記事内画像撮影:筆者
海に舟屋が並ぶ町、伊根町ってどんなとこ?

京都・丹後半島の東端に位置する伊根町。この町の代名詞といえば、なんといっても伊根湾をずらりと囲む約230軒の「舟屋」です!
1階の船置き場が海面すれすれに建てられているため、まるで家が海の上にぷかぷか浮かんでいるような不思議な光景に出会えます。

そんな伊根町をぐるりと見て回るなら、自転車が最適解。車だとすれ違いに気を使う細い路地もスムーズに抜けられ、かといって歩くには少し広すぎる伊根の町を隅々まで満喫できます。
さらに集落を一歩抜ければ、「爽快な海岸線」や「海を見下ろす絶景神社」も。情緒ある町並みと気持ちのいい海沿いを両取りできる伊根町周辺は、まさに自転車旅にぴったりのスポットなんです!
伊根ぐるっと周回ルートを実走!
今回走ったのは、伊根湾から北の海岸線までをぐるっと巡る約20kmの周回ルート。
まずは舟屋が立ち並ぶ通りをのんびり流し、そこから坂を登って北側の「新井の棚田」や「新井崎神社」を目指します!
いざ、海沿いの舟屋エリアへ
走り出す前に伊根湾の全体像が見たかったので、高台にある道の駅「舟屋の里伊根」にやってきました。

ん〜、いい眺め! ちなみに現在の時刻は朝の9時ごろです。

坂を下りて、海沿いの集落へ。朝イチの時間帯は観光客がまだ少なく、路地も静まり返っています。


お、舟屋が見えてきました! 海と家の距離が本当にほぼゼロですね。これはすごい。


そもそも、なんでこんな海ギリギリに家を建てて、1階を船のガレージにしたのか? 気になって調べてみたら、昔の船は木造だったため、海水につけっぱなしだと腐ってしまうからだそう。
毎回陸へ引き揚げる必要があったのと、昔は道路がなくて船が車代わりだったため、海側こそが「家の玄関」だったわけですね。

船が大型化した今は沖に係留しているそうですが、1階は小舟を置いたり、魚を捌いたり、洗濯物を干したりと今でも現役バリバリ。
観光用の“見せかけ”じゃなく、リアルな漁師町の日常がそのまま息づいているのが見ていて面白いです。
楽しみにしていた酒蔵が……!
ということで、ここからすこし進んだ先にある「向井酒造」さんを目指します。
創業270年以上の歴史を誇る老舗で、古代米を使った赤い日本酒「伊根満開」でも知られる有名な酒蔵です。


が、まさかの木曜定休日!! マジですか!!!
今回の旅でもかなり楽しみにしていたスポットだっただけに、これはショック……(笑)。
木曜だけがお休みみたいなので、訪れる際はどうかご注意を。


気を取り直して、奥まで散策してみます。


ちなみに、海とは思えないほどこんなに波が穏やかなのは、湾の入り口に浮かぶ「青島(あおしま)」が天然の防波堤の役割を担っているからなんだそうですよ。

通りの端のほうまで走ってくると、ちょうど海の上に大きな船が!
あれはどうやら「伊根湾めぐり遊覧船」らしく、約25分ほどで伊根湾をぐるっとクルージングできるみたい(大人1,200円)。
時間に余裕があれば、海の上から舟屋を眺めてみるのもありですね。
舟屋を抜けて、静かな北の海沿いへ

さて、舟屋はたっぷり満喫できたので、北側の「新井の棚田」と「新井崎神社」を目指します。
ここからは山側へ向かってぐんぐん登り。完全に油断していたんですが、思っていたよりもしっかり登らされます(笑)。

とはいえ、道は綺麗に舗装されていて車通りも少なく走りやすい。ハアハア息を切らしながらペダルを回すこと十数分、ようやくピークを越えて下りへ!

道端の壁に描かれていた、味がありすぎる丹後半島の手描きマップ。このローカルな手作り感、めちゃくちゃいいな……。

途中の分岐を「泊・津母」の案内看板に従って曲がり、素朴な田舎道をのんびり下っていくと、

再びパーンと開けた海沿いに出ました!
さっきの静まり返った伊根湾とは打って変わって、ここはしっかり白波が寄せていて、ざざーんと響く波音がめちゃくちゃ心地いいです。

驚くほど観光客も車もおらず、聞こえるのは本当に波の音だけ。堤防に自転車を立てかけて、海を眺めながらしばらくぼーっとひと息。
あくせく先を急がず、こういう静かな場所で気ままに黄昏れられるのが、やっぱり自転車旅の醍醐味ですね。
新井の棚田と、絶景の新井崎神社

ここからは再び、なかなかの登り坂が待ち構えています。

でも、登りきった先でこの景色が見られるなら全然アリですね。 視界を遮るものが何もなく、ただただ青い日本海がどこまでも広がっています。

いや〜、にしても海沿いの道を走るのは本当に気持ちいい! 視界が開けていて最高です。

ワインディングを気持ちよく流していると、前方に広大な棚田が見えてきました。

ここが伊根の名所のひとつ「新井(にい)の棚田」。 山の斜面から海に向かって田んぼが広がっていて、青い海と棚田がセットで見下ろせます。

そして棚田のすぐ近くにある「新井崎神社」へ寄り道。

お〜! 断崖絶壁に建っていて、鳥居の向こうがすぐ海! これはロケーション良すぎですね。

鳥居からすこし離れたところに、「方士 徐福上陸之地」と刻まれた石碑を発見しました。
徐福といえば、あの秦の始皇帝に「不老不死の薬を探してこい」と命じられて海を渡った伝説の人物。まさかこんな伊根の端っこでその名前をお目にかかれるとは(笑)。

そしてその後ろには、徐福が暮らしたとも伝わる巨岩の洞窟が。 よく見ると右側には大東亜戦争のときに造られたコンクリート壁が食い込んでいて、古代の伝説と近代の遺構が混ざり合っているのがなんとも不思議な光景です。

海と棚田、そして謎多き神社を満喫したら、再び本線へ復帰。 ここからは再び伊根を目指して、下り基調の道を一気に駆け抜けていきます!
伊根の東側をめぐり、最後は道の駅でランチ!
そしてあっという間に、伊根町へ戻ってきました。

午前中に回ったのは伊根湾の西側。ちょうど分岐に出たので、ついでに東側エリアも走ってみることにします。

いや〜、それにしてもこの風情は本当に唯一無二ですね。

集落の端っこにある「カンジャガハナ灯台」へ到着! のんびり眺めていたいところですが、とてつもない爆風なので、そそくさと退散します(笑)。

午後の光で舟屋の写真を撮りたかったのと、そろそろお腹が空いたので再び西側へ。 ただ、時計を見るとすでに14時半過ぎ。案の定、お昼営業のお店はほとんど閉まっていて、かろうじて開いているお店も満席……。

ということで、道の駅「舟屋の里伊根」へ立ち寄り、お刺身定食をいただくことに。このあたりで獲れた魚なのか、身がコリコリと新鮮でめちゃくちゃ美味しい!
これにて、半日の伊根サイクリングも終了です。走行距離は短めなのに、とっても満足度の高いライドでした!
走ってわかった、伊根サイクリングの注意点
実際に伊根の町や周辺を自転車で走ってみて感じたことや、事前に知っておくとよさそうなポイントを2つまとめておきます。
舟屋の敷地内への無断立ち入りは厳禁!

伊根の舟屋群を走るうえで、気をつけたいのがマナー問題です。海側から見る舟屋の1階部分やテラスはとても魅力的ですが、あそこはすべて「個人の私有地」。無断で敷地内に立ち入ったり、家の中を覗き込むような撮影は厳禁です。
住民の方への配慮を忘れず、気持ちよくサイクリングを楽しみましょう!
走るなら午前中(朝イチ)がおすすめ
伊根を走るなら、午前中の早い時間帯がおすすめです。
というのも、午後になると観光客の車や人が増えて、道幅の狭い集落内はすこし走りにくくなるから。
今回は平日に行ったのですが、お昼過ぎに舟屋のエリアへ戻ってきたら、朝とは打って変わって人が増えていました。

休日はなおさら混み合うはずなので、静かな漁師町の空気を味わうなら、やっぱり朝のうちが狙い目です。
ランチは時間をずらすか、席数の多い道の駅へ
伊根町には海沿いを中心におしゃれなカフェや食事処がいくつかありますが、どこも席数はそれほど多くないため、お昼時は結構混み合います。
そうしたお店に入るなら、開店直後を狙うか、少し時間をずらして行くのがおすすめ。ただ、お昼営業が終わる時間はお店によってまちまちなので、今回の僕のように着いたら閉まっていた……とならないよう、事前に営業時間をチェックしておきましょう。
もちろん並ぶのが苦にならなければ、お昼時でも全然OKです。

あまり待たずに食べたいなら、今回立ち寄った道の駅「舟屋の里伊根」が便利です。店内は広々としているうえ、16時ラストオーダー(※時期により変動あり)と遅くまで開いているので、時間が読みにくいライドでも使いやすいと思います。
伊根町へのアクセス
続いては、伊根町へのアクセス方法を見ていきましょう。
車(車載輪行)の場合
大阪市内からだと、高速道路を使って車で約2時間半ほど。日帰りのトランポでも十分走れる距離感です。
現地の駐車場は、舟屋の通り沿いに七面山駐車場や大西駐車場など、有料の駐車場がいくつかあります。
駐車場ごとの詳しい情報(収容台数・料金・リアルタイムの混雑状況など)は、以下の公式ページを確認してください。
電車・バスの場合
伊根町内には鉄道の駅がありません。そのため、電車輪行で向かう場合は京都丹後鉄道の「天橋立駅」で下車し、そこから自走でアクセスすることになります。
天橋立駅から伊根までは片道約20km。海沿いのほぼ平坦な道が続くため、往復40kmの定番サイクリングルートとしても人気です。
自前の自転車を持ち込まず現地でレンタサイクルを利用するなら、天橋立駅から路線バス(丹海バス)に乗れば約1時間で伊根までアクセスできます。
現地のレンタサイクルについて
自転車を持ち込まない場合、現地では観光案内所の無料コミュニティサイクル(大人用10台/予約不可)か、有料のe-BIKE(電動アシスト/事前予約可/3〜11月)が利用できます。
平坦な舟屋沿いだけなら無料の自転車でも十分ですが、台数が少ないうえ、混雑時は事前告知なしで貸し出しを中止することもあるそう。高台の道の駅や棚田まで足を伸ばすなら、予約できるe-BIKEを押さえておくと安心です。
利用方法や最新の受付状況は、それぞれの公式ページを確認してください。
その他のおすすめコース
今回走った周遊コース以外にも、このエリアには定番のサイクリングルートが2つあります!
天橋立〜伊根を往復する海沿いルート
天橋立駅を起点に、海沿いの一本道を走って伊根まで往復する約40kmのルートです。 ほぼ平坦で迷うポイントもなく、電車輪行なら駅前からそのまま走り出せます。
伊根観光をメインに据えつつ、潮風を感じながらのんびり走りたい人にはちょうどいい距離感かと!
ロング派は、丹後半島一周ルート
丹後半島の海岸線をぐるりと巡る、通称「タンイチ」と呼ばれる80〜100km前後の定番コース。 近畿最北端の経ヶ岬をはじめ、日本海の荒波が削り出した景色を眺めながら走れます。
アップダウンの連続でそれなりに脚は削られますが、1日かけてガッツリ走りたい人には文句なしでおすすめのルートです!
まとめ

海沿いの舟屋をのんびり流すだけでも楽しいですし、少し足を伸ばせばダイナミックな棚田や海岸線まで味わえる伊根町。今回は約20kmのショートライドでしたが、景色も走りごたえも大満足のルートでした。
関西からなら日帰りトランポや天橋立からの自走でも十分行ける距離感なので、潮風を感じながら気持ちよく走りたい日は、ぜひ愛車と一緒に出かけてみてください!