360度回る??ジャイロブレーキとは

ジャイロブレーキはBMX特有のパーツで、ハンドルを同じ方向に回転させてもワイヤーが絡まない構造になっているのが特徴です。一般的な自転車のブレーキは、ハンドルを回すとワイヤーが絡まってしまい、一定以上回転させることができません。BMXではハンドルを同じ方向に360度以上回転させるトリックがあり、ジャイロブレーキを使うことでライディングの幅が広がります。
どんな仕組みになっている?

ジャイロブレーキは、ブレーキレバーとリヤブレーキをつなぐワイヤーが分割されていて、からまないような構造になっています。

ベアリングを内蔵したローターと呼ばれるパーツに上下のワイヤーが接続されていて、ブレーキレバーを握ると連動して動きます。このジャイロブレーキ独自の構造のおかげで、ハンドルを回してもワイヤーが絡まず、ブレーキをかけられるようになっています。
【おさらい】BMXのブレーキの種類
BMXのジャンルによって、ジャイロブレーキの必要性やできることが変わります。現在のBMXで主流のフラットランド・ストリート&パーク・レースのジャンルについて、それぞれのブレーキ事情を解説します。
フラットランド:ジャイロブレーキが必須

平らな路面の上でウイリーやスピンなどのトリックを繰り出すフラットランドでは、ジャイロブレーキ付きのBMXが必須です。ジャイロブレーキが無くても基本的な動きは練習できますが、ハイドラント、ファンキーチキンなど、基礎トリックのほとんどでジャイロブレーキが必要になります。
フラットランドでは、ジャイロブレーキを使わずにノーブレーキのBMXで演技をするライダーも居ます。フラットランドはそれほどスピードを出さないため、パークなど公道以外の場所ならノーブレーキのBMXでも練習可能です。ただし、初心者のうちはブレーキが無いと危ないため、最初はジャイロブレーキ付きのBMXで練習するのがおすすめです。また、フロントスクエーカー・リヤスクエーカーなど、ブレーキが無いとできないトリックもあります。
ストリート&パーク:ジャイロならトリックの幅が広がる

ストリートやパークではジャイロブレーキは必須ではありませんが、トリックの幅が広がるため取り付けるライダーも居ます。バースピンやテールウィップなどのトリックはブレーキワイヤーを長めにしておけば、できないこともありません。しかし、ジャイロブレーキがあるとワイヤーに引っ張られずハンドルやフレームの回転がスムーズになります。
ストリートではハンドルやフレームを1回転以上することは少ないですが、大きくジャンプするパークでは2回転以上回すケースも多く、ジャイロブレーキを使うライダーも居ます。公道を走らないパークでは、ノーブレーキでトリックをするライダーも多いです。
レース:通常ブレーキ

BMXのレースではブレーキの装備が義務付けられていますが、ハンドルやフレームを回転することはないので、ジャイロブレーキは必要ありません。速度調整のために使うだけなので、通常のブレーキがあればOKです。
ブレーキなしのBMXもあります

ジャイロブレーキが無くても、ノーブレーキ仕様のBMXで同じトリックをすることは可能です。ただし、ノーブレーキBMXにはメリット・デメリットがあるため、ご自身のライディングスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
メリット

BMXをノーブレーキにすることで次のようなメリットがあります。
ノーブレーキBMXのメリット
- お金がかからない
- メンテナンスや調整が不要
- BMXを軽量化できる
- ブレーキレバーやワイヤーが無くトリックをしやすい
BMXからパーツを取り外すだけでノーブレーキ仕様にできるため、ジャイロブレーキのようにパーツを購入するお金がかからないのは大きなメリットです。また、ブレーキ自体を無くすことで、パッドの調整や交換などのメンテナンスが不要になり、BMXを軽量化できるのもうれしいポイント。ハンドル回りのレバーやワイヤーが無くなるため、バースピンなどの際に引っかからずトリックしやすくなるという意見も多いです。
デメリット

ノーブレーキ仕様のBMXには、次のようなデメリットもあります。
ノーブレーキBMXのメリット
- 公道を走れない
- 速度調整ができない
- ブレーキを使うトリックができない
BMXからブレーキを外すと公道を走れなくなり、練習場所へ自走で行けなくなるのは大きなデメリットです。ちなみに、ブレーキは前後両輪とも付けることが義務付けられているため、どちらか片方が付いているだけではNGです。
また、ブレーキがないと速度調整ができないため、スピードに慣れていない初心者の方は練習中の転倒によるケガのリスクにも注意が必要です。ジャックナイフやフロントスクエーカーなど、ブレーキが必要なトリックができなくなるのもデメリットと言えます。
ブレーキの調整方法
BMXのブレーキは乗っているうちに徐々にタッチが変化してくるため、定期的に乗りやすく調整する必要があります。主に調整が必要なのは、ブレーキレバーの握り幅と左右のブレーキパッドの当たりです。
ブレーキ調整は基本的なメンテナンスで、BMXの乗り心地に影響するポイントなので、自分でできるようにしておきましょう。今回は筆者が所有するBMXのブレーキで説明しますが、メーカーによって調整方法は変わる可能性があります。

BMXブレーキ調整に必要な工具は、アーレンキー(六角レンチ)とモンキーレンチです。アーレンキーは複数のサイズが必要なので、携帯マルチツールセットを1つ持っておくのがおすすめです。BMXのほかのメンテナンスやパーツ交換にも使えるので便利ですよ。
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握り幅の調整

ブレーキの握り幅調整機能が付いている場合は、手のサイズに合わせてちょうど良いレバー位置に調整することができます。握り幅を変えることで乗りやすくなることもあるので、自分にピッタリな位置を見つけてみましょう。

レバーの握り幅は、ブレーキの根元に付いているネジで調整します。ネジを時計回りに締めると握り幅が狭くなり、反時計回りに緩めると広くなります。少しずつ調整しながら、手にピッタリ馴染む握り幅に調整しましょう。

握り幅を調整するとワイヤーの張り具合が変わるため、レバーの根元のネジで調整します。ネジを緩めるとワイヤーが引っ張られて、締め込むと緩くなります。レバーに少しだけ遊びがある状態を基準に、好みに合わせて調整しましょう。
左右のパッドの調整

一般的なBMXに採用されていることが多いUブレーキは、ブレーキパッドの当たりを調整することも大切です。ブレーキパッドがホイールのリムに平行、かつ左右均等に当たるように調整するのが基本です。

まずはブレーキパッドとブレーキのアームをつなぐボルトをアーレンキーで緩めます。

ボルトを緩めるとブレーキパッドが動くので、ホイールのリムと平行になるように調整しましょう。写真左側のようにブレーキパッドとリムがずれて斜めになっていると、接触する面積が少ないため効きが悪くなってしまいます。左右両方のパッドがホイールと平行になるように調整しましょう。

次に、左右のブレーキパッドとホイールのすき間が均等になるように調整します。まずはブレーキ本体をフロントフォークに固定しているボルトを六角レンチで緩めます。

ボルトを緩めると、ブレーキのバネを固定している外側のナットが動くようになります。上の写真のようにモンキーレンチを使ってバネの力を変えることで、ブレーキパッドの当たりを調整しましょう。
ナットの動き | ブレーキパッドとリムの距離 | バネの力 |
時計回り | 離れる | 強くなる |
反時計回り | 近づく | 弱くなる |
ナットを時計回り・反時計回りに動かすことで、上の図のようにブレーキパッドとリムの位置、バネの力が変化します。例えば、左のブレーキパッドがリムと近すぎるときは、ナットを時計回りに動かして調整します。左右順番にナットの位置を調整して、ちょうど良い場所でボルトを締め込んで固定しましょう。
左右のブレーキパッドとリムの距離が均等になり、ちょうど良いレバーの握りごこちになるまで、何度か調整を繰り返します。最初はちょうど良い調整位置を見つけるのが少し大変ですが、慣れると短時間で調整できるようになります。
よくある質問
BMXのブレーキに関する、よくある質問をまとめました。これからBMXを購入する方、既に持っている方も、ぜひ参考にしてください。
ジャイロブレーキは後付けできる?
購入時にジャイロブレーキが付いていないBMXでも、専用のパーツセットを購入すれば後付けは可能です。ストリート・パーク用のBMXにはジャイロブレーキが付いていないことが多いですが、後付けすればトリックの幅を広げることができます。
ただし、ジャイロブレーキのパーツによっては穴あけ加工が必要になるケースなどもあります。フレームとパーツの相性など、加工なしでスムーズに取り付けられるか確認しましょう。BMXによってはジャイロブレーキを後付けできるように、フレームに取り付け用の穴が開いているケースもあります。
ジャイロブレーキ付きの完成車はある?

基本的にフラットランド用のBMXにはジャイロブレーキが付いていることが多いです。一方、ストリート・パーク用に設計されたBMX完成車は、ジャイロブレーキがついていないことがほとんど。
フラットランド向けのBMXはフレーム設計が独特なため、ストリートやパークだと乗りにくい傾向があり、パーツ交換での対応が難しいです。もしストリート・パーク用の完成車を選ぶなら、ジャイロを後付けできるか確認するのがおすすめです。
ブレーキを後ろだけ付けるのはなぜ?

BMXの大会やライディングの動画などを見ていると、後ろブレーキのみ付けているライダーを見かけることも多いです。パークではブレーキは速度調整程度にしか使うことがないため、必要性が低いフロントブレーキは外して軽量化をするケースが多いようです。ただし、リヤブレーキのみだと行動は走れないため、BMXで自走する場合は前後ブレーキをしっかり装備しましょう。
ブレーキが効かないときの対処法は?
BMXのブレーキの効きが悪いときは、セッティングの確認やパーツ交換で対処しましょう。
まずは、ワイヤーの引きしろやパッドがまっすぐリムに当たっているかなど、ブレーキの状況を確認します。乗っているうちにだんだんブレーキの効きが悪くなった場合は、セッティングが狂っているケースが多いです。
また、完成車に付いているブレーキパッドは効きが弱いことが多いため、交換で対処できることもあります。ゴム部分がクリアのブレーキパッドは、素材が柔らかくリムの食いつきが良くなるため、効きを改善したい方におすすめです。
ブレーキにこだわってもっとBMXを楽しもう!

ブレーキはBMXにとって重要なパーツの1つであり、ライディングに合わせてカスタムや調整をすることで乗りやすくなります。ジャイロブレーキでトリックの幅を広げたり、調整で効きを良くして成功率を高めたり、いろいろ工夫するのもBMXの楽しみの1つです。ぜひご自身に合うブレーキのパーツや調整方法を見つけて、もっとBMXを楽しんでみてください!
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