そもそもシェアサイクルってどんなもの?
まずは、シェアサイクルとはどんなシステムなのか、確認しておきましょう。
シェアサイクルの仕組み
シェアサイクルとは、自転車を共同利用する交通システムです。利用者は、 ポート、ステーションなどと呼ばれる拠点に配備された自転車を借りて、目的地の最寄りのポートに返却します。どこのポートからでも借りられ、どのポートに返却することもできます。
最初に会員登録が必要ですが、費用は借りた時間だけ支払い、その他にはかかりません。ほとんどのサービスで、予約から借り出し、返却、支払いまで、すべてスマホのアプリで完結。手軽に利用することができます。
シェアサイクルのメリット
● 好きな場所で借りて、好きな場所で返せる
カーシェアリングだと、借りた場所に返さないといけませんが、シェアサイクルなら好きな場所で借りて、好きな場所に返すことができます。ワンウェイ(片道)だけの、利用ができるので、とても自由度が高く使うことができます。
● 好きな時間に借りられる
すべての手続きがスマホで完結し、対面の手続きが不要なので、24時間利用可能です。一部、24時間対応ではないポートもあるようですが、アプリで営業時間の確認もできます。
● 料金が安い
乗った時間分の料金しかかかりません。30分以内なら、100円から200円以内で利用できます。
● メンテナンスはお任せ
自分の自転車の場合、タイヤの空気を入れたりブレーキ調整など、定期的な各種メンテナンスが必要です。電動アシスト付き自転車なら、日々のバッテリー充電も必要ですよね。
シェアサイクル ならメンテナンスの手間なく、安全・快適に利用することができます。
● バスや電車料金より安くなる場合もある
各社、料金設定がさまざまなので一概には言えませんが、30分以内の利用ならバスや電車の初乗り料金より安い場合が多いです。また30分を超えても、乗り換えが多い場合は、シェアサイクルの方が安くなるケースがあるでしょう。
主な5つのシェアサイクルサービス
現在、東京で利用可能な主な5つのサービスを紹介して参りましょう!いずれもスマホにアプリをダウンロードして、会員登録すればすぐに利用できます。各サービス別に、都内でポートがある区を図にして掲載しておきます。
ドコモ・バイクシェア
東京の都心部で抜群のポート数を誇るドコモ・バイクシェア。2022年11月現在で、都内14区が連携した「東京広域バイクシェアサービス」を展開しています。
14区内であれば、区をまたいでの利用が可能です。ただし、横浜や川崎とは連携していないので、相互に乗り入れすることは出来ません。それぞれ別途に登録する必要があります。
● 利用可能地域:東京広域(14区)、横浜市都心部、横浜市広域、川崎市、仙台市、広島市、大阪市、奈良市、大分市など
● 東京23区内:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区、墨田区
● 自転車:電動アシスト付き
● 料金(東京):30分165円、延長165円/30分
HELLO CYCLING
ソフトバンク系列のOpenStreet株式会社が提供するシェアサイクルのプラットフォームがハローサイクリング。全国で多くのシェアサイクル事業者がそのシステムを利用しています。東京近郊でよく見かける「ダイチャリ 」も、ハローサイクリングに参加するブランドの一つです。
23区内すべてにステーションがありますが、特にドコモが進出していない23区の北部や東京都下などに幅広く展開しています。
● 利用可能地域:東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪ほか
● 東京23区内:すべて
● 自転車:電動アシスト付き
● 料金(東京):30分130円、延長100円/15分
Charichari
シェアサイクルの中では珍しく、シティサイクルと電動アシスト付き自転車の両方が用意されています。2018年、福岡からサービス開始しましたが、2020年9月から東京エリアに進出。台東区から墨田区、浅草エリアを含む下町が中心です。
平坦な道が多いので、シティサイクルに向いている地域です。1分単位の定額料金なので、チョイ乗りが有利です。
なお、元はメルカリのシェアサイクル事業、「メルチャリ」としてスタートしましたが、2019年に事業譲渡され、ブランド名が「チャリチャリ」に変更されました。
● 利用可能地域:福岡、名古屋、東京、熊本
● 東京23区内:台東区、墨田区、江東区、新宿区、千代田区、港区
● 自転車:シティサイクル 、電動アシスト付き
● 料金(東京):6円/分(シティーサイクル )、15円/分(電動アシスト付き)
PiPPA
シティサイクルのみのサービス展開で、料金が安いのが強みです。都内は利用可能エリアが北東部の4区に限られている一方、京都はとても強いです。160以上のポートを設置しており、地元住人の通勤・通学から観光客利用まで、幅広く利用できるシェアサイクルのモデルが実現。京都に観光に行く際は、かなり便利に使えそうです。
● 利用可能地域:京都、東京、宮崎ほか
● 東京23区内:板橋区、豊島区、北区、中野区
● 自転車:シティサイクル
● 料金(東京):30分110円 延長55円/30分
COGICOGI
鎌倉からサービスを開始していることからも分かる通り、観光に使いやすいシェアサイクルを提供しているのがCOGICOGIです。そのため、料金体系は、半日、1日、2日など長時間となっています。
おしゃれな電動アシスト付きで、車よりも効率よく観光スポットを巡ることができるでしょう。ホテルにも積極展開しており、H.I.S.系列の「変なホテル」のシェアサイクルは、COGICOGIが採用されています。
● 利用可能エリア:鎌倉湘南、東京、伊勢、京都、大阪、白浜、萩、福岡など
● 東京23区内:渋谷区、新宿区、目黒区、墨田区、台東区
● 自転車:電動アシスト付き
● 料金(東京):半日プラン(12時間)2,310円、1日プラン(24時間)2,640円、2日プラン(48時間)3,960円
各サービスを基本データでランク付け!
5つのサービスの特徴を知るためにも、基本的なデータからランク付けしてみます。
料金の安さランキング
料金は地域によってまちまちなので、「東京都内で30分以内利用の場合」に絞って比較してみました。
No.2 HELLO CYCLING (130円)
No.3 ドコモ・バイクシェア (165円)
PiPPAはシティサイクルということもあり、最安で利用できます。最初の30分経過後の延長料金が東京だと55円/30分というのも強力。(東京限定。それ以外は110円/30分)一時間使っても165円です!また、一日単位で借りても550円。他サービスを圧倒的に引き離しています。
料金プランの多彩さランキング
使い方に合わせてリーズナブルな料金設定があると便利です。多彩なプランがあるのは、どのサービスでしょうか?
No.2 ドコモ・バイクシェア
No.3 COGICOGI
1位PiPPAと2位のドコモ・バイクシェアには、時間借りだけでなく、1日単位、月単位の定額プランが用意されています。PiPPAは、月単位に加えて6ヶ月6,600円、12ヶ月11,000円とさらにお得になる長期プランがあるところで1位を獲得。
3位のCOGICOGIは観光に特化しているので、半日、1日、2日と、長時間の乗り放題プランのみで、短時間利用のプランはありません。けれども、月額定額のレンタルプランが別途用意されています。電動アシスト自転車をずっと借りることができるサブスクプランです。配達に利用したり、子供乗せシート付きの物を借りることもできます。多彩です。
サービス地域の多さランキング
日本全国で広くサービスを展開しているのは?
No.2 ドコモ・バイクシェア
No.3 Charichari
No.1はやはりハローサイクリングでしょう。ステーション数は全国で5,000ヶ所を超え、自転車台数も約21,000台、展開都道府県数も20に及んでいます。(同社公式HPより)
続くドコモ・バイクシェアは大都市に強く、横浜、川崎、大阪、広島、仙台などで行政と連携し、きめ細かく多数のポートを展開しています。
3番手はかなり差があるものの、Charichariがランクイン。進出している都市は東京のほか、福岡、名古屋、熊本と多くないですが、ポート数、自転車台数を集中させており、利用者が使いやすい環境が整っている印象です。
COGICOGIは全国の観光地に強く、PiPPAは都道府県よりも市町村単位での取り組みが多いので、Charichariよりサービス展開している地域は広いですが、ポート数の充実という面では、Charichariが上回っているようです。
自転車の種類ランキング
シェアサイクルとして提供される自転車のバラエティーが豊富なサービスは?
No.2 Charichari
HELLO CYCLINGでは、シェアサイクル初となるe-bike(電動アシスト付きスポーツバイク)を導入しています。江ノ島〜湘南エリア限定ですが、対応エリアは順次拡大していく予定があるようです。
Charichariについては、シティサイクルと電動アシスト付きの両方を揃えています。シェアサイクルでは珍しい存在です。
ポート数ランキング
フットワーク良く利用するには、ポート数が多いことが重要です。各サービスで利用可能なポート数を比べます。
No.2 ドコモ・バイクシェア
数値で見ると、ハローサイクリングとドコモバイクシェアの強さが際立ちます。特にハローサイクリングは23区すべてをカバーしている上に、東京都下にも600以上のステーションを設置。東京都心で利用する場合は、この2つどちらかでポートを探すのが良さそうです。
決済方法の多さランキング
スマホで完結するため、キャッシュレスが基本。クレジット以外にもさまざまな払い方があります。幅広く対応しているサービスは?
No.2 HELLO CYCLING
PiPPAがダントツで豊富な決済方法に対応しています。クレジットカード、キャリア決済、モバイルSuicaやコード決済なども利用出来ます。それに続くのがHELLO CYCLING。クレカ、キャリア決済の他、Yahoo!ウォレットやPayPay残高で支払い出来ます。また、HELLO CYCLINGが発行する電子マネー、「HELLOマイル」をチャージすれば、クレジットカードやキャリア決済を登録せずに利用することができます。
結果を表にまとめてみよう
5つのサービスの基本データを表にまとめておきます。データはそれぞれの公式HP、アプリを参照しています。料金は地方によって異なるため、東京での料金で比較しています。
(2022年11月現在 金額は税込)
ドコモ・バイクシェア | ハローサイクリング | Charichari
| PiPPA | COGICOGI | |
自転車の種類 | 電動 | 電動 | シティ車、電動 | シティ車 | 電動 |
料金(最短) | 165円/30分 | 130円/30分 | 6円/1分(シティ車) 15円/1分(電動) | 110円/30分 | 2,310円/12h |
一日定額プラン | 1,650円 | ー | ー | 550円 | 2,640円/24h |
月額定額プラン | 2,200円 | ー | ー | 1,650円 | ー |
利用可能エリア(23区内) | 14区 | 23区 | 6区 | 5区 | 5区 |
ポート数 (23区内) | 1,157 | 1,158 | 53 | 9 | 8 |
決済方法 | クレジットカード、d払い
1日パスはコンビニで購入可能 | クレジットカード、キャリア決済、Yahoo!ウォレット決済、PayPay残高での支払い、HELLOマイル等 | クレジットカード | クレジットカード、キャリア決済、モバイルSuica、アリペイ、銀聯ネット決済、LINE Pay、Apple Pay、WeChat Pay | クレジットカード |
使い方別、おすすめサービスは?
次は使い方ベースで、5つの中からおすすめのサービスをチョイスしてみます。こちらもモデルとして、東京の場合を考えてみましょう。
都心をチョイ乗りしたいなら?
電車やバスに乗るほどでもないけど、歩くと遠い、自転車なら5〜10分で行ける、そんなときはCharichariがおすすめ。何と言っても1分単位の料金設定なので、利用時間が短いほどお得です。シティサイクルなら10分で60円で済んでしまいます!
通勤などで1時間程度使いたいなら?
ドコモ・バイクシェアの東京広域サービスに含まれる14区内ならドコモ。それ以外の区や、都心から離れる地域ならハローサイクリングが便利そうです。
都内北西部(板橋、豊島、北、中野)方面で、坂道が気にならない場合はPiPPAがピッタリです。料金と、最寄りのポートの数、距離などを総合的に判断しましょう。
観光など、1日単位で使うなら?
安いのはドコモ・バイクシェア。(1日、1,650円)、東京から鎌倉などに足を伸ばしたり、泊まりがけで利用する場合はCOGICOGIが良いです。
とにかく安く使いたいなら?
やはり電動でないPiPPAが安いです。ただポート数が少なく、場所も都内北西部に限られています。そこがクリアできればPiPPA一択です。
それ以外の地域ならHELLO CYCLINGを探しましょう。使用時間が1時間を超える場合は、ドコモ ・バイクシェアも選択肢に入ってきます。そして、2時間を超えるなら、ドコモが安くなるでしょう。
デリバリーで長期的に使いたいなら?
COGICOGIには、定額のレンタルプランがあります。レンタルしてしまえば、ポートまで行く必要がないので、長期に渡って継続利用したい場合には検討してみてください。配達の仕事に向いたプランや、子供乗せシートが設置された電動アシストも用意されています。
COGICOGI サブスク(月額定額)レンタルプランはこちら
シェアサイクルで、快適な生活を!
シェアサイクルを利用すれば、満員電車からも解放され、放置自転車が減り、駅周辺の駐輪場不足も解消。とても合理的で、人にも街にも自転車にも優しいシステムです。その上、シェアサイクルは、日常生活の行動半径を軽やかに広げてくれます。今度の休日、気になっていた公園やお店に、シェアサイクルで出かけてみませんか?