コミューターバイクとは?
「コミューター」とは、元々は通勤者という意味の言葉ですが、そこから派生して、小型機による航空路線の名称として耳にすることが多くなりました。またシティコミューターと言えば、1〜2人乗りの超小型EV自動車。いずれも本流に対して、より小回りが利いて使い勝手が良いイメージがあります。
そして、「コミューターバイク」とは、通勤に限らず、街中での日常生活で使いやすい仕様の自転車の総称。
決まった形がある訳ではなくて、ゆったりと乗れて、荷物が積めるキャリアや、停めやすいスタンドなど、スポーツ志向の自転車には付いていないパーツが装備されています。
街中、近〜中距離を乗るのにちょうど良い性能、使いやすく手軽に乗れる装備、都会に似合うスタイリッシュなデザイン。コミューターバイクを浮き彫りにすると、そんなイメージです。
コミューターバイクの特徴と、その魅力
コミューターバイクの特徴を、具体的に見ていきましょう。
“ラクな姿勢”で走れる
乗車姿勢はロードバイクのような前傾姿勢ではなく、上体を起こした姿勢で、ゆったり走れるように設定されています。ポイントは2つ、ハンドルとサドル。
ハンドルはロードバイクのようなドロップハンドルではなく、一直線のフラットバーや、グリップの位置が手前になるライザーバー、さらにグリップ両端が身体に近くなるプロムナードハンドルが装備されます。
フラットバー
自転車に乗ったときの身体の前傾度合いは、ドロップハンドル>フラットバー>ライザーバー>プロムナードハンドルとなります。
また、上体を起こした姿勢でゆったり乗るには、サドルも大切。クッション性があって大きめのサドルが、体重をしっかりと支えてくれます。
普段使いしやすい装備
スポーツ志向の自転車は、走る目的以外の装備がないことが、ほとんど。対してコミューターバイクは街中で快適に乗ることが重要なので、次のようなパーツが標準装備されているモデルが多いです。
スタンド
ロードバイクや、マウンテンバイク、そしてクロスバイクでもスタンドがついていないことが多いです。けれども、街中ではちょっと停めて用事を済ませたいときにスタンドがないと、やはり不便です。
泥除け(フェンダー)
泥除け(フェンダー)がないと、雨のときに車輪が巻き上げる泥水で、背中が汚れてしまいます。雨のときは乗らないとしても、雨降りの翌日、路面の水たまりを踏んでしまうことも。また、急な雨に降られてしまうことも考えられます。
通勤前に洋服が汚れてしまったらアウトですよね!街中で乗るコミューターバイクには、泥除けも欲しい装備です。
なお、購入希望のバイクに泥除けがない場合、汎用のフェンダーもあるので、自転車ショップで付けてもらうことができるかどうか確認しましょう。また、取り外しができる簡易的なフェンダーもあるので、雨に備えて持ち運ぶことも可能です。
キャリア(荷台)
カバンや荷物を積むことができれば、街中ではとても便利です。キャリアが付いているとスタイリッシュさが失われてしまうという側面もあるので、積みたい荷物の量によって、リアキャリヤやフロントキャリアが付いているモデルを選びましょう。
デフォルトで付いていなくても、後付けできる自転車が多いですが、特にフロントキャリアは車種によって制限を受ける場合もあるので、購入の際に確認しておくと良いでしょう。
カギ、ライト
スポーツタイプの自転車には基本、カギとライトは付いていません。けれども駐輪するたびにカギをカバンから出し入れしたり、ライトを付け外しすると、スピーディーに動けません。色々と用事をこなしたい方は、リング鍵やオートライト付きを選ぶと、駐輪のストレスがなくなります。
パンクに強い、太めのタイヤ
同じ街中、舗装路を走るロード、クロスバイクよりも太めのタイヤが装着されていることが多いです。ロード25mm、クロス28mm〜35mmが中心ですが、コミューターバイクはそれよりも太めが多い傾向です。
タイヤが太くなると、スピードは出にくくなりますが、安定感が増してパンクにも強くなります。乗り心地も良くなるので、街中を安心して走ることができますね。
コミューターバイクはこんなシーンにおすすめ
コミューターバイクはどんな人に向いているのでしょうか。使い方から探ってみます。
ビジネスウェア、制服で乗る
スーツや制服で自転車に乗るならコミューターバイクが最適。ハンドルが体に近いので、ストレッチ性がない洋服でも、無理なく乗ることができます。
片道10km程度の移動
通勤や通学の距離が10km程度であれば、自転車で快適に移動できるでしょう。特にコミューターバイクはスポーツバイクの走行性と、シティーサイクルの快適性を併せ持っているので、自転車初心者の人にも優しい自転車です。
10kmくらいなら、道の状況や、速度にもよりますが、40分から1時間程度で到着できると思います。
生活に運動を取り入れたい
通勤や買い物など、電車や車を使うところを自転車に変えれば、運動になって一石二鳥です。コミューターバイクなら、わざわざエキササイズの時間を別途作らなくても、生活しながら運動できてしまいます。
帰りに買い物したい
スタンド付きで、キャリアやカゴのあるコミューターバイクなら、帰りにスーパーで食材を買うこともできます。そのほか、銀行に寄ったり、クリーニングを受け取ったり。出かけたついでに色々と用事を済ませたい人には、小回りの効くコミューターバイクが最適でしょう。
ブラっと街歩きする
休日に気になる街を訪れる、そんなときにもコミューターバイクが活躍します。色々なお店をのぞいてショッピングして、オシャレなカフェで休憩する。自転車ならではのフットワークの軽さがマックスで生かせる使い方ですね!
セカンドバイクとして気楽に乗りたい
ロードに乗っている人の共通の悩みが駐輪ではないでしょうか。物理的にスタンドがないこと以上に、盗難が怖くて、そばを離れられません。コンビニに寄る数分でもハラハラ、ドキドキです。
自転車が大好きなのに、気軽に自転車に乗れない、そんなジレンマを解決してくれるのが、コミューターバイク。走りやすいし、停めやすい。ちょっと自転車に乗って楽しむのにちょうど良い自転車なのです。
コミューターバイク、おすすめ5台
それでは個性的なコミューターバイクの中から、おすすめの5台をご紹介します。
スタンド、泥除けはもちろん、フロントキャリア、カギ、オートライトまで装備されているので、一台買えば直ぐ街乗りに出発できます。またぎやすいスタッガードフレームに、チェーンカバーも付いているので、スカートでも安心です。オプションで、前カゴも用意されています。 打って変わって、こちらはデフォルトでは何も付いていないシンプルな一台です。ピストなど街乗りバイクのスペシャリスト、FUJIだけに、走りの爽快さには間違いがありません。フロントフォークにダボ穴が3個も付いているので、自分好みにカスタムしたい方にピッタリです。ディスクブレーキ装備なので、雨の日も安心です。 GIOSブルーで有名なイタリアの老舗自転車ブランド、ジオスのミニベロです。タイヤの小さなミニベロは漕ぎ出しが軽く、信号などでストップアンドゴーが多い街乗りに適した自転車。中でも泥除けやフロントキャリアが付いた本モデルは、気楽に、かつオシャレに自転車に乗りたい人におすすめです。オプションで純正のキックスタンドが付けられます。 荷物を積む前提なら、BOXバスケットまで装備しているこちらがおすすめです。リヤにもフロントにも付けることができる、便利なバスケットです。タイヤサイズが前24、後22インチと後ろが小さいので、荷物を積むのもラクラク。小さめのタイヤで重心も低く、荷物を乗せても安定しやすいです。 飛び切りユニークな折りたたみ自転車のご紹介です。たたむと高さ91cm、幅32cm、奥行き25cm、A4サイズの紙の上に収まる超コンパクトサイズになります。重さも8.6kgなので、輪行袋に入れれば電車にも乗せられます。また、駅の特大ロッカーにすっぽり収まります。たたんだとき、スーツケースのように転がせるキャスターもついています。 ブリヂストン マークローザ 7S
フレームサイズ(最低身長) 430(144cm〜)、450(151cm〜) ブレーキ キャリパー(前)、ローラー(後) タイヤ 26×1-3/8(430)、27×1-3/8(450)、センタースリック 変速 1×7段 スタンド サイドスタンド 泥除け 前後輪 装備 オートライト、リング錠、フロントキャリア 重量 15.9kg(430)、16.5kg(450) FUJI TALAWAH(タラワ)
フレームサイズ 15、17、19、21 ブレーキ 油圧ディスク タイヤ 27.5×1.75 ブロック 変速 1×10段 スタンド なし 泥除け なし 重量 12.5kg GIOS PULMINO (プルミーノ)
フレームサイズ (適応身長) 400(150〜175) ブレーキ Vブレーキ タイヤ 20インチ 変速 1×7段 スタンド なし 泥除け 前後輪 装備 フロントキャリア 重量 12.0kg ブリヂストン トートボックスLARGE
フレームサイズ (最低身長) ワンサイズ(148cm〜) ブレーキ Vブレーキ(前)、ローラーブレーキ(後) タイヤ 24×1.95(前)、22×2.215(後)ファットタイヤ 変速 内装3段 スタンド スタンド:両足スタンド ●泥除け:前後輪 ●装備:オートライト、リング錠、リヤキャリア、BOXバスケット ●重量:20.6kg 泥除け 前後輪 装備 オートライト、リング錠、リヤキャリア、BOXバスケット 重量 20.6kg Pacific Cycles Japan CARRYME(キャリーミー)
フレームサイズ ワンサイズ ブレーキ サイドプル(前)、ドラム(後) タイヤ 8インチ 変速 シングルギヤ スタンド サイドスタンド 泥除け なし 重量 約8.6kg
ママチャリとは違うの?
スタンド、キャリアやカゴが付いて、ゆったり姿勢で乗れる自転車と言えば、他にもありました。ママチャリです!では、コミューターバイクとママチャリの違いはどこにあるのでしょうか。
その差とは走行性能です。自転車の「走り」を楽しめるかどうかが、両者の大きな違いです。
ペダルを軽く踏み込んだだけでスーッと進む。道の状況に合わせて変速がキビキビ決まる。ブレーキがしっかり効く。自転車としての基本性能が高くないと、「走り」を楽しむことができません。
ママチャリは値段からも分かる通り、使われている素材やパーツの精度が高くありません。ペダルを回す感覚もスポーツタイプの自転車ほど軽くないし、変速の手応えやブレーキの効き方もシャープではありません。
後ろにも前にもドッサリ荷物を積んで、女性でもフラつかずに走ることができるママチャリは、最強のお買い物自転車です。街中を走るという点では共通していますが、快適に、オシャレに走りたいコミューターバイクとは目指す方向性が異なるのかもしれませんね。
自分好みのコミューターバイクを見つけよう
一言でコミューターバイクと言っても、乗り手によってさまざまなスタイルがあります。ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイクと言ったカテゴライズはいったん無視して、自分にとって、快適に街乗りできる条件、譲れないポイントは何なのかを明確にして、自分に合ったコミューターバイクをゲットしましょう!