ブレーキの種類
自転車のブレーキにはいくつか種類がありますが、大別すると「リムブレーキ」と「ディスクブレーキ」のふたつに分けられます。この記事では、クロスバイクやロードバイクで良く使われている、リムブレーキのブレーキシュー交換をご説明します。
リムブレーキとして現在、主流なのは、キャリパーブレーキ、Vブレーキ、カンチレバーブレーキなどです。
キャリパーブレーキ
ブレーキアーチが軸点を中心に交差する形で固定されている構造を持つブレーキです。軸点がふたつあるものをダブルピボット・サイドプル方式と呼び、主にロードバイクに使用されています。一方、軸点がひとつのものはシングルピボット・サイドプル方式と呼ばれ、古いロードバイクのパーツや、一部のママチャリに使用されていることがあります。
Vブレーキ
構造はカンチレバーブレーキと似ていますが、左右のブレーキアーチに対してブレーキワイヤーを横から通すことによって、高い制動力を確保しています。ブレーキアーチが逆ハの字型に見えることからVブレーキと呼ばれるようになりました。クロスバイクや一部のマウンテンバイクに採用されています。
ブレーキシュー交換のタイミング
リムブレーキに用いるブレーキシューは、リムとの摩擦によってすり減っていきます。すり減ったブレーキシューでは制動力が落ちる為、交換する必要があります。交換の目安は、ブレーキシューの溝が無くなってきたら、交換のタイミングになります。具体的には、溝の深さが1mm以下になれば交換したほうが良いでしょう。
また、ブレーキシューそのものが脆くなっていることもあるので、ブレーキの効きが悪いと感じたら早めに交換しておく必要があります。走行距離にもよりますが、半年ぐらいの期間を目安に交換の検討をおすすめいたします。
新しいブレーキシューを準備しよう
ブレーキシューにはいくつもの種類があります。使用しているブレーキパーツのメーカーや型番を確認し、それに合ったものを選べば間違いはありません。心配な場合はお店で確認してもらうことをおすすめします。
ただし、交換ではなくグレードアップしたい場合は、互換性やブレーキシューの細かな違いについて注意しておく必要があるでしょう。ブレーキシューを選ぶときの注意点を見ていきます。
互換性を確認する
メーカーの異なるブレーキシューは基本的に互換性がありません。また、ブレーキのタイプが異なるものを使用するのもあまり望ましくはないでしょう。使用しているブレーキのメーカーやタイプはしっかりと確認する必要があります。
カーボンホイールには専用のブレーキシューを使う
カーボンホイールはリム部分もカーボンであるため、専用のブレーキシューを使用する必要があります。誤って一般的なアルミリム用のブレーキシューを使用するとホイールを痛めることになるので注意しましょう。
カートリッジ式の場合はブレーキシューのみを交換可能
上位グレードのブレーキには、ブレーキシューとその台座が分離できるカートリッジ式のものがあります。この場合、消耗したブレーキシューのみを交換すれば問題はありません。一方、ブレーキシューと台座が一体化している場合は、台座ごと交換する必要があります。
ブレーキシュー交換に必要なもの
アーレンキー(六角棒レンチ)
ブレーキシューの台座を着脱するのに使用します。スポーツバイクのパーツは主に六角ボルトで固定されているので、複数のサイズに対応できるアーレンキーがひとつあれば重宝します。
HOZAN アーレンキー キーレンチ 六角レンチセット 10本組
重量 | 115g |
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セット内容 | (mm/インチ):1.27(1/20)、1.5、1.6(1/16)、2、2.4(3/32)、2.5、3、3.2(1/8)、4、4.8(3/16) |
▼▼アーレンキーの詳しい記事はこちら▼▼
軍手
なくても作業できますが、摩耗したブレーキシューに触れると指が汚れるので、あったほうが良いでしょう。
ブレーキシューの交換手順
それでは、ブレーキシューの交換の手順を見ていきましょう。今回はロードバイクに採用されていることが多い、キャリパーブレーキを使って説明します。なお、最後にカートリッジ式のものについても少し触れているので、参考にしてください。
キャリパーブレーキのレバーを上げる
レバーを上げることによって、ブレーキアーチのすき間が広がり、作業がしやすくなります。
ボルトを緩めてブレーキシューと台座を外す
アーレンキーを使ってキャリパーブレーキに固定されているブレーキシューの台座を外しましょう。
新しいブレーキシューを仮止めする
交換用の新しいブレーキシューと台座を、キャリパーブレーキに取り付けます。スペーサーには順番があるので、間違わないようにしましょう。
また、進行方向を指定しているブレーキシューは、取り付け時の向きに注意します。ブレーキシューの位置を調整する必要があるため、ボルトは仮止めして台座を動かせるようにしておきましょう。
ブレーキシューの位置を調整する
ブレーキシューの位置がリムにぴったり合っているかどうかを確認し、台座の位置を調整します。シューがリムよりも外側に出ていると、タイヤを痛めたり、シューがホイールのスポークに引っかかったりして危険です。
●リムより下にずれている状態
●リムより上にずれている状態
●リムにぴったり合わさっている状態
ボルトをしっかりと締め、ブレーキシューを固定する
ブレーキシューの位置を調整できたら、ボルトを締めて固定します。
このとき、ボルトが少しでも緩んでいると非常に危険なので、少し強すぎると思う程度に力を入れて固定しましょう。なお、固定後はキャリパーブレーキのレバーを下げるとともに、安全な場所で実走してブレーキの効き具合を必ず確認するようにしてください。
カートリッジ式の場合
カートリッジ式のブレーキシューは、台座とブレーキシューが分離できます。プラスドライバーのみでブレーキシューを着脱することが可能です。
気になる点があったら必ず自転車ショップへ
ブレーキ交換作業を終えたら、軽くテスト走行などして、きちんとブレーキが効くか、音鳴りがしないかなど必ず確認しましょう。
ブレーキがきちんと効くかどうかの確認はもちろんですが、リムとブレーキシューの間が極端に狭くなっていたり、音鳴りがするようであれば、別途、ブレーキシューの角度を調整するトーイン調整や、ブレーキワイヤーの引きしろの調整が必要な場合があります。
ブレーキの整備不良は重大な事故につながる可能性もありますので、少しでも気になる点や違和感があったら、必ず自転車ショップで見てもらうなどしましょう。