雪道の自転車走行って、危ない?

そもそも、雪道の自転車走行は、危なくないのでしょうか?
基本的に一般的な自転車は、雪道を走る想定がされていません。雪が積もっているけれど、自転車に乗りたい時は、どのように対応すべきか解説します。
基本的には、乗らないほうが良いです。

特に雪道対策をしていない場合、自転車での走行は転倒や事故になるリスクが高くなります。
雪が積もる予報、または積もってしまった場合、極力自転車には乗らず、徒歩や公共交通機関で学校や会社まで行く方法を考えましょう。
凍った雪道ならなおさら

雪が降ったその日に自転車に乗らないほうが良いのはもちろんですが、積雪のあった翌日以降も、道路状況を確認する必要があります。
降雪後は、路面が凍結している場合もあり、翌日・翌々日…もしくはそれ以降も自転車に乗れないことも想定しておきましょう。
法律的にはどう?
道路交通法上「軽車両」として扱われる自転車。そもそも、”積雪時の自転車走行は、法律で禁止されていないのか?”という疑問を持つ方もいるでしょう。
降雪量の多い北海道の「道路交通法第12条2号・細則」を見てみましょう。
積雪し、又は凍結している道路において、自動車若しくは原動機付自転車を運転するときは、スノータイヤを全車輪に装着し、又はタイヤ・チェーンを取り付ける等滑り止めの措置を講ずること。
わかりやすく噛み砕くと、”自転車にはスノータイヤ装着義務はない”ということになり、自転車の雪道走行自体は禁止されていません。
北海道のほか、青森・秋田・山形などの東北地方や、その他地域の道路交通法でも、同様の記載があります。法律上、日本において自転車の雪道走行は可能と言えるでしょう。
雪道の自転車走行のポイント

どうしても雪道の自転車走行を行う必要がある場合、どうすればよいのでしょうか?
”雪道でのクルマの走り方”があるのと同様に、”雪道での自転車の走り方のコツ”がありますので、確認していきましょう。
速度をおさえる
雪道では、ゆっくり走行が基本。目的地までの時間は余裕をもって、早めに家を出ましょう。
車体を傾けない
雪道の自転車は、曲がる時に車体が傾くと、とても転びやすくなります。
急に曲がらないようにするためには、まっすぐある程度先を見て走行し、進行方向をあらかじめ予想しながら走るのが安全です。
空気圧を少し下げる
雪道走行では、少しだけ空気圧を下げるとタイヤのグリップ力が向上します。チェーンスプレーとの組み合わせで試してみるのも◎。
ブレーキをなるべく掛けない、かけるとしてもポンピングブレーキ
雪道での自転車走行での、急なブレーキは事故のもとです。停止する時は、あらかじめ減速しておき、自然と停まれるように、スピード調整を行いましょう。
また、自動車に乗っている方なら”ポンピングブレーキ”という言葉をご存知かもしれません。ポンピングブレーキとは、雪道や雨の滑りやすい路面で、ブレーキを踏み込んだ時、タイヤがロックしないよう、小刻みにブレーキをかける方法です。
これを雪道の自転車運転にも応用していくとよいでしょう。
すべらない靴
発進や停車時、信号待ちなど、地面に足をつける時に滑らないよう、すべりにくい靴を履いておくことも重要です。また、ペダル自体が雪がついたり凍っていて、すべりやすくなっている可能性も高いです。
雪道では自転車を押して歩く場面もありますので、グリップ力がある防水スニーカー等を履くのがおすすめです。
サドルを足がつく高さにする
普段スポーツバイクに乗っている方の中には、サドルを高めに設定し、足の裏が地面に完全につかない状態で乗っている人も多いでしょう。
雪道走行する場合、これだと危険なので、サドルは足がしっかりと地面に接地するよう、あらかじめ下げておくと安全です。
路面の雪の状態で変わる、自転車走行のリスク度

ここからは、路面の状態別にすべらない走り方をお伝えしていきます。
新雪
新雪が降ったばかりの路面は、10〜20cmの積雪くらいが走れる限度。それくらいであれば、まだ凍結が進んでいない場合が多く、比較的走りやすいです。
しかし、30cm以上(ひざの高さくらい)になると車輪が雪に埋もれてしまい、身動きがとれませんのでやめておきましょう。
踏み固められた雪
何日か前に雪が降った状態や降り始めの時期は、通勤・通学する人たちが踏み固めてくれている道ができており、自転車は比較的走りやすいでしょう。ただ、凹凸でハンドルが取られることも多く、走行には十分注意が必要です。
また、車道のクルマ通行分のスペースに轍(わだち)ができると、車道の走行も危険がともないます。大雪のような、車道を通りにくい特別な事情があれば、自転車の歩行者専用道路の通行も認められているので、そちらを通行するようにしましょう。
自転車の歩行者専用道路についてはこちら。
アイスバーンや路面凍結の状態
雪が降っては溶けてを繰り返すと、路面凍結、つまりアイスバーン状態になります。この状態が最も危険です。雪の下にアイスバーンが隠れていたりすることもあります。
また「ブラックアイスバーン」と呼ばれる、路面に薄い氷の膜が張った状態も危険です。一見するとアスファルトが黒く濡れているだけのようにも見え、極力、自転車走行は避けたいシーンです。
交通量の多い交差点や橋・トンネル出口など、凍りやすいポイントはよりいっそう注意しましょう。
雪道を自転車走行する時の便利なアイテム
事前に積雪が予想されている場合や、雪国在住の方なら、雪道走行用の各アイテムをそろえてみてはいかがでしょうか。適切に使えば、それぞれ利用価値のあるもの。ここでは3種類ご紹介していきましょう。
①スパイクタイヤ
スパイクタイヤとは、金属ピンが打ち付けてある、オフロードタイヤ。アイスバーンや圧雪状態の道ではこの金属ピンの有無が大きな差となります。
現在、スパイクタイヤは、日本ではアスファルトを傷つけるなどの理由から自動車では法律で使用が禁止されていますが、自転車では禁止されていません。舗装路を走行する夏用タイヤと異なり、摩擦抵抗の少ない雪道を走行するだけならほとんど磨耗せず、ヘビーユーザーでも3シーズン以上使用OKなのも、ポイント高め。
Schwalbe Winter 2本セット
種類 | クリンチャー |
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ホイール径・タイヤ幅 | 26×1.75、27.5×2.00、700×30C、700×35C、700×40C |
カラー | ブラック |
重量 | 1,000g(1本あたり/26×1.75の場合) |
参考価格(税込) | 6,380円(1本あたり/26×1.75の場合) |
雪だけでなく、泥にも対応できる!コスパ◎なマッドスノータイヤ!
シュワルベ(Schwalbe)は、ドイツに本社を置くタイヤメーカー。「ドイツや北欧などの雪が降る地域において、タイヤを交換することなく年間を通して使用できること」が開発コンセプトのWinter Spikeは、本格的なオフロード専用タイヤと比べるとややライトな性能とはなりますが、出先で急に気温が下がって路面凍結が予想される場合など、状況が刻々と変化する環境下でも、 安全快適に走行OK。1本あたり6,000円程度と、コスパもよく、クロスバイク〜MTBまで、どんなスポーツバイクでも履かせられるオールアラウンダーなのもうれしい。
②スノータイヤ(スタッドレスタイヤ)
スノータイヤ(スタッドレスタイヤ)は、やわらかめのゴムや雪道にも強いパターン構成で、ピンを一切使用しないタイヤです。
スパイクタイヤよりも安価なのが特徴ですが、積雪後は翌日の凍結がつきものなので、長い目で見たらスパイクタイヤのほうが安心・確実。
IRC(アイアールシー) SA・SA・RA(赤裏) シティサイクル用スノータイヤ
ホイール径 | 24・26・27インチ |
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タイヤ幅 | 1-3/8 |
重量 | 585g(24インチの場合) |
参考価格(税込) | オープン価格 |
シティサイクルにも装着OKなスタッドレスタイヤ!
自転車・二輪タイヤの国産メーカー、IRC井上ゴム工業のスタッドレスタイヤ。シティサイクル(ママチャリ)にも使える24〜27インチのタイヤに付けられるササラは、各パターンのブロック内に切れ込みを入れ、すべりやすい路面でも優れたグリップ効果を発揮。数年に一度積もるか積もらないかの平野部、数キロ程度の雪対策としてはベストバイかもしれません。
③スプレー式タイヤチェーン
スプレー式タイヤチェーンは、タイヤが路面と接触する部分に特殊な液体をスプレーすることで、雪道や凍結路面でのグリップ力が増すという仕組み。液体には粘着性の樹脂が含まれており、これをスプレーで吹き付けることでタイヤの表面をザラつかせて、摩擦を高めます。
あまり普段から雪の降る地域でない場合や、お守りがわりに持参するのにも最適。
アムス(Ams) グリッ! とスプレー 緊急脱出用
サイズ | 幅4.2×奥行4.2×高さ20.5cm |
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重量 | 420g |
自動車用だけど、自転車に応用OK!
もともとは自動車用として発売されていますが、自転車にも使用することができます。注意点としては、必ず乾燥した状態で吹き付けること。そして30分程度待機。多少の雪なら、しっかりグリップしてくれます。しかし、10kmの距離を超える走行ですと、コーティングが徐々に剥がれますので、あくまで短距離でかつ、緊急用くらいの装備と考えたほうが良いです。
雪道に強い自転車もあります

ふだん乗っているシティサイクル(ママチャリ)や、スポーツバイクも、タイヤを変更すれば、雪道走行の対策はできますが、「タイヤが太い、雪道や悪路に強い自転車がほしい」という方もいるでしょう。
そのような方はファットバイクやグラベルロードバイクの購入を検討してみるのもいいでしょう。それぞれご紹介します。
ファットバイク

ファットバイクとは、MTBの約2倍の太さのタイヤを履かせた、ワイルドなオフロードバイク。雪道だけではなく、砂浜や泥道もなんのその!重量こそありますが、悪路の走破性はどんな自転車よりピカイチです。
ファットバイクについてはこちら。
グラベルロードバイク

幅広いタイヤ幅に対応した、ロードも少しの砂利道も走れる、グラベルロードバイク。もちろん、冬用タイヤを履かせれば、雪道も走行OK!
グラベルロードバイクについてはこちら。
雪道の自転車走行は、細心の注意を払えば可能ですが、初めての場合はなるべく避けよう。
どうしても雪道の中、通勤・通学などしなければならないといった場合、条件もそろっているのであれば、チャレンジしてみてもいいかもしれません。
とはいえ、雪道で自転車を走行するのは非常に神経を使うものです。初めての場合は、早起きして徒歩で移動する方法を考えるか、公共交通機関を利用する、または家族に送迎をお願いするのが無難でしょう。
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