シマノとは?
株式会社シマノは、1921年に創業した大阪の会社。日本では釣り具のイメージも強い企業ですが、自転車用のコンポーネント(コンポ)では、世界的なシェアを誇る企業です。
現在では一般的な、変速とブレーキが一体型のレバー(STIレバー)を世に広めたのもシマノです。
シマノが展開するロードバイク用コンポは、現在6つのグレードに分かれています。最新版でのグレードとスペック概要は以下の通りです。
グレード | 読み方 | 型番 | 変速段数 |
DURA-ACE | デュラエース | R92〇〇 | 2×12 |
ULTEGRA | アルテグラ | R81〇〇 | 2×12 |
105 | イチマルゴ | R71〇〇 | 2×11 |
Tiagra | ティアグラ | 47〇〇 | 2×10(3×10) |
SORA | ソラ | R30〇〇 | 2×9(3×9) |
Claris | クラリス | R20〇〇 | 2×8(3×8) |
ロードバイク用コンポもグレードが豊富ですが、グラベルバイク用やMTB用、シティサイクル用など、幅広い自転車のコンポを手掛けています。この記事では、シマノのロードバイク用コンポについて、紹介していきましょう。
シマノのコンポの特徴
まずは、シマノのコンポの特徴をご紹介します。
高い技術力と信頼性
シマノと言えば、「高い技術」と「信頼性」。
シマノは「各コンポーネントメーカーの中でも、変速性能が良い」と高い評価を受けており、特にフロント変速のスムーズさには、目を見張るものがあります。
そして、シマノは長年にわたり、プロ・アマチュア問わず様々なサイクリストが使用し続けているブランドです。シマノが積み重ねてきた自転車業界からの信頼は、絶大なものと言えるでしょう。
エントリーグレードも充実
シマノのコンポーネントはプロ向けのトップグレードだけでなく、初心者向けのエントリーグレードも充実しています。グレード数も多く、ユーザーのニーズに合わせた選択が出来るのが魅力です。
「エントリーグレード」と言っても決して性能が低い訳ではなく、十分にロードバイクを楽しめるものばかりです。上位グレードの技術や性能がしっかりと引き継がれており、あえて下位グレードを使用するベテランサイクリストもいるほどです。
日本語の情報が豊富
シマノは大手コンポメーカーの中でも、公開情報が豊富と言えるでしょう。
パーツのスペックからメンテナンス方法、アップグレードの選択肢など、知りたい情報がインターネットで多く公開されています。しかも、これらの情報のほとんどが日本語対応です。これは、日本企業のシマノならではのメリットですね。
パーツの入手性が高い
また、パーツの入手性が高いことも魅力の1つ。
消耗や破損でパーツ交換が必要になったとき、「アフターパーツが入手できずしばらく乗れない…」という事態が起こりにくいです。同様の理由から、出先でのトラブルに対応しやすいのも安心ですね。
ハードに乗る上級者はもちろん、経験の浅い初心者にも、シマノをおすすめしたい理由です。
それでは、シマノのロード用コンポをグレード別に詳しく見ていきましょう。
プロ仕様の最高グレード「DURA-ACE」
シマノのトップグレードが「DURA-ACE(デュラ-エース)」。長年にわたり、幾度となくワールドツアーの勝者を生み出してきたコンポです。
軽量で高性能、堅牢性も十分と、文句なしの最高級のコンポ。
初代DURA-ACEは、1973年にプロ供給されデビュー。『duralumin(アルミニウム合金)とdurability(耐久性)からとったDURAと、ACE(最高のもの)を掛け合わせて命名』されたそうで、それ以来、様々なアップデートを積み重ねてきています。
DURA-ACEは、シマノのアイデンティティが詰まった製品でもあり、特別なグレードと言えるでしょう。
現在では、変速ギア関連からホイールまで一式の展開をしています。プロ仕様のコンポを一般ユーザーでも簡単に購入できるというのは、大きな魅力ですね。
<現在のラインナップ>
・R9250系:機械式ブレーキ/電動変速 2×12速
・R9270系:油圧ブレーキ/電動変速 2×12速
シマノ R9270系 グループセット(油圧/電動)
・FD-R9250
・RD-R9250
・CS-R9200 11-30T
・BR-R9270(F&R)
・SM-BH90
・EW-SD300
・BT-DN300
・EW-EC300
高性能なセカンドグレード「ULTEGRA」
「ULTEGRA(アルテグラ)」はシマノのセカンドグレードで、DURA-ACEの技術を継承しつつ、価格を抑えた展開をしています。
ULTEGRAは、『シマノの最新のテクノロジーとトレンドをとり入れた「ULTIMATE(究極)」のコンセプトと、その完成度をきわめた「INTEGRITY(誠実性/完全性)」のコンセプトの融合』として展開が始まりました。
現在では、性能に妥協せず実用性も求めるユーザーに人気で、シマノのコンポの中核を担う存在のコンポです。DURA-ACEに肉薄する性能と、価格をおさえたULTEGRAは、まさに「究極」と「誠実性/完全性」の融合といえるでしょう。
DURA-ACEとULTEGRAの違い
DURA-ACEとスペックや価格を比較してみましょう。
グレード | モデル名 | システム | 参考重量(g) | F/R変速段数 | 参考価格(税込) |
DURA-ACE | R9270 | 電動/油圧ディスク | 2,467 | 2/12 | ¥453,865 |
DURA-ACE | R9250 | 電動/機械式リム | 2,146 | 2/12 | ¥423,582 |
ULTEGRA | R8170 | 電動/油圧ディスク | 2,711 | 2/12 | ¥278,055 |
ULTEGRA | R8150 | 電動/機械式リム | 2,419 | 2/12 | ¥233,143 |
油圧ディスクで比較すると、DURA-ACEのほうが244g軽量で、175,810円高価です(数値は参考値)。
基本的な仕様はDURA-ACEとULTEGRAで変わりませんが、DURA-ACEは徹底した軽量化や性能向上を行っており、細部に至るまでカーボンパーツや特殊な加工を惜しみなく採用しています。
最高性能を追求したDURA-ACEに対し、ULTEGRAは価格を抑えつつも、DURA-ACEに迫る性能を残したモデルなのです。
<現在のラインナップ>
・R8150系:機械式ブレーキ/電動変速 2×12速
・R8170系:油圧ブレーキ/電動変速 2×12速
シマノ R8170系 グループセット(油圧/電動)
・FD-R8150
・RD-R8150
・FC-R8100 170mm 52x36
・CS-R8100 11-30
・CN-M8100 116L
・BR-R8170
・EW-SD300
・BT-DN300
・EW-EC300
レース対応の高コスパ「105」
「105(イチマルゴ)」は、ULTEGRAに続く、コンポとして1982年に誕生しました。
スポーツ・フィットネス用として人気を博していましたが、エントリーグレードの拡充により、現在ではレースにも対応する『登竜門』的なコンポと言えるでしょう。「初心者がコンポを変えるなら105」と言われるように、コスパ良く上位グレードの性能を体感できるコンポです。
R7100系へのアップデートで、リア12速、電動変速、油圧ディスクブレーキなど、上位グレードと同様の特徴へと進化しました。変速段数も上位グレードと同様のラインナップが続いており、互換性のあるパーツも多いため、今後のアップグレードがしやすいのも特徴です。
R7100系の価格は約20万円、現在は併売されている旧105(R7000系)は約9万円。レースへの挑戦を考えている方や、上位グレードのコンポに興味のある方におすすめのコンポです。
<現在のラインナップ>
・R7000系:機械式ブレーキ/機械式変速 2×11速
・R7020系:油圧ブレーキ/機械式変速 2×11速
・R7170系:油圧ブレーキ/電動変速 2×12速
シマノ R7000系 グループセット(機械/機械)
・FD-R7000
・RD-R7000
・FC-R7000
・CS-R7000
・CN-HG601-11
・BR-R7000
ミドルグレードへの入り口「Tiagra」
1990年代後半に、より幅広いユーザーに向けスポーツバイクの間口を開くコンポとして発売されたのが、「Tiagra(ティアグラ)」です。
105よりも少ない変速段数で、現在ではミドルグレードの完成車で、良く採用されています。ロードバイクを楽しむには十二分なスペックで、消耗品が入手しやすい価格のため、実用的ともいえるでしょう。
ロードバイク用コンポながらに、フラットバー用のブレーキレバーやシフターを展開したり、フロントトリプルの選択肢があったりと、多様性があります。コンセプト通り、幅広いユーザーに愛されるコンポです。
105とTiagraの違い
現在、105は「油圧ディスク/電動変速」のみのラインナップ、Tiagraは「機械式ブレーキor油圧ディスク/機械式変速」ですので、その点で大きな差があります。現在は併売されている旧型105(R7000系)はスペックが近く、現実的なライバルモデルとなりますので、R7000系と比較してみましょう。
105とTiagraでは、グループセットでの重量差が約200gあります(R7000系と4700系の比較。機械式変速/リムブレーキ)。また、リアの変速数が1速多く、アップデートの世代が105のほうが1つ進んでいるため、重量以外のスペックでも105が優位でしょう。
価格差は2万円ほどですので、性能を求める方は105を選んでおいて損はないはずです。逆に、価格をなるべく抑えて楽しみたい方、フラットバーやフロントトリプルのカスタムを視野に入れている方はTiagraも良い選択肢でしょう。
<現在のラインナップ>
・4700系:機械式ブレーキ/機械式変速 2×10速
・4703系:機械式ブレーキ/機械式変速 3×10速
・4720系:油圧ブレーキ/機械式変速 2×10速
シマノ 4700系 グループセット(機械/機械)
・FD-4700
・RD-4700
・FC-4700
・CS-HG500-10
・CN-HG54
・BR-4700
高耐久なスポーツ、フィットネス用「SORA」
「SORA(ソラ)」は、自転車の楽しみをより多くの人に届けるべく、スポーツ・フィットネス用途に作られたコンポ。命名の由来は、『澄み渡った青「空」の下、爽快に駆け抜けるロードバイクの情景』のイメージだそうです。
エントリーグレードの完成車に多く採用されており、安価ながらに確実な動作と高い耐久性を誇ります。最初の1台や実用車にピッタリのコンポと言えるでしょう。
リアの変速段数はTiagraより少ない9段で、フロントは2段と3段から選べます。
<現在のラインナップ>
・R3000系:機械式ブレーキ/機械式変速 2×9速
・R3030系:機械式ブレーキ/機械式変速 3×9速
シマノ R3000 グループセット(機械/機械)
・FD-R3000
・RD-R3000
・FC-R3000
・CS-HG400-9
・CN-HG53
・BR-R3000
初心者に優しいエントリーグレード「Claris」
シマノのコンポの、エントリーグレードの「Claris(クラリス)」。登場は2013年と比較的新しいコンポで、SORAと共に入門用の位置づけのコンポです。
グレードから「性能が低いのでは?」と思う方も多いかも知れませんが、自転車の楽しみを味わうのに十分な性能があります。ロートバイクに用いられるコンポでは最も安価ですので、なるべく価格を抑えて楽しんでみたい初心者の方向けです。
リアの変速段数はSORAより少ない8段で、フロントは2段と3段から選べます。
<現在のラインナップ>
・R2000系:機械式ブレーキ/機械式変速 2×8速
・R2030系:機械式ブレーキ/機械式変速 3×8速
シマノ R2000 グループセット(機械/機械)
・FD-R2000
・RD-R2000
・FC-R2000
・CS-HG50-8
・CN-HG71
・BR-R2000
スラム、カンパニョーロとスペック比較
コンポーネントメーカーは、シマノの他に「スラム」「カンパニョーロ」が有名です。ここでは、この3社のコンポーネントのスペックを比較してみましょう。トップグレードとセカンドグレードの2つについて、仕様や価格・重量を比べました。
表の重量や価格はあくまで参考値であり、細かなパーツ構成や条件によって結果は異なりますので、ご了承ください。
トップグレード比較
ではまず、トップグレードから比較しましょう。シマノは「DURA-ACE」、スラムは「RED」、カンパニョーロは「SUPER RECORD」です。
メーカー | グレード | モデル名 | システム | 参考重量(g) | F/R変速段数 | 参考価格(税込) |
シマノ | DURA-ACE | R9270 | 電動/油圧ディスク | 2,467 | 2/12 | ¥453,865 |
スラム | RED | eTap AXS HRD | 電動/油圧ディスク | 2,583 | 2/12 | ¥521,840 |
カンパニョーロ | SUPER RECORD | EPS 12×2 SPEED DISC BRAKE | 電動/油圧ディスク | 2,497 | 2/12 | ¥749,166 |
シマノ | DURA-ACE | R9250 | 電動/機械式リム | 2,146 | 2/12 | ¥423,582 |
スラム | RED | eTap AXS | 電動/機械式リム | 2,101 | 2/12 | ¥448,690 |
カンパニョーロ | SUPER RECORD | EPS 12×2 SPEED EPS RIM BRAKE | 電動/機械式リム | 2,247 | 2/12 | ¥656,766 |
3社とも、変速・ブレーキシステムのラインナップや、変速段数などは共通です。
同じブレーキシステム(油圧orリム)で重量を比較すると、3社とも大きな差はありません。僅差ではありますが、油圧ディスクでは「シマノ⇒カンパニョーロ⇒スラム」の順で軽量、機械式リムでは「スラム⇒シマノ⇒カンパニョーロ」と並びます。
価格はシマノが最も安価で、スラムが続き、カンパニョーロが最も高価です。シマノとスラムの差は数万円ですが、カンパニョーロは20万円以上という大きな違いがありますね。
シマノのコンポは高性能かつ低価格ともいわれており、その地位は健在です。
セカンドグレード比較
続いてはセカンドグレードの比較です。こちらは、シマノが「ULTEGRA」、スラムが「FORCE」、カンパニョーロが「RECORD」です。
メーカー | グレード | モデル名 | システム | 参考重量(g) | F/R変速段数 | 参考価格(税込) |
シマノ | ULTEGRA | R8170 | 電動/油圧ディスク | 2,711 | 2/12 | ¥278,055 |
スラム | Force | eTap AXS HRD | 電動/油圧ディスク | 2,860 | 2/12 | ¥380,468 |
カンパニョーロ | RECORD | EPS 12×2 SPEED DISC BRAKE | 機械式/油圧ディスク | 2,454 | 2/12 | ¥358,952 |
シマノ | ULTEGRA | R8150 | 電動/機械式リム | 2,419 | 2/12 | ¥233,143 |
スラム | Force | eTap AXS | 電動/機械式リム | 2,393 | 2/12 | ¥329,208 |
カンパニョーロ | RECORD | EPS 12×2 SPEED EPS RIM BRAKE | 機械式/機械式リム | 2,200 | 2/12 | ¥308,396 |
セカンドグレードでは、変速システムのラインナップが異なります。シマノとスラムは電動変速なのに対し、カンパニョーロは機械式の変速です。その他のブレーキシステムや変速段数は共通です。
重量では、油圧ディスクは「カンパニョーロ⇒スラム⇒シマノ」、機械式リムは「カンパニョーロ⇒スラム⇒シマノ」の順で軽量です。カンパニョーロは機械式変速を用で、軽量化を果たし、上位のSUPER RECORDよりも軽量に仕上がっていますね。
価格では、シマノが最も安価で、スラムとカンパニョーロが並びます。シマノのコストパフォーマンスの良さは、セカンドグレードでも顕著に表れていますね。スラムとカンパニョーロは同じ価格帯に見えますが、高価な電動変速を用いているスラムに分があるとも言えるでしょう。
シマノのMTB・グラベル用コンポもチェック!
ここまでシマノのロード用コンポをご紹介してきましたが、シマノはMTB用やグラベル用コンポのラインナップも豊富です。
こちらもロード用と同様に、高性能で人気のあるコンポが揃っています。
MTB用コンポは、ハイエンドの「XTR」、セカンドグレードの「DEORE XT」、「SLX」「DEORE」「ALIVIO」など、ミドル~エントリーグレードも充実します。ロード用と同様に、レースでの勝利を目指した開発と、その技術を継承する下位グレードで構成されます。
昨今のグラベルブームにより登場したグラベル用コンポ「GRX」にも注目です。ロード用コンポの確固たる技術と、MTB用コンポのオフロード向け技術とが融合した、人気のあるコンポとなっています。
▼▼関連記事はこちら▼▼
シマノのコンポで快適サイクリングを!
シマノのコンポは、性能が高いことはもちろん、幅広いユーザーにとって使いやすい特徴を兼ね備えています。
「シマノを選んでおけば間違いなし」と言われるほど、初心者からベテランにまで愛用されるコンポです。
皆さんも、ぜひシマノのコンポで快適なサイクリング・ライフをお楽しみください!
▼▼関連記事はこちら▼▼