電動自転車のバッテリーとは
電動アシスト自転車に欠かせないのがバッテリーです。3~4年が寿命と言われますが、環境や使い方次第でその長さも変わります。まずは、電動アシスト自転車のバッテリーの特性を知っておきましょう。
バッテリーの種類
電動アシスト自転車のバッテリーの種類はリチウムイオン電池とニッケル水素電池がありますが、現在ではリチウムイオン電池が主力です。スマホにも使われていています。リチウムイオンの電池のメリットは、
⚫️小型軽量
⚫️寿命が長い
⚫️メモリー効果がない(継ぎ足し充電可能)
メモリー効果とは、電池の残量がある状態で充電を繰り返すと、充電容量が小さくなってしまう現象。メモリー効果がないので、使い切らずに継ぎ足し充電ができる訳ですね。 ただ、価格はニッケル水素電池より高いようです。
バッテリー容量の種類
現在販売されている電動アシスト自転車の容量は、主に3つに分類できそうです。大容量が16Ah程度、スタンダードなものが12Ah程度、容量の少ないものが8Ah程度。容量が大きいほど電動アシスト自転車の価格も高くなります。
傾向としては、子乗せ自転車のように、大きな荷重がかかる場合や、通勤・通学のように走る距離が長い場合には大容量バッテリーが搭載されています。逆にスポーツタイプ等、軽快さを重視する場合には、大容量より12〜8Ah程度のバッテリーのものが多いようです。
容量の選び方
大容量のバッテリーの方が充電回数が少なくて済み、充電回数が少ない方がバッテリーの寿命が延びます。しかし、大容量になると重量が重たくなります。
そして、大容量バッテリーの方が価格が高いので、自転車本体を買うときも、バッテリーを買い替えるときもコストが高くなります。
パナソニック自転車総合カタログより、16Ahと8Ahの電動アシスト自転車2台の情報を抜粋して、表にまとめてみました。
車種名 | ビビ・DX (26インチ) | ビビ・SX (26インチ) |
バッテリー容量 | 16Ah | 8Ah |
バッテリー質量 | 約3.1kg | 約1.9kg |
自転車質量 | 29.2kg | 26.2kg |
1充電あたりの走行距離 (パワーモード) | 約59km | 約31km |
自転車価格(税込) | 126,000円 | 98,000円 |
バッテリーのみの価格(税込) | 45,650円 | 34,650円 |
例えば、近所のスーパーに買い物に行くが中心で、週に20kmも乗らないなら、軽くて安い「ビビ・SX」の方が使い勝手が良いでしょうし。
週60km、がっつり通勤・通学するなら「ビビ・DX」でないと充電頻度が高くなり過ぎます。
という訳で、使用目的、走行距離と充電の頻度を考えて、バッテリーの大きさを決めましょう。
バッテリーの寿命はどれくらい?
バッテリーの寿命には、「時間経過」と「充電回数」が影響します。時間的な目安は3~4年、充電回数の目安は、700~900回。
充電を繰り返す度に劣化が進み、700回~900回くらい充電すると、購入時のおよそ半分の容量になると言われています。一度充電して走れる距離が減ってきたことが実感できる状態になっているでしょう。
容量が減ってきても、すぐに全く充電できなくなる訳ではありません。充電回数が増えてきて不便を感じるようになったら、交換を考えましょう。
バッテリーを長持ちさせるコツは?
バッテリーの寿命は、使い方にも大きく左右されます。気をつけるポイントは以下の通りです。
充電の回数を減らす
残り20%で充電しても、残り80%で充電しても、回数は同じ一回です。ちょこちょこ充電するのはやめて、なるべく残量が減ってから充電し、充電回数を減らすようにしましょう。
目安としては、残り20%を切るぐらいでしょうか。けれども、残量がゼロになると過放電になり、劣化が進んでしまうので、気をつけましょう。
乗り方の工夫
充電回数を減らすために、省エネ運転しましょう。変速(ギアチェンジ)をうまく使うと、バッテリーの減りを抑えることができます。
電動アシスト自転車は走り出す時にもっとも負荷がかかり、バッテリーを大きく消費します。軽いギアで走り始め、スピードが出てきたら重いギアにチェンジするようにしましょう。
タイヤの空気
タイヤの空気が減っていると自転車の走りが重くなるので、バッテリーが消耗します。タイヤの空気はついつい忘れがちですが、月に一度は入れるようにしましょう。パンクのリスクが減るのはもちろん、タイヤの長持ちにも繋がります。
高温・低温注意
リチウムイオン電池は暑さに弱い性質があります。夏に直射日光が当たって高温になる場所で充電すると、バッテリーが高温になり、劣化が進みます。また寒さにも弱く、冬季には能力が低下して、急に残量が少なくなったりすることもあります。
バッテリーの盗難を防ぐためにも、自転車から外して室内に保管する方が良いでしょう。その際には、室内の温度変化にも気をつけてください。直射日光は厳禁です!
どうなったら寿命なのか?
バッテリーの寿命は、どうやって見分けるのでしょうか。
寿命が近づいたときのサイン
「いつもと同じような使い方をしているのに、最近、バッテリーの持ちが悪いな」そう感じるようになったら、寿命が近づいているサインです。バッテリーは、充放電を繰り返すことや、経年劣化などの要因で、徐々に劣化し、容量が少なくなります。そのため、一回の充電で、走ることができる距離が短くなってしまうのです。
ちなみに、バッテリーの持ちが悪くなっても、アシスト力には関係なく、アシストが弱くなることはありません。
バッテリーの自己診断機能
バッテリーの容量がどの程度になっているのか、バッテリーの自己診断機能を使って、劣化状況を確認することができます。
バッテリーの残量表示ボタンを長押しすると、パナソニックは現在の実容量、ブリヂストン、ヤマハは充電回数と現在の実容量の目安を確認することができます。
バッテリー以外の故障の可能性も
走行中に電池が切れてしまった場合、バッテリー以外に原因があるかもしれません。充電器の不具合、電気系統の故障等も考えられます。そんな場合は、一度自転車ショップで見てもらいましょう。
バッテリー交換か、自転車の買い換えか?
電動アシスト自転車に使われているパーツの中で、一番高価なものがバッテリー。自転車本体の状態によっては、バッテリーを買い換えるか、自転車を買い換えるか、悩むことになります。
自転車の寿命とのバランス
自転車本体の寿命は8~10年、バッテリーの寿命は3〜4年と言われています。初めてのバッテリー交換のタイミングが3~4年以内であれば、あまり迷うことなくバッテリーを買い換えるでしょう。
しかし、私が働いている自転車店では、5年目くらいにバッテリーの買い換え時期を迎えるお客様が多いです。5年目ともなると、自転車本体にも手を入れる必要が出て来ます。前後のタイヤ交換、ブレーキや変速のワイヤー交換など。新しいバッテリーで4万越え、自転車の整備で2~3万かかるのであれば、あと数万上乗せして新車を購入するという判断をする方は結構多いです。
バッテリーの寿命が来た時点で、自転車がどれくらい「乗れる」状態なのかを考慮して、バッテリーを交換するか、自転車ごと買い換えるかを決めましょう。
バッテリー買換え時のポイント
新しいバッテリーは、どのように購入したら良いのでしょうか。
3つのパターン
新しく購入するバッテリーは、次の3つのパターンがあります。
❶全く同じものを購入する:現在のバッテリーが現行品であれば、同じ品番のものを購入。
❷容量の大きいものを購入する:自転車に適合する大容量タイプを購入。
❸代替えバッテリーを購入する:現在のバッテリーが販売終了しているときは、使用可能な代替えバッテリーを購入。
買い換えるバッテリーの探し方
適合するバッテリーを探すには、
⚫️バッテリー本体にあるバッテリーの品番(ブリヂストンは注文番号)
⚫️自転車本体の品番(ブリヂストンは車種略号、ヤマハは号機番号)を調べる必要があります。
どんなバッテリーを購入するにしても、まず、自分が使っているバッテリーの品番を知ることが必要です。バッテリーの品番は、バッテリー本体の側面ラベルや、付属の取り扱い説明書に記載されています。
自転車の品番は、自転車本体に貼られたシールや、取り扱い説明書で調べることができます。
次に、メーカーのホームページに記載されているバッテリーの互換表を調べます。自分のバッテリーが現行品であるか、現行品でなければ代替えバッテリーが確認できます。
●パナソニック
●ブリヂストン
●ヤマハ
※上記に該当なければ、PAS用バッテリー適合表で代替えバッテリーを探します。
バッテリーはどこで買える?
バッテリーを購入できるのは、以下のお店です。
自転車ショップ
電動アシスト自転車を購入したお店で注文するのが、最も手軽で間違いないでしょう。購入したお店でなくても、電動アシストを扱っているお店なら、対応してくれます。バッテリーだけ持って行っても良いですが、できれば自転車ごと持って行くとより確実です。特にバッテリー容量をアップしたいときには自転車ごと持ち込みましょう。
ネットショップ
なかなか実店舗に足を運ぶタイミングがないという方は、メーカーサイトやECサイトから購入することもできます。今使っているものと同じ商品を見つけることができれば良いですが、代替えバッテリーや容量アップのバッテリーを購入する際には、互換性を注意深く確認することが大切です。
ネットショプだと多少安く買えそうですが、場合によってはメーカー希望小売価格より高いこともあるので注意が必要です。
Panasonic リチウムイオンバッテリー ブラック16Ah
品番 | NKY580B02 |
---|---|
メーカー希望小売価格 | 45,650円(税込) |
ブリヂストン リチウムイオンバッテリー DUAL DRIVE用 14.3Ah相当
品番 | BT-B400 |
---|---|
メーカー希望小売価格 | 41,800円税込) |
不要バッテリーの処分方法
使い終わったバッテリー内のリチウムイオン電池は、リサイクルされます。しかし、市町村では「処理困難物」に指定されていて、回収していないケースが多いようです。お住まいの地域のゴミ回収情報を確認してみましょう。
自転車店に持ち込む
一番簡単なのは、自転車店に持ち込むこと。新しいバッテリーを購入したときに古いバッテリーの処分をお願いするとスムーズです。また電動アシスト自転車の取り扱いがあるお店なら、バッテリーの引き取りだけでも対応してくれるので、お店に問い合わせて見ましょう。無償で引き取ってくれる場合が多いと思います。
ネットの回収サービスを利用
ネットで不要バッテリーの回収サービスをしている業者もあるようです。有料ですが、自分で持っていく手間をかけたくない方には便利なサービスかもしれません。
バッテリーの盗難防止対策もしよう
バッテリーの盗難が頻発しています。後悔しないように、しっかりと防犯対策をしておきましょう。
どんなときに盗まれるのか、知っておこう
自宅(戸建て)の敷地内、道路上など、カギを付けっ放しにしている状況で盗まれるケースが意外にも多いようです。また、マンションなど集合住宅の駐輪場ではカギを掛けていても、被害が起きているそうです。
効果的な盗難防止は?
何と言ってもバッテリーを外して室内保管することが安全ですね。それから、絶対にカギを付けた状態で自転車を離れないこと。「自宅だから大丈夫だろう」とか「ちょっと用事をしてすぐ戻るから」はNGです。
また、バッテリーと自転車本体を繋ぐロックは防犯対策の基本です。
盗まれた場合、補償の可能性は?
パナソニック、ブリヂストン、ヤマハの電動アシスト自転車にはメーカーの盗難補償が付いていますが、バッテリーのみの盗難は補償されません。自宅敷地内で盗まれた場合は、火災保険が使える可能性があります。家財に盗難補償が付いている場合は保険会社に問い合わせると良いと思います。
バッテリーと上手に、長く付き合おう!
電動アシスト自転車のバッテリーは消耗品なので、いずれは買い換える日が来ます。そして、その際の出費はなかなか高額。上手に長く付き合って、バッテリーの能力を使い切りましょう!