乗り味を左右する、ロードバイクのタイヤ

ロードバイクのタイヤは、車体性能に関わる重要なパーツのひとつ。車体の軽さ、加速のしやすさ、グリップ力、乗り心地、耐久性などがタイヤによって変わります。
「タイヤに種類なんてあるの?」と、疑問に思う初心者ライダーもいるでしょう。実はタイヤの種類って、かなり細かいんです。細かすぎて、沼にハマる人もいますよ。
タイヤの種類と特徴を知っていると、理想の走りができるタイヤを見つけられます!ではさっそく、解説していきます。
ロードバイクのタイヤは3種類
ロードバイクのタイヤは、それぞれ構造の違う「クリンチャー」、「チューブレス」、「チューブラー」の3タイプに分かれます。
クリンチャー

タイヤの内側にチューブを入れて仕様するタイプ。もっとも一般的なタイヤです。
【メリット】
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【デメリット】
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チューブレス

ホイールとタイヤの密閉度を高め、チューブは入れずに使用するタイプ。同じチューブレスでも、タイヤの中に「シーラント」という液体を入れて使用する場合は、”チューブレスレディ”と呼ばれたりします。シーラントとは、小さな穴をふさぐ効果があるため、パンクしにくくなります。
【メリット】
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【デメリット】
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チューブラー

チューブと一体化したタイヤを、接着剤やテープでホイールに貼り付けて使用するタイプ。レースで使用されることが多いタイヤです。
【メリット】
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【デメリット】
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ロードバイクのタイヤ幅の違い
ロードバイクは、タイヤ幅が23mm~30mm前後のタイヤを装着します。表記では、「700×〇〇C」となっており、”〇〇C”の部分が、タイヤ幅を指しています。
タイヤ幅が細いと軽くてスピードが出しやすいく、太いと乗り心地が良く安定感があるといった特徴があります。
では、それぞれのタイヤ幅でどんな違いがあるのか、具体的なポイントをみていきましょう。
23mm幅

一昔前のロードバイクで主流だったタイヤ幅で、細く・軽量なのが特徴。ヒルクライムなど、軽さとスピードを求めるレースに向いています。
ただし、空気圧が高いため、路面からの振動が体に伝わりやすくなります。また、ちょっとした段差や溝にタイヤが取られやすく、ハンドリングにも気を使います。
ホイールのリム幅が19Cなどワイドな場合、タイヤが脱輪してしまうリスクもあります。23mmを装着したい場合は、ホイールが対応しているか確認しておきましょう。
25mm

現在のロードバイクで主流になっているタイヤ幅。安定感があり、乗り心地に優れています。
デメリットとしては、23mmよりやや重量が大きくなることです。しかし現在の主流のタイヤ幅でもあり、軽量な25mmタイヤのラインナップも豊富です。
28mm

25mmの次に主流なタイプ。長距離サイクリングなど、快適性を重視するモデルに使用される場合が多いです。
幅が広くなる分、安定感が増し、乗り心地はよくなります。その反面、ロードバイクらしい軽やかな走り、加速感がやや劣ることもあります。
30mm以上

あらゆる路面に対応できるようになるのが、30mm以上のタイヤ幅です。
クッション性が高く、荒れた路面の上も難なく走行できる幅は、乗り心地がかなりいいと言えます。しかし、太く、重量もあるため、スピードは出しづらくなります。
タイヤを選ぶ時のポイント6つ
ロードバイクのタイヤなら、何でも装着できるわけではないんです。自分の車体に合うものを選びましょう。
ここでは、初心者がタイヤを選ぶ時に気を付けたいポイントを、6つご紹介します。
ホイール径
ホイールの直径である「ホイール径」に合わせたタイヤを選ぶ必要があります。
いまやロードバイクでは、700Cホイールが主流になっているので、ロードバイク用タイヤも基本的に700Cが展開されています。稀にやや小径の「650B」規格のタイヤがあるため、選ぶ際にはチェックしておきましょう。
タイヤ種類に合うリム形状

ホイールが「クリンチャー」「チューブレス」「チューブラー」かを確認しましょう。
基本的にそれぞれに互換性はないため、ホイールに合ったタイヤを選びましょう。ただしチューブレス用ホイールは、クリンチャーで運用することもできるため、クリンチャータイヤも装着できます。
タイヤ幅
タイヤ幅が狭い場合、ワイドリムのホイールに装着できない場合があります。「ホイールのリムの内幅」を確認の上、タイヤの適合リム幅をチェックしておきましょう。
逆に、タイヤ幅が極端に太い場合、フレームに干渉してしまうことがあります。不安な場合はプロショップで相談してみましょう。
タイヤの溝(トレッドパターン)

タイヤの溝を、「トレッドパターン」と言います。水はけが良かったり、制動力が高い、安定感があるなど、役割が違います。
しかし、そもそも接地面積が狭いロードバイクのタイヤは、溝のデザインで性能に大きな差が出ることはありません。
タイヤの素材
幅だけでなく、素材によっても乗り味は変わります。あわせてチェックしておくのもいいでしょう。
タイヤの性質を決める「コンパウンド」とは、地面に接する面に使用されるゴム素材のこと。硬いゴムは転がり抵抗が少ない、柔らかいゴムはグリップ力があり、乗り心地がいいなどの特徴があります。
また、タイヤのパッケージによく、「〇〇TPI」という記載がされてます。TPIとは、タイヤの繊維(ケーシング)の量を表しており、TPIの数値が大きいほど、グリップ力・乗り心地・耐久性が高くなり、質の良いタイヤと言われます。
好みのデザインやカラー

カスタマイズを楽しむなら、好きなカラーリングのタイヤで、アクセントを付けるのもありです。見た目の印象がグッと変わるので、オリジナリティーを出したい人におすすめです。
【定番】クリンチャータイヤおすすめ6選
実際にはどんなタイヤがあるの?という方のために、タイプ別におすすめタイヤをご紹介していきましょう!まずは、初心者でも取り扱いやすい、クリンチャータイヤです。
Panaracer(パナレーサー) AGILEST DURO
タイプ | クリンチャー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23、25、28mm |
ビード径 | 622 |
カラー | 黒 |
重量 | 210g(23mm)、220g(25mm)、250g(28mm) |
参考価格(税込み) | 6,820円 |
軽量&強靭なレーシングタイヤ
パナレーサーの定番タイヤ「AGILEST」を、さらに軽量化。加えて、耐パンク性能もアップ!軽い・速い・パンクに強いの3拍子が揃う、クリンチャータイプ究極のレーシングモデルです。レースから長距離サイクリングまで、幅広く対応できるでしょう。
CONTINENTAL(コンチネンタル) Grand Prix 5000
タイプ | クリンチャー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23、25、28、32mm |
ビード径 | 不明 |
カラー | 黒、黒×トランスパレントスキン |
重量 | 200g(23mm)、225/230g(25mm)、240/245g(28mm)、285g(32mm) |
参考価格(税込み) | 11,000円 |
コンチネンタルを代表する、高級レーシングタイヤ
圧倒的な転がり抵抗の低さ、加速のしやすさが特徴のレーシングタイヤ。初心者でも、出せるスピードの違いが実感できるモデルと言えるでしょう。定価1本1万円と、手軽に購入できる価格ではありませんが、とにかく速く走りたい!という人におすすめです。
CONTINENTAL(コンチネンタル) ULTRA SPORT 3
タイプ | クリンチャー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23、25、28mm |
ビード径 | 不明 |
カラー | 黒 |
重量 | 245g(23mm)、265g(25mm)、295g(28mm) |
参考価格(税込み) | 3,630円 |
コンチネンタルを手軽に体感
「ピュアグリップコンパウンド」を採用した、コンチネンタルのエントリーモデル。優れたグリップ力、耐パンク性に加え、長持ちなのが特徴。お手頃価格でコンチネンタルの性能が楽しめる、コスパに優れたクリンチャータイヤです。
Panaracer(パナレーサー) Category S2
タイプ | クリンチャー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23、26mm |
ビード径 | 622 |
カラー | 黒、白、青、空色、緑、黄、赤、桃、ココナッツミルク、ライムグリーン |
重量 | 240g(23mm)、260g(23mmココナッツミルク)、240g(26mm)、280g(26mmココナッツミルク) |
参考価格(税込み) | 2,515円 |
選べる10色で、車体にアクセントを
「気軽に楽しめるロードバイクタイヤ」がコンセプト。カラーラインナップ豊富で、全10色から選べます。好きな色でもいいし、フレームカラーに合わせるのもいいですね。お手頃価格なのも嬉しいモデル。
BRIDGESTONE(ブリヂストン) R1S-EXTENZA
タイプ | クリンチャー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23mm |
ビード径 | 不明 |
カラー | 黒 |
重量 | 145g |
参考価格(税込み) | 6,930円 |
ヒルクライムで勝つ!最軽量モデル
クリンチャータイヤの中では超軽量の、重さ145g!幅は23mmしかありませんが、とにかく軽いタイヤがいい!そんな人におすすめのモデルです。よりスピーディーな走りを実現するため、「ダブルクラウンアール」という断面形状を採用しています。
SCHWALBE(シュワルベ) LUGANO 2(ワイヤービード)
タイプ | クリンチャー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23、25、28、32mm |
ビード径 | 不明 |
カラー | ブラック、ブルーストライプ、レッドストライプ、ホワイトストライプ、クラシック |
重量 | 325g(23mm)、365g(25mm)、400g(28mm)、420g(32mm) |
参考価格(税込み) | 2,640円 |
トレーニングにも使えるエントリーモデル
耐パンクベルトとシリカコンパウンドにより、バランスのとれた性能のクリンチャータイヤ。ベージュのアクセントがおしゃれな「クラシックスキン」は、細身のクロモリフレームなど、昔ながらのデザインをした車体によく似合いますね。カラータイヤは、幅25mmのみ。
▼▼クリンチャータイヤをより詳しく知りたい方はこちら▼▼
【乗り味にこだわる】チューブレスタイヤおすすめ3選
次に、乗り心地良くパンクに強い、チューブレスタイヤをご紹介します。
CONTINENTAL(コンチネンタル) GRAND PRIX 5000S TR
タイプ | チューブレスレディ |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 25、28、30、32mm |
ビード径 | 不明 |
カラー | 黒、黒×トランスパレントスキン |
重量 | 250g(25mm)、280g(28mm)、300g(30mm)、320g(32mm) |
参考価格(税込み) | 13,000円 |
チューブレスレディ仕様のレーシングモデル
チューブレスタイヤがパンクする原因の一つである、サイドカットに強い構造をしたモデル。パンクに強いのは、レースだけでなく、長距離サイクリングでも安心感がありますね。タイヤ幅は、32mmまでラインナップ。フックレスリムにも対応しています。
Panaracer(パナレーサー) AGILEST TLR
タイプ | チューブレスレディ |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 25、28、30mm |
ビード径 | 622 |
カラー | 黒 |
重量 | 220g(25mm)、250g(28mm)、270g(30mm) |
参考価格(税込み) | 7,370円 |
パナレーサー定番のチューブレスレディタイヤ
軽さ、耐パンク性、グリップ力、しなやかさと、圧倒的バランスの取れたチューブレスレディタイヤ。サイクリングだけでなく、レースシーンでも使えるオールラウンダーです。幅は30mmまでラインナップ。
iRC(アイアールシー) FORMULA PRO TUBELESS RBCC
タイプ | チューブレス |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 25、28、30mm |
ビード | フォールディング |
カラー | 黒 |
重量 | 270g(25mm)、310g(28mm)、335g(30mm) |
参考価格(税込み) | 9,240円 |
ドライからウェットな路面まで、優れたグリップ力
チューブレスタイヤのパイオニア、iRCを代表するフラッグシップモデル。優れたグリップ力は、安定感のある走りを。低めの空気圧に設定すれば、乗り心地も快適に。コントロール性を高めるトレッドパターンも採用。オールマイティに使えるタイヤです。
▼チューブレスタイヤをより詳しく知りたい方はこちら▼
【レース向けの本格派】チューブラータイヤおすすめ3選
最後は、軽さと速さを求めたい本格志向の方向け、チューブラータイヤのご紹介です。
Vittoria(ヴィットリア) RUBINO PRO
タイプ | チューブラー |
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サイズ | 28インチ |
幅ラインナップ | 23、25、28mm |
ビード径 | TU |
カラー | 黒 |
重量 | 285g(23mm)、295g(25mm)、335g(28mm) |
参考価格(税込み) | 10,560円 |
バランスのとれたオールラウンダー
軽量、スピード、しなやかさ、グリップ力と、トータルバランスに優れたレーシングタイヤ。素材には「グランフェン2.0コンパウンド」を使用しており、濡れた路面の上でも高いグリップ力を発揮。すべてのコンディションに対応できる、チューブラータイヤです。
Panaracer(パナレーサー) AGILEST TU
タイプ | チューブラー |
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サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 25mm |
ビード径 | TU |
カラー | 黒 |
重量 | 260g |
参考価格(税込み) | 10,780円 |
プロレーサーも使用する本格モデル
新開発の「ZSG AGILEコンパウンド」を採用することで、転がり抵抗の軽減と、高いグリップ力を実現。耐パンクベルトの性能もアップ。レースシーンでは、最大のパフォーマンスを発揮できるチューブラータイヤでしょう。
MICHELIN(ミシュラン)/パワーコンペティション チューブラー

車のタイヤでもおなじみ、ミシュランのチューブラータイヤ。素材には、コットンケーシングと、ラテックスチューブを使用。安定感としなやかな乗り心地を味わえるでしょう。
タイプ | チューブラー |
サイズ | 700C |
幅ラインナップ | 23、25、28mm |
ビード径 | 不明 |
カラー | 黒 |
重量 | ・260g(23mm) ・280g(25mm) ・300g(28mm) |
参考価格(税込み) | ・700×23C/12,760円 ・700×25C/13,200円 ・700×28C/13,200円 |
▼▼チューブラータイヤをより詳しく知りたい方はこちら▼▼
タイヤ交換する時期の見分け方

タイヤには寿命があります。定期的にタイヤ交換をしましょう。一般的な目安は、走行距離3,000~5,000kmと言われています。
またトレッドパターンや、スリップサインがすり減っていたり、ひび割れが起きている場合は、交換していいタイミングです。
初心者でもできる!クリンチャータイヤの交換

タイヤ交換は難しい!と思いがちですが、クリンチャータイヤなら、慣れてしまえば、初心者でも数十分で交換できるようになりますよ。ここでは簡単に、タイヤ交換の手順をお教えしましょう。
用意する物は、新しいタイヤ、タイヤレバー2本、空気入れのみ。手が汚れないよう、軍手もあるといいですね。ぜひチャレンジしてみてください。
【手順】
- 1.タイヤの空気を全て抜く
- 2.タイヤとリムの間にタイヤレバー1本を引っかける
- 3.タイヤのビードを持ち上げたら、スポークにレバーを固定
- 4.もう1本のレバーを使って、タイヤをリムからすべて外す
- 5.チューブを抜く
- 6.新しいタイヤを、片面だけリムにはめる
- 7.チューブに少しだけ空気をいれ、タイヤの中に入れる
- 8.タイヤをすべてリムにはめる
- 9.空気を入れてビードを上げる
- 10.タイヤがきちんとハマったら、適正圧まで空気を入れて完了
▼▼もっと詳しく手順を知りたい方はこちら▼▼
種類豊富なロードバイクのタイヤで、乗り味を楽しもう
ロードバイクのタイヤは、とにかく種類豊富。どれが自分に合うのかなんて、最初はわからないでしょう。そんな時は、いろいろなタイヤを試して、乗り味の違いを楽しむのもありですよ。
手軽にカスタマイズできるタイヤ交換で、理想の走りを手に入れましょう!