ペダルを外してみよう!

自転車のペダルを外す作業はシンプルなので、手順を覚えれば比較的簡単にできます。使う工具や作業手順を理解して、ペダル外しに挑戦してみましょう!
【作業前に確認】使う工具の種類をチェックしよう
まずは、自分のペダルにどの工具が適しているかを確認しましょう。ペダルの取り外しに使う代表的な工具は、「ペダルレンチ」と「六角レンチ(アーレンキー)」の2種類です。
どちらの工具を使うか判断するには、装着されたペダルの次の2カ所をチェックしましょう。
【ペダルの軸の根元】平らな面があるか

上の画像のように、ペダルの軸に平な面があれば、ペダルレンチで取り外すことができます。この平らな部分にペダルレンチをかけてペダルを回すことができます。
一方、軸が丸い形状になっている場合は、レンチを引っかけることができないため、基本ペダルレンチは使用できません。
【ペダルの軸の先端】六角穴があるか

クランクアームの裏側からペダルの軸を確認しましょう。軸の先端に六角穴があれば、アーレンキーを使ってペダルを取り外すことができます。軸が丸い形状の場合は、ほとんどのペダルに六角穴があるので、確認してみましょう。
まとめると、以下のようになります。
軸の形状 | 六角穴の有無 | 使う道具 | ||
平な面がある | ![]() | あり | ![]() | ペダルレンチ アーレンキー どちらもOK |
平な面がある | ![]() | なし | ![]() | ペダルレンチ |
平な面なし(丸形状) | ![]() | あり | ![]() | アーレンキー |
BMXなどのペダル軸が特殊な場合、別工具が必要な場合もあります

実は、ペダル軸の太さには2種類あります。一般的なものは、「9/16インチ」(14.3mm)ですが、BMXやビーチクルーザー、海外の子ども車の一部には、「1/2インチ」(12.7mm)という少し細いペダル軸のものがあります。まとめると、
🔸9/16インチ(14.3mm):通常のペダルレンチ(15mm)で外せる
🔸1/2インチ(12.7mm):13mmのレンチかスパナが必要
1/2インチ軸のペダルには「13mmのペダルレンチ」は使えないため、一般的なスパナやレンチの中でも、クランクとペダルのすき間に差し込めるような薄型タイプが必要です。
ただ、1/2インチは現在ではレアで、ほとんどの自転車ペダルは9/16インチの軸を使っています。けれども、BMXやビーチクルーザーのペダルを変えたい場合には、念のために工具を用意する前に、ノギスでペダル軸の径(工具を固定する場所)を測ってみましょう。簡易なノギスなら100均でも買えます。
ペダルを外す工具の特徴と選び方
ペダルを外すときに使う工具について、もう少し詳しく見ていきましょう。
ペダルレンチ

ペダル外しで一番使われるのがペダルの脱着専用工具「ペダルレンチ」です。なるべく柄の長いものがおすすめ。テコの原理で、大きな力を加えやすいので、作業がラクになります。
また、レンチの差し込み口が複数あるタイプなら、ペダル軸に対して角度を選んで差し込めるため、作業がしやすく便利です。小型のペダルレンチもあり、輪行するときなどに持ち運ぶには最適です。
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アーレンキー

ペダル軸の先端に六角穴があるペダルなら、アーレンキーで取り外すことができます。サイズは、8mmか6mmが多いです。長めのアーレンキーがあると力を入れやすく、作業しやすいでしょう。
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その他:怪我の防止に「手袋」を

フロントのギア近くで大きな力をかける作業となるので、特にロードバイクなどギアのカバーがなくて歯が剥き出しの場合は、手を守るために、両手共に手袋をしましょう。ペダルレンチをしっかり握れるのも手袋のメリットです。
ペダルの外し方をわかりやすく解説
ペダルを外すときにまず注意したいのは、「左右のペダルで回す方向が逆」になっているということ。ですので、ペダルレンチやアーレンキーを回す向きも左右で異なります。
右ペダル:反時計回りに回すと、ペダルがゆるむ(通常ネジ)
左ペダル:時計回りに回すと、ペダルがゆるむ(逆ネジ)
間違った方向に無理に回すと、外れないばかりかネジ山を傷める恐れがあるため、十分注意しましょう。それでは、ペダルレンチを使う場合とアーレンキーを使う場合に分けて、ペダルの外し方を詳しく解説します。
ペダルレンチを使った取り外し方法

ペダルレンチを使う際は、「引き上げる」よりも「押し込む」動作のほうが力をかけやすいため、基本的には押し込む方向で使うのがコツ
です。
また、作業時には自転車を安定させることが重要ですが、ペダルレンチの場合、簡易スタンドの使用はあまりおすすめできません。ペダルレンチで押し込む力をかけて使う場合、簡易スタンドでは自転車がずれたり、倒れたりする危険があります。さらに、後輪が浮いた状態になるとクランクが空回りしやすく、作業がしにくくなります。
そこで今回は、スタンドを使わず、自転車の両輪がしっかり地面についた状態でのペダルの外し方をご紹介します。
右ペダルを外す
車体の左側に立ちます。

車体を体で支えながら作業します。まず右クランクを前にして、右手に持ったペダルレンチをペダルの軸に固定します。このとき、レンチの持ち手がペダルより高い位置にあることがポイント。力が入れやすい角度になるよう、クランクの位置を調整します。

左手でペダルを押さえながら、レンチを下方向に押し込みます。右ペダルなので、反時計回りに回すことになります。外れるときは急に軽くなるので、バランスを崩さないように注意しましょう。

ゆるんだら、あとは手でペダル軸の付け根を回して外していきます。

外れました!

左ペダルを外す
今度は自転車の右側に立ちます。

左クランクを前方に向け、左手に持ったペダルレンチをペダルの軸に固定します。右のときと同様に、レンチの持ち手がクランクよりも上にあることが重要。力が入れやすい角度になるクランクの位置を探しましょう。

右手でペダルを押さえながら、レンチを下方向に押し込みます。左ペダルなので、時計回りに回すことになります。

ゆるんだら、右と同じように手でペダル軸の付け根を回して外します。

アーレンキーを使った取り外し手順
アーレンキーを使う場合は、ペダルレンチのときのように、下方向に押し込むことが難しく、上に引き上げることになります。
また、安定して力をかけられるように、簡易スタンドを使用し、外すのと反対側のクランクが動かないように固定すると作業しやすいです。
右ペダルを外す
車体を簡易スタンドを使って自立させます。

左クランクとチェーンステーを固定します。100均などで売っているマジックテープが使いやすいですが、タオルでしばってもOKです。ゴムのように伸びるものは避けましょう。

※ 使用したテープは、全長20cm程度。この位がうまく固定できる長さだと思います。

右ペダル軸の六角穴に、アーレンキーを差し込みます。アーレンキーの柄が、前方に来るように。

ペダルを手で押さえながら、アーレンキーを上に引き上げる方向に力を加えます。右なので、反時計回りに回すことになります。

ゆるんだら、あとはアーレンキーのボールポイントで回して、右ペダルを外します。

左ペダルを外す
今度は右クランクをチェーンステーに固定します。

アーレンキーの柄が前方に来るように、左ペダル軸の六角穴に、アーレンキーを差し込みます。

ペダルを手で押さえながら、アーレンキーを上に引き上げる方向に力を加えます。左なので、時計回りに回すことになります。

ゆるんだら、アーレンキーのボールポイントでクルクル回して、左ペダル外し完了です。

固くて、取り外せない場合は?
長く使っているペダルは、錆などで固着している場合があります。そんな場合の対処方法をご紹介します。ペダルレンチとアーレンキーが両方使えるペダルの場合は、力を加えやすいペダルレンチを使いましょう。
ペダルに体重をかける

ペダルに足を乗せ、体重をかけながらレンチを回してみましょう。クランクが回らないように、左ブレーキは握っておきます。本来は、靴を履いた状態で行って下さいね。靴なしだとペダルのピンが痛くて、体重をかけられません。
浸透潤滑剤を使う

浸透性のある潤滑剤を吹き付けて1時間くらいおいてから作業してみましょう。それでもダメならもう一度吹きかけて、翌日までおいて、再チャレンジしてみると良いですよ。潤滑剤はWAKOSのラスペネなどがおすすめです。
ワコーズ(Wako's) ラスペネ
ゴムハンマーを使う

浸透潤滑剤を使って、紹介してきました基本的な手順でペダルを外しても外れない場合は、ゴムハンマーを使って軽く叩くと効果的です。
ペダルレンチをセットしたら、手で力をかける代わりに、ゴムハンマーで叩きます。叩く時は、強い力で一気に叩くのではなく、振動をクランクに伝えるイメージで、コツコツと叩くのがポイントです。強く叩きすぎると、クランクのネジ山が崩れてしまうことがあるので、力加減には十分、注意しましょう。
この作業は、簡易スタンドで自転車を自立させ、逆側のクランクとチェーンステーを固定すると安定して作業が進められます。
アーレンキーしか使えない場合は、ラスペネなどを塗布したら、よく浸透するよう、ペダルをゴムハンマーで軽く叩いて、固着をはがすようにしてから放置すると効果的です。

ペダルレンチの柄を延長する

最終手段として、ペダルレンチの柄を、パイプなどで延長する方法があります。テコの原理で、柄が長いほど、大きな力を加えることができます。
アルミパイプなどをペダルレンチの柄にガムテープや結束バンドなどで固定します。途中で曲がらないこと、しっかりと固定することがポイントです。強い力がかかりますので、作業時にはより一層、慎重に作業しましょう。
ペダル外し作業、ここに注意しよう!
ペダルを外す作業は、力をかける作業なので、思わぬトラブルが起きることもあります。注意点を挙げておくので、慎重に作業を進めましょう。
手袋を使用し、慎重に作業を行う

ペダルの取り付け、取り外し作業中に起こりやすいのが、手をフロントのチェーンリングでグッさりと切ってしまうこと。大きな力がかかっている状態で、急にクランクが回ってしまうと、勢いよく手がギアにぶつかり、大きな怪我になってしまうことも。手袋で手を守ることはもちろん、慎重に作業を進めましょう。
パーツの破損を防ぐ

ハンマーを使う場合、むやみに力を入れると、クランクを壊してしまうことも。上の画像は、まさに筆者がクランクのネジ山を壊してしまったときのものです。固くて外れないペダルを外そうと、ガンガン遠慮なくゴムハンマーでペダルレンチを叩いたら、ペダルは外れたものの、クランクのネジ山が崩れたらしく、ペダルがまっすぐ取り付けられなくなってしまいました。結局、クランクを交換しなければならなくなりました!
また、ロードバイクの場合、簡易スタンドで後輪を浮かせた状態で作業するのは危険です。特にペダルレンチを使った場合は大きな力が加わるので、スタンドから自転車が外れてしまうかもしれません。ご紹介したように、両輪が接地した状態で作業する方が安全です。
ペダルの取り付け方も知っておこう
ペダル取り付けは、外すときと反対の手順となります。
必要なもの

外すときと同じく、ペダルレンチかアーレンキーを使います。取り付ける前に、ペダルのネジ部分に塗るグリスも必要になります。
取り付け手順
ペダルに”R”と”L”の刻印があるので、まず最初に右(R)と左(L)を確認。

ペダルのネジ部分全体に、グリスを均等に、薄く塗る。

右ペダルは時計回り、左ペダルは反時計回りにペダル先端を回して、クランクに取り付ける。

後輪のブレーキをかけながら、しっかりと固定する。

ペダルの締め付けトルクは35Nm程度が一般的。しっかり手で締めた後、さらに1/4回転ほど強く締める感覚で、締めましょう。
ペダル着脱についてのQ&A
スパナやモンキーレンチでも作業できる?

スパナやモンキーレンチが、ペダル軸とクランクのすき間に差し込むことができ、ペダル軸をしっかりと、キャッチできれば作業は可能です。
ただし、専用工具であるペダルレンチと比較すると、作業性はあまりよくないです。ペダルレンチは持ち手が長く、力が入りやすいですし、軸をしっかりキャッチできるので、スムーズかつ安全に作業を進めることができますよ。
ペダル取り付けの際、グリスの代用できるものは?

ご家庭にあるワセリンなどでも代用できますが、グリスほど耐久性がないので、固着を防ぐのは難しいかもしれません。固着したペダルを外すのは大変なので、やはりグリスを使うことをおすすめします。少量のお手頃価格のものがAmazonなどで購入することができますよ。
ペダルのカスタムを楽しもう

ペダルの交換は、自転車メンテナンスの中でも比較的手軽な作業です。お気に入りのペダルに変えることで、走り心地や見た目もグレードアップ。ただし、意外と力が必要だったり、回転方向を間違えたりと注意点もあります。正しい知識と手順を守って、安全に作業を進めましょう!
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