軽い力でペダルを回せる、コンパクトクランク
ロードバイクの前側のギアのクランクには、大きさの違いで「コンパクトクランク」と「ノーマルクランク」と、2種類あります。
そのひとつのコンパクトクランクは、ノーマルクランクと比べ、前ギアの歯数が少なく、ギア比が軽くなるので、小さな力でペダルを回したい場合に向いています。
ノーマルクランクとコンパクトクランクの違い
それでは、ノーマルクランクとコンパクトクランクの違いを確認しましょう。
チェーンリングの歯数
コンパクトクランクとノーマルクランクは、大きさが違うことで、ギアの歯数も異なってきます。ギアの歯数は、一般的に「▲▲(大きいリングの歯数)/■■(小さいリングの歯数)」と、2つの数値で表されますが、
コンパクトクランク:50/34
ノーマルクランク:52/39
上記のようにコンパクトクランクは、ノーマルクランクより歯数が少ないので、同じスプロケット(後ろ側のギア)を使っている場合、軽いギア比で走ることができます。
ロードバイクのエントリーモデルなどでは、コンパクトクランクがセットされていることが多いようです。
ピッチ円直径(PCD)の違いもあります
もうひとつの違いは、ピッチ円直径です。ピッチ円直径とはPCDとも表記され、チェーンリングをセットするボルトを配置した円の直径です。
●コンパクトクランク:110mm
●ノーマルクランク:130mm
ノーマルクランクとコンパクトクランクはピッチが違い、チェーンリングの互換性は無いので、交換するときは注意しましょう。
ギア比のおさらい
そもそもギア比で何が変わるのか、整理してみましょう。
●前ギアの歯数が少ない(コンパクトクランク):ギアが軽くなり、ペダル一回転で進む距離が短い。脚の力を使わない。
●前ギアの歯数が多い(ノーマルクランク):ギアが重くなり、ペダル一回転で進む距離が長い。脚の力を使う。
単に高いギア比なら速く走れる訳ではなく、高いギア比はそれだけ力を使うので、脚への負担が大きくなります。ギア比を下げて速くペダルを回した方が、疲れず速度をキープできることもあります。
走る状況などで、適正なギア比は常に変わるので、効率が良いギアチェンジが大切になってきます。
こんな人、こんな時なら、コンパクトクランク
コンパクトクランクは、こんな場面で活躍します。
脚力に自信がない人は、コンパクトクランクがおすすめ
ギア比が高いノーマルクランクを乗りこなすには、コンパクトクランクより脚力が必要なので、ペダルが重く感じやすいと言えます。「走っている時にもう少し楽がしたい」「まだ始めたばかりで脚力に自信がない」なら、コンパクトクランクがおすすめです。
峠やアップダウンの多い場所を走るなら
上り坂やアップダウンの多いコースを走る時、コンパクトクランクなら、低いギア比と小さな力で回転数を上げて走れるので、上り坂も走りやすくなります。
また、ギアチェンジしたときの差が小さくなるので、頻繁にギアを変えるアップダウンの多い道でも疲れが、たまりにくくなるでしょう。
クランクはショップで交換してもらおう
クランクには数多くの規格があり、取付け・取外しには専用の工具が必要です。工具があれば、自分でも交換できますが、走行時にとても大きな力のかかるパーツなので、確実な取付けとトルク管理も必要になります。
工賃はかかりますが、最初はショップにお願いして交換してもらうのを、おすすめします。
中間的なミッドコンパクトも
コンパクトクランクとノーマルクランクではなく、ミッドコンパクト(セミコンパクト)というクランクもあります。前ギアの大きい方が52・小さい方が36でセットされた、コンパクトクランクとノーマルクランクの中間のクランクです。
●コンパクトクランク:50/34
●ミッドコンパクト:52/36
●ノーマルクランク:52/39
最新のコンポーネントでは、スプロケットがワイド化し歯数は30まで使えるようになりました。ミッドコンパクトは、36×30でコンパクトクランク同様の低ギア比を使い、平地では52を使い速度を上げた巡行ができる、両方のメリットを持った新しい規格です。
自分に合ったクランクを選択しよう
コンパクトクランク・ノーマルクランク・ミッドコンパクトとご紹介しましたが、どのクランクが上級用でどれが初心者用ということはなく、自分の走行スタイルやシチュエーションで選んでみましょう。
競技でもヒルクライムなどでは、コンパクトクランクを使いますし、ギア比を抑えた高ケイデンス走法もプロレーサーから始まったトレンドです。自分のスタイルに合ったクランクで、ロードバイクを楽しんでくださいね。