top画像撮影:編集部
いつもと違う景色を求めて。富士山に向かって走るルートを開拓

筆者は普段からロードバイクでサイクリングを楽しんでいますが、ついお気に入りの場所を何度も走ってしまいがちです。走り慣れた道は気楽で楽しい反面、景色に新鮮味がなくなり「たまには違う雰囲気の場所を走りたい」と思うことも。

行き先を考えていたとき、富士山を一周する「フジイチ」が、2026年7月に日本を代表するサイクリングルートである「ナショナルサイクルルート」に指定されたというニュースを目にしました。富士山を眺めながらのサイクリングはとても魅力的です。
しかし、フジイチのメインルートは約163km、獲得標高は約1,800mと気軽に挑戦できる距離ではありません。
それなら、ルートの一部だけでも富士山ビューを楽しむのもアリなのでは?と思いつきました。都内などからでもアクセスのいい大月駅から山中湖までのルートなら、片道38.8km、往復しても80km弱と、比較的挑戦しやすい距離感になります。
さらに、忍野八海や山中湖といったフジイチのスポットも通るので、雰囲気を味わう入門編としてもぴったりです。
大月駅はJR中央線で都内から行きやすく、中央道の大月ICも近いので、電車でも車でも向かえます。また、大月から富士吉田方面へ走ると、富士山を正面に見ながら進めるのも魅力です。
大月〜富士五湖エリアを実際に走ってみた
10月の天気が良い平日に、実際に大月駅から山中湖までロードバイクでサイクリングした実走レポートをまとめます。
区間レポート
大月駅〜田原の滝:富士山を眺めながら気持ち良くスタート

朝8時、JR大月駅に筆者と編集部Yさんの2名で集合しスタートしました。大月駅は東京の新宿駅から特急で約1時間、快速・普通で約1時間30分と好アクセスです。

駅周辺には駐車場も複数あり、車でのアクセス拠点にも使いやすいです。今回は車にロードバイクを積んで向かいました。

大月駅のロータリーにはキヨスクや自動販売機があるものの、見える範囲にはコンビニがありません。駅の近くにコンビニはあるので、補給食を買いたい場合は出発前に位置を確認して立ち寄っておきましょう。

駅前を出たら国道20号に突き当たり右折します。かなり交通量が多いため、交通ルールを守りながら周囲に気を配って走りましょう。
また、山に近い場所では、太陽の位置が低い朝の時間帯に日陰が多く肌寒く感じることもあるので、ウインドブレーカーを持っておくのがおすすめです。

少し進み、山中湖方面に向かう国道139号との交差点を左折します。さっそく前方に富士山が大きく見えてテンションが上がります。

国道139号も朝の時間帯で交通量が多かったため、途中で脇道にそれて細い田舎道を走ることに。車を気にせずにのんびり走れて、引き続き正面に富士山が見えて楽しい区間です。

しばらく田舎道の景色を楽しんだあと、国道139号に合流します。道幅が狭めで自転車レーンがなく、トラックなどの大型車も通ることがあるので左端を注意しながら走ります。

139号自体は普通の国道ですが、時々正面に富士山が見えてうれしくなりますね。ずっと上り坂が続き、少し足に疲れを感じますが、いい景色が見えると頑張れます。

大月駅から約11km走り、最初のスポットである田原の滝に到着しました。国道139号から見えるところにあり、自転車でも立ち寄りやすいです。

田原の滝は、富士山から流れ出た溶岩がつくった地形を、桂川の水が勢いよく流れ落ちる名勝で、落差が大きく見ごたえがあります。江戸時代には松尾芭蕉も訪れて句に詠んだ歴史もあります。

駐車場の近くにはトイレもあり、休憩スポットとしてもおすすめです。

展望台があり上からも滝を眺められますが、手前の木が視界を遮り少し残念な印象でした。しかし、近くで迫力のある水の音を楽しめるので、おすすめの立ち寄りスポットです。
田原の滝〜新倉山浅間公園:上り坂を越えて、展望デッキで眺望を楽しむ

田原の滝を少し眺めて時刻は8時50分。
引き続き国道139号を富士吉田方面に向かって走ります。

山中湖までは全体的に上り基調で、途中には6%の勾配を表す看板が立つ坂も。

峠のヒルクライムのような坂ではないですが、上り坂が続き、じわじわと足に効いてきます。相変わらず交通量も多いので、ふらつかないように注意しつつ、休憩しながら走るのがおすすめです。

大月駅からずっと走ってきた国道139号は、「富士見バイパス北」で分岐します。ここを右折して下吉田駅方面に向かいました。

9時35分、次の目的地である新倉山浅間公園の最寄り駅、下吉田駅に到着しました。新倉山浅間公園は、展望デッキから富士山と五重塔を一緒に収められる人気の撮影スポットで、平日にもかかわらず多くの観光客でにぎわっています。

下吉田駅から新倉山浅間公園までは少し距離がありますが、案内板があるのでマップを見なくても移動しやすいです。

新倉山浅間公園の入り口も、観光客や出店でにぎわっています。周囲を探しましたが駐輪場をみつけられなかったため、一度駅に引き返すことに。

結局、下吉田駅の近くにあるサイクルラックに自転車を停めました。平日でしたがかなりの数の自転車が停まっています。

下吉田駅から新倉山浅間公園の入り口までは、歩いて10分程度でした。さっそく頂上の展望デッキを目指して登り始めます。

展望デッキへ続く階段は398段あり、富士山信仰の祭神である「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」にちなんで「咲くや姫階段」と呼ばれているそうです。
長い階段が続くため、ビンディングシューズの人は、滑らないよう足元に気をつけてください。ちなみに編集部YさんはSPDペダル用のビンディングシューズを履いていましたが、ゆっくり登れば問題ありませんでした。

石段を登っていくと新倉富士浅間神社の社殿が見えてきました。サイクリングの無事を祈ってお参りをしていきましょう。

この先も石段が続きます。神社の社殿から先は階段のない別ルートもあるので、ビンディングシューズで歩きにくい場合はそちらを通るのがおすすめです。

さらに階段を上ると、新倉山浅間公園忠霊塔に到着しました。忠霊塔は戦没者を慰霊するため、1962年に建てられた塔です。高さのある五重塔で、下から見上げるだけでも迫力があります。さらに、裏手の展望デッキに進みます。

展望デッキに上ると、残念ながら雲で富士山は見えませんでした。
それでも、朱色の塔と富士吉田の街並みを見下ろす景色は、上ってきた甲斐のある眺めです。春は桜、秋は例年10月下旬〜11月中旬に紅葉が見頃を迎えるので、季節を変えて訪れるのもおすすめです。
ちなみに、入り口から展望デッキまでは徒歩約15分でした。駅からの往復を考えるとそれなりの時間がかかるので、スケジュールを立てるときは注意しましょう。
新倉山浅間公園〜忍野八海:湧き水の透明度と美味しさに癒やされる

新倉山浅間公園を出発したのは10時30分、国道139号・138号をつないで忍野八海を目指します。
晴れていれば正面に富士山が見えるルートですが、残念ながら引き続き雲に遮られています。レトロな雰囲気の商店街越しに富士山が見えるスポットがあるので、天候の変化に期待して帰りにもう一度通ってみましょう。

この区間も全体的に交通量が多いので、周囲に注意しながら走る必要があります。途中に自転車レーンが設けられている場所もありました。

しかし、すぐに細くなり車道と合流してしまいました。自転車レーンの表示はあるものの、普通の道路と幅が変わらないので引き続き注意して走ります。

国道138号を進むと忍野八海の看板が見え、交差点を左折します。

忍野八海までのふじフラワー道路は、信号が少ない快走路で走っているだけでも気持ち良いです。

途中でコンビニを右折すると、すぐ忍野八海の入り口が見えてきます。駐車場と売店があり、ここも多くの観光客でにぎわっていました。

駐輪場を探すと、「ますの家大駐車場」に自転車100円の表記がありました。

駐車場の入り口で料金を払うと、トイレの横に停めるよう教えてもらいました。サイクルラックはありませんが、壁に立てかけられるのでロードバイクでも問題ありません。

自転車を停めて、キレイな水の小川沿いを散策します。川沿いには桜の木が立ち並んでいて、春にはまた違った景色を楽しめそうです。

忍野八海は、富士山に降った雨や雪解け水が、溶岩の地層で長い年月をかけて濾過されて湧き出す8つの泉で構成される人気の観光スポット。
平日とは思えないほど多くの観光客でにぎわっています。

1934年に国の天然記念物に指定され、「名水百選」にも選ばれています。
世界文化遺産「富士山」の構成資産のひとつでもあり、池をのぞき込むと底の石や水草までくっきり見えます。

泉の近くには、龍の口から湧き水が流れ出る水飲み場がありました。手ですくって飲んでみると、くせがなくてとてもおいしいです。

200円でボトルごと買えたので、給水を兼ねて購入しました。サイクリング中においしい水で補給できるのはうれしいですね。

駐輪場まで戻る別ルートには、グルメやお土産がそろう商店街もありました。多くの観光客でにぎわっていて見ているだけでも楽しく、お昼やおやつ補給をするのにも良さそうです。

最後は駐輪場近くの売店まで戻り、シャインマスカットソフトを食べてひと休み。次の山中湖に向けて、しっかり体力を回復させます。
忍野八海〜山中湖・長池親水公園:北岸の湖畔に到着してゴール!

しっかり休憩を取って時刻は12時。忍野八海から山中湖まではあと5km程度なので、お昼ご飯の前に走ってしまうことにしました。
ここからは車の少ない快適な道を見つけました。ゆるやかな上りはあるものの、国道を走っていたときよりも余裕を持ってペダルを回せます。

山中湖に到着したのは12時30分。残念ながら雲で全景は見えませんが、富士山の裾野が広がる雄大な景色です。
山中湖は富士五湖の中で最も大きく、標高も約980mと最も高い場所にある湖です。
富士山の溶岩流が川をせき止めてできた湖で、行きに田原の滝で見た桂川は、山中湖から流れ出しています。大月から川をさかのぼるように上ってきたと思うと、ここまでの上り坂にも納得です。

山中湖には、湖を一周できるサイクリングコースが整備されています。

また、湖の周りにはレンタサイクルやシェアサイクルを借りられる場所も複数ありました。山中湖まで車で来て、自転車を借りて気軽に湖を一周するのも良いですね。

富士山は雲に隠れていましたが、広い湖面を横目に、サイクリングコースを流すだけでも気持ちのいい景色です。ここはフジイチに含まれているセクションですが、実際に走ってみると日本を代表するコースに指定されるのも納得です。

しばらくサイクリングコースの景色を楽しみ、12時45分に今回の目的地である長池親水公園に到着しました。
ここは山中湖の北側で、晴れていれば湖越しに富士山を望める定番スポットです。
富士山の全景は拝めなかったものの、ここまで走ってきた価値を十分に感じる景色でした。

大月駅までの帰路はランチをしながらのんびりと
山中湖を一周するルートもあったのですが、ランチタイムを過ぎると、飲食店も閉まるところが多いため、今回はここで折り返すことにしました。
まずは「吉田のうどん」でランチ休憩

山中湖からもと来た道を引き返し、13時20分に、途中で見つけた忍野村の「柳原うどん」に入りました。
ここは、富士吉田市周辺の郷土料理「吉田のうどん」を味わえるお店です。
| 店名 | 柳原うどん |
|---|---|
| 営業時間 | 11時~14時 |
| 定休日 | 木曜日 |
| 電話番号 | 0555-84-7166 |
| 住所 | 山梨県南都留郡忍野村忍草1192-1 |

吉田のうどんは太くて硬めの麺が特徴です。筆者は肉つけうどんをチョイスしました。
かなりコシがある麺は噛むと小麦の香りを味わえ、つけ汁も薄めながらダシのうまみをしっかり感じます。ボリューム・味ともに大満足の一品でした。

わかめうどんを注文した編集部Yさんも、想像以上の味に満足している様子です。ここまで走ってきた体においしいうどんが染みわたり、しっかり休憩&補給できました。
レトロな商店街「富士吉田・本町通り」で写真撮影

うどんを堪能してお店を出たのは13時45分。あとは元来た道を戻ります。帰り道は基本的に下り基調なのでラクちんです。

帰りは少し来た道を外れて、田んぼの中の田舎道をショートカットしてみました。国道より車が少なくて走りやすく、風景がどんどん変わるのも楽しいです。

下り基調の快適なサイクリングを楽しみながら、14時15分に、行きに通った富士吉田の本町通りに戻りました。昔ながらの商店が残る街並みの先に富士山を望めることから、SNSで人気の撮影スポットとして多くの観光客でにぎわっています。

時間を変えれば富士山が見えるかも、と期待したものの、残念ながら雲は晴れませんでした。ただ、レトロな看板や街並みの商店街は、それだけで魅力的な被写体になります。
ただし、レトロ商店街は観光客が車道で撮影することが問題になっている場所でもあります。車の交通を妨げないように、歩道から撮影しましょう。
休憩とお土産を買ってゴールへ

富士吉田からは、下り基調の国道139号を快調に走り、行きには通過した道の駅つるに立ち寄ります。時刻は15時でした。
| 店名 | 道の駅 つる |
|---|---|
| 営業時間 | 【3月~11月】 平日 9時~17時30分 土日祝日 9時~18時30分 【12月~2月】 平日 9時~17時 土日祝日 9時~18時 |
| 定休日 | 年末年始や臨時休業など要確認 |
| 電話番号 | 0554-43-1110 |
| 住所 | 山梨県都留市大原88 |
| 公式サイト | 道の駅つる |

道の駅つるでは、地元のフルーツや野菜、特産品などのお土産を販売しています。シャインマスカットや信玄餅など山梨の定番お土産から、珍しいものまで並んでいて見るだけでも楽しいです。

シャインマスカットやほうとう、調味料などのお土産を購入しました。今回味わえなかったグルメを持ち帰り、家族や友人とシェアするのもサイクリングの楽しみ方ですね。

道の駅つるから大月駅までは、もうひと走り。帰りはずっと下り基調なので、それほど疲労を感じず最後までサイクリングを楽しめました。

15時40分に、スタートした大月駅に無事戻りゴールです。帰りはずっと下り基調だったおかげで、80km近く走ったにも関わらず快適にサイクリングできました。メインの目的であった富士山は途中から見えませんでしたが、普段と違う雰囲気を満喫でき、満足度の高いサイクリングになりました。
走ってわかった、今回のルートの推しポイントと注意点
最後に、実際に今回のルートを走ってみて感じた魅力や楽しみ方、注意すべき点をまとめます。
色々な表情の富士山を楽しめる

今回走った大月駅から富士五湖エリアへ向かうルートには、富士山を望めるポイントがたくさんあるのが魅力です。国道を山中湖方面に走っているだけでも、建物や山の切れ間から富士山がチラッと顔を出します。

さらに、自転車を降りて富士山をじっくり眺められるスポットも充実しています。新倉山浅間公園の五重塔、本町通りのレトロ商店街、山中湖の湖畔など、富士山と組み合わせた写真を撮れる場所がいくつもあります。
ただし、富士山が見えるかどうかは天気次第。今回のサイクリングも、朝は快晴だったものの、新倉山浅間公園に着いた10時ごろからはずっと曇りで富士山が見えませんでした。天気予報をチェックしながら、サイクリング計画を立ててみてください。
富士山が隠れても楽しめる見どころが詰まっている

富士山が見えない日でも、今回のルートは十分に楽しめます。忍野八海の澄んだ湧き水、山中湖の湖畔、本町通りのレトロな街並みなど、魅力的な立ち寄りスポットがたくさんありました。
グルメの選択肢が多いのも、今回のルートの魅力です。筆者たちは吉田のうどんを選びましたが、駅周辺や本町通り、忍野八海にもたくさんのお店が並んでいました。
しっかり食事をとるもよし、食べ歩きを楽しむもよし。おしゃれなカフェでのんびり休憩するなど、富士山以外にも楽しみを用意しておくと、天気に左右されずに旅を満喫できます。
行きはずっと上りなので少しキツイ

大月駅から山中湖までは、ほぼ上りが続くルートです。激坂はほとんどないものの、足を休められる平坦区間が少なく、気付かないうちにじわじわと脚力を削られます。初心者の方や久しぶりに走る方には、少しきつく感じるかもしれません。
反面、帰り道はずっと下り基調なので、行きに比べてかなりラクに走れます。最後まで楽しめるルートではありますが、体力に自信がない方は、大月駅から富士吉田周辺まで富士急行線で輪行するのも1つの方法です。

また、富士五湖周辺にはシェアサイクルのポートが多く、電動アシスト自転車でラクに回るのも1つのアイデアです。実際にシェアサイクルで観光地を回っている観光客の方もたくさん見かけました。体力に自信のない方は、近くまで電車や車で行き、シェアサイクルで楽しむ方法も検討してみましょう。
交通量が多いので走行注意

今回走ったルートは国道がメインのため、平日でも全体的に交通量が多めでした。自転車レーンは十分に整備されているとはいえず、トラックなどの大型車もひんぱんに通ります。
走行中は車道の左端を一列で走り、後続車の動きにも気を配りましょう。なるべく脇道や田舎道を組み合わせて、車を気にせず走れる区間を増やすのもおすすめです。
補給・休憩は計画的に

都市部に比べるとコンビニや公衆トイレを見つけにくい区間もあるため、補給や休憩などの計画を立てておく必要性も感じました。特に郊外エリアはコンビニが少なめで、閉店した跡も見受けられました。
いざ食べ物や飲み物が欲しくなったときや、トイレに寄りたくなったとき、近くにコンビニなどが見つからないと困ります。出発前に十分補給しておいたり、早めに休憩スポットを調べたりして対策しましょう。
富士山ビューサイクリングは魅力がたくさん!

大月駅を発着点にした今回のサイクリングは、富士山を眺めながら走る楽しさと、寄り道の楽しさを両方味わえる満足度の高いものでした。後半は富士山が雲に隠れてしまったものの、湧き水や湖畔の景色、グルメなどほかの見どころや楽しみ方もたくさんあるルートです。
今回は山中湖で折り返しましたが、湖を一周したり河口湖方面へ足を延ばしたりと、ルートを広げる余地はまだまだあります。次は富士山が一日中見える日を狙って、さらにルートを開拓してみたいと思います。