自転車は「歩行者専用道路」を走れるの?
歩行者のための道路「歩行者専用道路」。標識などでも良く目にしますよね。
車を運転している場合、一方通行や、進入禁止など標識に注意しますが、自転車だと、標識を見逃して、走ってしまうことも多いかもしれません。
歩行者専用の道のため基本的には自転車はNG
歩行者専用道路は、歩行者のみが通れる専用道路のため、自転車での走行はできません。ただし、自転車を降りて、押して歩く場合はOKです。
そもそも歩行者専用道路とはどんな道のこと?
「歩行者専用道路」というのは、”車両の通行を禁止して、歩行者の安全な通行を確保、歩行者のみ通れる専用道路”とされています。
たとえば、通学路の一部(通学・下校時間のみなど時間制限あり)、駅前や住宅街の歩道、歩行者天国などが、「歩行者専用道路」です。
「歩行者専用道路」と「自転車及び歩行者専用道路」の違いとは

歩行者専用道路に似た標識に、「自転車及び歩行者専用道路」があります。この2つの標識の主な違いをまとめてみました。
歩行者専用道路 | 自転車及び歩行者専用道路 | |
自転車の走行 | ✗ | ◯ |
徐行の義務 | ◯ | ✗ |
歩行者の右側通行義務 | ✗ | ◯ |
道幅規定 | 幅は3.5m以上(やむを得ない場合は2.0m以上) | 道の幅は4.0m以上(やむを得ない場合3.0m以上) |
歩行者専用道路は、基本的には自転車が走行することができません。例外として、警察に許可をとっている自転車は、通ることはできますが、徐行する必要があります。
自転車及び歩行者専用道路は、徐行の義務はありませんが、歩行者と併用するので、スピードの出し過ぎや、歩行者に注意して走行しなくてはなりません。
自転車の歩道通行についてはこちら。
歩行者専用道路を自転車で走ると罰金?
歩行者専用道路を自転車で走ると、罰金を求められる可能性があります。基本的には、歩行者専用道路は自転車では走行できないため、走ると違反したとみなされるためです。
通学路など時間限定で歩行者専用になっている道や、渋滞時の抜け道として使われるような歩行者専用道路などは、取締りを行っていることもあるので注意が必要です。
もし、取締りなどに遭遇しまった場合は、道路交通法第9条によって、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金等になる可能性があります。
通勤通学途中に歩行者専用道路…そんな時どうする?
通勤や通学の途中に、歩行者専用道路があるという場合もあるでしょう。そんな時は、どのようにしたら良いでしょうか。
基本は通らないルートを走る
歩行者専用道路が、通勤や通学途中にある場合、基本的には、通らないようなルートを使うべきでしょう。
歩行者専用道路は、歩行者が多く、駅前や住宅地・学校付近などに設置されていることが多く、”自転車の通り道とはっきり分けたい”という目的が明確だからです。
自転車を降りて押していく
歩行者専用道路を通らないと、会社や学校に行けないような場合や、大幅に遠回りになる場合は、自転車を降りて、押していくこともできます。
自転車を押していくので、走行するよりも時間がかかりますが、この方法なら、歩行者専用道路を通ることができます。
歩行者専用道路がない時の走行、逆走に気をつけよう

片側が歩行者専用道路なしの道路は、実際に住宅地などに存在
道路に歩道(歩行者専用道路)ない道路では、歩行者が車道にはみ出して歩くこともあり、注意が必要です。
原則、車道の左側走行を守り、歩行者がいる場合は、徐行して、後方から車が来ていないこないことを確認して、歩行者の右側をすり抜けるように、走りましょう。
【注意】交通規制の効力がない看板もあります
歩行者専用道路の標識の中には、法的効力がない標識もあるので、確認していきましょう。
規制や指示標識は公安委員会が設置
一般的な標識(一時停止、駐輪禁止など)や、指示標識(停止線、横断歩道など)は、必要に応じて都道府県の公安委員会(警察)が設置することになっています。
公安委員会(警察)以外が設置した標識は法的効力はなし
自転車で走っていると、公安委員会以外が設置した看板などにも遭遇するでしょう。
たとえば、道路工事の近くなどに、「徐行」などの看板が出ていることがありますが、こういったものは、公安委員会が設置したものではなく、工事業者が「注意をうながす看板」として設置したもの。そのため、法的効力はありません。
それと同じで、「歩行者専用道路」標識や看板自体も、国・県・市町村など地元の自治体が設置したものが存在します。標識は私有地・公園など、看板は工事中の歩行者通路などに取り付けられていることが多いので、判断はつきやすいとは思いますが、”そういう標識・看板が存在している”ということも、頭の片隅に入れておきましょう。
自転車が歩行者専用道路を通れる例外もあります
自転車が歩行者専用道路を通れる例外は4つありますので、どんな場合なのかを、説明しましょう。
①歩行者専用道路でも許可を受けた場合
歩行者専用道路でも、通行禁止道路通行許可の申請をして許可を受けた場合は通れます。この場合でも、歩行者に注意して徐行しなくてはなりません。
許可を受けられる場合は、たとえば歩行者天国の時に、そのエリアに店があって搬入のためなどの理由で自転車を乗り入れたい場合や、身体の不自由な子供を乗せたまま歩行者専用道路を経由して目的地に到着したい場合などです。
申請は、通行禁止道路通行許可申請書2通に記入して、最寄りの警察に持参します。許可を受けた場合は、原本は財布などに入れておき、取締りなどで要請があった場合にサッと提示できるよう、たいせつに保管しておきましょう。
②自転車及び歩行者専用道路や普通自転車歩道通行可などの標識がある
「自転車及び歩行者専用道路」や「普通自転車歩道通行可」などの標識があるところなら、自転車で通行しても問題ありません。この場合も、基本的には歩行者に気をつけ、また、人が多い場合などは、徐行するようにしましょう。
③13歳未満の子や高齢者、身体の不自由な人が自転車を運転する場合
自転車に乗っている人も、自動車と同じように交通規則にそって走行しなくてはいけませんが、以下の人は、歩行者専用道路でも、自転車で通行することができます。これは、子どもや高齢者など、とっさの判断や行動に不安があり、車道を自転車で走る方が、逆に危ないという判断によるものです。
·70歳以上の高齢者
·身体の不自由な人が自転車を運転している時
④工事などで車道が狭く自動車などと接触事故の危険がある場合
道路工事や何台も駐車車両があり、車道の左側部分を通るのが難しい場合など、普通自転車の通行の安全を確保するために、やむを得ないと認められる時は、歩行者専用道路を通ることができます。
自転車は歩行者専用道路を通らないルートが前提
近所はもちろん、自転車でよく走る地域に歩行者専用道路がある場合は、そのエリアをなるべく通らないルートを選ぶようにしましょう。
特に歩行者が多い時間帯は、自転車を押して歩くのも、歩行者の邪魔になってしまうことがあります。交通ルールを守るのはもちろんですが、周囲の状況に応じながら、安全に自転車に乗りましょうね。