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水の街、三島。新幹線で日帰りサイクリングにちょうどいい

東京や神奈川から、新幹線で気軽にアクセスできる距離にありながら、自然と歴史がしっかり息づく街。それが三島です。
首都圏からアクセス良好。新横浜から約40分

輪行のハードルになりがちな移動時間も、三島なら現実的。
新横浜から新幹線で約40分と近く、朝出発でも余裕を持って楽しめます。「思い立ったら行ける距離感」は、日帰り旅において大きな魅力です。
「新幹線」を使った輪行がポイント

新幹線には「特大荷物スペース」付き座席が用意されており、この席を予約しておくことで輪行の安心感は大きく変わります。
この座席は各車両のいちばん後ろにあり、背面のスペースをそのまま専用の荷物置き場として使える仕組みです。つまり、自分の自転車を確実に置ける“確保されたスペース”がある状態になります。

輪行でよくある、「置き場所がなくて周囲に気を使う」「通路やデッキで自転車を支え立ち続ける」といった不安は、この座席を予約することでほぼ解消できます。自転車を他の乗客の迷惑にならない位置に安定して置けるため、移動中も落ち着いて過ごせるのが大きなメリットです。
コンパクトな街に、自然・歴史・グルメが凝縮
三島の良さは、街のサイズに対して体験の密度が高いこと。清流、神社、グルメ、カフェといった要素がコンパクトにまとまっています。その「距離感」が自転車と相性も抜群。バスやタクシーでは不便、歩くには遠い、そんな観光スポット間の移動も、自転車だとちょうど良く、移動時間も大いに楽しめる街です。
【総距離12km】のんびり日帰りサイクリングルート
今回の日帰り三島旅のコースをご紹介します。
ルート上の総距離は12.4km。最初の瀧川神社の往復の途中に少しだけアップダウンがありますが、それ以外は平坦な街中を、川の流れを楽しみながらのんびり走ります。
【ルート】
三島駅 → 瀧川神社 → うなぎランチ → 三嶋大社 → 源兵衛川 → カフェ休憩 → 柿田川公園 → 三島駅
それでは、三島駅から出発します!
三島駅から瀧川神社をGO!

自転車を輪行袋から出して展開。9時30分ごろ瀧川神社に向けて出発します。瀧川神社は、三島市の中心地から北東3kmほどに位置します。

新幹線のガードをくぐって北側に出るとすぐに住宅地。坂を少し登ります。鳥が羽根を広げたような雲に、気分も上がります。

振り返ると、「かわせみトンネル」越しに富士山が。「かわせみトンネル」は、三島市内から国道1号、伊豆縦貫道の三島加茂ICや、箱根方面に繋がる重要なアクセス道。三島市の鳥であるカワセミのイラストが描かれています。
途中で横道に入ると、周りは一気に山の中。のんびりした空気が流れます。

そんな山の中に瀧川神社はポツンとありました。

人気パワースポット「瀧川神社」に到着

10時過ぎに「瀧川神社」に到着。距離は3km、獲得標高は42mなのですが、三島駅から30分ほどかかりました。Googleマップを確認しながら、風景を楽しみながら、のんびりやって来ました。
水の音に包まれる境内

瀧川神社は三嶋大社と同じ頃に出来たと言われ、古い歴史があります。この神社に祀られているのは「瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)」。水神、あるいは龍神ともいわれているようですが、古事記、日本書紀には登場しない謎の多い女神です。
境内には箱根西麓の森林を水源とする山田川が流れ、湧水がいくつもの滝となって注ぎ込み、神聖な空気にあふれます。観光地らしい賑わいはほとんどない、知る人ぞ知るパワースポットです。

境内に入る前から耳に届く水の音。せせらぎと言うには力強く、滝と言うにはやさしい。その中間のような音が、絶えず響いています。
滝を目の前にするベンチに座ると、滝の音、水の流れる音に全身を包まれ、吸い込まれていくような感覚。まさに浄化されるようなひと時でした。

参拝を終えたら、再び三島市街地に向かいます。
三島に来たら外せない。名物うなぎランチへ 「すみの坊」
お昼どきの混み合う時間の前に、三島のうなぎ店を目指します。

山道からまた市街地に戻ります。三嶋大社への標識が見えて来ました。行きと帰りはほぼ同じ道でしたが、迷わなかったので、15分ほどで戻って来ることができました。

三島のうなぎ「御三家」の一つと言われる「すみの坊 大社前店」は、三嶋大社の目の前にありました。サイクリング中でも立ち寄りやすい立地です。
三島のうなぎを味わう!!

平日の12時前ということもあり、カウンター席にスムーズに入ることができました。うなぎ一尾のうな重、「愛鷹(あしたか)」を注文。
ちなみに1.5尾は「箱根」、2尾は「富士山」。いずれも三島から見える山の名前だそうです。
一般的に、うなぎ屋さんといえば待ち時間が長いイメージですが、それほど待たずに運ばれてきました。提供が早いのはサイクリング向き、助かります。

富士の湧水にさらし、余分な脂と臭みを落としたうなぎは、驚くほどやわらかく、臭みもまったくなし。口の中でほどけるような食感で、気づけばあっという間に完食していました。今まで食べてきたうなぎとは一味も二味も異なる食感に感動。これなら1.5尾でも楽勝だったかも。
そして印象的だったのが、水の美味しさ。ここでも三島の“水の良さ”を実感しました。
三島のうなぎ屋さんは、水曜日定休が多め?
150年以上の歴史を誇る老舗の「桜屋」はじめ、いくつかのお店が水曜日定休でした。ちなみに「すみの坊」の定休日は火曜日。いずれも週末にはかなり混雑するようなので、それを避けて平日に出かけるのであれば、お目当てのお店の定休日は確認しておくと良いです。
緑と歴史に包まれる、三嶋大社をのんびり参拝
さて、大満足の食事の後は、「すみの坊」の目の前にある三嶋大社を訪れます。

三嶋大社の大鳥居前の自転車を停めて、いざ三嶋大社に。

三島を代表するスポットであり、街の中心的存在ともいえる三嶋大社。貫禄ある空気感に包まれています。
三嶋大社とは?

三嶋大社 は、静岡・三島の中心にある由緒ある神社で、伊豆国の一宮(その地域で最も格式の高い神社)として古くから信仰を集めてきました。
源頼朝が深く信仰していたことでも知られ、歴史好きにも人気のスポットです。
「神池」に包まれた境内

境内は広々としていて、豊かな緑に囲まれた穏やかな空間。大きな「神池(しんち)」が静かに広がり、水辺ならではの落ち着いた雰囲気をつくり出しています。
参道を歩くだけでも心地よく、ついゆっくり過ごしたくなる場所でした。立派な桜も立ち並び、桜のシーズンにはとても見応えがありそうです。

北条政子が信仰し、この地に勧請したと伝えられる厳島神社。

樹齢1200年を超え、天然記念物の指定を受ける金木犀の巨木もありました。季節ごとに表情が変わるのも魅力です。
本殿改修情報(2026〜2028)

なお、今回訪れた際には、本殿の改修工事が行われており、残念ながら本殿を参拝することができませんでした。
自転車を降りて楽しみたい、源兵衛川の清流散歩
三嶋大社を参拝したら、いよいよ水の街・三島を体感します。三島の魅力を語るうえで外せないのが、源兵衛川はじめ、街なかを流れる清流の存在です。

三島の街の真ん中を流れているのが桜川。三島駅の南にある菰池公園を水源とし、三嶋大社までの1キロほどを流れる川です。

三島駅にほど近い「楽寿園」には、富士山の伏流水が湧き出る「小浜池」があります。その小浜池を水源とするのが蓮沼川。かつて楽寿園が小松宮別邸であったことから、「宮さんの川」の愛称で呼ばれ親しまれています。

いよいよ源兵衛川にやって来ました。三島を代表する清流、源兵衛川。
三島駅にほど近い市立公園、楽寿園にある「小浜池」を起点として、約1.5km南の「中郷温水池公園」まで、三島の市街地を流れています。
街中に流れる透明な水

三島市は、「水の郷百選」に選ばれた水の都として知られています。 富士山の伏流水が、街中のいたるところで湧き出ているめずらしい地域なのです。夏には子供たちが水遊びする姿も見られ、生活の中に「せせらぎ」が溶け込んでいる、とてもうらやましい環境が整備されています。
木道・飛び石の体験

5月から6月にかけては、蛍を鑑賞できることからも、川の水質の良さが分かります。川の中に木道や飛び石で散策路が整備され、川のせせらぎの上を歩くように楽しむことができます。ここは自転車を降りて楽しみます。なお残念ながら、自転車で並走できる道はありませんでした。
コーヒーでひと息|ローカルな一杯との出会い cafe dusk
三島の清流を楽しんだあとは一休み。チェックしていたコーヒースタンドを探します。Googleマップで、行ったり来たり。こんなときにも、自転車の機動力が光ります。

三島の街は、コンパクトで歴史を感じられつつも、新しいおしゃれなお店も多い印象。天気が良ければ、富士山が見えるのもテンション上がります。

目指したのは、「Wednesday Coffee Roaster」。さまざまな焙煎度合いのコーヒーを提供してくれるということで、ここに決めました。
割とスムーズにたどり着きましたが、何だかお店の名前が違う。
間借り営業というユニークさ

どうやら「Wednesday Coffee Roaster」は水曜日定休で、その定休日に間借りで「cafe dusk」という別のカフェが営業している模様。危ない、助かった!
コーヒーとケーキを味わう

「cafe dusk」は普段、沼津で営業しているお店だそうです。本格コーヒースタンドで、焙煎度を選べるのは「Wednesday Coffee Roaster」と同じ。おすすめしてもらった中深煎りのコロンビアは、コロンビアのクリアな印象を覆すような複雑な味わいと、爽やかな風味が共存するとても美味しいコーヒーでした。
自家製の「いちごと米粉のバスクケーキ」は、素材のバランスが絶妙で、やさしく奥行きのある味わい。コーヒーとの相性も抜群でした。店内の落ち着いた雰囲気も心地よく、自然と長居したくなります。

そして、お水がやっぱり甘い!この水を使ったコーヒーを毎日飲めるなんて、本当にうらやましい!くつろぎの時間で元気をチャージ、最終目的地、柿田川公園を目指します。
柿田川公園|日本屈指の湧水スポットへ
柿田川公園は、三島市のお隣町、清水町に位置します。三島駅からの距離は2.6km。歩くと30分以上かかりそうですが、自転車なら15分足らず。国道1号線を走ります。

知らない街の空気を感じながら、着実に目的地に近づいていくのも、自転車の醍醐味です。柿田川駐車場の大きな看板を目印に左折、2輪専用の駐輪場に自転車を停めます。


駐車場は有料ですが、二輪車専用スペースがあり、バイク、自転車は無料で停められます。この日は平日ということもあり、他に停めてある二輪車はありませんでした。

駐車場の向こうには、おしゃれなレストランや蔵を利用したカフェ、お土産ショップなどもあり、楽しげな風情です。
すべて「湧き水」で出来た柿田川

「柿田川」は、富士山の雪解け水が長い年月をかけて湧き出した川。全長約1.2kmと、日本一短い一級河川なのだそう。そのすべてが湧き水で成り立っています。高知の四万十川、岐阜の長良川と共に、日本三大清流に数えられると知って、とても驚きました。
その柿田川の最上流部分に整備されているのが「柿田川公園」。展望台を巡る遊歩道が整備され、湧き水が砂と共に湧き出す「わき間」(湧き水の湧き出し口)や、中流の大パノラマを楽しむことができます。
第二展望台の青い湧水

いちばんの見どころは、第二展望台から見える湧水。透明度の高さは圧巻で、神秘的な青色の「わき間」を見ることができます。深い青色の水が静かに湧き続けるようすは、思わず見入ってしまう美しさです。
木製八つ橋もおすすめ

さらに木立の中の遊歩道を進みます。木製の橋を歩いていると、突然目の前に柿田川の中流域が出現。
今まで森の中にいたのに、突然、大河のほとりに迷い込んだような不思議な感覚に包まれました。豊富な富士山からの湧き水に圧倒されます。
湧き水をいただく

園内には、湧き水を自由に汲めるスポットもあります。実際に飲んでみると、驚くほどやわらかく、ほんのり甘さすら感じる味わいでした。
ポリタンクに水を汲んでいる地元の方もいたので、私も500mlのペットボトル1本分のお水をお土産にいただきました。
名物「トーフアイス」体験

公園内散策に加えて、お土産の売店やおしゃれなカフェ、レストランがあるのも楽しみの一つです。
水が美味しい土地らしく、豆腐も名物。その豆腐を使った「トーフアイス」は、しっかり豆腐の風味がありつつ、甘さ控えめでさっぱり。サイクリング途中の休憩にもぴったりです。

そして、お土産に買ったのはワサビのり。ワサビといえば清流が命。自転車で持ち帰るにはコンパクトさが肝。甘さで飽きてしまいがちな海苔の佃煮ですが、わさびがピリッと効いてとても美味しかったです。コンパクトさが残念なくらいでした!

こうして見どころ、楽しみどころ満載の柿田川公園を後にして三島駅へ戻ります。
国道1号から三島市街地へ。1日走ったので、方向音痴でも15分ほどでスムーズに三島駅に到着。

充実した三島日帰り旅でしたが、心残りは「三島コロッケ」。お腹が空いていたら、帰りに駅で買おうと思っていたら、売り切れになっていました!
実走して感じた|三島サイクリングの魅力まとめ
実際に走ってみて感じた、三島という街の魅力をまとめます。
水が主役の街だった

川の音、湧き水、飲み水、グルメ、三島ではさまざまな「水」を体験しました。三島の豊かな水は、景色の美しさだけでなく、うなぎをはじめとする食の魅力も支えていました。
その水が、長い年月をかけてたどり着いた富士山の伏流水だと思うと、どこかロマンを感じずにはいられません。
日帰りなのに旅情がある

アクセスは良いのに、ちゃんと遠くへ来たような感覚がある三島。自然、文化、歴史。そのバランスが絶妙で、多くの発見があるとても奥行きのある街でした。
今回はあいにく雲が多かったので富士山をほとんど見ることができませんでしたが、天気が良ければ街角で富士山のさまざまな表情を見ることができるのも、三島の魅力です。
自転車で巡ると楽しい街

最初に訪れた瀧川神社、そして旅を締めくくった柿田川は、市街の中心から少し離れています。車を使えば駐車場問題があり、バスや電車だと時刻や駅の場所にしばられます。
その点、自転車なら自由気ままに楽しめます。天候さえ良ければ、三島は自転車で巡るのがベストな街でした。
新幹線輪行で三島へ行くなら、知っておきたい注意点
最後に、実際に輪行して感じた注意点をまとめておきます。これから行く方の参考になれば幸いです。
「特大荷物スペース」は予約できても万全ではないかも

新幹線の「特大荷物スペース」は、1座席の予約では独占することができません。なぜなら隣に座る人も、荷物を置く可能性があるからです。基本的には、譲り合って使うことが前提となります。
今回、往きの新幹線に乗車したとき、すでに隣には乗客が乗っており、特大荷物スペースには大きなスーツケースが置かれていました。自転車を置くスペースは余っていなかったので、仕方なく、座席の足元になんとか自転車を置きました。
すると小田原で、隣ではなく前方に乗っていた乗客の方が、そのスーツケースを持って降りたのでした!隣の人の荷物ではなかったのです。隣の方も、座席を倒すこともできず、大変だったことでしょう。
このように、「特大荷物スペース」を予約できたとしても、完全には安心できない、というのが今回の経験で実感しました。
デッキにある「荷物置場」は予約なしで使える

新幹線には、デッキ部分に「荷物置場」があります。以前はこちらも予約制でしたが、現在(2026年5月時点)は、試行的に事前予約不要で使えるようになっています。早い者勝ち、ということですね。
なお、この「荷物置場」は、東海道新幹線の場合、複数のデッキに設置されていて、3辺の合計が160cm以下の荷物を置くことができます。
詳しくはJR東海ホームページでご確認ください。
新幹線輪行、出口選びも大事
観光の流れで三島の南口に出ましたが、南口は新幹線ホームからはかなり遠く、重たい自転車を持って結構歩いた上に、階段を上り下りすることになりました。
帰りは北口から新幹線に乗ったら、あまりの近さに拍子抜け。三島に限らず、とにかく近くの出口に出ちゃうのが輪行の鉄則ですね。自転車は運ぶより乗るに限ります!
三島へ、輪行してみませんか?

新幹線で気軽にアクセスできて、自転車でちょうどよく巡れる三島。清流、うなぎ、歴史、カフェと、日帰りとは思えないほどの満足感がありました。
少しだけ日常を離れたいとき、三島はきっとちょうどいい旅先になります。