記事内画像撮影:筆者
大阪に点在する古墳「百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群」

2019年に大阪初の世界遺産として登録された「百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群」。堺市に広がる「百舌鳥エリア」と、羽曳野市・藤井寺市にまたがる「古市エリア」の2つからなる巨大な古墳の集合体です。
見どころは、その圧倒的なスケール感!
エジプトのピラミッドにも匹敵する世界最大級のお墓が、ごく普通の住宅街のど真ん中にドーンと鎮座している光景は、ここでしか味わえない非日常感があります。
古墳巡りするなら、自転車が最適!
百舌鳥エリアと古市エリアは10数キロほど離れていて、歩くには遠い距離。
2つを直接結ぶ電車もなく、車だと住宅街の細い道や駐車スペースに気をつかいます。そこでちょうどいいのが、小回りの利く自転車です。
展望台にフラッと立ち寄ったり、古墳前のカフェで休憩したり。気になるスポットを気ままに楽しみながら効率よく古墳を巡るなら、まさに自転車一択といえましょう!
いざ実走!まずは百舌鳥エリアから
ということで、実際に自転車で古墳を巡っていきます!
前半は堺市の「百舌鳥エリア」、後半は東へ移動して「古市エリア」を攻めるルートです。

まず、今回走る百舌鳥エリアの古墳の全貌を見てみたいと思います。
向かったのは、堺市役所の21階にある「MI-TEさかい」という展望ロビー(無料です)。

お〜、上からだと古墳たちが見える見える。街の奥に広がる巨大な森のようなものは、日本最大の古墳「仁徳天皇陵」と大仙公園あたりですね。
上から見ると、スケールの大きさがさらに分かりやすいです。
街中にポツンと現れる天皇陵
さて、それでは自転車で巡っていきましょうか!
今回は大きめの古墳、つまり「天皇陵」を中心に回る予定です。ぜんぶ巡っていたらキリがありませんからね。
まず1つ目は、堺市役所からすぐ近くにある反正天皇陵(はんぜいてんのうりょう)を目指します。


自転車を走らせること5分ほど、あっという間に到着しました。本当に街中にポツンと建ってる。

ちなみにこちらの反正天皇は、仁徳天皇の息子にあたります。
まずは息子さんにご挨拶をして、次はお父さんが眠る日本最大の古墳・仁徳天皇陵へ向かいましょう。
ただの森? いえ、日本一の仁徳天皇陵です
反正天皇陵から仁徳天皇陵へは、自転車なら10分かからない、あっという間の距離です。
ただ、その短い移動の間にも別の古墳がチラホラと姿を見せ、「どんだけ古墳あるんや……」と驚かされます。

仁徳天皇陵の外周部分へとぶち当たりました。一見するとただの森ですが、実はこれも古墳の一部。

仁徳天皇陵はこの百舌鳥エリアの目玉だけあって、外周の道もかなりキレイに整備されていますね。
そしてこちらがドン! 仁徳天皇陵(大仙陵古墳)です。

ここはやはり扱いが特別のようで、常駐のガイドさんがいらっしゃいました。
さて、こちらの古墳。大きさはなんと全長約486メートルもあります。日本最大の古墳であるのはもちろん、エジプトのクフ王のピラミッド、中国の秦の始皇帝陵と並んで「世界三大墳墓」に数えられる、まさに世界最大級のスケールなんです。
こんなに巨大なものが1500年以上前(5世紀半ば)に造られて、ほぼ形を変えずに現代まで受け継がれてきたのって、冷静に考えてめちゃくちゃすごいことですよね。
大仙公園に寄り道しつつ、履中天皇陵へ
さて、それでは仁徳天皇陵のすぐ隣にある「大仙公園」へ。園内をぷらっと走っていたら「堺市博物館」を発見したので、せっかくなので入ってみることにしました。

入場料200円の割に展示物がかなり充実していて、映像で古墳についても学べるなど、想像以上に見応えがありました! 古墳巡りをするなら、一見の価値アリです。

公園内には、こんな「DAISEN」のモニュメントも。ちなみに、さっきから画像にちょこちょこ登場している気球は「おおさか堺バルーン」。
上空から古墳群を見下ろせる体験アクティビティだそうで、いつか乗ってみたい。

そんなこんなで、大仙公園を抜けて「履中天皇陵(りちゅうてんのうりょう)」に到着しました。これはビュースポットと呼ばれる場所から俯瞰で見た景色です。
日本で3番目の大きさを誇るだけあって、こちらもかなりのスケール感。

そのままぐるっと回って、拝所へ到着。立派なクロマツが植えられており、とても厳かな空気が流れています。
ちなみにこちらの履中天皇、実は一番最初に立ち寄った反正天皇の「お兄さん」なんです(つまり、同じく仁徳天皇の息子にあたります)。

さて、そんなこんなで主要な巨大古墳を巡り終えたので、百舌鳥エリア編はこれにて終了。
ここからは府道2号線をひたすら東へ移動し、10数キロ先のもうひとつの目的地、古市エリアを目指します。
もうひとつの巨大古墳群「古市エリア」
40分ほど走ると、羽曳野市に到着しました。

そして前方になんか、いかにも古墳っぽい木々があります。(このライドを通して、古墳を見分ける能力がついてきた)

あの木々の正体は、やはり古墳だったようです。

応神天皇陵。
先ほどの仁徳天皇陵に次ぐ、日本で2番目の大きさを誇る巨大古墳です。ちなみにこの応神天皇、仁徳天皇のお父さんであり、あのヤマトタケルのひ孫にあたる人物。
歴代天皇の中で名前に「神」がつくのはたった3人だけという、なんともカリスマ性の高いお方です。
さらに面白いのが、全国に約4万社もある「八幡神社」の神様は、実はこの応神天皇だということ。あの身近な「八幡さん」の正体だと思うと、なんだか急に親近感が湧いてきますね。
高速道路の下にまさかの古墳
日本のトップ3の古墳を無事に巡れたので、ここからは思うままにぷらぷら走ります。近くに応神天皇の奥さんの古墳があるみたいなので、そこへ行ってみることに。

……と、その途中で高速の高架下にこんもりとした土盛りを発見。さすがに雑草ボーボーやし「ただの土手やろ……」と思ったら、まさかの古墳でした。名前は赤面山古墳。

実はこの上の高速道路、この古墳を避けるためにわざわざ柱を1本なくして、道自体もカーブさせて造られているんだとか。
そこまでして残されているのに、看板もなければ世界遺産にもカウントされていないという、ちょっとかわいそうな古墳です。

ちょっと走ると、また古墳っぽいのが出てきました。
そしてやはり、これもどうやら古墳のようです。名前は「古室山(こむろやま)古墳」。なんでも上に登れて景色が良いみたいなので、自転車を降りてちょっと登ってみますか。

お〜、これは確かにいい眺め! 遠くの方にはあべのハルカスも見えます。
なんでこの古墳は上に登れるのかというと、シンプルに天皇陵ではないから。宮内庁によって管理されていない古墳は、こんな感じでわりと自由に出入りできるみたいですね。

あ、そして全然気づいてなかったのですが、自転車を停めた場所の真後ろに、探していた「応神天皇の奥さまの古墳」がありました。笑

こちらがその「仲津姫命陵(なかつひめのみことりょう)」。
天皇陵ではないものの、それでも全国で9番目の大きさを誇ります。さらに古市エリアの中でも旦那さん(応神天皇)に次ぐ第2位ということで、夫婦そろってスケールがでかいですね。
百舌鳥・古市すべてのルーツ、ヤマトタケルのお墓へ
最後に、これまで百舌鳥と古市で巡ってきた天皇たちの「ルーツ」とも言える大ボス的な存在のお墓がこのエリアにあるので、そこへ向かってライドを締めくくりたいと思います。
目的地へ向かって適当に走っていると……ん? なんか神社の境内に踏切がある……?

え、神社の中を普通に近鉄電車が走り抜けていきました。笑
気になって理由を調べてみたら、なんと「周りに巨大な古墳が多すぎて、線路を引く時にそれらをギリギリで避けた結果、やむを得ず神社の境内をぶち抜くしかなかった」とのこと。
古墳群エリアならではの力技すぎる理由で最高ですね。

そんなカオスな光景に寄り道しつつさらに進むと、「竹内街道(たけのうちかいどう)」というなんとも情緒ある道に出ました。

そして到着したのが、最終目的地の「白鳥陵(しらとりのみささぎ)古墳」です。
ここに眠っているとされているのは、神話にも登場する伝説の英雄「ヤマトタケル(日本武尊)」。
さっき立ち寄った応神天皇のおじいちゃんにあたる人物で、百舌鳥・古市に眠る天皇たちの系譜はまさにこの人から始まっています。

看板には「日本武尊」の文字が。名前に“日本”が付くという特別感、めちゃくちゃかっこいいですね。
「今日1日でどんだけ古墳見たんやろ……」と若干お腹いっぱいになったところで(笑)、今回の古墳巡りライドはこれにて終了です!
実際に走って分かった!古墳巡りライドの実走TIPS

最後に、これから実際に古墳を巡ってみようという方に向けて、知っておきたいポイントをまとめました。
Q. トータルの走行距離と所要時間はどれくらい?
A. 今回のルート(堺〜古市の往復と周辺散策)で、走行距離はざっくり35〜40kmほどです。
古墳をかなりゆっくり回ったため、堺を出発して戻ってくるまで約6時間半かかりました。
Q. 今回走ったルートは、 走りやすい?
A. 全体的にフラットなので体力的な負担は少なめです。基本的には市街地のど真ん中を走るうえ、古墳同士の距離が近接しているため「少し走っては止まる」の連続になります。
サイクリングロードのような爽快感というよりは、「歴史を楽しみながら、のんびりポタリングする」くらいの気持ちで走るのがおすすめです。
Q. レンタサイクルでも回れる?
A. はい、回れます!百舌鳥エリア・古市エリアともにレンタサイクル環境はかなり充実しています。
ただ、今回のように「両方をはしごする」場合は要注意。エリア間が片道10km以上離れているため、両方回るとトータル35〜40kmになり、電動アシストだと途中でバッテリーが切れるリスクがあります。
レンタサイクルの場合は無理をせず、百舌鳥か古市のどちらか1エリアに絞ってじっくり回るのがおすすめです。
Q. 拠点は百舌鳥と古市、どちらにするのがおすすめ?
A. 車でも電車(輪行)でも、百舌鳥エリア・古市エリアともに駅周辺のコインパーキングやアクセス環境は充実しています。
そのため、「ご自宅からアクセスしやすい方」を起点に選んで問題ありません。
Q. ズバリ、古墳の見た目のインパクトは?
A. 地上から見ると、基本は「デカい森」です。笑
教科書で見る綺麗な鍵穴のような形は、地上からだとまず見えません。ただ、鳥居や看板が設置されている「拝所」まで行くと空気がスッと変わり、古墳ならではの厳かな雰囲気はしっかり感じられます。
分かりやすい視覚的なインパクトを期待するより、「この木々の奥に1500年以上前の歴史が眠ってるんやな……」と脳内でロマンを補完しながら巡るのが、このライドを楽しむ最大のコツと言えそうです。
世界遺産の古墳群。自転車で巡るのが最高です

住宅街に突如現れる巨大な森の正体は、1500年の歴史が眠る世界遺産。点在する古墳を自分のペースで気ままに巡るなら、やっぱり小回りの利く自転車が最強の相棒です。
日常とロマンが混ざり合う不思議な空間を、ぜひのんびり走りに行ってみてください!