熊野街道とは
全国の熊野神社の総本宮にあたる和歌山県の「熊野三山」。そこへ至る道が『熊野街道』です。平安時代には京都の上皇たちが、そして江戸時代には武士や庶民にも、熊野詣の熱が広がり、たくさんの人が熊野へと向かったそうです。
熊野街道をポタリングで楽しむ
熊野街道を中心に周辺に広がる多くのお寺や神社、老舗やカフェ。各スポットを巡る時、車では発見できない、徒歩では回りきれない、そんな距離感なのが熊野街道です。シティサイクルでも楽しめるポタリングで、熊野街道を満喫しましょう。
”道標”を見つけよう
スタート地点の『天満橋』の川辺に、八軒家の立て札があります。ここから南に向かって行くと”道標”があります。道標には地図が書かれたものや、熊野街道の文字と八軒家から◯㎞という案内が刻まれたシンプルなものもあります。この道標をみつけながら進むと良いでしょう。
”王子跡”を推理しよう
”王子”とは、熊野詣の途中で休み、旅の安全を祈願するため先達によって建てられた祠です。熊野の九十九王子と言われるほど、たくさんあったそうですが多くは残っておらず、石碑だけが残っている場合もあります。そんな王子跡を探しながら走ってみると、充実したポタリングになるでしょう。
大阪府のホームページ「歴史街道ウォーキング」で、だいたいの王子跡がわかります。いにしえの熊野詣の人々に想いを馳せて走りましょう。
レンタサイクルを活用するも良し
旅行者には、レンタサイクルがおすすめです。大阪府のWebサイト「OSAKAレンタサイクルナビ」では、最寄り駅のレンタサイクル検索ができます。
ドコモバイクシェアは、会員登録すると全国のコンビニで1日券が購入できて自転車が借りられる便利なシステムです。
今回ご紹介する熊野街道ポタリングのスタート地点なら、大阪市立東洋陶磁器美術館近くのサイクルポートが便利でしょう。
おすすめ熊野街道3選
平安時代の京都の上皇たちが熊野へ向かう時、淀川を舟で目指したのが『渡辺の津』と呼ばれる港湾。そこは大阪市の天満橋、江戸時代には八軒家と呼ばれた船着場です。
今回はこの八軒家からスタートするルートをご紹介します。
ルート①:八軒家から四天王寺まで
このルートは、スタートから登り坂で、大変ですが休憩に良い公園やカフェも多くあります。
●アートアンドスイーツ『cica』
アートアンドスイーツ『cica』は、パンケーキなどのプレートにソースで絵を描いてもらえるお店です。
まずは第一王子である窪津王子(現在は坐摩神社行宮の辺り)に向かいましょう。そこから南へ行くと朝日神名社があった『南大江公園』、大樹を目印に進むと坂口王子があったとされる『榎木大明神』です。
そこから東へ長堀通を越え、空堀商店街へ行くと、洋食の『もなみ』、カレーの『旧ヤム邸』など人気店があります。この付近の坂道は、登りがきつい坂が多めです。
谷町筋に出て南西に進むと、第三王子の郡戸王子があったらしい『高津宮』があります。桜や梅の名所で、夏越の祓いの茅輪くぐりが有名。夏祭は奉納落語や音楽演奏、ダンスなどが無料で楽しめておすすめです。(2019年は7月17〜18日)
●上本町HiHiTOWN
高津宮から谷町筋に出て南東に進むと『近鉄上本町駅』に出ます。おもしろいのは、『HiHiTOWN』の探索。このビルは入る場所によって階数が変わり、格安でボリュームのあるおいしいランチが食べられるお店が色々あります。日本一長いカウンターで有名な『天山閣ハイハイ横丁』もあり、その長さは33mだとか。
天山閣ハイハイ横丁のカウンターが長い!
HiHiTOWNのB1にある『まるえい食堂』のランチ
デミソースがおいしいトンカツ3枚とミニハンバーグにたっぷりのキャベツとケチャップ炒めのパスタ。お味噌汁がついて780円と、とてもリーズナブル。
さらに南西に進み、四天王寺へ。熊野詣の人々が旅の無事を祈願したとされる熊野権現礼拝石もあります。
ルート②:天王寺を越えて安倍晴明神社へ
『天王寺駅』付近は、大きな陸橋があり自転車で南へ進みにくい場所です。東、あるいは西へ出てひとつ目の信号を渡り『あべの筋』に戻るのがおすすめです。あべの筋はチンチン電車の走る道で、いっしょに走る楽しさもあります。
松虫通りを越えあべの筋のひとつ西の筋へ入ると様子は一変し静かな細い道筋になり、神社仏閣が軒を連ねます。その中に、『安倍晴明神社』、すぐ南に『阿部王子神社』があります。
ここには、第二王子と書かれてあり、四王子まで確認してきたのと矛盾しますが、王子については分からないことが多く疑問は残りますがそれも一興、先に進みます。
ルート③:帝塚山から住吉大社へ
神社仏閣が多い細い道を抜けるとチンチン電車が走る道に出ます。この辺りは、高級住宅街でケーキ屋さん、パン屋さんの多いところです。
帝塚山3丁目を越えてしばらく行くと『万代池』があります。ここには、池に住む魔物が熊野詣に向かう人々を襲っていると知った聖徳太子が、四天王寺の使者に曼荼羅経を唱えさせ、鎮めたとの言い伝えがあるそうです。池の中央には橋があり、自転車で渡ると池の上を走っているかのようです。
南へ、『住吉大社』を目指します。途中、”住之江味噌”で有名な老舗の『池田屋本舗』があり、美しい建物は文化庁登録有形文化財に指定されているそうです。
住之江味噌は、おかず味噌でご飯や焼きなすにつけるとおいしいです。お味噌汁には白味噌、合味噌、中赤味噌があってお好みで選べます。
●池田屋本舗
池田屋本舗の南西に、『住吉大社』があります。昔はすぐ近くまて海で白砂青松の美しい景色は、万葉集や古今和歌集にも詠まれています。
登り坂で疲れたら、休憩と水分補給を
上町台地辺りや橋へ向かう場所など、熊野街道には随所に登り坂があります。登るのがきつい場合は、押して進むのも良いかもしれません。
また登り坂で疲れた時は、適度な休憩と水分補給が大切。自販機やコンビニは至る所にありますが、50円からある宝船や招き猫の自動販売機を見つけたらラッキーです。期間・季節限定などで販売時期がずれたものなどが安く売られています。
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お役立ちアイテム
裾バンド
シティサイクルはギアがカバーされていますが、それでも裾の広いパンツは引っかかりやすいので、裾バンドがおすすめです。簡単なものなら、ゴムなどで手作りしても楽しいですよ。
●筆者の手作り裾バンド