ギアチェンジをマスターしよう
ロードバイクで走っている時の、ペダルの重さを調整するギア。状況に合わせたギアチェンジをマスターすると、より快適に走れるようになりますよ。今回、ロードバイク初心者の方向けに、ギアの仕組みや、基本的なギアチェンジの方法を紹介します。
ロードバイクには、フロントとリアにギアがありますので、まずは、それぞれの役割を見ていきましょう。
大きく変速する「フロントギア」
フロントギアとは、ペダル根元の「チェーンリング」と、それを切り替える「フロントディレイラー」で構成されています。
フロントの歯車「チェーンリング」
チェーンリングは、「内側のインナー(小さい)」「外側のアウター(大きい)」の2枚の歯車で構成されています。チェーンがインナーの時はペダルは軽く、アウターの時はペダルは重くなります。
フロントディレイラー
フロントディレイラーは、チェーンの位置を変える変速機です。ハンドルのシフトレバーを操作すると、このディレーラーが動き、チェーンがチェーンリングを移動して変速できます。
細かな調整に最適な「リアギア」
後輪の中央にあるリアギアは、フロントと同じく歯車(スプロケット)と変速機(リアディレイラー)の構成です。スプロケットは、フロントより枚数が多くあります。
リアの歯車「スプロケット」
スプロケットは10〜11枚の歯車が重なってできています。車体中心側は、ロー側(大きい)と呼ばれ、ロー側にチェーンが移動するとペダルが軽くなります。反対に車体の外側(小さい)はトップ側と呼ばれていて、ペダルは重くなります。
ギア数が「2×11」と書かれているときは、「チェーンリングの歯車の枚数×スプロケットの歯車の枚数」を表しています。
リアディレイラー
スプロケットのチェーンの位置を変えるリアディレイラー。フロントと同じく、ハンドルのシフトレバーと連動します。
ハンドルのレバーで行うギアチェンジ
フロント、リアとも、ギアを変える時は、ハンドルの「シフトレバー」を使います。ロードバイクは、ブレーキとシフトレバーが一体になっている「デュアルコントロールレバー」が一般的です。
今回は、シマノのSTIレバーを例に、ギアチェンジの方法を紹介します。
フロントギア
フロントギアはハンドル左側のレバーで操作します。Aのレバーを内側に押すと大きなギア(重く)に、Bのレバーを内側に押すと、小さなギア(軽く)に変速ができます。
リアギア
リアギアは、ハンドル右側のレバーで操作します。ペダルを重く(トップ側)するにはBを内側に、ペダルを軽く(ロー側)にするにはAのレバーを内側に軽く押し込みます。1回押し込むごとに、1段階ずつ変速します。
レバーを離すと元の位置に戻るので、カチッと音がしたら指を離しましょう。
ペダルを回しながら操作しよう
ギアチェンジは、シフトレバーを押してからペダルを回してもギアが変わりますが、スムーズにギアチェンジするには、ペダルを回しながら行いましょう。
ギアチェンジのタイミングはいつが良い?
快適に走るためのコツの一つは、ペダルの回転数(ケイデンス)を一定にして走ること。ギアチェンジは、ペダルの回転数のペースが合わせにくくなる時に行いましょう。
フロントとリア、それぞれどんなタイミングが良いかまとめました。
フロントギア
フロントギアは、坂道など、道の傾斜が変化するタイミングで、変速するのがおすすめです。
●上り坂に差し掛かるとき
上り坂に入る直前にはインナーに変えるといいでしょう。上り坂の途中でギアを軽くすると、「ガッチャン」と大きな音が出てチェーンに負担がかかります。
●下り坂に差し掛かるとき
下り坂はペダルが軽く感じますよね。このときにフロントギアをアウター(重く)にしましょう。坂に入る直前に変速すれば、よりスムーズに進みますよ。
●ペダルが重く感じたとき
長く走っている時など、途中でペダルが重く感じたら、フロントギアをアウター(重く)からインナー(軽く)にしましょう。ペダルが軽くなり、くるくる回せるようになりますよ。
リアギア
調整しやすいリアギアは、こまめに使えばペダルを回すペースを保てるので、疲れにくくなります。
●減速・停止するとき
信号などでスピードを落としながら止まりたいときは、シフトダウン(ギアを軽く)するようにしましょう。トップ側(重いギア)のまま止まると、走り出すときに強く踏み込む必要がありますが、ロー側(軽いギア)にしておけば走り出しも軽いですね。
●速度を上げていくとき
スピードアップしたいときは、シフトアップ(ギアを重く)します。トップ側からロー側に、1段ずつ変速して調整しましょう。
強く踏み込んでいる時は変速をしないほうがベター
ギアチェンジは、「カチャッ」と小さな音が出るくらいが理想。立ちこぎなど、強くペダルを踏んでいる時にギアチェンジすると「ガッチャン」と大きな音がします。これはスプロケットやチェーンに負担がかかっている為です。
強く踏み込んでいるときのギアチェンジは避け、力を抜いてペダルをくるくる回している時に行いましょう。
フロントとリアの組み合わせ例をご紹介!
ここからはどんな時に、どんなギアの組み合わせがおすすめか、シーン別に見ていきましょう。
一定ペースのとき・信号のない平地を走るとき
サイクリングロードなど、信号が少ない平坦な道を走るときは、ケイデンスは一定のまま、少しずつペダルを重くしてスピードを上げていきましょう。フロントギアはアウター、リアギアはトップとローの中間がいいでしょう。
上り坂・向かい風のとき
上り坂に差し掛かったり、向かい風を受けたりすると、ペダルが重くなり始めますよね。フロントギアはインナーに、リアギアはロー側にすることで、ケイデンスが落ちすぎないようにできるとバッチリ。
下り坂・追い風のとき
下り坂や、風向きが追い風のときはスピードアップのチャンス。フロントギアはアウター、リアギアはトップ側に寄せていきましょう。下り坂に入る前からギアチェンジを始めるとスムーズですよ。
ゆっくり走るとき
信号が多い道を走るとき、景色を楽しみながらゆっくり走りたいときは、フロントギアをインナーにしておきましょう。止まって走り出すときも、ペダルが軽くて進みやすいですよ。
注意する組合わせもあります
ギアチェンジするときの注意点は、フロントギアとリアギアの重さの差。自転車を上から見たときに、チェーンがフレームに対して平行(上記画像)なのが理想です。
ですが、フロントギアが、重いアウター(外側)で、リアギアが軽いロー側(内側)なら、チェーンが斜めにかかってしまいます。このような場合、チェーンに負担がかかり、チェーンとディレーラーが当たってカラカラと音も出てしまいます。なるべく前後のギアの重さを揃えるようにしましょう。
ギアチェンジでサイクリングをもっと楽しく!
ギアチェンジはタイミングを意識すると、より快適に走れるようになるだけではなく、チェーンなどのパーツにも負担がかからなくなります。ギアチェンジを効率よく行って、ロードバイクを楽しみましょう。