チューブラータイヤを交換しよう
タイヤとチューブが一体化した種類のタイヤシステムを「チューブラー」と呼びます。
チューブラータイヤのおさらい
チューブラータイヤは、ロードバイクで一般的に使われるクリンチャーやチューブレスとは、以下のような違いがあります。
チューブラー:チューブとタイヤが一体型
クリンチャー:チューブを使用する
チューブレス:チューブを使用しない
そして、上記画像のように、チューブラータイヤは、チューブラーホイールにはビードを引っかけるフックがなく、「テープ」または「接着剤」で、ホイールと固定するのが特徴です。
「接着するだけで、タイヤが固定できるの?」と不安になりますが、正しくセッティングできていれば想像以上の固定力を発揮します。手で引っ張ったところでタイヤが剥がれることもなく、高速域でのコーナリングでもヨレることなく安定します。
チューブラーが敬遠される理由の一つに「タイヤ交換がめんどくさそう…」と思われることがあります。しかし意外と面倒なことも少ないと、普段、チューブラータイヤを使う筆者は思っています。
それでは、交換時期や交換方法を確認していきましょう。
交換時期はいつ?
交換時期も、チューブラーならではの注意点があります。
「1年経ったらタイヤ交換」という基準があります。長期間経過するとテープや接着剤の接着力が落ちて、固定力が弱まるためです。
また走行距離が5,000kmに達したときも、交換タイミングになります。路面と接するトレッド面が摩耗していないか、サイド面に亀裂が入っていないか、ゴムが劣化していないかも確認しておきましょう。
接着方法は2種類
繰り返しになりますが、チューブラーの場合はホイールとタイヤは「接着」して、固定されています。
そして接着方法には、リムテープとリムセメント(接着剤)の2種類があります。
テープを「リムテープ」、接着剤を「リムセメント」と呼んで区別しますね。(リムテープというと、クリンチャーホイールのニップル穴をふさぐためのリム内面に貼る非粘着質テープをイメージしますが、この記事ではタイヤを張り付けるための粘着質テープのことですよ)
それぞれの構造の違いと、メリットとデメリットを見ていきましょう。自分にあった、用途や好みによって、接着方法を使い分けましょう。
「リムテープ」で接着
リムテープとは、名前の通り両面テープのことです。
メリット①作業中に手が汚れにくい
両面テープなので手やホイールが汚れにくいメリットがあります。リムセメントは、接着剤なのでべたべたとくっついてしまうので、作業に要注意です。
メリット②ブレーキの耐熱性
リムテープの方が耐熱性が高いと言われています。これはリムブレーキのホイールに限ったことですが、長い下りでブレーキングしている際にはリムセメントの方がズレやすい現象も起こるようです。
デメリット①剥がしを失敗すると後処理が大変
リムにテープが残ると大変です。テープがぶちぶちと切れてしまい、リム内面にテープのカスが残ってしまいます。そうなるとドライヤーで温めながら根気よく爪で剥がしていくしかありません。
「リムセメント」で接着
セメントと名前がついていますが、黄味がかった半透明の粘着剤です。
メリット①接着力
水が泥といった過酷な環境でも、高い接着力を発揮できます。リムテープだと水分に弱く、接着面がズレてしまうこともあります。水や泥を被りやすいシクロクロス競技においても、高い接着力を発揮できるのがリムセメントの強みです。
メリット②リムを保護するための保護層を作れる
カーボン素材のリムの場合、タイヤ交換によって表面層が剥がれるケースもあります。それを防ぐため、あらかじめリムセメントで土台となるほど層を作っておきます。その上にリムセメントをさらに接着層として塗ることでリムの保護ができます。
デメリット①乾燥時間が必要
接着剤が乾くのに24時間放置する必要があります。すぐにタイヤ交換が必要になった場合や、出先でタイヤ交換が難しい場合があります。
どちらが、良いの?
どちらが優れているのかは、ユーザーや用途によって変わります。
リムテープ
●タイヤ交換に慣れていない初心者
●乾燥待ちをしなくない場合
リムセメント
●シクロクロスなど水が泥を被るシチュエーション
●コンパクトで持ち運びがラク
道具を揃えよう
チューブラータイヤも交換作業に、必要な道具を確認していきましょう。
基本の道具
接着方法にかかわらず共通する道具は以下です。
・新品のチューブラータイヤ
・タイヤレバー
・ディグリーザー
・ウエス
・使い捨て手袋
・空気入れ
リムテープ
リムテープならMIYATAのTTP-2テープがおすすめです。テープ幅が16mmなので、一般的なロードバイクホイール向けです。リム幅が広いホイール向けに20mm幅のリムテープもあります。リム幅ギリギリなので作業時には、はみ出さないよう注意してくださいね。
リムセメント
PanaracerのRC-33リムセメントがおすすめです。33mlと小さなサイズで持ち運びも容易です。これ1本で5回分は使えるでしょう。
また古いリムセメントを落とすための「リムセメントリムーバー」には、Muc-Off/GLUE REMOVERがおすすめです。
では具体的な交換方法を紹介していきます。
タイヤの外し方
空気を完全に抜きます。
手で引っ張ってスキマを作ります。
バルブと反対側にタイヤレバーを差し込み、剥がします。
あとは手で引っ張れば外れます。ビートがないので、割と簡単に外すことができます。表面層が剥がれないように、優しく外してくださいね。
取付方法①リムテープ
意外と手が汚れるので、使い捨て手袋をつけるのをおすすめします。
リムテープ貼り
リム表面をディグリーザーできれいに脱脂してください。
リムのバルブ穴のわきからリムテープを貼り付けます。
引っ張らず、ゆっくり貼りつけて下さい。
バルブ穴のわきまで一周分貼ります。
剝離紙の両端を剥がしおき、リムの外側に出しておきます。
タイヤ装着
バルブ穴に、バルブを差し込みます。剥がした剝離紙が飛び出るようにしておきましょう。
リムにタイヤを載せ、軽く空気を入れます。
センター出し
センター出しとは、タイヤ位置がセンターであるかを確認することです。「バルブは真っ直ぐに刺さっているか?」「タイヤのセンターとリムのセンターが合っているか」を見ます。
ホイールを回転させながら目視で確認すると見やすいです。ホイールを回して、タイヤのトレッド面を見て、タイヤのセンターがまっすぐになっているかチェックします。
もしズレていたら、その部分をねじるように引っ張って、位置を合わせます。
一旦空気を抜き、リムの外側に出していた剥離紙の端を引っ張り、剥がします。千切れないよう、ゆっくり引っ張ってください。あらかじめ剥離紙を両端出しておいたのは、途中で千切れた際に、もう一端の剥離紙から剥がせるようにするためです。
推奨空気圧まで入れます。ここでもう一度センター出しをしておきましょう。
これにて完成です!
取付方法②リムセメント
リムセメントは作業時に注意点があります。
①溶剤を含んでいるので、屋外または換気されている屋内で作業をしてください(匂いが強いので、たくさん吸わないよう気をつけてくださいね)。
②使い捨ての手袋を着用しましょう。
古いリムセメント剥がし
古いリムセメントが残っている場合には、リムセメントリムーバーで除去しましょう。
リムーバーを吹き付けて、ウェスで拭き取ります。古いリムセメントは強く固着しているので、リムーバーを大量に吹きかけ、しばらく放置しておくのと取れやすくなります。
根気よく剥がせばキレイなリムが見えます。リム表面をディグリーザーできれいに脱脂してください。
リムセメント塗布
リムにリムセメントを一定間隔でポンポンと乗せてます。
手袋をした指で塗り広げます。
一様に塗れれば完了です。その際にセメントがブレーキ面についていないか確認しておきましょう。
表面がほどよくべたつくぐらいになるまで、乾燥させます。およそ15分です。
タイヤ装着
乾燥できたらバルブをまっすぐ差し込み、タイヤを取り付けます。
ホイールを自転車に取りつけ、軽く空気を入れます。
センター出しと、リムセメントはみ出し確認
センター出しとは、タイヤ位置がセンターであるかを確認することです。「バルブは真っ直ぐに刺さっているか?」「タイヤのセンターとリムのセンターが合っているか」を見ます。
ホイールを回転させながら目視で確認すると見やすいです。ホイールを回して、タイヤのトレッド面を見て、タイヤのセンターがまっすぐになっているかチェックします。
もしズレていたら、その部分をねじるように引っ張って、位置を合わせます。
推奨空気圧まで入れます。ここでもう一度センター出しをしておきましょう。
はみ出したリムセメントがないか確認しておきましょう。ついている場合には、リムーバーを吹き付けたウェスでふき取りましょう。
推奨空気圧まで入れ、24時間ほど放置して、乾燥させれば完成です!
チューブラータイヤを選ぶ時は、どんなタイヤがおすすめ?
まず前提としてチューブラータイヤは選択肢が少ないです。
・タイヤ幅
・重量
・価格
・入手性
まずはこの4つを確認しておきましょう。クリンチャータイヤを選ぶ際の項目と変わりません。ただしタイヤにチューブが内包されているので、重量はその分増えているのでお気を付けて。
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トラブルにも対応できるタイヤ交換を覚えておこう
トラブルの時には、丸ごとタイヤ交換するのがチューブラータイヤの宿命です。
無理やりインナーチューブを取りだして、チューブだけを修理するという荒業もありますが難しい作業です。そのため出先でパンクをしたときには、タイヤ交換をする必要に迫られます。
まずは家で練習してみて、タイヤ交換を覚えてきましょう。
トラブル対策を準備しておけば、チューブラータイヤで走り出す不安もきっとなくなるでしょう!