「シクロクロス」とは?
シクロクロスはフランス発祥と言われ、冬のロードバイクのトレーニングの一環として始まったと言われている競技種目です。
シクロクロスという名前自体はフランス語の発音ですが今や世界大会も開催される程の人気種目でもあります。また種目だけを指すのではなく、自転車の車種としての「シクロクロス」と呼ばれることもあります。
シクロクロスはこんな競技!
一周2.5kmから3.5kmの短めのコースを周回し、トップ選手のラップタイムを元に競技時間が約1時間になる周回数を競技中に設定します。その周回数を早くこなした選手が優勝、というルールです。
フェンス、急斜面、階段などが設定されていてバイクに乗ったままでは完走できない設定されています。体力だけでなくオフロードでバイクをコントロールするテクニックも必要になってきます。
国内で開催されているレース
国内レースのほとんどは、AJOCC(一般社団法人日本シクロクロス競技主催者協会)が開催しています。
AJOCCのレースは、年齢や実力別に出場できるカテゴリーが分かれており、1番下のクラスなら、初心者でも気兼ねなく参加できるでしょう。開催スケジュールは、AJOCCのホームページから確認できるので、どんなレースがあるのか検索してみてください。
ではここで、国内で開催されている有名な大会を2つご紹介しましょう。
ラファ + 弱虫ペダル スーパークロス野辺山
国内レースでもっとも有名なのが、毎年11月、長野県の滝沢牧場で開催される「スーパークロス野辺山」。2010年から続く、歴史あるレースです。
八ヶ岳の美しい景色はもちろん、会場には、食べ物やイベントブースが充実しているので、出場選手だけでなく、家族や仲間みんなで楽しめます。2021年大会では、マンガ「弱虫ペダル」の作者と一緒に走れるイベントも開催されました。
幕張クロス
イベント感覚で楽しめるのが、11月に千葉県の幕張海浜公園で開催される「幕張クロス」。以前は、自転車の祭典「CYCLE MODE」と同時開催だったため、全国から多くの人が集まりました。
都心から近く、公共交通機関を使ってアクセスできる会場なので、遠方から輪行で来る人も参加しやすいでしょう。
シクロクロスモデルの特徴
ぱっと見の外観はロードバイクと似ているシクロクロスモデルの自転車。具体的な特徴を見ていきましょう。
ロードバイクと共通する部分
・フレームの基本的な形状
・ホイールサイズ
・ドロップハンドル
・コンポーネント
・フレームの素材は「アルミ」「クロモリ」「カーボン」等・・・ロードバイクと同じ
これらの特徴は、ロードバイクに比べ全く同じというわけではないものの、ロードバイクとほぼ同じ構成、あるいは互換性のあるパーツが使用されています。
次に、シクロクロスならではの特徴を確認していきましょう。
ブレーキは「ディスクブレーキ」が主流
シクロクロスモデルの大きな特徴として、ブレーキが挙げられます。ロードバイクのようなキャリパーブレーキは、シクロクロスにおいてはほとんど使用されていません。
オフロードを走った際に泥が詰まったり、冬期の場合は雪が詰まってしまうため、リムとは別にローターのある、「ディスクブレーキ」が主流です。
●カンチレバーブレーキ
“担ぐ”ことも考えての「フレーム設計」

シクロクロスの競技中は、バイクに跨って走行するだけではありません。時にはバイクから降りて、バイクを担いで障害物を超えたり、階段を駆け上がったり駆け下りたりもします。
パイプ断面は3角形のおにぎり形にして、円形よりも手にフィットするよう設計されています。またトップチューブとシートチューブの境目がなめらかに仕上げられているバイクもあります。
走破性も考慮した「タイヤの種類と幅」
ロードバイクでは700C×22~28C程度のタイヤが一般的ですが、これらは、オンロードでの“スピード重視”のタイヤです。
シクロクロスではスピードも重要ですが、それ以上に、オフロードでの走破性能が重要視されます。日本自転車競技連盟の定めるシクロクロスのタイヤ幅の規定では、33mmまでとなっています。(実測が33mm以上でも、メーカーのサイズ表記が33mmまでならOK)
フロントのチェーンリングはシングル
荒れた路面など、様々な路面を走る競技のシクロクロス。
チェーントラブルを少しでも減らす為に、シングル化(変速なし)しているモデルも少なくありません。フロントディレイラーがなければ、ワイヤーも省略でき、取り回しがシンプルにできる利点もあります。
中には、チェーンの脱落防止のために「チェーンキャッチャー」を装備する場合もあります。「チェーンキャッチャー」とは、レース中の振動でチェーンのズレが生じ、チェーンが外れてしまう事の無いように設計されたパーツです。カーボン製だと重量は数グラムですが、効果は絶大です!
MrControl FTP-Carbonチェーンキャッチャー
フロントディレーラーの直付台座に取り付ける、チェーン落ち防止プロテクター。
対応歯数 | 34〜50T、39〜53T |
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重量 | 29g |
おすすめのシクロクロスモデル、ぎゅっとまとめて5選!
ここまでシクロクロスについてご紹介してきましたが、いかがですか?
シクロクロスのモデルのほとんどは、タイヤを履き替えれば普通のロードバイクの楽しみ方としても、十分に活躍できるというメリットもあります。それではご紹介します!
ANCHOR CX6
日本ブランド!
ロードバイクに乗っている方であればお馴染み、BRIDGESTONEの「ANCHOR(アンカー)」。豊富なラインナップの中から、シクロクロスに特化したモデルが派生しています。他のANCHORシリーズ同様、レースでの様々なノウハウが凝縮された一台で、追加料金なしで選べるフレームのカラーオーダーシステム(全31色)も魅力的です。
カラー | レーススタイル、シンプルスタイル |
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サイズ | 49、51、53(cm) |
フレーム | アルミ |
タイヤ | 700×33C |
変速 | SHIMANO 105 |
車体重量 | 9.9kg |
参考価格(税込) | 280,500円 |
安定のクオリティ ”GIANT(ジャイアント)/TCX ADVANCED PRO 2″
世界的なメーカー、GIANTからも、シクロクロスに特化したモデルが多数リリースされています。前年モデルと比較して、フレーム&フォークで17%も軽量化した「TCX ADVANCED PRO 2」は、レース出場を目指す本格志向のライダーにおすすめ。
カラー | アンバーグロウ |
サイズ | 49、50.5、52.5、54.5cm |
フレーム | カーボン |
タイヤ | 700×33C |
変速 | SHIMANO GRX |
車体重量 | 8.3kg |
参考価格 | 407,000(税込み) |
いろいろ詰まってこの価格! ”TREK(トレック)/Boone 6″
カーボンフレームにインナーケーブルシステム、しなやかさと空気抵抗の少なさを実現した専用設計のフロントフォークなど、おすすめポイントがいっぱいです。先ほどの項目でもご紹介した通り、シクロクロス専用のトップチューブの形状をしているので、担ぎやすくデザイン性もバッチリ。
カラー | トレックブラック |
サイズ | 49、52、54、56cm |
フレーム | カーボン |
タイヤ | 700×32C |
変速 | SHIMANO GRX |
車体重量 | 8.3kg |
参考価格 | 513,700円(税込み) |
普段使いも兼用できる!? ”MERIDA(メリダ)/MISSION CX 400″
レースでも使用可能な、MERIDA本社工場製アルミフレームを採用したモデル。変速機とブレーキには、シマノ製パーツを使用。フェンダーマウント(泥よけを装着するための穴)も装備されています。フェンダーをレースで使用するか、普段使用するか、そもそもフェンダーは使わないかなど、使い方は様々です。
カラー | シルクサンド |
サイズ | 47、50、53、56(cm) |
フレーム | アルミ |
タイヤ | 700×33C |
変速 | SHIMANO 105 |
車体重量 | 9.8kg |
参考価格 | 219,890円(税込み) |
KONA UTRA LTD
ロードとMTBの掛け合わせ!
フレームには、振動吸収性・耐久性に優れるクロモリ素材を使用。ロードとMTBが意気投合したようなイメージのバイクです。KONA(コナ)というブランドは、とてもファッション性が高いことでも知られ、女性のファンが多くいます。街乗りとしても違和感ないデザインで、ポイントが高いですね。
カラー | 1色 |
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サイズ | 48、50、52、54 (cm) |
フレーム | クロモリ |
タイヤ | 29インチ |
変速 | SRAM Rival 1 |
車体重量 | - |
参考価格(税込) | 297,000円 |
シクロクロスモデルの楽しみ方
ロードバイクのように、きれいに舗装された道を走るのもいいですが、せっかくなら、河川敷やデコボコした路面の上など、ダートな道にチャレンジしてみましょう。
レースに参加したいなら、荒れた路面の上を走る感覚に慣れておくのは必須です。また、バランス感覚を鍛える、バイクから瞬時に飛び降り・飛び乗りできるように練習しておくのもいいでしょう。バランス感覚なら、8の字を描くように走る練習がおすすめです。
必要な装備をチェック!
ロードバイクより落車することが多いシクロクロス。「ヘルメット、アイウェア、グローブ」は、きちんとしたものを選びましょう。とくにグローブは、フルフィンガータイプにしておくと、手を怪我するリスクが減ります。
服装はロードバイクと同じでかまいませんが、レース開催期間が寒い季節のため、体温調節がこまめにできるようにしておくといいでしょう。
その他にも、バイクが砂や泥で汚れやすくなるため、洗車道具もあると便利です。高圧洗浄機があれば楽ですが、バケツとブラシでも十分ですよ。
「グラベルロード」や「マウンテンバイク」とどう違うの?
ここまで見てきたようにシクロクロスは、”オンロードもオフロードもこなすためのバイク”という点では、「グラベルロード」や「マウンテンバイク」といったカテゴリーと共通している点もあります。それぞれの違いを見ていきましょう。
競技種目ではない「グラベルロード」
シクロクロスが競技なのに対して、「グラベルロード」は、ツーリングなどの楽しみ方のカテゴリーになります。シクロクロスは車体パーツなどに規定などがありますが、グラベルロードは自由な設計になっています。
また、タイヤ幅も規定に縛られる必要はありません。シクロクロスの規定は33mmなので、市場でも多く販売されている35Cのタイヤは、これを超えていますので、グラベルロードなどに向いたタイヤと考えて良いでしょう。
自然を楽しむには「マウンテンバイク」
シクロクロスはオンロード・オフロードのどちらも走りますが、基本的には競技なので、レース用に設計されたコースでの走行がメインです。対してマウンテンバイクには、”トレイル”や”クロスカントリー”などのカテゴリーに代表されるように、「より自然の中で楽しむ」という色合いが強くなってきます。
因みに、マウンテンバイクにも、”エンデューロ”や”ダウンヒル”などといった、レース競技に特化したジャンルもあります。
シクロクロスでレースに、ツーリングに!
タイヤを履き替えれば、ロードバイクとしても使えるシクロクロス。ホイールを”レース用”と”街乗り用”と2パターン揃えておけば、手軽に履き替えて、シクロクロスバイクをより身近に感じられること間違いなしです!