ハンドルの調整で、もっと快適になるかも?
ハンドルの最適なセッティングは乗り人の使い方やレベルによって、変わってきます。
例えば、
・初めは怖かったが、乗り慣れて筋力がつき、身体を動かしやすいポジションがよくなった
・長距離を走るようになり、手の痛みや疲労が気になりだした
といった具合です。その場合、本当はもっと今の自分に適したポジションがあるのに、そのステップアップの機会を見逃してしまうことになります。
定期的にハンドルのセッティングを見直すことで、今の自分に合った自転車にすることが出来るのです。
「角度」と「高さ」に注目してみよう
ハンドルの調整には様々な方法がありますが、この記事では比較的簡単な「角度」と「高さ」に絞ってご紹介をしていきます。パーツを交換したり、バーテープを巻きなおしたりせずに調整が出来るため、初めての方でもハードルが低いでしょう。
本来ハンドルの調整は、ハンドル・ステム・レバーといったパーツごとに相性やセッティングを考え、調整をしていくものです。
しかし、一度にたくさんの変更をしてしまうと、良くなったのか悪くなったのか判断が難しくなりがちです。
「ポジション沼」と言われる出口の見えない悩みにはまってしまうこともありますので、まずは簡単なところに絞って考えるのも1つの方法ですよ。
ハンドルの「角度」調整
ではまず、ハンドルの角度からご説明していきましょう。ハンドル角度の調整は、「しゃくる」「おくる」といった言葉で表現され、それにより効果が異なります。
少しややこしいのが、記事や媒体によって「しゃくる/おくる」の定義が逆になる場合があることです。
この記事では、ハンドルのブラケット部分が手前に来る変更を「しゃくる」、遠くにする変更を「おくる」と表現します。ブラケット部分ではなく下ハン部分の遠近を基準に表現すると、「しゃくる/おくる」が逆になりますので、言葉の使われ方に注意が必要です。
基本はこの位置
ハンドルの角度は、基本的には「ハンドル上部~レバーのラインが、水平からやや前上がり」に調整します。この位置から大きく外れてしまうと、逆に使いにくくなりやすいため注意しましょう。
以下の画像では、分かりやすいよう大袈裟に角度をつけていますので、実際はもう少し小さく調整をするのがおすすめです。
「しゃくる」調整
<効果>
・ブラケットでは安定した感触がある
・下ハンが遠くなり、握りにくくなる
ブラケットの位置が遠く感じている場合や、手が前にずれて圧迫される感触がある場合は、ハンドルをしゃくると改善されるかも知れません。ロングライドで手や腕が疲れてしまう方や、ハンドルの操作をしやすくしたい方にもおすすめです。
「おくる」調整
<効果>
・ブラケットで前傾姿勢をとりやすくなる
・下ハンが近くなり、握りやすくなる
ブラケットで前傾姿勢をとりやすく、下ハンも握りやすくなるため、乗り慣れてきた方やスピーディーに走りたい方におすすめです。ただし、おくりすぎるとブラケットの握りが甘くなり危険ですので、ほどほどの調整にしましょう。
ハンドルの「高さ」調整
続いては、ハンドルの高さ調整です。ここでは、最も簡単な「スペーサーを入れ替える方法」のみをご紹介します。パーツ購入等をすれば更に調整の幅を広げることが出来ますが、スペーサーの入れ替えならお金をかけずに調整が可能です。
基本はこの位置
ハンドルの高さは、「体幹を使って楽に体を支えられる位置」が基本です。この位置は腹筋や背筋といった筋力の強さで決まり、上級者ほど低い位置でも身体を支えられるようになります。
目安の1つは、両手を後ろに組んで上半身を前に倒していき、無理なく維持できる角度です。
そこから脱力して腕を伸ばし、自然にハンドルを握れる位置に調整しましょう。
「高く」する
ハンドルを高くしたい場合は、スペーサーをステムの下側に配置します。バイクを購入した時点では、この最も高い位置に設定されていることが多いです。
<効果>
・前傾姿勢が緩くなり、初心者に優しい
・視界が広とりやすく、街乗り等で楽
前傾姿勢の緩い「アップライト」と言われるポジションとなるため、初心者の方でもなじみやすいポジションです。低速で周りをよく見たい場合や、荒れた道で操作性を上げたい場合にも有効です。
「低く」する
ハンドルを低くしたい場合は、スペーサーをステムの上側にします。
<効果>
・前傾姿勢がきつくなり、上級者向き
・体重を使ったペダリングがしやすく、空気抵抗が小さくなる
前傾姿勢を深くとれるため、ペダルに体重を乗せつつ空気抵抗を減らすことが出来ます。レーシーな走りをしたい方や、効率よく走りたい方にはこちらの方が合っています。
ハンドルの最適なセッティングって?
簡単なハンドルの調整をご紹介しました。では、最適なセッティングとは一体どんな位置なのでしょうか?
ライダーにより個人差が大きい
ハンドルの最適なセッティングは、ライダーの体格から筋力、柔軟性といった、身体的特徴により個人差があります。また、同じライダーでも「どんな走りがしたいか?」という乗り方のゴールが異なるため、必ずしも正解が1つとは限りません。
安易にプロの真似をしたり、友人と揃えたりすると、かえってデメリットの大きい調整となる可能性があります。基本は守りつつ、自分の感覚を大切にセッティングをしていくことが肝要なのです。
調整は少しずつ、慎重に
ハンドルの調整をする際は、少しずつ変化をつけるようにしましょう。
いきなり大幅な変更を加えると、身体の負担となり怪我の元となったり、ハンドリングの感覚が変わって操作ミスに繋がったりします。特に初めて調整する場合は、どんな影響が出るのか分からないはずですので、調整は慎重に行うのがおすすめです。
また、調整後はすぐ実走するのではなく、一度は安全な場所で跨ってからにしましょう。組付けの状態やハンドリングの感触を確認しておくと安心ですよ。
専門のフィッティングサービスもある
もし調整に自信がない場合や高度な調整をしたい場合は、プロショップや専門のフィッティングサービスを受けてみるのも良いでしょう。データに基づいた客観的なフィッティングをすることで、自分では気が付かなかった事まで調整できますよ。
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