「技」を魅せるのが、”フリースタイル”

フリースタイルBMXとは、「トリック」と呼ばれる技の完成度や美しさを魅せる自転車競技のことです。レースのように速さを競うのではなく、決められた場所とルールの中で、いかに難しいトリックを美しく繰り出せるかを競います。
「速さ」を競うのが”レース”

BMXレースは、決められたコースの中で「速さ」を競うジャンルです。BMXは「Bicycle Motocross(バイシクルモトクロス)」の略称で、オートバイのレースを子供たちが自転車で真似したのが起源と言われています。BMXレースもオリンピックの種目に採用されており、フリースタイル同様盛り上がっているジャンルです。
フリースタイルも色々なジャンルがある
BMXのフリースタイルは、さまざまなスタイルと楽しみ方があり、大きく分けると次の4つのジャンルがあります。
ジャンルによってトリックや楽しみ方が大きく変わりますので、それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
パーク

フリースタイルのパークは、BMXに乗り、パーク内のセクションを使ってトリックの美しさやオリジナリティを追求するジャンルです。
パーク内にはジャンプやレールなどのセクションが設置されていて、ライダーそれぞれが自由な発想でトリックを繰り出します。後述するオリンピック競技に採用されているのもパークで、一定のルール内でトリックの数や美しさを競い、さまざまな大会も開催されています。
フラットランド

フラットランドBMXは、平らな地面の上でトリックを繰り出し、フィギュアスケートのように技の完成度や全体の構成の美しさを競うジャンルです。
ライダーは前後の車軸に取り付けたペグと呼ばれるパーツの上に乗り、スピンや片輪走行などのトリックを組み合わせて演技します。トリックをつなぎ合わせた構成をルーティンと呼び、ライダーの自由な発想によるオリジナリティのある演技が魅力。世界大会が開催されるなど、競技としても年々注目を集めているジャンルです。
ストリート

場所を限定せず、街中や公園にある階段や手すりなどを使ってトリックを繰り出すジャンルがストリートBMXです。バニーホップや180(ワンエイティ)などパークと同じようなトリックもありますが、決められたセクションが無いのがストリートの特徴。
BMX1台で手軽に始められるため、最初はストリートで練習してパークデビューするライダーも多いです。
▼ストリートBMXについてはこちら!
ダート

ダートBMXは、土で作られたジャンプ台やセクションを使ってトリックを繰り出すジャンルです。ダートコースで速さを競うレースから派生し、ジャンプ台やパンプトラックを土で作り、高さや美しさを追求するようになったと言われています。キャニオンと呼ばれるジャンプ台は、かなり高さが出るためトリックの滞空時間が長く迫力もあります。
オリンピックでも注目の「フリースタイル」はパーク競技
前述したフリースタイルの4つのジャンルの中で、オリンピックに正式採用されているのはパーク競技です。観戦を楽しむために、基本的なルールや見どころを掘り下げてみましょう。
ダイナミックなジャンプやトリックを競う

フリースタイルBMX競技では、選手が60秒間の制限時間内でパーク内を走りながらトリックを繰り出し、ジャンプの高さや完成度を競います。パーク内にはジャンプ台やランプ、レールなどのセクションが設置され、選手たちは自由な発想でトリックを繰り出します。
フリースタイルBMXの代表的なトリック
- バースピン:空中でハンドルを回転させる
- テールウィップ:空中でハンドルを持ったまま自転車のフレームを回転させる
- スピン:ジャンプ中にBMXごと水平方向に回転する
- バックフリップ:ジャンプ中にBMXごと後方に宙返りする
ジャンプ中に繰り出されるトリックの種類はさまざまで、同じ技でも高さや回転数によって難易度が変わるのが特徴です。例えば、基本的なトリックのバースピンは、空中での回転数が多くなるほど滞空時間が必要になり、難易度も高くなります。ジャンプ中に後方に宙返りするバックフリップも、2回転するダブルバックフリップになると高難易度に。
また、バックフリップとスピンを同時に行うなど、複数のトリックを組み合わせるのもフリースタイルBMXの特徴です。組み合わせは無限大で、ライダーのアイデアによって新しい技が生み出されるケースも多いです。
高いジャンプ中に目まぐるしく回転するダイナミックなトリックは、フリースタイルBMXの大きな魅力。高難易度のトリックは成功すれば高得点を獲得できますが、転倒するとマイナスになってしまいます。60秒の中でどこに難しい技を入れるのか、どの技でつなぐのかなど、選手ごとに異なる組み立ても注目ポイントです。
毎回変わるコースレイアウト

競技としてのフリースタイルBMXは、大会ごとに毎回パークのレイアウトが変わるのも大きな特徴です。毎回セクションの数や組み合わせが変わるため、同じ選手でもトリックの種類や構成が変わります。
選手は大会が始まる前の短い練習時間でレイアウトを覚え、自分のライディングスタイルに合わせた走りを組み立てます。選手ごとに得意なトリックは違うため、同じパークでも1人として同じ走りはありません。自分が応援している選手、初めて見る選手が、どのような走りをするのかも見どころの1つですね。
採点方法

フリースタイルBMXは、フィギュアスケートのような審査員による採点方式が取られています。
フリースタイルBMXの主な採点基準
- トリックの難易度(難しいトリックほど高得点)
- トリックの構成とつながり(スムーズな構成ほど高得点)
- ジャンプの高さ(高く飛ぶほど高得点)
- 着地姿勢(転倒やスムーズでない着地はマイナス)
- セクションの利用状況(多くのセクションを使うと高得点)
採点基準は上記のように複数あり、0~99点の間で点数が付けられます。ただ高難易度のトリックをたくさん繰り出せば高得点というわけではなく、全体の構成やトリックのつながり、より多くのセクションを利用したかなども採点されるのが特徴です。採点のポイントを覚えてから競技を見ると、さらに楽しめるかもしれません。
オリンピックのフリースタイルBMXは、予選・決勝に分かれています。予選では2回走った平均点、決勝はベストスコアが採用されます。1本目から高難易度のトリックに挑戦して高得点を狙うのか、または安全な構成で確実にポイントを稼ぎ、2本目でペースを上げるのか。1本目で失敗したら2本目は無難にまとめるのかなど、選手の心理や駆け引きも、フリースタイルBMXの見どころの1つです。
フリースタイル用のBMXの特徴は?

フリースタイルの選手たちがどんなBMXや装備で演技しているのか知ると、もっと観戦を楽しめるかもしれません。また、BMXは、ロードバイクやマウンテンバイクなどほかのスポーツバイクと比べるとハードルが低いため、オリンピックや大会の観戦を機に挑戦してみるのもおすすめです。
ロードバイクやマウンテンバイクは入門モデルでも10万円以上することが多いですが、フリースタイルBMXなら10万円以下でも十分楽しめるモデルがあります。選手と同じメーカーやカラーのBMXを手に入れるのもそれほど難しくはないので、フリースタイルに興味がある方もぜひチェックしてみて下さい。
高いジャンプや回転などのトリックを繰り出すフリースタイルでは、クロモリフレームの頑丈なBMXが選ばれます。
クロモリとは「クロムモリブデン鋼」の略で、アルミやスチールと比べて耐衝撃性や耐久性が高いのが特徴。フリースタイルBMXではトリックを失敗したときにBMXが地面に衝突することも多いため、衝撃に強いクロモリフレームが好まれています。
また、クロモリフレームはしなやかな衝撃吸収性もあるため、着地時の手足へのダメージを和らげてくれるのもフリースタイル向きなポイント。
フリースタイルBMXでは、約2.1~2.5インチ前後の幅広のタイヤが採用されることが多いです。フリースタイルではパーク内でスピードを付けて大きなジャンプをするため、タイヤのグリップ力や衝撃吸収性が重視されます。
幅広のタイヤは接地面が広くなるためグリップしやすく、エアボリュームが増えるため着地時の衝撃吸収性にも優れています。太いタイヤはインパクトもあるので、街乗りや普段使いにBMXを併用したい方にもおすすめ。
▼BMXのタイヤについてはこちら!
ハンドルバーを使ったさまざまなトリックを繰り出すフリースタイルBMXでは、高さと幅のあるハンドルが好まれます。
ハンドルのサイズはさまざまで、ライディングスタイルや身長によっても適切なものが変わります。挑戦するトリックに合わせてハンドルのサイズを変えたり、好きなライダーと同じ物に変えたりするのも、BMXカスタムの醍醐味の1つですね。
▼BMXのハンドルについてはこちら!
ホイールの軸に取り付けるペグも、フリースタイルBMXの必須装備の1つ。
ペグは、レールやボックスにひっかけて滑らせるグラインド系のトリックをするとき必要になります。フラットランドでは前後のホイールに4本のペグを付けるのが一般的ですが、パークやストリートでは片側2本だけ付けるライダーも。
ペグの素材は金属製・樹脂製の2種類があります。滑りやすさが重要になるグラインド系トリックでは樹脂ペグを使うライダーも多く、パークだと金属ペグが禁止されていることも多いです。
フリースタイルBMXは、観るも良し、やるも良し!
ジャンプやスピンなどダイナミックなトリックが魅力のフリースタイルBMXは、大きな大会を観戦するのも楽しいですが、ご自身で挑戦してみるのもおすすめです。フリースタイルBMXをさまざまな角度から楽しんでみてください!
オリンピック以外にも大会はあるのでチェック!

オリンピック競技に採用されたことで注目されているフリースタイルBMXですが、国内で定期的に他の大会も開催されています。ジャパンカップや世界大会などもあるので、お近くで開催されたときは生で観戦してみるのもおすすめ。現地で世界レベルのトリックが見られるかもしれませんよ。
パークなどで練習しよう

フリースタイルの大会を見て自分でも挑戦してみたくなったら、近くで練習できるパークを調べてみてましょう。
BMX専用のパークはまだ少なめですが、ランプやジャンプ台があるスケボーパークをBMXで走れるケースもあります。自治体が運営しているパーク、民間のパークなどがあるので、調べてみると意外と近くにあるかもしれません。初心者向けのBMX教室が開催されているパークもあるので、ぜひ挑戦してみてください。
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