スプロケットとは?
スプロケットとは、チェーンの回転を後輪に伝達するための歯車のことです。変速するための、複数の歯車がついています。
このスプロケットの交換方法を、この記事ではお伝えしていきましょう。
自転車ショップで交換してもらうのもいいですが、自分でできるようになれば、よりカスタムが楽しめるようになりますよ。
スプロケット交換時期
では、交換するタイミングはいつなのでしょうか?
①摩耗による劣化の交換
②歯数を変えるために交換
おもにこの2つがきっかけで交換することになります。
まずは①摩耗による劣化とは、「歯飛び」が起きたときが1つの目安です。
ペダルを踏みこんでも、ガツっと滑っているようであれば歯飛びしています。スプロケットの刃先が摩耗しており、チェーンと嚙み合っていないために起きる現象です。こうなると、スプロケットの交換でしか解消できなくなります。
できれば不調が出る前に、刃先の状態を見て、交換しておくのが機材にも優しくていいですね。スプロケットの刃先が削れてきたときに、前もって交換しておくのがいいでしょう。
「何km走ったら交換すべきなの?」という疑問もありますが、走るシチュエーションや頻繁に使うギアによっても変わるため、走行距離からの判断は難しい面もあります。判断に迷うなら、プロショップに相談しに行ってみましょう。
また②歯数変更のための交換ですが、「ギアを変えてみたい」と思ったときに交換する方法です。坂道を楽に走りたい、平地をもっと踏みたい、など自分の走りを変えたい場合に、スプロケットの交換はお手軽なカスタムです。カスタマイズで走りやすい自転車に仕上げるのも楽しいものです。
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スプロケット交換前のチェック項目
パーツの種類がたくさんあり、迷ってしまうのが、自転車パーツ選びの宿命ですが、規格の合わないスプロケットを買わないよう、事前に以下の内容をチェックしておきましょう。
スプロケットの種類
大きく分けて、2種類のスプロケットがあります。
カセットスプロケット:歯だけで構成されており、フリー機構の回転体がついていないギア。
ボスフリー:「歯+フリー機構」が一体化されたギア。現在のスポーツバイクには6~7速用として残っている。
スポーツバイクで現在主流になっているのはカセットスプロケットです。今回は一般的なカセットスプロケットの説明をしていきましょう。
ホイールの互換性チェック
スプロケットを購入する前にはホイールのスペックを確認してください。
・適合メーカー(SHIMANO/Campagnolo/SRAM)
・変速段数
分からなければ、いま使っているスプロケットを見るのが確実です。ギアの歯数は変更できますが、変速段数は変更できないので、ここは要チェックです。
リアディレイラーの互換性も!
またリアディレイラーのキャパシティも確認しておきましょう。大きな歯数のスプロケットを導入しようとした際には、ショートケージのディレイラーでは変速できない可能性があります。ディレイラーにもよりますが、最大歯数が28Tよりも大きい場合には注意が必要です。
また新しく導入するスプロケットが、これまでのスプロケットと歯数が違う場合には、チェーンの長さも変える必要があります。とくに最大歯数を大きくする際には、チェーンを長くするので、新しいチェーンも必要になります。
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工具を揃えよう
スプロケット交換には、フリーホイールリムーバー(左)とスプロケットリムーバー(右)を、用意しましょう。
「フリーホイールリムーバー」とは、スプロケット中央にある、回転軸であるフリーホイールを固定するための工具です。また、「スプロケットリムーバー」はスプロケットを固定するための工具になります。
それぞれフリーホイールとスプロケットに力を加えるための専用工具です。
フリーホイールリムーバーは、ロックリング工具とモンキーレンチでも代用可能です。
そのほか汚れ対策に、手袋、新聞紙、タオルなどがあれば作業がスムーズになると思います。
スプロケット交換方法
後輪を自転車から外しておきます。今回はSHIMANO製のスプロケットで、交換手順を紹介していきますね。
工具をセットする
クイックリリースまたはスルーアクスルを抜いておきましょう。
スプロケットリムーバーを時計回りに巻き付けます。ロー側(大きい歯側)に掛けた方が、力がかかりやすく作業がしやすいので、筆者はローから2枚目に掛けています。
先端が3時の位置にあると、あとの作業がしやすくなります。
スプロケットを緩ませる
フリーホイールリムーバーを差し込み、写真のようにスプロケットリムーバーとフリーホイールリムーバーを逆方向に回転させます。
このとき両手が「10時10分」の位置関係になると力が入れやすく、作業がラクになります。大きな力を入れるので、勢い余ってケガをしないように気をつけてくださいね。
スプロケットを外す
ある程度緩まったら、あとは手でロックリングを回して外しましょう。
スプロケット自体を持ち上げるようにして、浮かせていきます。
スプロケットをフリーハブから取り外せました。これにて取り外しは完了です。
摩耗状態をチェック
使ってきたスプロケットと新品を見比べておきましょう。走行距離によってどれだけ摩耗したのかを確認することで、次回の交換時期の目安になります。
今回のスプロケットはあまり摩耗していませんでした。「よく見ると刃先がやや丸くなっているかも?」というレベルなので、まだ交換は必要ないぐらいでしょうか。
同じギアでも、刃先が微妙に異なる形状になっています。見比べる時には、同じ形状の刃先で見てくださいね。
新品スプロケットの状態チェック
新品を開封して見てみましょう。
SHIMANOの11速スプロケットですが、ロー側のギアは各3枚、2枚と一体化したギアになっています。
また黒いリングがスペーサーです。トップギア(歯が一番少ないギア)から数えて、3~4枚目、4~5枚目、5~6枚目の間にスペーサーが入ります。
スペーサーが入ることでギアの隙間が一定に保たれます。取り付ける際には、この順番で入れられるように事前によく見ておきましょう。
スプロケットをはめる
今度は逆に、新品のスプロケットを取り付けていく手順です。フリーハブに溝切りされているので、位置合わせが簡単にできます。
フリーハブ側には、細い幅の凸部分が一か所だけあります。
逆にスプロケットの内側には、細い幅の凹部分が一か所だけあります。
フリーハブの溝と、スプロケットの溝が一致する場所が一か所のみなので、間違えることなく位置を決められます。
溝に合わせてギアをはめていきましょう。
途中で表裏が分からなくなることもあります。そういった際には「刻印されている面が外側」と覚えておきましょう。
歯数がいくつかを表す数字が見える方が外側です。反対面には何も刻印されていないので、分かりやすい目印になります。
最後は忘れずロックリングを締めておきましょう。
まずは手で締められるところまででOKです。
スプロケットを締める
最後の仕上げに、フリーハブリムーバーで締めましょう。
緩めるときには、時計回りに締めます。(逆方向に回しても、フリーハブが回るだけで締められないのですが)
力をかけて締める作業ですが、締めすぎないように注意しましょう。ネジ穴が潰れてしまうのを防ぐためです。「体重を掛けてまで締めないようにする」というのが1つの目安になります。
緩みやガタがないか確認する
実際にスプロケットを触って、緩みがないかチェックしてください。ホイールを自転車に取りつけて、回転や変速にガタつきがないかも確認しましょう。
緩みやガタつきがある場合は、もう一度やり直してみましょう。とくにトップギアが正しくハマっておらず締めきれていないことがあるので要注意です。
自分の走りを楽にできるスプロケット交換
慣れてしまえば、スプロケット交換は簡単な作業です。
走るシチュエーションに合わせて、自分好みのスプロケットを交換すればより快適な走りができるようになります。ギアを変えてぜひ自転車の走りの違いも体感してみてくださいね!