安全のために覚えておきたい、自転車の手信号
自転車に乗るなら、必ず覚えておきたいのが「手信号」。
手信号とは、後続の車や自転車など、周囲に「曲がる」「止まる」といった自分の行動を事前に知らせるものです。いわば、車のウィンカーやブレーキランプの様なものですね。
手信号を覚えて正しく使用することで、より安全に走行ができるようになります。手信号を出すことは法令で定められていますので、自転車に乗るなら必ず覚えておきましょう。
道路交通法の手信号と、サイクリストが使うハンドサイン
「手信号」は道路交通法で定められており、手信号の形や出すタイミングも定められています。
サイクリストがよく使用する「ハンドサイン」も手信号と同様の役割を果たすものですが、こちらはルールとして定められている訳ではなく、地域やグループ等で差異もあります。
ルールとして明文化されているかに差はあれど、「手信号」も「ハンドサイン」も、安全で円滑な走行をするために重要なもの。車やサイクリストと意思疎通を図るため、どちらも覚えて使えるようにしておきましょう。
道路交通法で定められた手信号、4つ
では、まず道路交通法で定められている手信号をご紹介しましょう。定められているのは、「右折」「左折」「減速・停車」「後退するとき」の4種類です。
右折・右方向への進路変更
手信号は『右腕を車体の右側の外に出して水平に伸ばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出して肘を垂直に上に曲げること。(参考リンク:道路交通法施行令 昭和三十五年政令第二百七十号 第二十一条)』。
実際に行うと、以下の通りです。
「右腕を車体の右側の外に出して水平に伸ばす」
「左腕を車体の左側の外に出して肘を垂直に上に曲げる」
左折・左方向への進路変更
右折の逆を行えば、左折・左方向への進路変更の手信号となります。
「左腕を車体の左側の外に出して水平に伸ばす」
「右腕を車体の右側の外に出して肘を垂直に上に曲げる」
停止・徐行(後退)
停止・徐行は『腕を車体の外に出して斜め下に伸ばすこと(参考リンク:道路交通法施行令 昭和三十五年政令第二百七十号 第二十一条)』
斜め下に伸ばしたままが「停止・徐行」で、この状態から手のひらを後ろに向け、腕を前後に動かすと「後退」となります。
サイクリストの間でよく使われる、ハンドサイン7つ
続いては、ロードバイクなどに乗るなら覚えておきたい、サイクリスト間でよく使われるハンドサイン。
なお、ハンドサインはルールとして明文化されたものではありませんので、個人差のあるものです。記事内でご紹介しているものは、サイクリストの概ねの共通認識として、ご理解ください。
①右折
右折の場合、「腕を右側へ曲げ、指を刺す」ことが多いです。サイクリストによって、もっと高い位置でサインを出したり、腕を振ったりします。
②左折
左折は、右折とは逆に「腕を左側へ曲げ、指を刺す」。右折と同じく、サインを出す位置や手の形には個人差があります。
③停止
停車する場合、「手のひらを後ろに向け、体の後ろや横に出す」ことが多いです。サイクリストによっては、手をグーにして体の後ろに示す場合もあります。
手の位置や形に個人差がありますが、手を後ろ側に示した場合は、基本的に停車を示すと考えておくと良いでしょう。
④減速
減速は、「手のひらを下に向け、体の横に出す」。手のひらを上下に動かす場合もあります。
また、先ほどの停車の画像の状態で、「手をグーパーする」という方もいます。
減速は停車の過程で行われることが多いため、減速と停車を明確に使い分けることは少なく、個人差やグループ差の出やすいサインです。
⑤道を譲る
後続車や後ろのサイクリストに道を譲る場合、「手を前方に動かす」動作をします。
基本的にはサインを出さずとも追い越しはされますが、交通状況や自分のペース等によって、後続車に前に出てほしいときに使います。
⑥左(または右)に寄れ
左(または右)に寄るとき、「手のひらを左(または右)に向け、手を左右に動かす」動作をします。
路上駐車や歩行者を避けたり、狭い道で対向車が来た際などに使用するサインです。
⑦障害物に注意
路上に落下物や穴などの異常があり注意を促すときは、「その対象を指さす」動作をします。指をくるくる回して、さらにアピールする方もいますね。
手信号を出すタイミングは?
手信号を出すタイミングは、道路交通法で定められています。手信号を出してからすぐに走り方を変えては危険ですので、余裕を持ったタイミングが大切ですよね。
また、ハンドサインは明文化されたルールはありませんが、手信号に準じたタイミングで出すのが望ましいでしょう。
右折・左折は、30m手前から
右折・左折の場合は、『その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から、三十メートル手前の地点に達したとき。(参考リンク:道路交通法施行令 昭和三十五年政令第二百七十号 第二十一条)』に出します。
「30m」という距離の目安は、交差点であれば、いくつかの判断基準があります。
・交差点の手前に書かれている、ひし形のマーク
・道路の破線が実線に変わる地点
注意して見れば、おおよその感覚は掴めるはずですので、参考にしてみてくださいね。
進路変更は3秒前
追い越し等で、進路変更をする際には、『その行為をしようとする時の三秒前のとき。(参考リンク:道路交通法施行令 昭和三十五年政令第二百七十号 第二十一条)』と定められています。
進路変更は路上駐車を避ける際によく用いますので、早め早めのサインを心がけましょう。
徐行・停止は、その行為をしようとする時
徐行・停止・後退ともに、手信号を出すのは『その行為をしようとするとき(参考リンク:道路交通法施行令 昭和三十五年政令第二百七十号 第二十一条)』。
特にグループライドの際は、合図をせずに急減速をすると危険ですので、忘れずに合図を心がけましょう。
大切なのは、相手に伝わること
手信号やハンドサインを出す目的は、「周囲に、自分の意志や行動を伝えること」。細かなサインの形にとらわれず、相手に伝えることを第一に合図を出しましょう。
咄嗟のブレーキなど合図が難しい際は「ブレーキ!」などと声を出すのも有効ですし、サイクリスト間の意思疎通なら、声掛けのみで済ませるのも1つの手段かもしれません。
また、グループライドの際には、あらかじめ合図を確認しておくと安心ですね。
ぜひ手信号やハンドサインを活用して、安全なサイクリングをお楽しみください。