初心者がメンテナンスする時のポイント
まずは、初心者が行うメンテナンスを成功させるためのポイントを、おさらいしましょう。
①“洗う”メンテナンスは「チェーン」と「フレーム」に絞る
自転車には油分が必要なパーツと油分NGなパーツがあります。そのため、洗剤を使って自転車全体を水洗いして、さっぱりと油分を落としてしまうと、どこに注油して、どこに注油してはいけないのか、初心者には難しい問題が発生してしまいます。
そこで、メンテナンスで洗う場合、「チェーン」と「フレーム」に絞ることをおすすめします。それだけもかなり効果を実感できると思います。
②手軽にできる方法から
最初から完璧を求めて、ケミカルも道具もたくさん揃え、手間をかけるより、まずはなるべく少ない道具で簡単にできることから始めましょう。
3ヶ月に一度、2時間くらいかけてピカピカにするより、1ヶ月に一度、15分程度でそこそこキレイにする方が、続けやすいですし、自転車にも優しいです
それでは、いよいよ具体的な初心者向けメンテナンスのやり方を5つ、紹介していきます。なお、ケミカル類や道具は私が実際に使用し、良いな!と感じたものばかりなので、おすすめです!
その1:空気を入れる
もっとも大切なのが、タイヤにしっかりと空気を入れること。空気不足の自転車に乗っていると、
●パンクしやすい
●タイヤの劣化が進む
●乗り心地が悪い
●スピードが出ない
などの状態になります。自転車にとっても、乗っている人にとっても、良いことは一つもありませんね。
用意するもの
タイヤに空気を入れるバルブには3種類あります。自分の自転車のバルブに合った空気入れを用意しましょう。
【バルブの種類】
●英式:ママチャリ、軽快車など。もっとも一般的。
●仏式:ロード、クロスバイクなど。
●米式:マウンテンバイクなど。
バルブのタイプによって、使える空気入れ、使えない空気入れがあるので、購入する際は確認してくださいね。現在、販売されている空気入れは、英式専用のものか、すべてに対応できる製品が多いようです。
頻度
ママチャリなら月に一度、スポーツタイプの自転車なら2週間に一度は、空気を入れるようにしましょう。
空気を入れるときの注意点
・英式バルブ
タイヤの側面を指で挟んだとき、少しヘコむ位の硬さが適正な空気圧です。空気を入れても、数時間後に抜けてしまう場合は、バルブの中の虫ゴムが劣化しているかも知れません。そのときは自転車ショップで見てもらいましょう。
・仏式バルブ
ロードやクロスバイクなど、細いタイヤに高圧の空気を入れることができるタイプです。先端のネジを緩めると空気が入れられる状態になります。空気が入るにつれ、空気入れの作業も大変になるので、最後までしっかり体重をかけて、空気入れのハンドルを押し込むことが大切です。
・米式バルブ
マウンテンバイクなど、太めのタイヤについています。丈夫で、高圧にも耐えます。車やオートバイにも使われています。
仏式や米式バルブの場合は、空気圧計がついた空気入れを使いましょう。タイヤ側面に、適正空気圧が記載されているので、その範囲内に収まる程度で空気を入れましょう。おすすめの空気入れはこちら。
TOPEAK (トピーク) JOEBLOW SPORT3(ジョーブロースポーツ3)
ベストセラーモデル「ジョーブロー スポーツII」のダイヤルゲージを大型化し、 切り替え無しで仏式と米式に対応する「スマートヘッド DX4」を装備。口金のレバーの動きが良く、使いやすい空気入れです。
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その2:チェーンの汚れを落とす
チェーンがスムーズに回転するには油分が欠かせません。しかし、その油分が汚れを引き寄せてしまいます。
汚れが増えるとジャリジャリして回転が重くなり、そのまま放置すると、油分がなくなり、サビて“ギシギシ”になってしまいます。
用意するもの
パーツクリーナー、ぞうきん(ウェス)、軍手など手袋。
頻度
乗る状況にもよりますが、チェーンの見た目が真っ黒になっていたり、ペダルを漕ぐとジャリジャリするなと感じたら、汚れ落としと注油をセットで行いましょう。
また、雨の中を乗ったときは、油分が落ちてしまっているので、早めに注油しましょう。
やり方
チェーンの下にぞうきんをしっかり当て、パーツクリーナーで汚れを落とすように吹き付けます。そして、ぞうきんでチェーンをキレイに拭いて行きます。このとき、パーツクリーナーが自転車の他の部分にかからないように気をつけてください。
吹きかけ→拭き取り→チェーンを回す
これを繰り返します。汚れがひどいときは、ぞうきんを取り替えてください。目で見て、チェーンがすっきりキレイになったらOKです。
チェーン洗浄の注意点
・パーツクリーナーによっては、ゴムやプラスチック、塗装面には使えないものがあります。チェーン以外にはかからないようにしましょう。
・「速乾性」のパーツクリーナーだと、すぐに乾いてしまって、汚れ落としがしにくいです。「中乾性」のものを選びましょう。おすすめのパーツクリーナーはこちら
WAKO'S ワコーズ(和光ケミカル) BC-8 ブレーキ&パーツクリーナー
中乾性タイプのブレーキ、パーツ洗浄スプレーです。汚れを強力に、気持ちよく落としてくれます。ゴム、プラスチック、塗装面には使えないので、注意して使いましょう。
容量 | 650ml |
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タイプ | 中乾性 |
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その3:チェーンに注油する
チェーンを洗浄した後、そのままにしておくと、サビを呼んでしまうので、必ず注油しましょう。
用意するもの
チェーンオイル、ぞうきん、軍手など手袋
やり方
チェーンの清掃時と同じスタイルで、チェーンの下にぞうきんを当て、チェーンにオイルを吹きかけます。洗浄時と違って、スプレーの勢いは控えめに、チェーンの一コマ一コマを狙って。
そして、ぞうきんでチェーンに染み込ませます。チェーン一周して全体にオイルを塗り終わったら、チェーンを回しながら余分なオイルを軽く拭き取ってください。
変速付きの場合は、ペダルを回しながら全ての段に変速してください。チェーンの油がギアの歯にも移ってくれます。変速のないシングルスピードで、チェーンがケースに完全に覆われている場合は、チェーンケース後ろに穴があるので、オイルのノズルを挿して、ペダルを回しながら注油しましょう。
チェーン注油の注意点
ご家庭にあるクレ556などの潤滑剤をチェーンオイルとして使うこともできます。ただ、サラサラしたオイルなので持続力がありません。そのため自転車専用のオイルよりも高頻度で注油する必要があります。雨に濡れると、ほとんど流れてしまうので要注意です。
また、チェーン以外のパーツにオイルがかからないように気をつけましょう。例えば、ブレーキシューが当たる車輪のリムにオイルがかかると、ブレーキが効きにくくなります。おすすめのチェーンオイルはこちら。
WAKO’Sワコーズ(和光ケミカル) チェーンルブ
フッ素樹脂を配合し、長期間、潤滑効果を発揮します。雨でも流れにくく、保ちが良いです。エアゾールタイプなので、初心者でも使いやすく、液体タイプより短い時間で注油することができます。
容量 | 180mm |
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タイプ | チェーン用 防錆潤滑剤 |
その4:フレームの汚れを落とす
フレームがキレイだと、やはり気持ちが良くて、テンションも上がります。早めに清掃すれば、汚れも楽に落ちます。
用意するもの
ウェス、洗い流さなくて良い中性洗剤
頻度
空気を入れたり、チェーン清掃をしたとき、あるいは汚れに気づいたときにサッと拭いてあげましょう。
やり方
ここでは水を使わない、お手軽な方法をご紹介します。洗い流しが要らない中性洗剤を、ウェスに染み込ませてフレームの汚れを落としていきます。そのまま拭き取ればOKです。
注意点
・もし、洗剤成分が気になるようなら、最後に水拭きしましょう。
・水で薄めて使うとより安心です。
・使い捨てのペーパークリーナーを使えば、もっとお手軽です。
おすすめのクリーナーはこちら。
FINISH LINE(フィニッシュライン) バイク ウォッシュ
吹き付けるだけで、素早く汚れを落とすクリーナー。自転車用専用に作られているため、さまざまな部品に安心して使えます。吹き付けた後は、拭き取るだけでOKなので、ベランダなど水が使いにくい場所でも使いやすいです。洗浄するだけでなく、金属の表面をサビや酸化から守ってくれます。大容量で、なかなか無くならないのも嬉しいです。
容量 | 1000ml |
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タイプ | 複合バイオクリーナー |
SOYO TYRE(ソーヨータイヤ) トゥルータッチワイパー 自転車ボディー用
マイクロファイバーと特殊洗浄液が汚れをしっかり落とします。光沢シリコンでWAX効果もあります。思い立ったらいつでもどこでも、簡単にお手入れが出来ます。
内容量 | 12枚入り |
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サイズ | 200mm×285mm |
タイプ | ポリエステル系不織布 |
その5:ネジの緩みを確認する
自転車の振動で、ネジが緩んでしまうことがあります。自転車にはネジがたくさん使われているので、定期的にチェックすると安心です。
用意するもの
プラスドライバー、アーレンキー(六角レンチ)など
頻度
こちらも空気を入れたときや、チェーン清掃した際に確認しましょう。
確認する場所
ハンドルやサドルがしっかり固定されているかを確認しましょう。そのほか、ライトやカゴ、キャリアなどの付属物がある場合は、緩みがないか、確認しておきましょう。
ハンドルに緩みが出てしまっているときは、アーレンキーを使って増し締めします。アーレンキーがなければ自転車ショップにお願いしましょう。自転車の部品は、六角ボルトが多く使われているので、今後、積極的にメンテナンスをやるなら、持っているととても便利です。おすすめのアーレンキーはこちら。
HOZAN(ホーザン) W-110 ボールポイントレンチセット 7本組
自転車用工具の老舗ホーザンのアーレンキーセットです。精度の高さに安心感があります。両端を使い分けると、力をかけるとき、クルクル回すとき、どちらも快適に作業ができます。
セット内容(mm) | 1.5、2、2.5、3、4、5、6 |
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材質 | 特殊鋼 |
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乗車前点検もメンテナンスの一つ
毎回、自転車に乗る前に、次の箇所をチェックしましょう。乗車前点検も、自分でできるメンテナンスの一つです。
●空気は入っているか
●ブレーキを握ってみて、異常ないか
●ベル、ライトは動作するか
特にブレーキの異常は大きな事故につながりますので、握ってもスカスカだったり、効きが悪いなと感じたら、自転車ショップで見てもらいましょう。
自分でメンテナンスするメリット
自分でできる簡単なメンテナンスでも、メリットはたくさんあります。
快適に走れる
タイヤにちゃんと空気が入ってること、チェーンがスムーズに回ること、この2点がクリアされていると、乗り心地良く、快適に走ることができます。乗り物としての走行性能も大切にしたいところです。
安全に乗れる
まず自転車の一番のトラブルであるパンクのリスクが格段に下がります。それだけでなく、自転車のメンテナンスを通して、「普段とは違うな」、という違和感を感じやすくなると思います。異常に気づいて早めに対策することで、安全に自転車に乗ることができます。
長持ちする
例えば、空気のない状態の自転車に乗っていると、タイヤが潰れた状態で負荷がかかり、側面に亀裂が入ってしまいます。亀裂の程度にもよりますが、まだブロックも残っていても、走行中にバーストしてしまう危険があるため、交換せざるを得ないことになります。
タイヤやチューブ以外にも、自転車にはチェーンやブレーキシュー、ブレーキワイヤー、シフトワイヤーなど多くの消耗部品があります。定期的にメンテナンスすれば、それぞれのパーツを長持ちさせることができます。結果的にメンテナンスコストを下げることになるでしょう。
定期的なメンテナンスで、快適・安全な自転車に乗ろう!
自転車は、ちょっと気にしてあげて、ちょっと手間をかけてあげれば、長い間、力を発揮してくれます。今回ご紹介したメンテナンスを実施して、快適で安全、サスティナブルな自転車ライフを楽しんでくだいさい!