BMXとはスピードや技を楽しむ自転車

BMXはBicycle Motocross(バイシクルモトクロス)の略で、レースでスピードを競ったり、ジャンプやスピンなどのトリックを楽しむ自転車のことです。
1970年代のアメリカで、オートバイのモトクロスにあこがれた少年たちが、20インチの自転車で真似をしたのがBMXの起源と言われています。元々は遊びの手段として発展したBMXですが、現在はレースやフリースタイルといった競技も行われています。
BMXのジャンルについては後半で詳しく解説しますので、そちらも参考にしてみてください。
スポーツ競技として、オリンピック種目にも採用されています

BMXは年々競技として注目度が高まっていて、現在はオリンピックの正式種目にも採用されています。
2008年の北京オリンピックではレースが、2020年の東京オリンピックではフリースタイルのパーク競技が正式種目に採用されました。オリンピックのBMX競技で日本人選手が活躍することで、さらに注目度が高まっています。
▼BMXのオリンピック競技の見どころはこちら!
BMXの車体の特徴
BMXはレースやトリックに特化した自転車のため、ロードバイクやマウンテンバイクといったほかのスポーツバイクとはさまざまな違いがあります。BMXならではの車体の特徴を1つずつチェックしていきましょう。
タイヤの大きさは、小さめの「20インチ」

BMXのタイヤサイズは20インチが基本です。シティサイクルやほかのスポーツバイクと比較すると、20インチのタイヤはかなり小さいと言えます。
自転車の種類 | タイヤサイズ |
BMX | 20インチ |
シティサイクル | 26~27インチ |
ロードバイク・クロスバイク | 700c(約27インチ) |
マウンテンバイク | 26~29インチ |
BMXは短い距離のレースやジャンプなどのトリックのために設計されているので、小径タイヤによるクイックさや軽さが重視されているのです。
BMXの中でも、身長が低いキッズ用の14~18インチ、走破性を重視した24インチ以上のモデルもありますが、競技用のものは基本的に20インチで統一されています。
変速は基本なし

BMXには、ギアを変える変速機構が付いていないのも特徴です。基本的にBMXは長距離を走ることがなく、ロードバイクやマウンテンバイクのように変速を行う必要がありません。
また、レースやフリースタイルでは、転倒によって地面とぶつかることが多いため、破損や故障のトラブルを防ぐのもシングルギア仕様にする理由の1つ。
また、シングルギアのおかげでパーツ点数が少なく、ほかのスポーツバイクより価格がリーズナブルなのもBMXの特徴です。
頑丈なフレーム

ジャンプやスピンなどのトリックをすることが多いBMXは、頑丈なフレームを採用しているのも特徴です。パークやフラットランドなどのジャンルでは、衝撃に強く耐久性が高いスチールやクロモリ素材のフレームが基本です。
スピードが求められるレース用のBMXでは、軽量なアルミフレームを採用しているモデルもあります。
トリックをするための、BMXならではのパーツ
さまざまなトリックを繰り出すフリースタイルBMXは、ほかのスポーツバイクにはない独自のパーツを装備していることが多いです。
ペグ:足を乗せたりして、トリックを繰り出す

BMXのホイール軸に取り付けられるペグは、ライダーが足を乗せたり、レールに引っ掛けたりしてトリックを繰り出すための装備です。
平らな路面の上でスピンなどのトリックをするフラットランドでは、前後のホイールに4本のペグを装備して、ライダーが乗ることが多いです。パークやストリートでは、左右どちらかに2本のペグを取り付けて、レールを滑らせるグラインドなどのトリックに使います。
ジャイロブレーキ:ハンドルやフレームを回転させる

ハンドルを回転してもワイヤーが絡まない構造のジャイロブレーキは、フリースタイルBMXに装備されていることが多いです。
フラットランドではハンドルやフレームを回転するトリックが多いため、ジャイロブレーキは必須装備となります。パークやストリートもジャイロブレーキがあるとトリックの幅が広がるため、装備するライダーも居ます。
フリーコースターハブ:ペダルを止めても後ろへ進む

BMXの後輪に取り付けるフリーコースターハブは、ペダルを止めたまま後ろ向きに走ることができる装備です。フラットランドではフリーコースターハブが必須装備、ストリートやパークでも採用するライダーが居ます。
一般的なシティサイクルやスポーツバイクに採用されているカセットハブは、タイヤが逆回転するとペダルも一緒に回ってしまいます。フリーコースターハブは、ペダルの回転を止めることができるため、ハイドラント・フェイキーなど後ろ向きに走るトリックがやりやすくなります。
BMXのジャンルは大きく分けて3つ
BMXの楽しみ方はさまざまですが、ジャンルは大きく以下の3つがあります。
それぞれのジャンルの特徴や魅力、おすすめのモデルを1台ずつご紹介します。これからBMXを始める方は、ぜひご自身のライディングスタイルの参考にしてみてください。
【スピードが勝負】レース

BMXのレースは、決められたコースでジャンプやカーブなどをクリアしながらタイムを競い合う競技です。コース内には大小のジャンプ台やバームと呼ばれるカーブが設置されていて、300~400メートルの距離をBMXでダイナミックに駆け抜けます。2008年には北京オリンピックにBMXレースが正式種目として採用され、競技としても注目度が大きくアップしました。
スピードが求められるレースでは、軽量なフレームやライダーのパワーを路面に伝える剛性などが必要になり、専用に設計されたBMXを使うのが基本です。レース用の代表的なBMXを実際にチェックしてみましょう。
GT(ジーティー) MACH ONE PRO 20
フレーム素材 | アルミ |
---|---|
重量 | 10.91Kg |
トップチューブサイズ | 20.75インチ |
BMXレースの伝統を受け継ぐ1台
BMXレーサーの製造からスタートしたGTの歴史を受け継いだ、レース向け入門モデルです。

軽量なアルミフレームを採用しつつ、ライダーのパワーをしっかり路面に伝える設計が特徴です。耐久性が高いクロモリクランクやメンテナンスしやすいリヤVブレーキなど、本格的にレース練習ができるパーツ構成も魅力です。
おすすめポイント
- アルミフレームを採用し10.91kgと軽量
- ホコリや汚れに強いシールドベアリングBBを採用
- GTのオリジナルタイヤを装備
【自由自在なトリックを描く】フリースタイル:パーク

フリースタイルとは、BMXでトリックの難易度や美しさ、演技の構成などを競うジャンルです。フリースタイルはパーク・フラットランドの2つのジャンルに分かれていて、それぞれ競技を行う場所やトリックの種類が違います。
BMXのパークは、ジャンプ台やレールなどのセクションが設置されたコース内で、制限時間内にトリックの数や難易度、オリジナリティを競うジャンルです。
選手たちはジャンプ台で高く飛び出し、滞空時間中にスピンなどのトリックを繰り出します。トリックは、縦方向に回転するフロントフリップ・バックフリップ、横方向に回転する360や720などの種類があり、選手が自由に組み合わせて演技を行います。高いジャンプ中のダイナミックなスピンは見ごたえがあり、選手のオリジナル技が繰り出されることも珍しくありません。
BMXパークは採点方式で、トリックの難易度や完成度などを基準に、複数のジャッジが点数を付けます。難易度の高いトリックでも転倒すると減点されてしまうため、制限時間内でどのような構成にするかがカギになります。
オリンピックや大きな大会では高難易度のトリックが繰り出されるため見ごたえがありますが、初心者向けの基礎的なトリックもあります。
ストリートでBMXの基礎を学んで、パークデビューするライダーも居ます。
パーク用のBMXは、耐久性や選手の身体に合わせたフレームサイズなどを基準に選ばれることが多いです。頑丈なスチールやクロモリフレーム、シンプルなパーツ構成のBMXを使うライダーが多い傾向があります。パーク向けのBMXを1台ご紹介します。
DURCUS ONE(ダーカスワン) MOTO
フレーム素材 | HI-TENスチール |
---|---|
重量 | 11.6kg(19.5インチ) |
トップチューブサイズ | 19.5・20.5・20.75インチ |
初めての一台におすすめのオールラウンダー
日本のBMXブランドがつくる、パーク・ストリートデビューにピッタリな入門モデルです。初めてBMXに乗る方を想定してフレーム設計されており、BMXの基本的な動きを練習するのに向いています。

パーツ構成にもこだわっており、スプロケットを取り外せるクランクを採用することで、ギア比の変更にも対応。ライディングスタイルの変化に合わせてカスタムしていくことも可能です。
おすすめポイント
- フレームサイズは3種類で身長に合わせて選べる
- パークのトレンドに合わせた2.4インチの幅広タイヤ
- ストリートやパークに合わせたギア比
▼パーク・ストリート向けのBMXについてはこちら!
【自転車界のフィギアスケート】フリースタイル:フラットランド

フラットランドは、平らな路面の上で、BMXの上でバランスを取りながら、ウイリーやスピンなどのアクロバティックなトリックを繰り出す競技です。
フラットランドではペダルだけでなくペグに足をかけて、フロント・リヤタイヤだけでバランスを取りながらトリックを繰り出します。地面の上を滑るように演技をするため、「自転車のフィギュアスケート」と呼ばれることも。
一流選手が繰り出すトリックはかなり難易度が高く、習得するまでには時間がかかりますが、初心者でも挑戦できる簡単なトリックもあります。また、レースやパークのようにスピードが出たりジャンプしたりすることがないため、大きなケガのリスクが少ないのも挑戦しやすいポイント。
フラットランド用のBMXは、ペグ・ジャイロブレーキ・フリーコースターハブが付いているモデルを選ぶのが基本になります。フラットランド向けBMXの定番モデルをご紹介します。
ARESBIKES(アーレスバイクス) APLUS
フレーム素材 | - |
---|---|
重量 | 11.2kg |
トップチューブサイズ | 18.5インチ |
フラットランドを始めるならこれ!
フラットランドの人気ブランドARESBIKESの本格的なモデルです。フラットランドに必要な装備が一式そろっているため、購入後すぐに練習を始められます。

細かい部分にも、フラットランド向けに開発した自社パーツを使っているのもうれしいポイント。例えば、グリップ力が高く体に当たっても怪我をしにくいような形状の自社ペダルが標準装備です。
おすすめポイント
- フラットランドで定評のあるオリジナルタイヤ採用
- 柔らかく滑りにくいマッシュルームグリップ
- フレームをまたぐトリックをしやすい短めのトップチューブサイズ
▼フラットランド向けBMXはこちら!
BMXに関するよくある質問
これからBMXを始める方向けに、よくある質問をまとめました。選び方や練習場所など、BMXライフを始めるための参考にしてください!
初めてのBMXの選び方を知りたい

これからBMXを始める方にとって、どのメーカーやモデルを購入すれば良いのか迷いますよね。BMXを選ぶときは、まずどのジャンルをやるのか決めてから、適合するモデルを購入しましょう。
例えば、レースとフリースタイルでは、BMXに求められる性能やパーツが異なります。ジャンルに合わせて設計されたBMXを選ぶことで、より練習や競技を楽しむことができますよ。
中には、パーク・ストリート・フラットランドなど、複数のジャンルを1台でこなせる万能モデルもあります。しかし、本格的に1つのジャンルに集中するなら、万能モデルより特化した専用モデルの方が良いでしょう。メーカーによって得意なジャンルが異なることも多いので、こちらのコラムも参考にしてみてください。
▼BMXのおすすめメーカーはこちら!
BMXはどこで購入するのがおすすめ?

実際にBMXを購入するときは、「自転車専門ショップ」か「EC(インターネット)」の2択になります。
近所にBMXを扱うショップがあれば、アドバイスを受けながら実車を見て選ぶことができます。しかし、BMXの専門ショップは数が少なく、大型サイクルショップでも取り扱っていないケースも多いです。
家の近くにBMXを扱うショップが無い場合は、実店舗のあるECショップで購入するのがおすすめです。実店舗のあるECショップはBMXをしっかり整備してから出荷してくれるケースが多いため、初めての購入でも安心。また、ECは豊富なラインナップから選べるため、予算内でライディングスタイルや好みに合うBMXを見つけやすいのもメリットです。
実店舗・ECどちらで購入する場合でも、基本的に中古は避けて新車を買うのがおすすめです。BMXは練習時に地面にぶつかることが多く、フレームやパーツに負荷がかかり劣化していることがあるためです。BMXの状態を判断できる方なら中古もアリですが、初めて購入するなら新車を選びましょう。
BMXはどこで練習できる?

BMXをこれから始める場合、どこで練習すれば良いのか分からず、迷う方も多いようです。
BMXの練習場所
- レース:専用ダートコース
- パーク:自転車専用パークやBMXで走れるスケボーパークなど
- フラットランド:平らな路面のある公園や専用パーク
競技としてしっかりBMXを練習する場合は、上記のように専用コースなどに行く必要があります。しかし、最初は基礎的な動きやトリックから練習する必要があるため、自宅の敷地や自転車で走れる公園などでもOKです。意外と近所にBMXを練習できる場所があることも多いので、購入前に調べてみてください。
BMXは街乗りに向いている?

BMXはレースやフリースタイルなどの楽しみ方が主流ですが、おしゃれなデザインに注目して街乗りに使うライダーも多いです。コンパクトなホイールなので小回りが効きやすいですし、頑丈につくられているため長く乗りやすいのも街乗り向きなポイント。
レースやトリックはせず街乗りのみで使うなら、ホイールサイズが大きいクルーザータイプのBMXを選ぶのもおすすめです。また、競技用のBMXはサドルに座らないのが基本ですが、シートポストが長いものに交換すれば街乗りでも使いやすくなりますよ。
▼街乗りBMXについてはこちら!
自分だけのBMXの楽しみ方を見つけてみよう!

BMXはレース・フリースタイルなどさまざまなジャンルがあり、競技だけでなく街乗りに使うこともできます。平地でバランスを取ったり、ちょっとした段差を乗り越えたりするだけでも、BMXは十分に楽しめますよ。ロードバイクやマウンテンバイクなどほかのスポーツバイクより価格帯がリーズナブルなので、興味がある方はぜひBMXを始めてみてください。
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※各商品に関する情報は、実際に商品を使用したうえでの見解に加え、ブランド・ECサイトなどの情報を参照して記載しています。
※掲載されている情報は、記事執筆時点でCYCLE HACKが独自に調査したもの、または各商品のJANコードをもとにECサイトが提供するAPIを使用し、自動で生成しているものです。 掲載価格の変動や登録ミスなどの理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細などについては、各ECサイト・販売店・ブランドよりご確認ください。