チェーン洗浄ってどんな作業?
“チェーンが汚れる”とは、どんな状態の事を言うのかわかりますか?金属製のチェーンが汚れるというのは、チェーンに埃や排ガスのススが付着したり、チェーンの削れた鉄粉でチェーンオイルが汚れたり、オイルの量が減った状態の事を指します。
ホコリや鉄粉がチェーン内部に入ると、研磨剤のように内部が削られてしまい「チェーン伸び」と呼ばれる状態になります。また伸びたチェーンは、クランク・スプロケット・プーリーのギア歯にもダメージを与え、パーツや自転車自体の寿命も縮めてしまいます。
そうならない為にも定期的に、古く汚れたオイルを落とし、新しいオイルに交換する必要があります。
2種類のチェーン洗浄の方法
チェーン洗浄には様々な方法があり、今回は比較的手軽に行える『①パーツクリーナー』を使った方法と、『②チェーン洗浄機』を使った方法の2種類をご紹介します。
①パーツクリーナー
②チェーン洗浄機
作業する場所は屋外が最適
作業場所は、基本的に屋外で行いましょう。特にパーツクリーナーを使用する場合、揮発性の高い溶剤とガスが出ますので、屋内での作業は危険です。やむなく屋内で行う場合は窓を開け換気に十分に注意してください。
また、チェーン洗浄時は、汚れた洗浄液やオイルが周囲に飛び散るので、屋内で行う場合は壁や床の養生、作業する人は軍手・作業グローブや、汚れてもいい服装で行うようにしましょう。
どれくらいの頻度が良い?
チェーン洗浄の頻度は、自転車の使用頻度や使用オイルによっても違ってきますが、目安として10km~20kmの通勤・通学をしている場合であれば、週に1度の注油と半月~1か月に1度、チェーン洗浄を行ってください。また、週末にサイクリングなど長い距離を走った時は注油と、チェーンの汚れがひどいようならチェーン洗浄をしましょう。
準備するもの
その他に必要なアイテムです。
ウエス
市販のウェスの他に、使い古したタオルやシャツなど吸湿性の高い布地でも代用できます。
ペーパータオル
キッチンペーパーよりも、厚手で丈夫な工業用ペーパータオルがおすすめです。
ブラシ
自転車メーカーから専用ブラシが出ていますが、ナイロンであれば100円ショップやホームセンターのブラシでも代用できます。鉄や真鍮のブラシはチェーン表面を傷つけてしまうので避けてましょう。
軍手
手の保護のため軍手・作業グローブの使用をおすすめします。オイルを取り扱うときに滑りやすくなるので注意しましょう。
チェーンオイル
「ドライ」は晴天時、「ウェット」は雨天時など、走行するコンディションによって種類があります。雨の日、乗らない人には「ドライ」タイプがおすすめです。
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メンテナンススタンド
自転車にスタンドの装備がなく自立できない場合は、メンテナンスや保管などに重宝するスタンドです。
それでは、洗浄方法をご紹介します!
①『パーツクリーナー』を使う方法
まずは、市販のパーツクリーナーとウエスで汚れを拭きとる方法をご紹介! 専用の工具などの必要がなく手軽に行うことができます。
作業しやすいように自転車をセット
屋外の安定できる場所に自転車を置きましょう。スポーツバイクなどはではギアはアウタートップにすることで、車体への汚れの飛び散りを抑えることができます。またペダル・後輪は空転できると作業がしやすくなるでしょう。
パーツクリーナーをチェーンに吹き付ける
チェーン下側にウエスをあて、上からクリーナーを噴きつけます。間隔はウエスにおさまるくらいで、10cm~15cmずつ噴きかけましょう。
クリーナーをかけた部分をウエスで拭くと、汚れが落ちているのがわかります。
チェーンを回しながら、1周くり返し、汚れの残っている部分はもう一度、行ってください。汚れのしつこい部分はブラシなどで擦ります。
チェーン1周の目安ですが、シマノのチェーンの場合、一箇所だけ黒いピンがあるので、そこを目印にして回すと良いでしょう。
チェーン以外のパーツの洗浄
前後のギア、ディレーラーのプーリーなど、チェーンの通るルートも同様に洗浄しましょう。
チェーンオイルをさす
パーツクリーナーでの洗浄が終わったら、吸湿性の高いペーパータオルでクリーナーを拭きとり、乾くまで少し待ちましょう。
その後、オイルを1コマずつチェーンに注油します。最後にペダルを数回まわし、オイルをチェーン内部まで行き渡らせましょう。
余分なオイルが残ると汚れがつきやすくなるので、指で触って薄くオイルがつく程度まで拭き取ってください。ペダルをまわすと内部のオイルがにじみ出てくるので、拭き取れるまで繰り返します。
次は、更に汚れを落とす「チェーン洗浄機」を使った方法をご紹介!
②『チェーン洗浄器』を使う方法
次は、専用のチェーン洗浄器・洗浄液を使用する方法です。パーツクリーナーでの洗浄と比べチェーン内部の汚れも落としやすく、チェーンに触れずに洗浄できるので手を汚さずに行えます。
作業しやすいように自転車をセット
屋外の安定できる場所に自転車を置きましょう。ギアはチェーン洗浄器のメーカー推奨位置にセットしてください。
チェーン洗浄器の準備
チェーン洗浄器をセットし、仮の動作確認をします。
問題がなければ、一度洗浄機を外して、洗浄液を指定ラインまで入れます。
洗浄液を入れた洗浄器をあらためてセットします。
洗浄機のレバーを回そう
メーカー指定の回転方向へ、洗浄機のレバーを10~20回を目安に回してください。早く回すとブラシが立たず、汚れが落ちにくくなりるので、ゆっくりと回しましょう。
チェーンの汚れがひどい場合は、洗浄液または中性洗剤を入れなおして繰り返しますが、やりすぎるとオイルが落ちすぎるので注意してください。使用後の洗浄液は古新聞などに吸わせて燃えるゴミとして処理しましょう。
チェーン以外のパーツの洗浄
前後のギア、ディレーラーのプーリーなど、チェーンの通るルートも清掃しましょう。
チェーンオイルをさす
クリーナーが完全に乾いたらチェーンオイルを注油します。
パーツクリーナーの方法と同様にペダルを回し、オイルをチェーン内部まで行き渡らせたら表面のオイルを拭き取ります。
洗いすぎに注意!
チェーン洗浄はその他にも様々な方法がありますが、灯油・ガソリンでの洗浄やクリーナーに、外したチェーンを漬け込んでの洗浄は、洗浄力が強すぎてしまい、あまりおすすめができません。
もともとチェーンの内部には、市販品のオイルよりも耐久性の高いオイルが浸透しています。洗浄によって内部のオイルが落ち過ぎてしまうと、新たに内部までオイルを浸透させるには大変な作業になります。個人のメンテナンスでは表面のチェーン洗浄にとどめて行うようにしましょう。