12 |
ULTEGRA(アルテグラ) | R81〇〇 | 2×12 |
105(イチマルゴ) | R71〇〇 | 2×12 |
旧105(イチマルゴ) | R70〇〇 | 2×11 |
Tiagra(ティアグラ) | 47〇〇 | 2×10(3×10) |
SORA(ソラ) | R30〇〇 | 2×9(3×9) |
Claris(クラリス) | R20〇〇 | 2×8(3×8) |
DURA-ACEを最上位グレードとして、下に行くほどグレードが下がっていきます。上記の表内にありませんが、まれに2×7速の「Tourney(ターニー)」が用いられることがありますが、多くのロードバイクはClaris以上です。
ハイエンドのDURA-ACEはプロも使用する機材で、その性能は折り紙付き。その技術を継承しつつ価格を抑えたULTEGRAは、性能に妥協したくない一般ユーザーに人気です。
105はコンポの登竜門とも言われ、レースにも対応するスペックで初心者のアップグレードに人気。2022年に「R7100系」にモデルチェンジし、電動変速のリア12速と、上位グレードと同じ規格になりました。
Tiagra以下は完成車に用いられることの多いグレードですが、ランニングコストが安く耐久性も高いため、あえて好んで使用するベテランサイクリストもいます。
型番を覚えておくと間違いがない
*型番は、各パーツの裏型に書かれていることが多い。上記の場合は「RD-6800」。
シマノでは、各グレードともに定期的にアップデートがされており、その度に型番が変わります。
例えばDURA-ACEの現行モデルは「R9200系」と呼ばれ、変速機などのパーツには「R92〇〇」という型番が振られています(〇〇の部分は、パーツにより異なります)。
同じDURA-ACEでも世代によって性能が変化していますし、変速段数や互換性も異なります。うっかり違う製品を調べてしまわないよう、型番をチェックしながら情報を集めるのがおすすめですよ。
ちなみに、型番の頭2文字でパーツの種類を表します。前の変速機(フロントディレイラー)は「FD」、後ろの変速機(リアディレイラー)は「RD」が付きます。例えば、DURA-ACEのフロントディレイラーは「FD-R9250」といった具合です。
上位グレードは何が違うの?
シマノのコンポにはグレードが様々ありますが、それらの違いは何なのでしょうか?グレードが高くなると何が変わるのか、ご紹介していきましょう。
リアの変速段数が多い
先ほどの表からも確認できますが、グレードが高くなるとリアの変速段数が多くなります。
変速段数が多いほうが細かなギアチェンジができるので、常に適切なギアを選択できるようになります。同じ道でも、自分の脚に合ったギアのほうが、快適に速く走れるのです。
「丁度よいギアがない」または「一気にギアが重くなって困る」という方は、変速段数を増やしてみると良いかも知れません。
変速性能が高い
上位グレードの変速機のほうが、変速性能が高く設計されています。より軽い力で、より速く、よりスムーズに変速するのです。シマノは他のコンポメーカーに比べても変速性能に定評がありますが、上位グレードほど変速性能に磨きがかかっているといえるでしょう。
また、現行モデルではDURA-ACEとULTEGRA、105は電動変速を用いています。
変速システムには「電動式」と「機械式(ワイヤー式)」の2種類があり、一般的な動作方法は機械式です。変速機に繋がったワイヤーを、レバーで引っ張って動作させるため、少なからず操作に力が必要になります。
一方で電動式は、変速機の動作を電動のモーターが行います。上の画像の様に、レバーはボタン式です。電動式は、変速が速くて正確なうえ、レバー操作もボタンを押すだけですので疲れません。
軽量でレース向き
変速機の重さも、上位グレードの方が軽量です。ロードバイクの走りを軽快にするのに、軽量化は切っても切れない関係です。特にタイムを意識して走りたい方には、「軽さ」は重要な要素でしょう。
また、使用できるギアの組み合わせが、よりハイスピードで走行するのに適した構成になります。脚力のある方やスピーディーに走りたい方には、上位グレードの方がおすすめです。
シマノの人気な変速機
シマノの変速機で、人気のモデルをご紹介していきましょう。フロントディレイラー・リアディレイラーともに、3機種をピックアップしました。
フロントディレイラー
まずは、フロントディレイラーからご紹介します。
シマノ FD-R8150
高性能な電動変速がポイント
シマノのセカンドグレードにあたる「ULTEGRA」のフロントディレーラーです。妥協のない性能ながら価格を抑えており、ハイスペックを求めるライダーにおすすめです。
変速段数 | 12速 |
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変速伝達 | 電動 |
重量 | 110g |
参考価格(税込み) | 28,413円 |
グレード | ULTEGRA |
シマノ FD-R7000-F
コストパフォーマンスに優れた機械式ならこれ!
「コンポの登竜門」とも言われる105グレードの変速機。機械式の旧105なら、コストを抑えつつ上位グレードの入り口たる性能を体感できます。定番のブラックの他、シルバーカラーのラインナップがあるのも魅力ですね。
変速段数 | 2×11速 |
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変速伝達 | 機械式 |
重量 | 95g |
参考価格(税込み) | 5,466円 |
グレード | 105 |
シマノ FD-4700-F
実用的な10速のフロントディレーラー
扱いやすく耐久性に優れたリア10速の「Tiagra」。低価格ながらに変速性能も十分で、手軽なアップグレードやカスタムを楽しみたい方向けです。
変速段数 | 2×10速 |
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変速伝達 | 機械式 |
重量 | 105g |
参考価格(税込み) | 3,818円 |
グレード | Tiagra |
リアディレイラー
続いては、リアディレイラーです。
シマノ RD-R8150
ハイパフォーマンスな電動12段変速!
最上位グレードの性能を引き継ぐリアディレーラー。対応する規格もプロ仕様と同様で、下位グレードの105と差をつけています。最上位グレードのDURA-ACEに比べ、価格を半額程度に抑えているのも魅力の1つですね。
変速段数 | 2×12速 |
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変速伝達 | 電動 |
重量 | 262g |
参考価格(税込み) | 45,276円 |
グレード | ULTEGRA |
シマノ RD-R7000-GS
幅広いギアに対応した機械式11速
レースにも対応するスペックと、低価格が魅力の105。旧式のモデルですが、依然としてその性能から人気があります。幅広いギアに対応しつつも、11段変速で細かな変速も実現。下位グレードからのアップグレード先におすすめな変速機です。
変速段数 | 2×11速 |
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変速伝達 | 機械式 |
重量 | 232g |
参考価格(税込み) | 7,493円 |
グレード | 105 |
シマノ RD-4700-GS
フロントトリプルにも対応した変速機
ロードバイク用としては珍しく、フロントトリプルでも使用可能なリアディレーラー。クロスバイク等での使用もしやすく、街乗りや通勤通学などの用途におすすめです。
変速段数 | 2×10速/3×10速 |
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変速伝達 | 機械式 |
重量 | 277g |
参考価格(税込み) | 5,005円 |
グレード | Tiagra |
フロントディレイラー比較表
現行のフロントディレイラーを一覧表にまとめました。表の数値は基本的にシマノ公式サイトのデータをもとにしていますが、あくまで参考値ですので、1つの目安程度にご利用ください。
グレード | 型番 | 電動or機械 | 変速段数 | 最大ギア数(T) | 重量(g) | 価格(税込み) |
DURA-ACE | FD-R9250 | 電動 | 2×12 | 46~55 | 96 | ¥49,550 |
ULTEGRA | FD-R8150 | 電動 | 2×12 | 50~54 | 110 | ¥28,413 |
105 | FD-R7150 | 電動 | 2×12 | 50~52 | 142 | ¥17,820 |
旧105 | FD-R7000 | 機械 | 2×11 | 46~53 | 95 | ¥5,466 |
Tiagra | FD-4700 | 機械 | 2×10 | 46~52 | 105 | ¥3,818 |
Tiagra | FD-4703 | 機械 | 3×10 | 50 | 114 | ¥3,999 |
SORA | FD-R3000 | 機械 | 2×9 | 46~52 | 99 | ¥3,333 |
SORA | FD-R3030 | 機械 | 3×9 | 50 | 114 | ¥3,575 |
Claris | FD-R2000 | 機械 | 2×8 | 46~52 | 96 | ¥2,598 |
Claris | FD-R2030 | 機械 | 3×8 | 50 | 118 | ¥2,807 |
*「最大ギア数」とは、フロントディレイラーが使用できるアウターチェーンリング(クランクに付いている外側のギア)の大きさです。
*105以下のディレイラーは、取り付け方法が直付けタイプ(型番の末尾がF)のモデルの情報です。
フロントディレイラーは、グレードによる性能差が大きく表れるパーツの1つです。高グレードほど、より軽い力で、より速く変速する傾向があります。
重量も基本的に高グレードほど軽量ですが、電動化や機構の複雑化により、一概には言えない部分もありますね。
ディレイラーには、対応する変速段数に決まりがある他、対応するチェーンリングの大きさにも制限があります。表に記載のギア数が最大で、アウターとインナーのチェーンリングの歯数差は「2段変速は16Tまで」「3段変速は20Tまで」です。
リアディレイラー比較表
続いては、リアディレイラーの比較表です。表の数値は基本的にシマノ公式サイトのデータをもとにしていますが、あくまで参考値ですので、1つの目安程度にご利用ください。
グレード | 型番 | 電動or機械 | 変速段数 | ロー側歯数(T) | 重量(g) | 価格(税込み) |
DURA-ACE | RD-R9250 | 電動 | 2×12 | 28~34 | 204 | ¥88,704 |
ULTEGRA | RD-R8150 | 電動 | 2×12 | 28~34 | 262 | ¥45,276 |
105 | RD-R7150 | 電動 | 2×12 | 34~36 | 302 | ¥33,000 |
旧105 | RD-R7000-SS | 機械 | 2×11 | 25~30 | 225 | ¥6,860 |
旧105 | RD-R7000-GS | 機械 | 2×11 | 28~34 | 232 | ¥7,493 |
Tiagra | RD-4700-SS | 機械 | 2×10 | 25~28 | 256 | ¥4,814 |
Tiagra | RD-4700-GS | 機械 | 2×10,3×10 | 28~34 | 277 | ¥5,005 |
SORA | RD-R3000-SS | 機械 | 2×9 | 25~32 | 266 | ¥3,710 |
SORA | RD-R3000-GS | 機械 | 2×9,3×9 | 28~34 | 273 | ¥4,118 |
Claris | RD-R2000-SS | 機械 | 2×8 | 25~33 | 268 | ¥2,970 |
Claris | RD-R2000-GS | 機械 | 2×8,3×8 | 28~34 | 284 | ¥3,264 |
*「ロー側歯数」は対応するスプロケット(ホイールに付いているギアの集まり)の最大歯数です。
リアディレイラーもフロントディレイラーと同様に、高グレードほど変速が軽く・速くなります。重量も軽く仕上がっており、よりレース向けなスペックですね。
旧105以下は、対応歯数の違いにより「SS:ショートケージ」と「GS:ミディアムケージ」に分かれています。それぞれ使用できるスプロケットの大きさに違いがありますので、使用するスプロケットにあったものを選びましょう。例えば、ギア比の軽いスプロケット(最大歯数の大きいもの)を使用する場合は、ミディアムケージが必要となります。
互換性に注意してパーツを選ぼう
シマノの変速機は、変速レバー(STI)やギア(スプロケット、チェーンリング)など、その他のパーツと一体となって動作するように設計されています。そのため、例えば「Tiagraで組まれたロードバイクに、変速機だけDURA-ACEを使用する」といったことは出来ません。
ギア関連は、互換性のあるパーツで揃える必要がありますので、パーツ選びの際には必ず互換性をチェックしましょう。
基本的には型番(R92〇〇など)を統一すれば動作しますが、細かな互換性はシマノ公式の互換性マニュアルをご覧ください。初心者の方や自分でパーツを選ぶ自信がない方は、一度ショップに相談することをお勧めします。