【根強い人気】セラSMPのサドル選びを解説!初心者におすすめの2モデルも実走レビュー

【根強い人気】セラSMPのサドル選びを解説!初心者におすすめの2モデルも実走レビュー

くちばしのような先端と、真ん中にぽっかりと空いた大きな穴が特徴のセラSMPは座り心地が良いという意見や、「サドル沼」の終着点として評価する声もあります。

しかし、セラSMPについて調べてみると、「お尻に合わない」「痛い」というネガティブな意見も見受けられます。また、種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からないと感じる方も少なくありません。

そこでこの記事では、セラSMPのラインナップをシリーズごとに整理し、座骨幅やパッド厚から自分に合うサドルを選ぶ方法を解説します。さらに、筆者が1年以上使い込んでいるHYBRIDと、今回編集部から借りたHELLの2機種を実走レビュー。

SMPで挫折する人が多い「合わない・痛い」場合の調整方法もまとめますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

SELLE SMP(セラSMP)とは?独特なサドル形状の理由

セラSMPのサドルHYBRID
撮影:編集部

まずは、セラSMPのサドルについて、ブランドの成り立ちや、独特なサドル形状の設計の考え方をご紹介します。これを知っておくと、モデル選びや痛みが出たときの調整も理解しやすくなりますよ。

イタリアの老舗サドルメーカー

セラSMPのサドルの100%MADEINitalyの表記
撮影:編集部

セラSMP(公式の日本語表記はセッレエスエムピー)は、1947年にサドル製造を始めたイタリアの老舗メーカーです。現在も100%イタリア国内で生産を続けており、日本での総代理店はミズタニ自転車が務めています。

独特なサドル形状は人間工学に基づいて設計されていて、

・中央の大きなセンターチャンネル
・鷲のくちばしのような前部
・反り上がった後部

という3点セットは、骨盤を面で受け止め、圧迫されると困る部分を避けるという設計思想によるものです。

特許取得のくちばし型ノーズ+大型センターホールが特徴

セラSMPのサドル2つ
撮影:編集部

セラSMPの形状は、5つの特許を取得しています。

「どのパーツが何のためにあるのか」をなんとなくでも理解しておくと、自分に合うモデルを選ぶときの判断材料になりますよ。

特許技術役割
Central Channel(センターチャネル)中央の大きな溝が会陰部・前立腺の圧迫を回避。神経と血管への負担を減らす設計
Support Area(サポートエリア)骨盤をしっかり支えて安定させ、ペダリング時のブレを抑える
Eagle Beak Tip(イーグルビークティップ)くちばし状の先端。深い前傾でも前に座る自由度を確保する
Rear Depression(リアディプレッション)後部のくぼみが尾骨を衝撃から守る
Rail(レール)中空ワンピース構造。調整幅が広く、ねじれに強い

SMPサドルの座面
撮影:編集部

一般的な穴あきサドルより大きなセントラルチャネル、骨盤をしっかり安定させるサポートエリアなど、複数の技術の組み合わせがSMPサドルの乗り心地を成立させています。

くちばし状のイーグルビークティップも、前傾姿勢や前後位置の移動を想定した形状です。

また、セラSMPのサドルはレールの前後調整幅が広く、体格や乗り方に合わせて位置を調整しやすいのも特徴です。

セラSMPの主要シリーズと代表モデルをチェック

セラSMPは、日本に正規流通しているだけで40種類以上のサドルがあります。

この記事では主要サドルを4つのシリーズに分けて、それぞれの特徴やラインナップを解説していきます。

なお、この章の表に載せている重量と価格は、いずれもステンレスレール・ブラックを基準にしています。モデルによってはカーボンレール仕様もあり、ステンレスレールより重量は軽く、価格は高くなります。また、カラーによっても価格が変わるため、正確な金額は公式サイトでご確認ください。

プロフェッショナルモデル:SMPの特徴を活かしたシリーズ

セラSMPのBLASTER
出典:MIZUTANI BICYCLE

セラSMPの中核となるプロフェッショナルモデルは、レースやロングライドなどに向いたハイエンドサドルがそろっています。

プロフェッショナルは大きく分けて形状別に3種類あり、それぞれにパッドの厚みを変えたラインナップが用意されています。

ベース形状の特徴こんな人におすすめ
COMPOSITベース幅が細くカーブ角がシャープ、角ばった形座骨幅が狭め〜標準の方。くぼみで座骨をしっかり固定して走りたい方
FORMAベース幅が広めでカーブが緩い、丸い形座骨幅が標準〜広めの方。当たりの柔らかい座り心地を求める方
FLATベース前後方向に荷重移動しやすいフラットな形状サドルの上で前後に動きたい方。ヒルクライムやクリテリウムで前乗りする方

形状によって向いている乗り方や体格が変わってくるので、まずは3つのベースを選び、次に座面の大きさやパッド厚でモデルを絞り込んでいきましょう。

なお、3つのベースには属さない、快適性に特化したモデルや競技専用モデルもありますが、今回は主要モデルに絞ってご紹介します。

COMPOSITベース:幅が狭め

SELLE SMPのCOMPOSIT
出典:MIZUTANI BICYCLE

細身でシャープな形状のベースです。後方の外側に設けたくぼみが座骨をしっかりホールドするため、ペダリング中もお尻の位置が安定します。座骨幅が狭め〜標準のライダーに向いたベースです。

モデルサイズ(長さ×幅)重量パッド価格(税込)
COMPOSIT263×129mm230gなし39,000円
BLASTER266×131mm270g薄め39,000円
EVOLUTION266×129mm260g厚め39,000円
VULKOR266×136mm235gなし39,000円
NYMBER267×139mm285g薄め39,000円
CARBON263×129mm175gなし86,000円
FULL CARBON263×129mm130gなし110,000円

COMPOSITはパッドが入っていないにもかかわらず、SMPのなかでリピートが多い代表作とされています。そこに薄いパッドを入れたのがBLASTER、さらに厚くしたのがEVOLUTIONという並びです。

VULKORとNYMBERは少し性格が違い、COMPOSIT系より後方を広げた共通シェルを使って座りの安定感を高めたモデルです。VULKORがパッドなし、NYMBERが薄いパッド入りになります。

CARBONとFULL CARBONは、COMPOSITの形状をカーボンで再現したもの。FULL CARBONはレールまでカーボン化して130gという軽さです。

FORMAベース:幅が広め

SELLE SMPのFORMA
出典:MIZUTANI BICYCLE

くぼみのない、丸みを帯びた広めの形状です。COMPOSITのような固定感よりも、面で受け止める柔らかい当たりが持ち味。座骨幅が標準〜広めのライダーに向いたベースです。

モデルサイズ(長さ×幅)重量パッド価格(税込)
FORMA273×137mm250gなし39,000円
DYNAMIC274×138mm290g薄め39,000円
DRAKON276×139mm315g厚め39,000円
CARBON LITE273×135mm175gなし86,000円
FULL CARBON LITE273×135mm130gなし110,000円

基本モデルとなるFORMA(パッドなし)、そしてDYNAMIC(薄め)、DRAKON(厚め)の順に、パッド厚が上がっていきます。カーボンモデルは末尾に「LITE」が付くのが目印です。

FLATベース:フラットな形状

SELLE SMPのF20
出典:MIZUTANI BICYCLE

2018年に登場した新世代モデルです。座面がフラットで、テールを切り落とした形状のため、サドルの上で前後に大きく動きやすいのが特徴。ヒルクライムやクリテリウムなど、前乗りで高い出力を出す場面に向いています。

モデルサイズ(長さ×幅)重量パッド価格(税込)
F20277×135mm280gあり40,000円
F30295×149mm295gあり40,000円
F20C250×134mm265gあり40,000円
F30C249×150mm280gあり40,000円
F20C s.i.250×135mm210gなし40,000円
F30C s.i.250×150mm215gなし40,000円

FLATベースは、末尾の数字が幅、Cがショートノーズと覚えると分かりやすいです。20より30のほうが幅広、Cが付くとノーズが短くなります。

s.i.が付く2モデルは2023年に加わったハイブリッド型で、フラットな座面に、後部だけCOMPOSITやFORMAのようなくぼみを設けた構造です。パッドをなくしたぶん軽量化されています。

EVOシリーズ:EVAパッドを採用した新モデル

SELLE SMPのEVO
出典:MIZUTANI BICYCLE

新素材のEVAパッドを採用したシリーズで、軽量で弾力性が高く、路面からの振動をよく吸収するのが特徴。SMPサドルの特徴を活かしつつ、幅広いシチュエーションで使いやすいサドルがそろっています。

モデルサイズ(長さ×幅)重量パッド価格(税込)
EVO267×140mm225gEVA 5mm44,000円
EVO PLUS267×140mm234gEVA 12mm44,000円
EVO20C253×140mm225gEVA44,000円
EVO30C253×150mm235gEVA44,000円
EVO 3D267×140mm295g3D格子構造88,000円

EVOとEVO PLUSは形状もサイズも同じで、違いはパッドの厚みだけです。5mmと12mmという差なので、快適性を求めるならPLUS、ダイレクト感を残したいなら無印のEVO、という選び方になります。同じ価格なのも選びやすいところです。

EVO20C/EVO30Cはショートノーズ版で、20Cが細身、30Cが幅広。ロード、グラベル、MTBのどれでも使える汎用性の高さがうたわれています。

EVO 3Dは3Dプリンターで成形した格子構造のパッドを採用したモデルです。圧力を分散しつつ、内部を空気が抜けるためオーバーヒートを抑えられるとされています。

スポーツモデル:手頃な価格で試せるハイコスパシリーズ

SELLE SMPのHELL
出典:MIZUTANI BICYCLE

接着剤や固定具を使わずに表皮を装着する「SMP VACUUM TECH」製法を採用したシリーズです。価格を抑えつつセラSMPのサドルをしっかり体感でき、初めての方におすすめです。

モデルサイズ(長さ×幅)重量価格(税込)
VT20280×142mm275g22,000円
VT30283×155mm290g22,000円
VT20C255×144mm260g22,000円
VT30C255×155mm280g22,000円
HELL280×144mm295g20,000円
HELL S274×138mm280g20,000円

VTシリーズは座面がフラットのシリーズです。

大きな開口部と下がったノーズというSMPらしさを保ちつつ、テールを切り落とした形状で前後の体重移動がしやすく、グラベルやMTBなどオフロードも想定した設計です。こちらも20が細身、30が幅広、Cがショートノーズという命名ルールは同じ。

HELL/HELL Sは、初めてSMPを使う人に向けたモデルです。薄めのパッドながら一体製法を採用し、20,000円という価格でSMPの機能を体感できます。2サイズ展開で、HELLが280×144mmで標準〜広め、HELL Sが274×138mmで標準〜やや狭めの座骨幅向けです。

シティモデル:厚めのパッドで快適性に特化

セラSMPのEXTRA
出典:MIZUTANI BICYCLE

初めてSMPを試す人向けにパッド量を増やし、街乗りなどの用途に向いたモデルです。ロードバイクだけでなく、クロスバイクとの相性が良いサドルもあり、価格も手が届きやすい設定になっています。

モデルサイズ(長さ×幅)重量レール価格(税込)
HYBRID275×140mm300gステンレス16,000円
EXTRA275×140mm365gスチール14,000円
TRK MEDIUM280×160mm405gスチール11,000円
TRK LARGE272×177mm410gスチール11,000円
TRK MEDIUM GEL280×160mm485gスチール16,500円
TRK LARGE GEL272×177mm500gスチール16,500円

HYBRIDとEXTRAは座面が同じで、違いはレール素材だけです。HYBRIDは上位グレードと同じステンレスレールを採用して65g軽くなっており、差額は2,000円。どちらも座骨幅が狭め〜標準のライダー向けです。

TRKはパッド量が多く、長距離でもお尻が痛くなりにくい設計。MEDIUMが幅160mm、LARGEが幅177mmで、LARGEは身長が高い方や体格の良い方に向いています。11,000円というシリーズ最安の価格も魅力です。

GELが付くモデルは、自己成形ゲルを追加したバージョン。負荷がかかる部分の圧力を30%低減する設計とされていますが、そのぶん重量は500g前後と重めです。

セラSMPサドルの選び方

40種類以上のセラSMPのラインナップの中から、自分に合う1本のサドルを絞り込むための選び方をご紹介します。次の3つのステップで絞り込んでいくと分かりやすいです。

シリーズ:用途に合わせて選ぶ

セラSMPのHELLでサイクリング
撮影:編集部

まずは、自分の自転車の走り方や目的に合わせて、どのシリーズを見るかを決めます。前章で紹介した4つのシリーズは、それぞれ想定している用途がはっきり違います。

シリーズ向いている用途価格帯(税込)
プロフェッショナルモデルレースや本格的なロード走行。形状とパッド厚を細かく選びたい方39,000〜110,000円
EVOシリーズロードからグラベル、MTBまで。振動吸収を重視する方44,000〜88,000円
スポーツモデルロード、グラベル、MTB。サドル上で前後に動きたい方、初めてSMPを試す方20,000〜22,000円
シティモデルクロスバイクや街乗り、ゆったり長距離を走る方11,000〜16,500円

初めてセラSMPを選ぶなら、スポーツモデルかシティモデルがおすすめです。

プロフェッショナルモデルやEVOシリーズは価格帯が上がるため、まずはスポーツ・シティを試して、自分に合うことを確認してから選ぶと失敗が少ないです。

幅|自分の体格に合ったものを選ぶ

セラSMPのサドルの横幅を測っている
撮影:編集部

シリーズが決まったら、次は幅です。幅が合っているかどうかで座り心地が大きく変わります。

くぼみがあるサドルで幅が狭すぎると座骨がくぼみから外れて外側に当たり、広すぎると内ももが擦れる原因になります。

段ボールで座骨幅を測る準備
撮影:編集部

自分の座骨幅を知るには、ショップにある専用の測定器を使うのが一般的ですが、段ボールを使う方法で自宅でも測れます。宅配便などで使った段ボールの切れ端と椅子、定規やスケールを用意しましょう。

  • 段ボールを椅子の上に置く
  • 自転車に乗るときのように少し前傾姿勢で段ボールの上に座る
  • 段ボールに座骨の跡が2つ凹むので、しるしを付けて中心どうしの距離を測る
撮影:編集部

上の写真のように、凹んだ部分の中心を測れば座骨幅が分かります。段ボールにしっかり跡がつくように、少し体重をかけて座るのがコツです。

一般的には、座骨幅より20〜30mmほど広いサドルが目安とされることが多いです。ただし前傾の深さによって座骨の当たる位置は変わるため、あくまで目安として考えてください。

セラSMPの日本語サイトには座骨幅とサドル幅の数値対応表はありませんが、各モデルに「どのくらいの座骨幅のライダー向けか」という説明もあります。自分の座骨幅が分かったら、公式サイトの説明文もチェックしてみてください。

パッド厚|走り方に合わせて選ぶ

セラSMPのサドルのクッションの厚みを指で確かめる
撮影:編集部

ベースやサイズで絞り込んできたら、最後にパッドの厚みを選びます。

セラSMPは、同じベース形状でパッド厚だけを変えたモデルを用意しているので、走り方に合わせて選びましょう。

一般的に、サドルのパッドは薄いほどペダリング効率が向上し、厚いほど快適性が高くなると言われています。また、パッドの厚みは重量にも影響します。

パッド厚特徴向いている乗り方モデル例
なし路面の情報がダイレクトに伝わる。最も軽いレース、深い前傾での走行COMPOSIT、FORMA、VULKOR、F20C s.i.
薄めダイレクト感を保ちつつ当たりを和らげるロードバイクでのスポーツ走行全般BLASTER、DYNAMIC、NYMBER、HELL
厚め快適性を優先ロングライド、のんびり走るEVOLUTION、DRAKON、EVO PLUS
最も多い長時間でもお尻が痛くなりにくいクロスバイク、街乗りTRK、TRK GEL

ただし、パッド厚の感じ方は個人差が大きい部分です。迷ったときは、いま使っているサドルの厚みを基準にするのが確実だと思います。

いまのサドルで不満がなければ同じくらいの厚みを、お尻が痛いなら一段厚めを、ペダリングが重いと感じるなら一段薄めを。ゼロから考えるより、手元にある基準から動かすほうが失敗しにくいです。

HYBRID・HELLの2つのサドルを実走レビュー

セラSMPのサドルを付けたロードバイクで走る筆者
撮影:編集部

ここからは、実際にセラSMPのサドルで走った感想をお伝えします。

レビューするのはHYBRIDとHELLの2モデル。HYBRIDは筆者が1年以上使っている私物で、HELLは今回編集部のメンバーから借りたものです。

テストは、この2モデルを同じロードバイクでサドルだけを入れ替えて比較しています。

筆者は身長180cm、体重74kgと体は大きめ、カーボンフレームのロードバイクでのテスト環境です。

HYBRID:クッションの厚みとスマートな見た目のバランスが〇

セラSMPのHYBRIDサドル
撮影:編集部

筆者が1年以上使い込んでいる私物のHYBRIDは、ロードバイクでのサイクリングやロングライドで手放せないものになっています。

HYBRIDはシティモデルに分類されていますが、見た目が野暮ったくないのがまず気に入っている点です。コンフォートサドルは、パッドが厚くボテッとした印象になりがちですが、HYBRIDはスマートな曲線でバランスが良く、ロードバイクに付けても違和感がありません。コンフォート系でありながら、明らかにクッションが分厚いという顔をしていないのです。

セラSMPのHYBRIDに座ったところ
撮影:編集部

肝心のクッション性は、ロードバイク用サドルとしては厚めです。指で座面を押しても、ベースに底付きしないぐらいクッションの厚みがあります。ただし、ドカッと座って体重を預けるためのクッションではありません。

ポジションが出ている状態でも、上ハンドルを持ってのんびり走っていると、意外と早めにお尻が痛くなってきます。一方、ブラケットを持って理想的な前傾姿勢でペダリングしていると、長時間乗っても痛くなりにくいです。

パッドが厚めのモデルですが、性格としてはあくまでスポーツ走行向け。ガンガン飛ばす必要はないものの、ハンドル・サドル・ペダルの3点に体重が分散している状態で本領を発揮するサドルだと感じています。

セラSMPのHYBRIDサドルの実測重量310g
撮影:編集部

重量はカタログ値300gに対して、実測310g。ロードバイク用のサドルとしてはそこそこ重い部類です。筆者はあまりスピードを求めずサイクリングをするタイプなので気になりませんが、ロングライドやヒルクライムだと気になるかもしれません。

スピードより快適さを優先するサイクリングなら、16,000円でコストパフォーマンスが高いサドルだと感じています。1年以上使って手放せなくなったのは、価格と快適性のバランスが大きいからです。

SELLE SMP(セラSMP) HYBRID

参考価格(税込) 16,000円
サイズ 275 x 140mm
表皮素材 SVT Velvet Touch
ボディ素材 カーボン強化ナイロン12
パッド素材 ポリウレタン
レール素材 AISI304ステンレス鋼
重量 300g

HELL:薄めのパッドでレーシー、ペダリングもしやすい

セラSMPのHELLサドル
撮影:編集部

続いて、今回借りたHELLを同じロードバイクに取り付けました。付け替えた第一印象は、良い意味で「それほど大きく変わらない」でした。

パッドについては、HYBRIDと比較すると明確に薄く感じます。クッションが薄いぶんHELLのほうがレーシーなデザインで、ロードバイクに付けたときのカッコよさは勝っている印象です。

セラSMPのHELLに座ったところ
撮影:編集部

それでも、ロードバイク用サドルとしては一般的なクッション性の範囲です。実際に走り出してみると、お尻に感じる座面の広さや形状、圧力のかかり方はHYBRIDとほとんど変わらない印象で、特別固いわけではありません。

セラSMPのHELLとHYBRIDの幅の比較
撮影:編集部

しばらく走ってみると、HYBRIDより若干HELLのほうがペダリングしやすい印象があります。実際に並べてみると形状や横幅にはほぼ差がありませんが、クッションが薄くスリムなぶん、HELLの方が太ももを動かしやすいのかもしれません。

今回走ったのは20km程度ですが、この範囲ではクッションが薄いことによるお尻へのダメージ増は特に感じませんでした。この感触なら、ロングライドでも十分いけそうです。

セラSMPのHELLサドルの実測重量280g
撮影:編集部

重量はカタログ値295gに対して、実測280g。カタログより15g軽い結果でした。ロードバイク用サドルとしては標準的なところです。

SELLE SMP(セラSMP) HELL

参考価格(税込) 20,000円
サイズ 280 x 144mm
表皮素材 SVT Velvet Touch
ボディ素材 カーボン強化ナイロン12
パッド素材 ポリウレタン
レール素材 AISI304ステンレス鋼
重量 295g

最初の1つならどちらを買うべきか?

セラSMPのHELLとHYBRID
撮影:編集部

ロードバイクでセラSMPを初めて試すなら、最初の1本はHELLかHYBRIDを選んでおけば間違いが少ないというのが、2モデルを乗り比べた結論です。

HYBRIDは16,000円、HELLは20,000円で、スポーツバイクのサドルとしては一般的な価格帯に収まります。上位モデルより出費を抑えつつ、独特な形状のセラSMPの乗り心地をしっかり体感できるのはコストパフォーマンスの面で魅力です。

もっと安く試すならTRKという選択肢もありますが、こちらは405gとかなり重いので、ロードバイクに付けるには少し気になるところです。

先ほどのレビューを踏まえて、2機種のスペックや印象をまとめてみました。

比較項目HYBRIDHELL
価格(税込)¥16,000¥20,000
サイズ(公式)275×140mm280×144mm
実測重量310g280g
パッド厚厚め薄め
クッション性当たりが柔らかく余裕があるロード用として一般的な範囲
ペダルの回しやすさ標準的少し回しやすい
ロングライドの尻疲労正しい姿勢なら気にならない20km走行時点では差を感じず
見た目厚みがありつつスマート薄くレーシー

なるべくクッションの厚みがほしい方、価格を抑えたい方はHYBRIDがおすすめです。また、クロスバイクとロードバイクの両方で使い回す可能性があるなら、こちらのほうが汎用性があります。

ロードバイクで軽さと踏みやすさを取りたい方、見た目をレーシーにまとめたい方はHELLが向いています。今回の実測では30g軽く、クッションが薄いぶんペダリングの邪魔にもなりにくいので、スポーツ走行が中心ならこちらです。

ひとつ補足しておくと、どちらも「ドカッと座る」使い方には向いていません。パッドが厚めのHYBRIDでも、のんびり走っていると早めにお尻が痛くなってきます。サドルに全体重を預ける乗り方をする方は、この2機種ではなく、パッド量の多いTRKを検討したほうが満足できると思います。

SMPサドルが「合わない」「痛い」ときはまず調整してみよう

セラSMPサドルの調整
撮影:編集部

セラSMPのサドルについてインターネットで調べると、「お尻に合わない」「痛い」という意見を見かけることも多いです。一方、お尻の痛みが軽減された人も多く、意見が2つに分かれています。

もしSMPのサドルを使ってみてお尻に痛みを感じる場合は、位置や角度などを調整してみるのがおすすめです。実際、筆者もSMPのサドルを使い始めたときはすぐにお尻が痛くなり、合わないかもしれないと思いました。しかし、細かく調整を続けてベストポジションを見つけたら、お尻の痛みが減り、今では手放せないサドルになりました。

筆者の実体験から得たSMPのサドル調整のポイントをまとめますので、ぜひ参考にしてください。

まずは水平を確認

セラSMPのサドルの水平だし
撮影:編集部

サドルの角度はまず水平にするのが基本です。セラSMPのサドルは大きくカーブしているため、前後の一番高い場所を水平にします。サドルに定規や板などの長い物を載せると分かりやすいです。

サドルの高さをあわせる

セラSMPのサドルの高さ合わせ
撮影:編集部

高さは、お尻を載せるカーブの一番低い部分を基準にしましょう。

自分のサドルの適切な高さがわからない方は、次の順番で合わせましょう。

  1. クランクをシートポストの延長線上に合わせる(ペダルをサドルから一番遠い場所に合わせる)
  2. サドルに座りペダルにかかとを乗せる
  3. 膝が伸びる高さにサドルを合わせる
かかとをペダルに載せてサドル高を測る
撮影:編集部

かかとをペダルに乗せ、膝が伸びる高さにサドルを合わせます。実際に母指球でペダルを踏むと、膝が適度に曲がる高さの目安になります。

前後位置を基本位置に

セラSMPのサドルの前後位置調整
撮影:編集部

前後位置は通常のサドルと大きくは変わりません。普段のポジションがあまり分からない場合は、レール調整幅の真ん中にしておくのがおすすめです。

実際に走って、「角度」「前後」「高さ」を微調整していく

セラSMPのサドルポジションを調整
撮影:編集部

基本ポジションを合わせたら、実走しながら微調整していきます。

室内でまたがっただけでは、セラSMPのサドルのベストポジションを見つけるのは難しいです。ここは根気が必要な工程ですが、座り心地に大きく影響するポイントなのでじっくり取り組みましょう。

SMPのサドルの高さ・前後・角度の調整イメージ
撮影:編集部

まずは、角度・前後・高さの3つの要素が相互に影響していることを覚えておくと調整のイメージをつかみやすくなります。

たとえば、角度を前下がりにすると、お尻の位置は前へ移動します。角度を変えたことで前後位置が変わり、お尻とペダルの距離(高さ)も変わってしまうのです。

3つの要素の関係性を踏まえて、角度・前後・高さは同時に変えず、1つだけ調整して実走しながらベストポジションを見つけていきましょう。

何度も調整する必要がありますが、遠回りに見えても結局はスムーズにポジションを見つけやすくなります。

痛みや圧迫を感じたら、それを元に調整

そのうえで、お尻に感じている痛みや圧迫を分析して、サドルをどう動かすのかを考えてみるのも大切です。やみくもに動かすより、あたりをつけたほうが調整の効率が良くなります。

症状の例考えられる原因
会陰部に圧迫を感じる・サドルが前上がりで当たっている
・サドルが後ろすぎて骨盤が前傾している
・サドルが高すぎて、前寄りに体重が集中している
座骨に痛みが出る・サドルが低すぎてお尻に体重が集中している
・サドルが後ろすぎて前に座っている
内ももが擦れる・サドルが高すぎてお尻が左右にぶれている

上記はあくまで例ですが、痛みや圧迫の場所と原因を把握すると、サドルを動かすべき方向を見つけやすいです。適切な調整幅は体格や乗り方によって変わるので、「何ミリ動かせば正解」という数字はありません。

調整の幅は、徐々に小さくしながら合わせる

SMPのサドルを後ろに大幅に移動したところ
撮影:編集部

調整幅はだんだん小さくしていくのがポイントです。例えば、最初にサドルの前後位置を1mm単位で変えても違いが分かりにくいので、5mmや1cmなど、固定範囲内で大きめに動かしてみましょう。

大きく動かして違う場所が痛くなったら、少しずつ元の方向に戻していけば理想の位置を見つけやすくなります。

場合によっては、ハンドル位置や乗り方の見直しも

セラSMPのサドルを付けてロードバイクのポジション調整
撮影:編集部

サドルを何回調整しても痛みが解決しない場合は、自転車全体のポジションや乗り方を見直してみることも必要です。

ハンドルとサドルの位置関係や乗り方を変えることで、お尻の痛み軽減につながることも多いです。

SMPのサドルに体重を預ける乗り方
撮影:編集部

特に、サドルにドカッと体重を預ける乗り方をしている場合は、調整ではお尻の痛みを解決できない可能性があります。パッドが厚いサドルを使っていても、お尻に全体重が乗っていると短時間で痛くなるケースが多いです。

ハンドル・サドル・ペダルの3点に力が分散しているイメージを持つと、お尻への負担はかなり変わります。セラSMPのサドルは、特にこの乗り方をしたときにこそ形状のメリットが活きてきます。

体重が適切に分散している状態だと、骨盤を後部のくぼみで支えながら、圧迫されると困る部分は中央の溝で逃がす設計が機能してくれます。ちなみに、体重を上手く分散できるようになると、ペダルに自然と力が伝わり、効率の良い走りにもつながりますよ。

前述したサドルの位置にくわえて、ハンドルの高さや前後位置も含めてポジション全体を見直してみましょう。

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それでも痛い・合わないならフィッティングも検討

自転車ショップによるフィッティング

筆者の場合はここまでのポイントで解決しましたが、自分で詰めていくのが難しいと感じたら、ショップのフィッティングを受けるのもひとつの手です。

プロのフィッティングでは、サドル単体ではなくポジション全体を見てもらえるのがメリットです。お尻の痛みの原因がサドルにあるのか、自転車のポジションや乗り方にあるのかも気づけます。

いろいろ試したうえで本当にセラSMPが体に合わないという結論になれば、代わりになるサドルを提案してもらえる可能性もあります。時間とお金をかけて自分で試行錯誤するより、結果的に近道になる可能性が高いです。

よくある質問

セラSMPのサドルについて、よくある疑問にお答えします。

慣れるまでどれくらいかかる?

SMPのサドルにまたがる筆者
撮影:編集部

独特の形状であるセラSMPのサドルは、使い始めてから慣れるまでにかかる時間は状況によって変わります。筆者の場合は、買ってから1週間ぐらい経った時点で、違和感や痛みを感じずに乗れるようになりました。

慣れもありますが、どちらかというと、調整で乗り方に合ったポジションを見つけられたことが、お尻の痛み軽減につながったと思います。元々スポーツバイク向けのサドルを使っている方なら、ポジションが見つかれば比較的早く慣れる可能性が高いです。

レーパンなしでも平気?

セラSMPのHYBRID
撮影:編集部

お尻部分にクッションが入ったレーパン(レーサーパンツ)が必要かどうかは、乗り方や選ぶサドルによって変わります。筆者は、比較的クッションが厚めのセラSMPのHYBRIDで、50km前後の距離ならレーパンなしでも快適に走れています。

レーパンなしで気軽に乗りたい方はクッションが厚めのモデルを選ぶのがおすすめです。一方、ロングライドなど本格的な走りをする方は、クッションが薄いモデルでレーパンを履いた方が快適になる可能性もあります。

クロスバイクにも付く?

セラSMPのサドルのレール
撮影:編集部

クロスバイクでも、一般的な規格のシートポストであれば、セラSMPのサドルを問題なく取り付けられます。セラSMPのステンレスレールは一般的なサドルと同じ規格です。

ただし、クランプ部が極端に短い軽量シートポストや、独自形状のエアロシートポストには取り付けできないケースもあります。

サドルバッグは付く?

SMPのサドルにサドルバッグを付けたところ
撮影:編集部

セラSMPのサドルは後ろ側に反射板がありますが、筆者の場合は問題なくサドルバッグを取り付けられました。

セラSMPのサドルは後部が反り上がっていて反射板が付いているモデルが多いため、本体や取り付け部が干渉しそうなイメージがありますよね。今回試してみたコンパクトなサドルバッグは、反射板を避けて取り付けできたので、特に困ることはありませんでした。

ただし、大型のサドルバッグや、サドル後端に沿わせて固定するタイプは、反り上がったテール形状と干渉する可能性があります。心配な場合は、レールに固定する小〜中型のタイプを選んでおくと確実です。

サドル選びに迷ったら、SMPを試してみよう!

セラSMPのHELL
撮影:編集部

セラSMPは独特な形状ゆえに評価が分かれるブランドですが、ハマった人にとっては「サドル沼の終着点」と呼ばれることもあるサドルです。

インパクトのある形状や種類の多さから難しそうに見えますが、シリーズ・座骨幅・パッド厚の3ステップで絞り込めば、理想の1本は見つけやすくなります。ロードバイクで初めて試すなら、今回レビューしたHYBRIDやHELLのように、手頃な価格のモデルから入るのがおすすめです。

筆者がお伝えしたいのは、使い始めてお尻に合わない、痛いと感じても諦めないでほしいということです。角度・前後・高さを少しずつ詰めてポジションが決まれば、手放せない理想のサドルになる可能性があります。

ロードバイクでもクロスバイクでも、お尻の痛みに悩んでいるなら、ぜひ一度セラSMPのサドルを試してみてください。

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