自転車のタイヤ交換について
自転車のタイヤ交換をお店に依頼すると、タイヤ以外にも工賃が発生し、安いところでは1,000円~、高いところでは5,000円と千差万別。そのため、少しでも費用を抑えたいと考える際、ご自身で作業を行うことを検討される方も多いのではないでしょうか。難しいように思えても、慣れてしまえば簡単に行うことができます。
しかし、正しい手順と取り付けを行わなければ、パンクや事故を誘発してしまうこともあり注意が必要です。
また、自転車量販店によっては、ご自身で作業が行えるように、タイヤ交換の講習会なども開催されていますので、ぜひ参加してみてください。
交換前に知っておこう!タイヤの種類
一見、どれも同じ様に見える自転車のタイヤは、主に3つの種類があります。
クリンチャー
クリンチャーは、一般的に広く自転車に用いられているタイヤであり、シティサイクルをはじめ、ほとんどのロードバイクやクロスバイクに使用されています。ビードと呼ばれる、タイヤの両側にある盛り上がり部分をホイールに納め、タイヤ内側にチューブを入れて空気を注入するタイプのものです。
メリットは、タイヤやホイールの種類が多く、パンク修理が比較的に簡単に行えます。
デメリットは、構造上ホイールがやや重くなります。また、段差を超えるときにホイールのリム部分がタイヤ内部のチューブを挟んで生じる、リム打ちパンクが起こりやすいのが難点です。
チューブラー
チューブラーは、自転車に古くから用いられている歴史の長いタイヤ。チューブの外側にゴムが張られたタイヤです。接着剤を使ってタイヤをホイールの外周に貼り付けるタイプです。
メリットは、チューブラーに使用するホイールが軽く、走行性能が高い点や、構造上パンクしにくいという特徴があります。
デメリットは、一度パンクすると修理が非常に面倒。内部のチューブを補修することは難しく、タイヤの外側から補修するのも困難であるため、基本的にタイヤそのものを交換することになります。
チューブレス
チューブレスは、構造はクリンチャーとほぼ同じですが、タイヤ内部にチューブが入っておらず、タイヤ内の空気圧を保つために、ビード部分が気密性を高める形状をしているタイプです。
メリットは、走行性能が高いことです。抵抗が小さく、クリンチャーよりも快適な乗り心地が味わえます。また、チューブが入っていないため、構造上リム打ちパンクは起きません。万が一、パンクしても修理しやすい点や、応急処置としてチューブを入れれば、クリンチャーとしてそのまま使用できます。
デメリットは、まだまだホイールのラインナップが少ないことです。欲しいホイールがチューブレスに対応していない、ということもよくあります。また、チューブなしでタイヤの空気圧を保たなければならないため、タイヤのビード部分が非常に固く、頑丈であるため、慣れるまではタイヤの着脱が難しく感じられるでしょう。
タイヤのサイズ
タイヤを交換するためには、同じサイズのタイヤを選ばなくてはなりません。タイヤのサイズ表記は少しわかりづらい点があるかもしれませんが、主な規格は限られているので、必要な情報だけ取り込むようにしましょう。
WO(Wired On)規格
イギリスで生まれた規格であり、ロードバイクやシティサイクルなど、ほとんどの自転車が採用しています。表記法は2種類あり、イギリス表記での単位はインチ(例:26×11/2)、フランス表記ではミリメートル(例:700×25C)です。どちらの表記法も、前の数字がタイヤの外周を、後ろの数字がタイヤの幅を表しています。また、イギリス表記の場合、タイヤ幅における1インチ未満の数値は分数で表します。
HE(Hooked Edge)規格
アメリカで生まれた規格であり、マウンテンバイクや子ども用の自転車などに採用されています。WO規格よりも数は少ないといえるでしょう。表記法は1種類のみで、単位はインチ(例:26×1.5)です。WO規格と同様に、前の数字がタイヤの外周、後ろの数字がタイヤの幅を表します。ただし、タイヤ幅の1インチ未満の数値は小数です。
その他(BE規格、チューブラー規格)
BEタイヤ規格は主に運搬者用に用いられます。また、チューブラー規格はその名のとおりチューブラータイヤに用いられるもので、競技用に多いといえるでしょう。この2つの規格はほとんど見ることがありません。
タイヤサイズの確認方法
使用しているタイヤのサイズは、タイヤの側面から確認しましょう。WO規格もしくはHE規格によってサイズが記載されているのが見えるはずです。基本的には同じサイズのタイヤを購入すれば間違いはありません。なお、ホイールによってはタイヤ幅を選択できるので、好みで幅だけを変えるのも良いでしょう。
タイヤサイズに関する注意点
WO規格とHE規格のタイヤには互換性がないので注意しましょう。たとえばWO規格で26×1 1/2、HE規格で26×1.5とある場合、数値上は同じように見えますが、互換性はありません。タイヤの購入時には規格の違いに注意するとともに、タイヤ幅の記載を必ず確認するようにしましょう。
タイヤ交換に必要なもの
スポーツバイクの場合、タイヤ交換に六角レンチのようなネジ回しの工具は必要ありません。ホイールのクイックリリースも手で外すことができます。ただし、シティサイクルなどの場合はホイールがナットで固定されているため、レンチが必要になります。
タイヤレバー
たいてい3本1セットで販売しています。ホイールからタイヤを外すのに必要です。
ガレージ・ゼロ タイヤレバー 3本セット
自転車タイヤ、チューブ交換、パンク修理の必需品!
サイズ | 全長29.5cm、先端部幅2.5cm |
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材質 | レバー部-クロームモリブデン鋼(メッキ仕上げ)、柄-TPR |
空気入れ
タイヤ交換後、チューブに空気を入れるために必要です。
Panaracer アルミ製フロアポンプ ゲージ付 BFP-04AGA3
対応バルブ | 米式、仏式、英式 |
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空気圧上限 | 約1100kPa (160psi 11kgf/cm2) |
▼▼空気入れについて詳しい記事はこちら▼▼
軍手
なくても作業できますが、ケガを防ぐためにも準備しておくほうが良いでしょう。また、グリップ力のある軍手ならタイヤをはめやすくなります。
タイヤ交換の手順
必要な道具を揃え、タイヤを交換していきましょう。タイヤはホイールにくっついているので、ホイールを自転車本体から外して作業をするのが基本になります。
今回は、主にロードバイクに採用されている、キャリパーブレーキ、クリンチャータイヤを対象として説明します。
キャリパーブレーキのレバーを上げる
ブレーキの左側にあるレバーを上げると、両サイドの幅が広がり、ホイールを外しやすくなります。
車体からホイールを外す
クイックリリースを解除して、ホイールを外しましょう。
チューブから空気を抜く
バルブの先端を反時計回りに回して緩めるとともに、先端部分を上から指で押さえると空気が抜けます。入っている空気はすべて抜いてしまいましょう。
1本目のタイヤレバーをタイヤとリムの間に差し込む
空気が抜けると、ホイールとリムの間にすき間ができます。できたすき間にタイヤレバーを差し込み、テコの原理でぐっと倒すと、ビードがリムから顔を出します。
2本目のタイヤレバーを差し込み、ホイールからタイヤをずらす
1本目のタイヤレバーから少し離れた場所に、2本目のタイヤレバーを差し込み、1本目と同様に倒します。すると、ビードがリムからさらに離れていくので、そのまま2本目のタイヤレバーを動かしてタイヤ全体をホイールからずらしましょう。
手でタイヤをホイールから外す
タイヤの片方がホイールから外れたら、そのまま手でタイヤを完全に外しましょう。チューブも交換する場合は、このとき一緒に外します。
交換用のタイヤをホイールにはめていく
新しいタイヤをホイールの外周に沿ってはめていきましょう。最初はタイヤのビードの片方をはめていきます。このとき、タイヤの側面に進行方向が入っている場合は、その方向にタイヤが回っていくようにしましょう。
片方のビードがリムの内側に入ったら、チューブをタイヤの中へ入れていき、さらにもう片方のビードもリム内に入れていきます。作業を進めていくと、だんだんビードがリムへ入りにくくなるものです。タイヤ全体を押しもみしながら、バルブ部分の位置にあるビードを最後に入れるようにすると、ある程度すんなりと入ります。もし最後のビード部分が入りづらい場合、タイヤレバーを使って押し込んでも良いでしょう。
空気を入れてホイールを車体に取り付ける
タイヤを装着後、適正な空気圧まで空気を入れてバルブを締め、ホイールを車体に取り付ければ完成です。なお、ブレーキのレバーを元に戻すのを忘れないようにしましょう。
タイヤ交換の目安はいつ?
タイヤは走れば走るほどすり減っていき、劣化するものです。もちろん、日頃からよく乗る人ほど、タイヤの消耗は早まるといえます。一方、ほとんど乗っていない場合であっても、タイヤは徐々に劣化していくので注意が必要です。タイヤ交換の目安はいくつかあるので、どれかひとつでもあてはまる場合は交換を検討するようにしましょう。
走行距離を目安にする
走行距離として、一般的に3000kmが交換の目安になります。週末に50km走る場合は、1年半くらいを目安に交換することとなるでしょう。
タイヤ表面に注目する
タイヤの表面には溝やグリップ力を高める凹凸があります。これらがすり減って見えなくなっている場合は、交換時期だと考えて良いでしょう。
乗っていない場合でも3年は目安に交換する
できれば3年を目安に交換するようにしましょう。タイヤはゴムでできており、湿気や乾燥、直射日光による紫外線の影響を受け、全く乗っていない場合でもタイヤは少しずつ劣化します。
タイヤは後輪のほうが劣化が早い
自転車の荷重は後ろのほうが大きいため、一般的に後輪のタイヤのほうが劣化は早いものです。そのため、ある程度使用してから前と後ろのタイヤを付け替えてみると、多少はタイヤの性能を長く維持することができます。
特に、スポーツバイクはタイヤ交換が容易です。1本数千円もするような高級なタイヤを使用している場合は、こまめに交換することによってコストパフォーマンスを向上させることもできます。