テントを積んで自転車キャンプに行こう!
近年キャンプをはじめとするアウトドアが注目を集めていますが、自転車とキャンプを組み合わせた遊びも広がりを見せています。
日帰りのサイクリングも楽しいものですが、もう一歩踏み出して屋外での寝泊りも加えてみると、きっと新たな冒険の扉が開くはずです。
自転車にキャンプ道具を積むスタイルも進化を見せており、ロードバイク等のスポーツ自転車にも気軽に荷物を積むことが出来る様になりました。
自転車キャンプ用のテントってあるの?
そもそも、「自転車キャンプ」に特化したテントはあるのでしょうか?
実は、キャンプ用や登山用として販売されているテントは多い一方で、自転車用テント(バイクパッキング用テント)として販売されている製品は、まだまだ少ないのが現状です。
テント選びの際には、自転車用テントのほか、特徴が似た「登山用のテント」を選択肢に入れるのがおススメです。
では、自転車キャンプを始めるにあたりどんなテントを選べばよいのか、詳しく見ていきましょう。
「軽量」と「コンパクト」は外せない
どんなテントを使うかは、最終的には各々のキャンプスタイル次第です。何かを競う競技ではありませんので、正解のある遊びでもありません。
ただし、自転車にテントを積んで走行する必要がある以上、「軽量」と「コンパクト」であることは押さえておきたいですね。
重量のあるテントを選んでしまうと、特に上り坂や、信号待ちからの発進が辛くなってしまいます。キャンプ場までの道のりで疲れ切ってしまっては、折角のキャンプを楽しみ切れませんよね。また、ロードバイク等の重たい荷物を積む想定でない自転車には、過剰な負担になってしまう可能性もあります。
収納時のコンパクト性も欠かせません。自転車用のバッグはサイズや形状が限られるため、大きなテントだと収納しきれない事も考えられます。キャンプ時はテントの他にも小物が増えがちですので、テント収納の為のスペースは小さいに越したことがありません。
自転車キャンプの荷物の中で、テントは大きなものです。そのテントを軽量でコンパクトにすると、荷物全体の軽量化や小型化が効率よく出来ます。
なお、軽量なテントの多くは薄い生地やメッシュ生地を使用しているため、保温力は一般的なテントよりも劣る傾向があります。暑い時期はそれがメリットとなりますが、寒い時期はシュラフやダウンジャケットなどの保温装備で温度調節をしましょう。
テント選びのポイントは?
「軽量でコンパクトなものがおススメ」というのはお話しましたが、他の観点からテント選びのポイントを見ていきたいと思います。
重量2㎏以下、サイズは45㎝以内
先ほど「軽量」と「コンパクト」は外せないと書きましたが、具体的にどのくらいの重量やサイズを目安にすればよいのでしょうか?
まず重量ですが、2㎏以下の製品がおススメです。
もちろん出来るだけ軽量なものが良いですが、テントは軽量なほど高価になる傾向もあり、また使用シーンが限定されるものもあります。2㎏以下というラインで選んでおけば、コストパフォーマンスの良いモデルも多く、初心者向きでありながら本格的な自転車キャンプにも対応できます。
収納時のサイズについては、特に長さに気を付けておきましょう。自転車キャンプに使用するバッグを既に準備しているなら、それに余裕をもって入りそうか確かめておくことをお勧めします。ハンドルバーに直接括りつけられる製品もありますので、そういった製品は安心ですね。
また、「積載物がどれだけ自転車からはみ出てよいか」というルールが地域によって定められている場合があるため、テントの長さにも注意です。積載の仕方にもよりますが、東京都の場合を見ても、おおよそ45cmを超えていなければ大丈夫でしょう。
設営、撤収のし易さ
初心者の方ほど、設営と撤収が簡単に出来るものを選ぶと安心ですしストレスが減ります。
また、テントには「自立式」と「非自立式」がありますが、自立式の方が設営場所を選ばず、テントを張った後の移動も簡単ですので、初心者の方には自立式の方がおススメです。
こちらの画像の様に、ペグや張り綱でテントを固定しないと立てられない、形状を保てないものが非自立式のテントです。
逆に、1枚前の様に、テントのみで立てられる、形状を保てるものが自立式のテントです。
広さと通気性
テント内の広さや通気性など、快適性(居住性)もテント選びのポイントの1つ。
テント内が広い方が、のびのびとキャンプを楽しめますので、ソロキャンプでも2人用を選択するのも1つの手です。また、通気性の高いモデルはテント内の温度・湿度の調節がし易いため、快適性が高くなります。テント本体がメッシュになっているものや、テントの窓や出入り口が大きく開くモデルが通気性が良いです。
ゆっくりキャンプを楽しみたい方は快適性の高いモデルがおススメですし、逆に軽快な走行も重視したい方はより軽量でコンパクトなモデルを選択すると良いでしょう。
ここも要チェック!
少し細かな知識になりますが、テント選びの際にチェックしておくとよい点は、もう少しあります。
シングルウォールかダブルウォールか
自転車キャンプに突然の雨や風は付き物ですので、なるべく雨風への耐性が高いモデルが安心です。
テントは、壁や天井部分が1枚の布の「シングルウォールテント」と、テント本体に、フライシートを被せて2枚重ねにする「ダブルウォールテント」があります。
一般的にはダブルウォールテントの方が雨風に強く、汎用性が高いです。また、シングルウォールテントは湿度の高い日や気温の低い日は結露が発生しやすいので、ダブルウォールテントの方が扱いやすく快適性も高い傾向があります。
その一方で、シングルウォールの方がより軽量なモデルが多いため、天候の安定した日にのみ使用するのであれば、シングルウォールが有利になることもあります。どちらを取るかスタイルの分かれるところです。
前室の広さと出入り口の向き
ダブルウォールテントの場合は、「前室」と呼ばれる空間(次の画像で赤丸部分)がテントの出入り口の前に出来るものが殆どです。
前室はテント内に入りきらない荷物や、汚れてしまってテント内に入れたくないもの(シューズなど)を置いておくのに、便利なスペースです。前室が広いものほど、居住性が高いと言えます。
また、出入り口の向きがテントの長辺にあるか、短辺にあるかもポイントです。
短辺にあるものは、より軽量で対候性も高くなりやすい一方、長辺にあるものの方が出入りがし易く、前室も広くなる傾向があります。
テントの相場は1万円弱~5万円超まで
自転車キャンプに適したテントの相場は、安いもので1万円弱、多くは2~4万円に集中し、高価なものは5万円を超えます。
高価なものほど軽量性と対候性(雨風への強さ)を両立しているものが多いですが、キャンプのスタイル次第では、必ずしもその性能が必要となる訳ではありません。
テント以外のキャンプ道具を充実させたり、キャンプ料理や近隣でのアクティビティなどの楽しみを増やしたりと、ご予算は余裕を持っておいた方が遊びの幅が広がります。
安価なものも高価なものも、それぞれに良さがありますので、ご自身に合ったテントをお選びください。
「~1万円台」のおススメテント
では、価格帯別におススメのテントをご紹介していきましょう。
1万円台で購入できるテントは性能や耐久性に不安が残りますが、「ネイチャーハイク」というブランドはコストパフォーマンスが高いことで知られ、旅人にも広く使用されている実績があります。ここでは、ネイチャーハイクのテントを2つご紹介。どちらもダブルウォールテントです。
ネイチャーハイク サイクリング1ウルトラライト
サイクリングやハイキング等を想定した軽量テントで、コストパフォーマンスに優れたモデルです。本体がメッシュで通気性がよく、前室も広いなど、快適性も兼ね備えています。
定員 | 1人用 |
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サイズ | 205×95×110cm |
収納サイズ | 15×40cm |
総重量 | 1.66kg |
付属品 | フレーム一式、テント本体、レインフライ、ペグ、ウィンドロープ、テンショナー、フットプリント |
フライ耐水圧 | PU 4,000mm |
フロア耐水圧 | PU 3,000mm |
ネイチャーハイク クラウドアップ 2 ウルトラライト20D
2人でも寝られる広さがありながら、かなりの軽量性を確保しています。室内を広々使いたい方や、ご友人を誘うこともある方には良いでしょう。
定員 | 2人用 |
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サイズ | (60+210)×125×100cm |
収納サイズ | 13×40cm |
総重量 | 1.82kg |
付属品 | フレーム一式、テント本体、レインフライ、ペグ、ウィンドロープ、テンショナー、フットプリント |
フライ耐水圧 | PU 4,000mm |
フロア耐水圧 | PU 4,000mm |
「2万~3万円台」のおススメテント
3万円台まで予算を上げれば、大手アウトドアブランドのテントも視野に入ります。様々な選択肢がありますので、ここではダブルウォールテント3つとシングルウォールテント1つをご紹介します。
モンベル クロノスドーム1型
モンベルのクロノスドームは、テントの天井部分も広さを確保しているため、床面積以上に広さを感じるテントです。1型で最大2人まで対応します。重量はやや嵩張りますが、通気性や広い前室も確保されており、居住性の高い快適なテントです。
定員 | 1人用 |
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サイズ | 長さ220cm×幅100cm×高さ105cm |
収納サイズ | 34×φ16㎝ |
ポールバッグサイズ | 43×φ6㎝ |
重量 | 約1950g |
付属品 | テント本体1、フライシート1、本体ポール1組、2mm張り綱4本、16cmアルミペグ12本、ポール応急補修用パイプ1本 |
フロア耐水圧 | 2,000㎜ |
フライ耐水圧 | 1,500㎜ |
MSR(エムエスアール) エリクサー1
山岳ブランドMSRの中で、居住性が高いコストパフォーマンスに優れたモデルです。耐久性も高く設計されています。他のブランドにはないデザインも魅力的ですね。
定員 | 1人用 |
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最小重量 | 1780g(フライ/本体/ポール) |
フロア面積 | 1.86m2 |
前室面積 | 1.11m2 |
室内最大高 | 100cm |
収納サイズ | 48×15cm |
付属品 | フレーム一式、テント本体、レインフライ、ステイク、MSR(R) フットプリント |
モンベル/ムーンライト1型
「月明かりの中でも設営出来る」ということから命名されたロングセラーテントで、ツーリストに根強い人気があります。マイナーチェンジで更に軽量になりました。ポールが長いので、自転車のフレームに括り付ける等するとよいでしょう。
・定員:1名
・サイズ:210×110×105㎝
・収納サイズ:本体30×φ16㎝、ポール56×φ9㎝
・重量:1.49kg
・付属品:テント本体1、レインフライ1、本体ポール1組、∅2mm反射材入り張り綱4本、16cmアルミペグ12本、ポール応急補修用パイプ1本
・フロア耐水圧:2,000㎜
・フライ耐水圧:1,500㎜
続いてはシングルウォールテントです。
モンベル/U.L.ドームシェルター1型
モンベルの超軽量なシェルターです。雨や風には弱い一方で、ダブルウォールテントにはない圧倒的な軽量コンパクト性があります。
・定員:1名
・サイズ:210×90×95㎝
・収納サイズ:本体25×φ10㎝、ポール43×φ5㎝
・重量:742g
・付属品:シェルター本体1、本体用スタッフバッグ1、ポール2本、ポールスタッフバッグ
・フロア耐水圧:1,500㎜
・本体耐水圧:600㎜
「4万円~」のおススメテント
4万円以上予算があれば、軽量性と対候性を兼ね備えた本格的なモデルが視野に入ります。ここでは、中でも注目しておきたいテントのダブルウォール2つ、シングルウォール1をつご紹介します。
ニーモ ドラゴンフライ バイクパック1P
自転車での使用を想定した超軽量テントです。広い前室には汚れた荷物を置いておける「ランディングゾーン」を備え、ハンドルバーに直接固定出来るなど、自転車キャンプには見逃せない機能満載です。
定員 | 1人用 |
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サイズ | 224×89×102㎝ |
収納サイズ | 37×14.6㎝(本体) |
最小重量 | 1.03kg |
付属品 | テント本体、レインフライ、ポール、収納袋、ペグ、ランディングゾーン |
フロア耐水圧 | 1,200㎜ |
本体耐水圧 | 1,200㎜ |
ファイントラック カミナドーム1
非常に軽量かつ対候性に優れた山岳用テントで、快適性も高いレベルで実現しています。日本の山間部での使用を徹底的に考えて設計された、日本ブランドのテントです。
定員 | 1人用 |
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サイズ | 間口205×奥行90×高さ100cm ・収納時:本体8×15×25cm、ポール39cm |
重量 | 1130g(インナー、フライ、ポール)+150g(ガイライン、収納袋、ペグ8本) |
付属品 | インナー、フライ、ポール、ガイライン、収納袋、ペグ8本 |
フロア耐水圧 | 1,800㎜ |
フライ耐水圧 | 1,600㎜ |
続いてはシングルウォールテントです。
ヘリテイジ クロスオーバードーム<2G>
超小型・軽量なシングルウォールテントです。本体が防水・透湿素材な高性能素材でできているため、雨に強く蒸れを抑える効果があります。
定員 | 1人用 |
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サイズ | 底面210×100㎝ |
収納サイズ | 本体20×φ9㎝、ポール長38㎝ |
重量 | 630g |
フロア耐水圧 | 1,230㎜ |
本体耐水圧 | 1,230m |
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グランドシートがあると便利
テントによっては本体に付属しますが、テントの下に敷く「グランドシート」があると便利です。
テント底面が痛んだり汚れたりするのを防止してくれるほか、防水性や断熱性を強化する働きがあります。高価なテント本体を長持ちさせるためにも、使用をお勧めします。
グランドシートはテントに合うものが各社から発売されているほか、薄手のレジャーシートをカットしたもの等でも対応可能です。
ハンモックという選択肢も
自転車キャンプをする場合、テントの代わりにハンモックを使用するという選択肢もあります。
ハンモック本体はテントより安価に軽量なものを用意でき、装備を軽量化するうえでの金銭的ハードルが下がります。独特な寝心地やスタイルにも憧れますよね。
その一方で、適切な木などの支柱が無いと設営できませんし、雨や虫対策といった課題もあります。こちらの記事に自転車でのハンモックキャンプを楽しんだ様子を掲載していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
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