グラベルロードとは?
”グラベル”の意味は砂利?
グラベルロードの”グラベル”は砂利などを意味する言葉です。見た目はロードバイクと似ていますが、その言葉が意味する通り『グラベルロード』は、舗装路はもちろん、ロングライド中の舗装されていない脇道や、河原の砂利道や草むらも走る事ができる、走る場所を選ばないオールラウンドなスポーツバイクです。
グラベルロードは、速く走る為に開発されたロードバイクとは違い、さまざまな違う魅力が詰まった自転車と言えるでしょう。
ロードバイクと何が違うのか
ロードバイクと見た目が似ているグラベルロード。多くの方が思う疑問の一つが「ロードバイクと何が違うのか?」ではないでしょうか。見た目が似ている両者の違いを確認していきましょう。
タイヤの太さ
グラベルロードは、ロードバイクに比べ太いタイヤを装着しています。ロードバイクは23c~25cという細いタイヤが主流ですが、グラベルロードは30c~50cという太いタイヤを履いています。太いタイヤは、速く走るには不利ですが、走行時の安定性が向上します。その為、太いタイヤを装着したグラベルロードは舗装路はもちろん、オフロードでも安定した走りが可能になります。
また、グラベルロードのタイヤは、様々なパターンのタイヤがあり、ダートやトレイルを走る時はブロックタイヤを選ぶなど、シーンに合わせたタイヤを選択することもできます。
そしてタイヤの空気圧をロードバイクに比べ、低めにするのも特徴の一つ。太いタイヤは、ロードバイクと同様に高めの空気圧にすると、タイヤが硬くなり過ぎ、乗り心地が悪くなるため、オフロード走行に適さなくなるといった違いもあります。
ディスクブレーキ
グラベルロードには多くのモデルで、制動力が高いディスクブレーキが採用されています。ディスクブレーキは悪路などのコンディションが悪い道でも制動力が落ちにくい特徴があるので、オフロード向きのブレーキと言えるでしょう。
ホイールの固定方式
多くのロードバイクやクロスバイクのホイールの固定方式は、着脱が容易な「クイックリリース」方式が使われています。一方、グラベルロードでは剛性重視の「スルーアクスル」方式が採用されているモデルもあります。MTBでも多く使われる「スルーアクスル」方式は、よりオフロードに適した仕様と言えるでしょう。
乗車時の姿勢
ロードバイクの深い前傾姿勢は高速走行に有利ですが、ロングライドなどでは疲れやすい姿勢です。一方、グラベルロードのアップライトな姿勢は、ロングライドやオフロードでの身体への負担が少ない姿勢と言えます。
またアップライトな姿勢は、オフロード走行時のハンドルが暴れても、バイクコントロールを行いやすい設計と言えるでしょう。
ドロップハンドルの形状
グラベルロードのハンドルはロードバイクのハンドルと違い、悪路でもコントロールがしやすいという特徴があります。ドロップハンドルのカーブはロードよりも滑らかで丸みがあり、どの部分でも握りやすくなっていて、荒れた道でも車体を押さえつけやすいようにハンドル下部分が大きく広がっています。
”シクロクロス”との違い
ドロップハンドルでオフロードも走るスポーツバイクに『シクロクロス』と呼ばれるカテゴリがあります。シクロクロスバイクはロードバイク以上に、グラベルロードと似ている自転車ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
シクロクロスは競技用の自転車
『シクロクロス』は100年の歴史があるスポーツ競技の名称です。雪や泥の中を走る競技として、ロードレース選手の冬のトレーニングとして発展してきました。競技使用を想定して開発された、シクロクロスは、頑丈に作られていて、競技規則に沿って作られています。
一方、グラベルロードは競技に関係のないジャンルなので、各メーカー、特徴のあるモデルが展開されてます。
車体の設計は、シクロクロスは競技に勝つ為の機敏なハンドリングや加速性が重視されますが、グラベルロードはロングライド、オフロード走行時の安定感が重視されて設計されたモデルが多くなっています。
グラベルロードのおすすめの使い方
林道などのトレイルライド
ロードバイクでは走れなかった山の中の道や林道でも、MTBのように走れるのはグラベルロードの大きな魅力のひとつです。
舗装道路と砂利道が混ざった道
河川敷のサイクリングロードなどで、ロードバイクやクロスバイクで走っている時に砂利道に遭遇し、困った経験がある人も多いのではないでしょうか。そんな時も、グラベルロードであれば、道を選ばず走ることができます。
ロングライド
ロードバイクに比べ、路面からのショックを軽減する機能を持つモデルも多くあるのがグラベルロード。路面からのショックが少ないと体への負担も減ることになり、ロングライドも快適に走り続けることができます。
バイクパッキング
グラベルロードは、ダボ穴や、キャリアや泥除けを取りつけるためのネジ穴が多くあり、荷物の積載能力が高い自転車です。グラベルロードは荷物を抱えるキャンプや釣りなど、アウトドアレジャーや旅に活躍できる自転車と言えるでしょう。
実は、通勤や街乗りにもおすすめ
街中を走る場合、細いタイヤのロードバイクは小さな段差も気を使いながら乗りがちですが、グラベルロードの太いタイヤは多少の段差は気にすることなく乗る事が出来ます。また、安定した乗り心地と積載能力は、通勤やショッピングなど、普段使いの自転車としても快適に使えるでしょう。
主なグラベルロードのメーカー
それではグラベルロードをラインナップする主なメーカーをご紹介します。特徴的なのは、アメリカのメーカーが多いこと。広大な国土のアメリカでは、舗装路や整備されていない大自然の道など、様々なルートを走破する自転車の需要が高いと言えるでしょう。
SPECIALIZED
ロードレースで数々の実績を持つSPECIALIZED。世界で初めてマウンテンバイクを量産するなど、オフロードとも縁が深いメーカーです。SPECIALIZEDの作るグラベルロードもその実績が活かされた、オフロード・ロングライドに強いモデルとなっています。
TREK
SPECIALIZEDと同様にロードレースの高い実績を持つTREKは、世界で初めてMTBを作ったゲイリー・フィッシャーを傘下に収めるなど、オフロードやグラベルロード作りも得意としています。冒険をコンセプトに新たなグラベルロードを開発した「Checkpoint」が代表的なモデルです。
GT
BMXから始まる『GT』は、マウンテンバイクを得意とするメーカーで、マウンテンバイク、特にダウンヒルモデルは人気があります。その強いフレーム造りを活かしたグラベルロードは、頑丈なフレームで衝撃吸収性能の高さと安定した走りが期待できるでしょう。
キャノンデール
高品質なアルミフレーム、最初のリアサスペンション導入や片持ちのフロントフォークなど革新的なモデルをリリースしてきたキャノンデールは、グラベルロードも革新的なモデルを展開しています。ミドルグレードでは片持ちのフロントフォークサスペンション・650Bタイヤなど、より広範囲に対応したモデルもリリースされています。
JAMIS
ビーチクルーザーの生産から始まったメーカーのひとつで、JAMISのMTBは数々の受賞歴があります。JAMISのグラベルロードは、ロードバイクのようなシルエットの車体にスルーアクスル・700cと650Bに対応するフレームなどオフロードでの激しい使用にも耐える設計となっています。
グラベルロードの選び方
各メーカーから販売される、各モデルの選び方のポイントをご紹介します。
デザイン&ブランド
やはり選ぶポイントの第一条件として、自分の好きな”見た目”の自転車を選びましょう。もちろん性能の違いも重要ですが、色やデザイン、シルエット、好きなブランドなど見た目が好きなモデルを選ぶ事が、その後、長く愛車を楽しめる秘訣になります。
フレーム素材は何が良い?
ロードバイクやクロスバイクと同様に、フレーム素材は主にカーボン・アルミ・クロモリがあります。一番のおすすめはやはりカーボン。軽さと振動を吸収するカーボンは、グラベルロードに最も合った素材と言えるでしょう。デメリットは高価になる事です。
アルミは、カーボンに比べると衝撃を逃しにくい素材です。モデルによってはフロントフォークのみカーボンだったり、サスペンションをつけて衝撃を抑える工夫がされているモデルもあります。価格が安くなるのはメリットです。
クロモリは、しなやかな乗り心地が、ロングライドに適していると言えますが、サビに弱い点と車体が重くなるデメリットがあると言えるでしょう。
コンポーネントは?
多くのモデルはロードバイク用のコンポ-ネントをベースに、MTB用のコンポを組み合わせたりしています。2019年にシマノからリリースされるグラベルロード専用コンポ「SHIMANO GRX」は、グラベルロード専用のコンポーネントです。今後、完成車で装備されているモデルも出てくると予想されますので、選択の候補としても良いでしょう。
ディスクブレーキは油圧式?機械式?
ディスクブレーキは「油圧式」と「機械式」の2種類あります。油圧式は自動車で使われているブレーキと同じ構造のブレーキです。オイル交換などのメンテナンスが必要ですが、軽いタッチでブレーキが可能です。機械式はキャリパーブレーキと同様にワイヤーを引くので、タッチはやや重くワイヤーも劣化による定期的な交換が必要です。
「油圧式」が制動力が高く、乗りやすいですが、機械式より高価になるので、予算や使い方によって検討しましょう。
グラベルロードおすすめモデル6選
10万円代から30万円代まで、各価格帯のおすすめモデル6選をご紹介します!