ブロンプトンで自転車ライフが180度変わった
こんにちは、自転車沼にはまり、気付けば9年目の大城実結です。
最初はレース志向ではじめた自転車、気付けばツーリングにはまり込み、輪行で陸海空をゆき……。ロードバイクの次に選んだ自転車がブロンプトンでした。
1分で完了する輪行、小径車にもかかわらず安定した走行性能、驚くべき積載容量、そしてどこでも写真映えするかわいらしさ。ブロンプトンは、いままで見えなかった景色を見せてくれる最高の相棒です。
すっかり心酔しきった筆者がお送りするブロンプトンの魅力。セカンドバイクにはもちろん、どんな生活にも寄り添ってくれるかわいく優しい相棒を紹介します。
ブロンプトンとは
ブロンプトンとはイギリス製の小径車です。
その歴史は44年、1975年にデザインされて以来、自国のみならず世界を魅了し続けてきました。現在もイギリス国内の自社工場で製造されています。こんなに小さいボディながら、世界中から愛される理由とは。乗りながら感じた魅力を紹介します。
とにかく折りたたみが簡単&コンパクト
まずブロンプトンを紹介するならば、「瞬時輪行&コンパクト」の一言に尽きます。詳しくは後ほどじっくり見ていきますが、筆者は1分ほどで終わるブロンプトンの輪行に甘やかされてしまったため、一般的な自転車の輪行が億劫になってしまいました……。
パワフルな走り
「小径車って漕いでも進まないんでしょ?」と、よく言われます。確かに以前乗っていたノーブランド小径車は、どれだけ漕いでも進まないイメージがありました。しかしブロンプトンはひと味違います。
ギヤ比の設定がかなり軽いものからガッツリのトップギヤまで選択できるため、平坦も多少の上り坂も、向かい風でも走り抜くことができるのです。(ギヤに関しては、後章で詳しく説明します)
筆者の体感ですが、平坦であれば1日60kmは無難に走りきることができました(霞ヶ浦ならば半周程度できました)。
小径車らしくない安定感
「漕いでも進む!」と説明しても、次に言われるのが「でも、小径車ってフラフラしない?」ということ。これも乗ってみれば一目瞭然ならぬ、一走瞭然です。
二輪車の安定走行には輪間距離(ホイールベース)が鍵となってきます。通常の小径車だと、ホイールベースが短めにつくられているケースが多いのですが、ブロンプトンは一般的なロードバイク顔負けの輪間距離が設定されています。
もちろん、ホイール径が小さいことによるハンドル操作のふらつきはありますが、慣れてしまえば車体全体がふらつくことはないでしょう。
駐輪場の心配知らず!
お気に入りのロードバイクやスポーツバイクで出かけた際に、心配になるのが「どこが安全な駐輪場なんだろう?」ということです。筆者は銭湯・温泉マニアなのですが、自転車で訪れるたびに内心ビクビクして駐輪していました。
しかしブロンプトンは持ち前のコンパクトさを活かした駐輪が可能! 一度輪行してしまえば、中型キャリーケースと同等のサイズになるため、大型コインロッカーに預けることもできるのです。
そのため「観光地までブロンプトンで行き、ロッカーに自転車を預け、周辺散策は徒歩で」という小回りのきく遊び方も実現できます。おかげで筆者も、銭湯で心から羽を伸ばすことができるようになりました。
目に入れても痛くないかわいらしさ
そして、とにかく見た目もかわいらしいのが嬉しいです。(個人的なイチオシポイントです)
カラーリングもオーソドックスなレッドやグリーンから、ビビッドなピンクやオレンジまで幅広く展開しています。ちなみに筆者はどんなロケーションにも溶け込むグレーを選択しました(しかも2018年で製造終了でした)。
ブロンプトンに乗りながら、気持ち良い景色と出合うと「あえて立ち止まって、シャッターを切りたくなる」感覚に陥ります。自転車に乗っていて初めての感覚でしたが、表現するならばまさにこの言葉です。
いままで駆け抜けていた風景を、改めて感じて心に留めたくなってしまう。そんな自転車なのです。
どんなモデルがある?
一般的な自転車メーカーとは異なり、ブロンプトンは「メーカー名=車種名」を示しています。つまりブロンプトンではこの1車種のみを製造しているのです。
ちなみに筆者が乗っているのは「S6R」というモデル。Sはハンドル形状、6は変速、Rはリアキャリア有を示しており、この3つの要素の組み合わせで1台ができあがっています。
ハンドル形状について
ハンドル形状はU字を描いた「Mハンドル」、ストレートタイプの「Sハンドル」、四角を描いた「Pハンドル」の3種類です。
変速について
ブロンプトンには主に、2段・3段・6段変速モデルがあります。2段は外装ギヤで、3段はママチャリのような内装ギヤ、6段はこのふたつを掛け合わせた形になっています。
リアキャリヤの有無
リアキャリヤ(荷台)がついていないタイプはL、付いているタイプはRと表記されます。
……しかし、筆者がブロンプトンを検討しているときに、自転車屋のマスターが教えてくれました。「フレームのカラーリング以外は、後から変更できる」と。
そう、ハンドルも変速もキャリヤの脱着も、いくらか出費をすれば使い方に合わせて変更できるのです。だからこそ”悩みすぎず”に試走し、これだと思ったタイプを選択するのがベストでしょう。
とにかく折りたたみ機構がすごい!
ブロンプトンといえば、何と言っても折りたたみ機構が秀逸です。ものの数秒で折りたたむことができますので、出先はもちろん、部屋置きでも重宝します。我が家でも折り畳んだ状態で玄関の一角に保管していますが、スニーカー感覚でしまえるので便利です。
【畳み方】
①これが走行時のブロンプトンの状態
②リアを半分に折りたたむ
③フロントを折りたたむ
④ハンドルとシートポストを折りたためば、完了!
折りたたみ完了までおおよそ数十秒、慣れてしまえば十秒も切ってしまうと言われるブロンプトンの折りたたみ機構は、ほかの追随を許さないほど圧倒的な魅力です。
ちなみに毎年開催されているブロンプトンの大会「BWC JAPAN」では、走り出す前に組み立てから勝負が始まっています。
脚の強さのみならず、折りたたみ機構をどこまでモノにできるかが勝敗を分かつ、ブロンプトンらしいレースです。
どんな乗り方がおすすめ?
ここからは、どんなシーンでブロンプトンを楽しめるのか、紹介しましょう。
通勤通学
駐輪場が用意されていないオフィスにも折り畳んだ状態で持ち込めるため、迷惑をかけずに置いておくことができます。店舗系であれば室内のインテリアにもなるため、喜ばれるかもしれません。
街乗り・ポタリング
ブロンプトンはストップ&ゴーが多い街中での走行にぴったりです。さらに被写体としても最適なので、街の風景に自転車を溶け込ませて、写真撮影するのも胸が弾みます。これ以上「ゆるポタ」をこなせる自転車も少ないのではないでしょうか。
輪行旅(陸も空も)
折り畳んだ状態で輪行袋に入れれば、どこへでも連れていくことができるブロンプトン。鉄道旅はもちろん、その真価を発揮するのは実は空(飛行機)です。
とても頑丈な上にコンパクトなので、大手航空会社の手荷物受託に預ける際「箱に入れて梱包をお願いします」と伝えれば養生してもらえます*。
ツーリング(キャンプにも!)
フロントとリアにそれぞれ積載できるため、結果的にかなりの量を運搬できます。以前「ブロンプトンでどこまで鈍くさいキャンプができるか」に挑戦しましたが、結果は上記の画像の通りです。フロントに40lのバックパック、リアに40l程度のコンテナを積み込めました。
……と、ここまで追い込まなくても、ガンガン詰めます。そのためUL系のアイテムと組み合わせれば、驚くほどスマートなキャンプも可能になります。
関連アクセサリーがかわいい&充実
ブロンプトンの世界観を形づくるのは自転車だけではありません。公式からリリースされているバッグやアクセサリー類も、クラシカルで素敵なものばかりです。
ちなみに専用のフロントキャリアはワンタッチで脱着できる上、ハンドルではなくフレームに固定するタイプなので、ハンドル操作が重くなることは決してありません。
公式アイテム以外にも、革サドルやハンドル、サドルバッグなど各社メーカーもブロンプトンに合うアイテムをリリースしています。思う存分カスタマイズして、自分だけの一台を彩ってあげてください。
筆者おすすめ輪行袋は【rin project(リンプロジェクト) ブロンプトン輪行バッグ】
ブロンプトン購入から3年、筆者が愛用し続けている輪行袋はrin projectのブロンプトン輪行バッグです。一般的な輪行袋のように全体を包み込むことができるほか、足元カバーだけ外して転がして運搬することもできます。場所に合わせてブロンプトンの長所を最大限に引き出してくれる素敵なアクセサリーのひとつです!
rin project ブロンプトン輪行バッグ
素材 | ナイロン100% |
---|---|
サイズ | 幅(上部)60cm、幅(下部)55cm |
重量 | 340g |
カラー | ナイトグレー、スモークグリーン、ワインレッド、カモフラージュ、ネイビー、レッド、ブラック |
購入検討時に注意すべき点
ここまでブロンプトンの特長を見てきましたが、実際に乗っていく中で気になった点も挙げていきます。購入を検討する際の参考にしてみてください。
やはり値段
やはり、高額な自転車です。公式サイトでは一番安いグレードで209,000円(税込み)となっており、決して安い買い物とは呼べないでしょう。また価格自体も2013年頃と比較し年々上昇傾向にあるため、「値段」を第一に購入を検討するとなかなか踏ん切るのも難しいかと思います。
しかしながら、小回りのきく小径車が欲しい、そしてブロンプトンのスタイルに惚れてしまったのならば、決して後悔する買い物にならないと断言できます。筆者はもう、ブロンプトンがなかった生活を思い出せないほど、手放せない相棒となりました。
なかなかヘビーな重量
丈夫で壊れにくく、コンパクトになるブロンプトンですが、昨今の軽量バイクになれてしまったユーザーからすると、どうしても「重い」と感じてしまいます。最軽量の2速タイプで10.8kg、一番重いタイプだと12.2kgとなっており、見た目とは反してなかなか重量級です。持ち運びのしやすさを第一に考えるのであればギア数を減らすなど、自身の乗り方に合わせてチョイスしてあげましょう。
中には軽量化を図るためカスタマイズするユーザーさんもおり、なかなかニッチな遊びで楽しんでいらっしゃるようです。
パンク修理時の対応
普段からクイックリリースでホイールを外しパンク修理を行っている方にとって、ブロンプトンは構造が異なるため少々煩雑に感じてしまいます。しかし、ここはもう発想の転換で”潔く諦めて”しまいましょう!
思い出してください、ブロンプトンには唯一無二の折りたたみ機構が付いています。もしパンクやトラブルが発生した場合は、迅速に輪行し電車やタクシーなどで、自転車屋までエスケープするなど、他の自転車では叶わなかった解決法を取ることができるのです。
出先でも自身で修理したい方は、事前に購入した自転車屋などで内装ギヤの取り扱い方やホイールの取り外し方を教えてもらうようにしましょう。
バルブの形状に注意
普段ロードバイクに乗り慣れている方にとって、一般的なバルブは仏式、ママチャリ等では英式が中心となっています。筆者がブロンプトンを購入した際のバルブ形状は”米式”でした。初めて見る形状に動揺し、手持ちの空気入れで対応できるか右往左往してしまった経験があります。
購入時には予め初期装備のバルブ形式を確認し、自宅の空気入れで対応できるか確認するようにしましょう。
折り畳んだまま転がせるけど…注意!
「ブロンプトンは折り畳んだままキャリーケースのように転がせる」というのもメリットのひとつです。けれど、公共交通機関でのマナーも遵守せねばなりません。
例えば列車での輪行では「自転車全体が袋で覆われている形」を求められます。すなわち、キャリヤ部分が外に出ている状態だと持ち込みNGなのです。そのため駅構内では原則として転がすことは禁止となっています。場所と時間を考えて、迷惑にならないような使い方をするのがブロンプトンオーナーのマナーです。
自転車の可能性を拡げるブロンプトン
「なあに? それは自転車なの」
ブロンプトンを組み立てていると、旅先の方々によく声をかけられます。そこから広がる会話の数々で、その土地の知らなかった一面を発見できることも多くありました。
ブロンプトンは決して速く走れないし、100kmや200km先までは行けない。けれど、馴染みの街の知らなかった風景や人々との出会い、電車や船、飛行機といった新しい旅の可能性に導いてくれる、道先案内人のようなバイクです。
さあ今日はどこへ行こう? 晴れの日の休日がもっと好きになってしまう、特別な一台が待っています。