男性 ロードバイク

実は危険?ハンガーノックの症状と予防法、おすすめ補給食を解説!

サイクリングは、カロリーを効率よく消費できる半面、体内の血糖値が低下しすぎる「ハンガーノック」が引き起こされる可能性があります。ハンガーノックになると、力が出なくなるだけでなく、走行が危険となってしまうことも...。この記事では、ハンガーノックとは何か?から、その予防法、おすすめの補給食まで解説していきますよ。

目次

アイキャッチ画像:筆者

ハンガーノックとは?

サイクリングを危険にする可能性もある「ハンガーノック」とは、どんなものなのでしょうか?まずは概要から解説していきます。

ハンガーノック=体のガス欠

ハンガーノックとは、長時間の運動によって、極度の低血糖状態になってしまうことをいいます。糖質は運動をする際の主なエネルギー源として利用されるため、体内で利用出来る糖質を使い果たしてしまうと、体が動かなくなってしまうのです。

いわば「体のガス欠」状態のことで、自分の意志とは関係なく、運動を続行する事が出来なくなってしまいます。重度の場合は、走行はおろか立ち上がることすらできないことも。

男性 ロードバイク

撮影:筆者

「体内の脂肪は燃焼しないの?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、脂肪の燃焼にもある程度の糖質が必要となるため、実はそれも不可能。

ハンガーノックでは、脂肪燃焼のための糖質すら体に残っていないため、八方塞がりの状態に陥ってしまうのです。

 

高強度・長時間のライドで、補給が足りないと起こりやすい

男性 ロードバイク 坂道

撮影:編集部

ハンガーノックは、ロングライドなど長時間に及ぶサイクリングで、かつ補給が足りていないと起こりやすい症状です。

特に初心者の方や、ロングライドで初めての距離に挑戦する方は要注意。自分のカロリーの消費ペースや補給のタイミングを理解してないと、思わぬところでハンガーノックになってしまうかも知れませんよ。

朝食を食べずにサイクリングをする方や、休憩中に食事をとらないという方は、意識的に補給をしていきましょう。

症状には、どんなものがある?

では、ハンガーノックとはどんな症状なのでしょうか?主な症状を見ていきましょう。

ふらつき、めまい、眠気、力が入らない…

男性 ロードバイク サイクリング

撮影:編集部

ハンガーノックになると、体に力が入らなくなり、次第にめまいや眠気を誘発、最悪の場合は一切体が動かせなくなり、意識を失ってしまいます

もちろん、いきなり意識を失ってしまう訳ではなく、初期症状として強い空腹感や脱力感、頭がぼーっとする感じに異変を覚える方が多いようです。

1つ注意しておきたいのは、ハンガーノックでは脳にもエネルギーが回らないため、判断力も低下してしまうことです。そんな状態でサイクリングを続けるのは危険ですので、ハンガーノックの気配がしたらすぐに休みましょう。

ハンガーノックになったら、どうするべき?

では、もしハンガーノックになってしまったら、どうすればよいのでしょうか?ライド中にハンガーノックになってしまった際の対応をご紹介していきましょう。

男性 ロードバイク 補給食

撮影:筆者

ハンガーノックの経験がない方だと、ハンガーノックの予兆を疲労と勘違いしがちです。

「あれ?スピードが出せなくなったな。疲れてきたのかな?」

と思ったら、今日食べたものを思い出してみましょう。もし補給をほとんど摂っていない様なら、糖質の多い食事をとって、ゆっくり休んでみましょう。

ただ休憩をしても、必要な栄養がないままではハンガーノックは解決しません。近くに飲食店やコンビニがあるとも限りませんので、サイクリング中に補給食を携帯しておくのがおすすめですよ。

どのくらいのペースで補給すればいい?

では、ハンガーノックを防止するためには、どのくらいのペースで補給食を摂ればよいのでしょうか?その目安をご紹介しましょう。

消費カロリーの計算表

あくまで1つの目安ですが、1時間あたりの平均速度と走行時間(休憩を除く)の消費カロリーは以下の通りです。

 体重 ①通勤・街乗り
(約16km/h以下)
 ②ほどよい運動
(20km/h前後)
 ③高速走行
(約25~30km/h程度)
 45kg 189kcal 378kcal 567kcal
 50kg 210kcal 420kcal 630kcal
 55kg 231kcal 462kcal 693kcal
 60kg 252kcal 504kcal 756kcal
 65kg 273kcal 546kcal 819kcal
 70kg 294kcal 588kcal 882kcal
 75kg 315kcal 630kcal 945kcal
 80kg 336kcal 672kcal 1,008kcal
 85kg 357kcal 714kcal 1,071kcal
 90kg 378kcal 756kcal 1,134kcal
 95kg 399kcal 798kcal 1,197kcal
 100kg 420kcal 840kcal 1,260kcal

例えば、「体重60kgのライダーが20km/h前後で1時間走った場合、約500kcal消費する」といった具合です。

上の表では、坂道の影響やポジションによる空気抵抗の違いを考慮していませんので、ロードバイクでの走行なら、もう少し少なめの消費カロリーが現実的でしょう。

詳しくは、こちらの記事でサイクリングの消費カロリーの計算式や目安をご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。

サイクリングで2,000kcal消費するからと言って、2,000kcalを摂取しないとハンガーノックになる、という訳ではありません。体内に蓄えてあった糖質や、脂質を消費することでエネルギーを作り出せますので、消費した分すべてを食べる必要はないのです。

ただし、1つの目安として消費したカロリーを頭にいれておくことは大切ですし、「そのくらいは食べても太らない」という頭で、積極的に食事をしていくのもハンガーノック防止には効果的ですよ。

 

激しいライドでは、1時間300kcalが目安

補給食

撮影:筆者

もしカロリー消費の激しいロングライドをするなら、1つの目安が「1時間に300kcal」の補給です。

これは、人間が1時間に吸収出来るおおよその限界量から考えています。高強度かつ長時間に及ぶ激しいライドをするときは、食べ過ぎてもかえって胃腸に負担をかけてしまうため、コンスタントに1~2時間に1度は補給をし続けるのが良いでしょう。

 

出発前の食事も欠かさずに!

朝食画像

ハンガーノックを予防するためには、出発前にきちんと食事をしておく事も大切です。

あらかじめ体内に糖質などのエネルギーを蓄えておけば、サイクリング中の補給に頼らずとも走ることが出来ますよ。

油っぽいものは吸収に時間がかかりますので、糖質をメインに、タンパク質を加えた食事がおすすめです。ご飯系は血糖値の上昇が早いのですぐ力を出したい時に、パンやパスタ系は腹持ちが良いので、ライドの時間が長い時によいですよ。

おすすめの補給食は?

続いては、1日500km以上を走るロングライダーの筆者が、おすすめの補給食をご紹介していきます。なるべく安く、入手しやすいものをピックアップしましたので、是非皆様のライドの参考にしてみてくださいね。

オールシーズン活躍!食べやすいブロック系

コンビニやスーパーで見かける栄養機能食品の多くは、このブロック系。暑さ寒さに関係なく、また初心者~上級者まで扱える、定番で食べやすい補給食です。

補給食の中では、タンパク質やビタミン等、糖質以外の栄養素も比較的多い部類ですので、これ1つでも賄えるのも嬉しいですね。口の中が乾きやすいのが欠点ですので、ボトルの水を飲みつつ食べましょう。

大塚製薬 カロリーメイト ブロック/フルーツ

ブロック系の定番!ビタミンやミネラルも補給できる万能食

栄養機能食品として有名なカロリーメイト ブロック。もちろんサイクリングでの補給食としても優秀です。


持ち運びしやすく、必要なカロリーや栄養素が詰まっており、どんな状況でも活躍します。コンビニやスーパー等どこでも買える入手性の高さや、カロリー当たりの価格が安く経済的なのも大きな魅力ですね。


唯一の難点は口の中がパサパサしやすいことですので、ボトルの水と合わせて補給するのがおすすめです。

内容量4本(80g)
エネルギー400kcal
炭水化物43.4g
タンパク質8.2g
脂質22.2g
マグネシウム50mg
リン80mg
ビタミンA385μg
ビタミンB10.6mg
ビタミンB20.7mg
ビタミンB121.2μg
ビタミンC50mg
ビタミンD2.8μg
ビタミンE3.2μg
カリウム123mg

おやつ感覚で高カロリー!甘いもの好きにはチョコ系

チョコレート菓子は、小さいものでも高カロリーですので、サイクリングの補給食としても活躍します。

難点は夏場は溶けてしまうことと、脂質が多いこと。使える場面はやや限定的ですが、好みのお菓子がある方は、ぜひおやつ感覚で活用してみてくださいね。

有楽製菓 ブラックサンダー

ザクザク食感の人気チョコバー!

中にビスケットが入ったザクザク食感が人気のチョコ「ブラックサンダー」。小さいながらに1つで100kcal越えと、実は手軽にカロリー摂取が出来るお菓子です。


コンビニやスーパーで手軽に購入できますし、1つ33円(税込み定価)という低価格も魅力。カロリー当たりの価格では最強クラスです。

内容量1本(21g)
エネルギー112kcal
炭水化物13.1g
タンパク質1.3g
脂質6.0g
食塩相当量0.2g

 

和菓子も活躍!スポーツ羊羹

糖質メインの補給食としては、実は和菓子も優秀です。特に羊羹は持ち運びがしやすく、常温で長期保存ができ、小型でカロリーが高いので、サイクリングで常備しておくのにも向いていますよ。

井村屋 スポーツようかん/あずき

片手で食べられる「スポーツ用羊羹」

羊羹の補給食としての優秀さに着目し、スポーツ用途でも使いやすいパッケージや成分にしたのが「スポーツようかん」です。


押し出すだけで食べられるパッケージはサイクリングでも扱いやすく、ゆっくり吸収される糖質のパラチノース配合で、エネルギーが持続します。

内容量40g(1本)
カロリー113kcal
炭水化物26.5g
タンパク質1.4g
脂質0.1g
カリウム9mg
マグネシウム6mg
カルシウム13mg
食塩相当量0.14g

 

必要な栄養を素早く補給!エナジージェル系

スポーツ用の補給食としては、エナジージェル系も人気があります。特にレースの様な高強度のサイクリングをする方に人気があり、必要な栄養を素早く的確に補給できますよ。

「サイクリング中に固形物は食べにくい…」という方にもおすすめで、お守りに1つ持っておくのも良いでしょう。

難点は、ゴミがべたつくことや、コンビニなどでは買いにくいこと。他の補給食と併用したり、使い分けたりするのも良いですよ。

Mag-on エナジージェル/レモン

マグネシウムやカフェイン入り!人気エナジージェル

エナジージェルとして人気のある「Mag-on(マグオン)」。


カロリーはもちろんのこと、運動する筋肉に必要なマグネシウムや、パフォーマンスを高めるカフェインを配合しています。

内容量41g(1個)
エネルギー120kcal
炭水化物30g
タンパク質0g
脂質0g
マグネシウム50mg
カフェイン25mg

 

ちょっと変わり種?創作系の補給食もおいしい!

補給食の中には、サイクリスト目線で開発されたものや、地元の食材を使用したものがあります。美味しさにこだわったものも多いので、お気に入り補給食を見つけてみるのも楽しいですよ!

フートエクスチェンジ合同会社 マナバー/キャラメルマキアート

手作りで身体にやさしい補給食!

「サイクリングに持っていく美味しいエナジーバーがない」という悩みから生まれた、身体にやさしく美味しい補給食。


1つ1つが手作りで、日本人の好みに合った美味しい補給食です。

内容量45g(1個)
エネルギー198kcal
炭水化物25.8g
タンパク質7.0g
脂質7.4g
カリウム163mg
マグネシウム35mg
食塩相当量0.1g

ハンガーノックの体験談

この記事を執筆している筆者も、ハンガーノックの経験があります。

初めての200kmライドをしたとき、後半で急に体に力が入らなくなり、スピードが全く出なくなりました。立っているのも辛く、信号待ちでハンドルにぐったりと倒れこむほど。

男性 ロードバイク

撮影:編集部

少し休憩をしてみても症状が変わらず、苦しい思いをした記憶があります。その時、試しにバッグに入っていたカロリーメイトを食べてみたら、みるみるうちにパワーが出るようになったのです。思えば、普段よりも飲食店に立ち寄らずに走り、お腹がすき始めた頃には、すでにお店のないエリアに入っていました。

たまたまカロリーメイトを持っていたからよかったものの、もし補給食を持っていなかったら非常に厳しい状態だったでしょう。街までに峠を越えなくてはならない山の中であれば、尚更です。それ以来、必ず補給食は予備も含めて持つようにしています。

適切な補給で、サイクリングを楽しもう!

男性 ロードバイク 補給食

撮影:筆者

サイクリングを楽しむうえで、ハンガーノックの危険性や予防法は、知っておいて損のない知識です。グループライドをするときには、チームメイトに声を掛けたり補給食を渡したりと、活躍すること間違いなし。

適切な補給をとって、ハンガーノックを予防しつつ、サイクリングを楽しみましょう!

ロングライドのコツは、こちらの記事にまとめていますので、初めてのロングライドにチャレンジする方はぜひ参考にしてみてくださいね。