峠は最高!だけど、どんな事に気をつけたらいい?
福島県の磐梯吾妻スカイライン「浄土平」。日本とは思えない風景と、空を走る様な感覚を味わえる標高約1,600mの道です。
秋田県の「寒風山スカイライン」。日本海を見下ろす草原が広がる絶景の峠です。
愛媛県と高知県に連なる「四国カルスト」。壮大なカルスト地形が広がる標高約1,400mの道は、日本百名道にも指定されています。
峠を走りに行くと、こんな絶景や自然と出会えます。愛車の撮影もはかどりますよね。
ですが、これだけ自然に囲まれていると言うことは、人里離れた場所にいるということ。峠では、街中で走るのとは違う楽しみ方や注意点があります。確認していきましょう。
まずは峠道の危険を理解しよう
峠道を楽しく安全に走行するために、まずは峠道の危険を理解しましょう。
アクシデントが起こりやすい
峠道では、予期せぬ事態に遭遇しやすく、それが危険に直結します。
例えば以下の通りです。
・急な天候変化
・路面の落下物、悪路
・動物の飛び出し
・交通事故に遭遇(貰い事故)
・街から遠くリカバリーが遅れる
これらは平地でも起こりうることですが、峠道ではその可能性が高くなります。
予期せぬ事態が1つ、または複数起こることにより、事故の発生へとつながります。まずはこれらの危険が起こることを、頭に入れたうえで走行することが大切です。
走行が難しいコースもある
初心者の方には、そもそも走行が難しいコースもあります。急勾配や急カーブ、長距離の登り・下りは、不慣れな方にとっては危険なポイントです。
斜度10%以上の坂道や、先の見えないブラインドカーブでは、登り・下り問わず特に注意しましょう。
どんなに体力がある方でも、何度も峠を走り練習しないと、その道が必要とするスキルは身に付きません。自分のテクニックを過信しコースの難易度を見誤ることが、事故を引き起こす大きな要因なのです。
コースの難易度と自分のスキルを正しく理解し、ライドを楽しみましょう。
安全に楽しく峠道を走るための準備
では、そんな危険のある峠道を、どうすれば安全に楽しく走れるのでしょうか。走行前の準備から解説していきます。
ルート上の峠を観察しよう
あらかじめルートの中で、峠と思われる箇所を調べておきましょう。
走るのが難しそうな急カーブや急こう配、峠の長さなど、Google Mapなどの、ルート作成ツールでチェックしておくと危険を察知・回避しておけます。また、Googleストリートビューで路面の状態を確認しておくのも良いです。
具体的なチェックポイントは
・道が180°近く折れ曲がっている箇所(九十九折り)
・斜度が10%を超える箇所
・5㎞以上続く坂道
・標高差が300mを越える坂
・道幅が片側1車線以上ない箇所
・路面の舗装が悪い箇所、枝葉等の落下物の多い場所
などです。
これらが全くない峠道を選ぶのは難しいですが、なるべく避ける様にすること、そして危険個所を事前に頭に入れておくことが大切です。
急激な天候変化に備えよう
峠道では、天気予報とは異なる天候になることが多々あります。例えば、晴れていたのに急に雨が降ったり、気温が下がって寒くなったり、霧が出て視界が悪くなったり…。
また、ダウンヒルでは登りでかいた汗が冷える「汗冷え」が起こるため、それを防ぐことの出来るウェア類もあると快適です。下りで身体の動きが止まり、冷たい風を受け続けると非常に寒いものです。
山の頂上はそもそもの気温が平地よりも低いため、基本的には寒さ対策が要となります。
・ウィンドブレーカーorレインジャケット
・フルフィンガーグローブ
・汗冷えを防ぐ速乾インナー
・アームウォーマー、レッグウォーマー
を揃えておくと、山間部の天候でも安心ですね。運動強度の高い方は、ジレ(ベスト)があるとより快適でしょう。
補給食や水を多めに持っておく
山間部ではコンビニ等の店が少なく、いざエネルギーや水分が足りなくなってからでは対処が間に合わないことが多いです。
エネルギーが足りなくなってしまう「ハンガーノック」や、水分不足の「脱水症状」を引き起こしてしまうと、簡単に走れたはずの峠も苦しくなり、店のある平野部までたどり着くのが困難になることも。
途中で何かトラブルが起こっても大丈夫なよう、補給食と水分には余裕を持って峠道に挑むようにしましょう。また、事前にルート近くのコンビニ等をチェックしておくと安心です。
携帯工具と自転車の整備状態も要チェック!
パンク等のメカトラブルに備えて、携帯工具も抜かりなく用意しておきましょう。
人通りの少ない峠道では、走行不能になっても駆けこめる場所がありませんし、携帯電話の電波が入らない箇所も多いです。パンク修理キットやマルチツールといった携帯工具は最低限持つようにし、その使い方も事前に確認しておきましょう。
▼▼関連記事はこちら▼▼
また、前提として自転車に整備不良が無いかも確認をお忘れなく。もちろん、これは峠を走る時だけでなく常にチェックしておくべき事ですが、峠では特にリスクが高くなるため要注意です。
特にハンドル周りはホイールにガタが無いか、ブレーキは正常に作動するか、タイヤの空気圧は適切かなど、自転車を購入したときの初心に帰って点検を怠らない様にしましょう。
デイライトも活用!明るいライトで安全に走ろう
夜間でなくとも、見通しの悪い道では明るいライトを点滅させる等しておくと、視認性が高くなり安全性が増します。
峠道ではカーブで自転車の発見が遅れがちですが、ライトがあることにより遠くから発見してもらえたり、カーブミラーに映った際のアピール力が上がったりと、良いことずくめ。時刻に関わらず早めのライト点灯を心がけましょう。
この際も、明るいフロントライトがあると路面が良く見えるので、危険な峠道も安全に走ることが出来ます。
夜間にライトを点灯させる際は、必ず「点滅」ではなく「点灯」を使用するのもお忘れなく。
OLIGHT RN1500
重量 | 172g |
---|---|
サイズ | 107×31㎜ |
モード | 1500lm(1h40m) / 750lm(4h) / 300lm(12h30m) / ストロボ(0~750lm)2種類 |
防水性能 | IPX7 |
耐衝撃性能 | 1mの落下耐性 |
楽に登るためのコツ
さて、ここからは走行編です。峠の登りを楽に走るためのコツを簡単にご紹介します。
無理せずマイペースに
峠を楽に登るために欠かせないのは、無理をせずマイペースに登ること。初心者の方の多くは、初めに飛ばしすぎて後半辛くなってしまうので、逆に後半に余裕をもって走れるように、ゆっくり慎重にペース配分をしましょう。
タイム更新や足つきをしない等の目標を持って走ることも楽しみ方の1つですが、いつも誰かと比べて走っていては、初心者の方ほど苦しくなってしまいがちです。
グループライドの際も、峠の頂上で待ち合わせをして各々のペースで登ったり、速い人は頂上から後続の人へ折り返して再度登ったりと、常に一緒に走らない方法もあります。
楽な身体の使い方を考えながら走る
「休むダンシング」や「シッティングのペダリング仕方」など、テクニックとして楽に上り坂を攻略する方法はいくつもあります。ただし、それを頭で理解しても、すぐに出来る訳ではありません。
テクニックは少しずつ身に着けていくとして、その為に「楽な体の使い方を自分なりに探してみる」というのをお勧めします。例えば余分な力を抜いてみたり、上半身の角度を変えてみたり、ハンドルの持つ位置を変えてみたり…。ちょっとした身体の使い方の違いでも、快適さに新たな発見があるはずです。
その違いを探しながら走るのも、1つの楽しみになるかも知れませんよ。
峠の楽な登り方について、詳しくはこちらの記事にてご紹介していますす。是非こちらもチェックしてみてください。
▼▼関連記事はこちら▼▼
要注意!ブラインドコーナーでは停車しない
登りの途中で脚をついて休んだり、景色を眺めたりする時間も大切なサイクリングの1コマです。
しかし、他の車や自転車も走行していることを忘れてはいけません。見通しの悪いカーブやその付近で停車することは、事故を誘発する危険な行為ですので、必ず周囲の状況を確認してから停車する様にしましょう。
休憩など長時間立ち止まる際は特に、見通しが良く道幅の広い直線を選ぶと安心です。もし近辺に展望スペースや駐車場があれば、積極的に利用しましょう。
安全に下るためのコツ
続いては下りです。こちらも多くのテクニックがありご紹介しきれませんが、初歩的で重要なポイントをいくつか解説していきます。
絶対に無理をしない
何といっても、下りで一番やってはいけない事が「無理をしてスピードを出す」こと。たとえ一緒に走っている人が先に行ったとしても、絶対に無理をしてついていってはいけません。
オーバースピードは、落車、コースアウト、対向車との正面衝突など、命に関わる重大事故に繋がります。自分が怖いと感じるスピードは決して出さずに、確実にコントロールできる範囲の速度で下りましょう。
ブレーキのかけ方だけは要チェック
峠の下りというと、コーナリングの技術を思い浮かべがちですが、安全に下る為にまず欠かせないのがブレーキングです。
正しい姿勢でブレーキを掛けないと前転やスリップを引き起こしますし、コーナリング中にブレーキをかけるとスリップの原因となります。長い下りでブレーキをかけっぱなしにすれば、ブレーキ回りが過度な熱を持ちブレーキが効かなくなる可能性もあります。
・自転車の前後左右にバランスよく荷重をかける
・身体をリラックスさせ、柔軟な対応ができるようにする
・車体を傾けた状態でブレーキをかけない
・前後のブレーキを使い分ける(急制動の際は前を強くかける、など)
・長い下りでブレーキをかけっぱなしにしない
といった工夫が必要です。
過度にブレーキをかけると、機材・身体ともに負荷がかかります。下りでも休憩を挟むなど、初心者の方は特に無理せず走行しましょう。
「プロに教えてもらう」のも大切な選択
バイクコントロールに不安がある方は、講習会等のイベントに参加するのも1つの手段です。
文章や動画で学ぶことも大切ではありますが、実践を通じて指導してもらうに越したことはありませんし、誤解をしたまま練習をしてしまうこともありません。中途半端な技術でスピードが出せるようになるよりも、初めにきちんと教わっておいた方が安心です。
スポーツ自転車の初心者ライダー向けの講習会もありますので、ぜひ視野に入れてみてください。
峠はマイペースでOK!少しずつ慣れて楽しもう
峠道の走り方について、準備から走り方まで幅広くご紹介してきました。
記事内でご紹介しきれないテクニックや楽しみ方なども数多くありますので、ぜひ自分のペースを大切に、少しずつ峠の走行に慣れてみてください。きっと自転車の遊びの幅が広がっていくはずです。