表情豊かな千葉のサイクリングスポット
東京都の隣に位置する千葉県はサイクリングに、うってつけの場所がたくさんあります。多くのサイクリストに馴染みがある江戸川サイクリングロード、通称「江戸サイ」から、ふたつの湖沼サイクリングロード、里山ライド、太平洋を巡る旅までお任せあれ。
エリアや季節によってさまざまな表情を見せる千葉へ、自転車で出かけてみませんか。今回は千葉のおすすめのサイクリングスポット、5つをご紹介します。
・江戸川サイクリングロード
・手賀沼サイクリングロード
・印旛沼サイクリングロード
・千葉里山サイクリングコース
・九十九里系自転車道
江戸川サイクリングロード
千葉、東京、埼玉との境に伸びる江戸川には、自転車で走るのに快適なサイクリングロードが敷かれています。利根川との分岐点・関宿から河口まで(諸説ありますが、旧江戸川を辿れば葛西臨海公園まで続いています)を結んだ約64kmの河川敷の道は「江戸川サイクリングロード」と呼ばれ、多くのサイクリストが年間を通じて走っています。
南北に長く伸びる江戸川へのアクセスは、実にさまざま。隣接する鉄道駅には、JR葛西臨海公園駅、JR市川駅、北総線 新柴又駅、JR松戸駅など多数。複数路線が乗り入れる駅も複数あるため、アクセスもしやすいのも嬉しいポイントです。
河川敷が、平坦基調となっているため気軽なサイクリングにもぴったり。さらに片道60kmほどのサイクリングロードは、ロングライドのトレーニングにも最適です。多くのユーザーからは、上流から下流側を見て、両岸をそれぞれ「右岸」「左岸」と呼ばれています。
走りやすさは区間によって右岸と左岸で異なりますが、水元公園付近から河口までは右岸が走りやすいというのが筆者の持論です。該当区間の左岸は車止めが多く、道幅も細くなっている区間が多々あるため注意が必要です。
江戸川沿いのスポット
江戸川サイクリングロードには、公園や立ち寄りスポットも点在しています。目的地にすべき観光名所というよりも、ふらりと立ち寄ってみたい小ネタ的スポットが多く、サイクリングに彩りを添えてくれますよ。
①水元公園
東京外環自動車道の高架を目印に、右岸から西へ進んだ位置にあるのが水元公園(東京都葛飾区)です。公園内には大きな池があり、畔では地元の方が釣り竿を垂らしたり、散歩をしていたりと、ゆったりとした時間が流れています。公園内にはトイレや自販機もあるため、サイクリングの小休憩にもぴったりです。
②矢切の渡し
知る人ぞ知る”珍”スポット? が、矢切の渡しです。江戸時代には付近に住まう農民のための日常的な足として使われていた渡し船で、今日も東京都柴又と千葉県松戸を結んでいる、歴史と素朴さを兼ね備えたスポットです。大人は片道200円で乗船することができ、自転車は乗船客が少ないときのみ持ち込みも可能(係員に相談のこと)とのこと。
それにしても矢切の渡しは、ゆる〜い。
柴又側の乗船所もなかなかの素朴さですが、特に注目すべきが松戸側の船着き場です。これはジャングル……? 何事だ……と筆者も首をかしげたシュールスポットで、こちらはぜひご自身の目で確認していただきたい! ぜひ!
③葛西臨海公園
江戸川サイクリングロードの終点でもある葛西臨海公園は、東京都江東区に位置する総合公園です。東京湾を一望する臨海エリアや観覧車、水族館を備えており、休日には一般客のみならず、多くのサイクリストが集う一大スポットです。終点で夕日に黄昏れるのもよし、早めに葛西臨海公園に到着し、のんびりピクニックを楽しむのもよし。園内にはトイレや自販機、売店、レストランもあるため補給や休憩にも適しています。
手賀沼サイクリングロード
手賀沼は千葉県北部、柏市、我孫子市、白井市、印西市の4市にまたがる周囲約38kmの湖沼です。手賀沼にも湖畔沿いにサイクリングコースが伸びており、気持ちの良いライドを楽しめます。推奨は北柏ふるさと公園を起点とした約10kmのコースです。北柏ふるさと公園ではレンタサイクルも実施しているため、自転車を持っていない方も気軽にサイクリングに誘うことができます。
夏には蓮が、秋には葦が美しい湖沼を眺めつつ先に進めば、休憩にも最適な「道の駅しょうなん」が。地元の野菜やパンなども販売しており、ちょうどよい休憩スポットです。また筆者の知人であるサイクリストの1人がイチオシするレストランが、道の駅すぐそばの「野菜レストランSHONAN」。メインの料理に加えて新鮮な生野菜や漬物、スープをブッフェ形式でいただけるランチセットが最高なんだとか。サイクリング中のブッフェ……聞くだけでお腹が空いてしまいますね。
推奨コースの終点は手賀の丘公園(手賀曙箸)となっていますが、そこからぐるりと周回で回っても、ピストンで往復してスタート地点に戻るのも手です。
印旛沼サイクリングロード
印旛沼は千葉の北総エリアと呼ばれる場所に位置し、西と北ふたつに分かれた沼を総称した呼び方です。印旛沼サイクリングロードは八千代市の阿宗橋が起点で、印旛郡栄町の富士見橋を終点にした約27kmの自転車道です。
中間地点には風車が目印の「桜ふるさと広場 印旛沼サイクリングロード休憩所」があり、春には一面のチューリップが、夏には一面のひまわりが咲き誇ります。
サイクリングロードからはのどかな田園風景が広がり、ゆったりとしたサイクリングを楽しめます。自転車の交通量も少ないため、トレーニングとして走るのにも適しています。なお歩行者も立ち入れる道なので、安全確認は抜かりなく。
印旛沼へのアクセス
印旛沼サイクリングロードへは、京成本線の「京成臼井駅」か「京成佐倉駅」が最寄りです。京成佐倉駅周辺には伝統的な町並みが広がっており、市が推奨するサイクリングルートも制定されています。季候の良い時期には、町中ポタリングを楽しむのも一興です。
千葉里山サイクリングコース
千葉の里山を巡る「千葉里山サイクリングコース」は、千葉市が定めた推奨ルートです。千葉市は県の中心でありながらも、一歩内陸部に踏み込めば里山の原風景が広がります。それぞれ異なる魅力がある2つのルートは、初心者にも安心の平坦&短距離です。気軽にのどかな自転車旅へ出かけましょう。
若葉ルート
千葉都市モノレール「千城台駅」を起点に、北側をぐるりと巡る若葉ルート。平坦基調の21kmで、ルート上には地元野菜を販売する直売所や、季節の味覚狩りを楽しめる観光農園が点在しています。
春には一面のシバザクラ、秋にはコスモスが咲き誇る「富田さとにわ耕園」は絶景です。
いずみルート
「千城台駅」の南エリアを巡るいずみルートは、総距離18.5kmのサイクリングコース。もちろん平坦基調です。季節を感じる自然公園や素朴な里山グルメはもちろん、走っているだけで心地の良い道が広がります。またルートの途中にある泉自然公園は「さくら名所100選」にも選ばれた名所。桜の季節に訪れたいスポットです。
千葉里山サイクリングルート|マップ
九十九里系自転車道
千葉の海といえば、広大な太平洋、そして九十九里浜!
総距離1400km、千葉から和歌山まで沿岸部を結ぶ予定の「太平洋岸自転車道」のルートの一部にも組み込まれる九十九里浜には、サイクリングロードが延びています。防風林を挟んで海岸線と平行して延びており、時折海がお目見えするのも爽快で気持ち良い一方、砂の堆積や路面整備で常に一部の走行が難しい状況となっているようです。走行する前に最新の情報を収集するようにしましょう。
飯岡九十九里自転車道
犬吠埼や漁港で有名な銚子市のお隣、旭市の沿岸部に整備されている「飯岡九十九里自転車道」は、約10kmのサイクリングロードです。県道30号と併走しており、爽快なシーサイドライドを楽しめます。コース上にはトイレが六カ所あります。
飯岡九十九里自転車道(サイクリングロード)|旭市
九十九里一宮大原自転車道
山武郡九十九里町片貝からいすみ市を結ぶ、全長33kmのサイクリングロードが「九十九里一宮大原自転車道」です。2019年12月に筆者が訪問した際には、砂の堆積もなくロードバイクでも走行可能でした。
九十九里・一宮・大原自転車道|共益財団法人千葉県観光物産協会
おわりに
道よし、飯よし、アクセスよし!公共交通機関はもちろんですが、首都圏に住んでいるのであれば自走でも行けるのが千葉県のサイクリングスポットの最大の魅力だと筆者は考えています。今回紹介したのは、千葉の北部のほんの一部。南部の房総半島には、さらなる魅力が待っています。