歴史も自然も堪能!山形サイクリングがおすすめです

自然が好きで、山形に住み始めて8年目の筆者です。普段はロードバイクなどのスポーツ自転車に乗る機会が多く、遠くに出かけるのが好きです。ですが、今回は「住んでいる街を、あらためて自転車で観光」してみたいと思います。
クルマなら何気なく通り過ぎてしまう場所。 歩いて観光するには少し距離がある場所。地元に住んでいるからこそ、逆にじっくり見る機会が少ない場所。そんなところを、自転車でつないで巡ってみます。
山形駅をスタートして、七日町、文翔館、悠創の丘、西蔵王方面まで走ってみました。
山形駅から出発「西蔵王サイクリングコース」
山形県にはバラエティ豊かな道が数多くあります。山を走ってもヨシ、川沿いを走ってもヨシ。
庄内方面まで足を伸ばせば海岸線も楽しめます。

とくに山形市周辺は、街と山の距離が近いのが魅力です。市街地を走っていたと思ったら、少し進むだけで山道に入り、今度は山の上から市街地を見下ろすことができます。
「山形市内の観光地を巡りながら、せっかくなら景色も楽しみたい」そう考えて調べてみると、ちょうどよさそうなルートがありました。
「JAPAN ECO TRACK」の西蔵王周遊サイクリングルートです。このコースの面白いところは、山形らしい二つの景色を一度に楽しめること。今回はこのルートをベースに走っていきます。
ひとつは、城下町として発展してきた歴史的な街並み。そしてもうひとつが、盆地を取り囲む山々からの景色です。
もちろん山形には蔵王温泉もあり、本格的に走ろうと思えば標高1000mを超える山岳コースもあります。ただ、今回はあくまで「観光」が目的。ロードバイクでひたすら登るような本格的な山岳コースは、今度の楽しみにしておきます。
山形駅前のレンタサイクルを借りてGO
今回は、のんびりと観光メインで。山形でも徐々に浸透してきたレンタサイクルを利用してみます。

前カゴもついているので、観光地をあちこちめぐるにはピッタリの自転車です。意外と登りも多いのでベストチョイスかと。

サドルの高さを合わせて、いざスタート。(もっと高くしたいけど、これが限界の高さだった…。)
山形観光サイクリング、スタート!
この日は8月。天気が良く、かなり暑くなりそうです。

旅のスタート地点は山形駅。新幹線や高速バスが発着する、山形の玄関口です。駅にアクセスしやすく、レンタサイクルを借りてすぐに観光を始められます。
まず目指すのは山形市内の有名な観光地である「七日町」と「文翔館」の2か所。
山形駅からそう遠くない場所なので、クルマでも行けますが、小回りの利く自転車が一番向いていると思います。
いざ駅前通りを東へ。

この辺りはバスやタクシー、路上駐車など、自転車にとっては少し気を使う場面もあります。

交差点には、自転車ナビマークがありました。
交通量が多い通りなので、交差点だけでなく車道沿いにもブルーラインがあると安心です。それでも、交差点に表示があると進む方向が分かり、助かります。
レトロな雰囲気が残る七日町に入っていきます
七日町は、江戸時代に整備された農業用水路を活かしたレトロモダンな地区です。
かつての城下町としての歴史を感じさせる建物や商店が残り、街の中には昔ながらの雰囲気があります。
七日町大通りの南端。ここから自転車道が整備されています。


路上駐車を防ぐために、等間隔でポールが立っています。
さらに無電柱化されており、見通しもよくすっきりした印象です。幅寄せや、無理な追い抜きができないように設計されており、安心して走ることができました。
さらには自転車の細かい注意事項も書かれており、とても親切です。

この先にバス停がある箇所には、路面に注意書き。

信号についても、車両用信号に従うようにと案内があります。自転車で走り慣れていない人にも安心ですね。
そんな七日町を10分ほど走ると、今回のひとつ目のスポットに到着。

ここが御殿堰(ごてんぜき)です。
城下町時代から続くせせらぎが再現された商業エリアです。
石積みの水路を中心に、左右にお店が並ぶ景観が現れます。

夏がよく似合う素敵なスポットです。なんとなく岡山県の倉敷美観地区を思い出しました。昔ながらのせせらぎを生かした街並みは、どこか懐かしく、それでいて現代的。

黒を基調とした建物も多く、いわゆる「和モダン」と呼びたくなる雰囲気です。

蔵を改装したカフェもあります。そのほかにもレストランやお土産物屋さんなどコンパクトなエリアながら様々なお店が集まっています。

こういう場所を自転車で気軽に訪れられるのは、なかなか贅沢です。
大正ロマン漂う「文翔館」
七日町から少し走ったところに、もうひとつ見ておきたい場所があります。それが「文翔館」です。

現代的な山形市街地の中に、突然現れる歴史的な建物。

「なんてかっこいいんだろう」というのが、初めて見たときの正直な感想。

大正時代の雰囲気を残す建築で、映画やドラマなど映像作品のロケ地としても知られています。

こんな雰囲気を残す建造物があるのはとても貴重ですね。

どこを見ても写真を撮りたくなります。

フォトジェニックな場所が多く、山形駅周辺を観光するなら、ぜひ立ち寄ってほしい場所です。しかも駅からそれほど遠くありません。今回のように自転車なら、七日町とセットで訪れるのも簡単です。
小腹もすいてきましたので、文翔館の近くにある「こぶ原」さんに向かいます。

麺文化の山形県。どこへ行っても本当に麺類がおいしい。今日は暑いのでどうしても「冷たい肉そば」が食べたかった。

暑い日に冷たいそばを食べると、それだけでちょっと元気になります。汗をかいたあとだからこそ、よりおいしく感じられますね。
お腹も満たされたところで、お店を出ると、ぽつぽつと小雨が。少し様子を見ていると、突然、雨脚が強くなりました。

うわぁあああ!? と避難した先が、さきほど訪れた御殿堰。

ちょっと休ませてもらいます…ソフトクリームを食べたかったけど、ぐっしょり濡れた体が冷え切っています。ペットボトルのお茶でひと休み。
勢いの止まらない雨脚。これは自転車旅、ここで打ち切りだな、と頭をかすめました。もう1回取材しに来るか…。なんて思いつつ、1時間ほど雨宿りしていると、なんとか雨もおさまってきました。
空模様を見ながら、再度出発です。また大雨が降ったら今日は撤退です。
隠れた絶景ポイントの悠創(ゆうそう)の丘
次は街を離れて、山のほうへ向かいます。私のお気に入りスポットです。そして、ここから登り。とはいえ、今回の相棒は電動アシスト自転車です。

斜度9%でも電動アシスト付きなので楽に登っていけます。本当に文明の利器って便利ですね。

悠創(ゆうそう)の丘に到着。その名の通り、丘の上にある公園で、自然の地形を生かした広い園内をじっくり散策すれば、小一時間は歩けます。
筆者が好きなのは公園の入り口からすぐのここ。

これ。写真でも伝わるでしょうか、この街を見下ろす展望のよさ。
比較的登りも少ないわりに、街全体を一望できる隠れたスポット。
私が好きなのは夕暮れ時です。空がオレンジ色に変わり、山の稜線がくっきり見え、街の明かりがぽつぽつ点き始めます。ベンチで一息つきます。

反対の山には大きな雨雲がかかっています。あの雲、こっちに来ないといいなあ…。
山形市を一望できる西蔵王公園
さあ、ここからは登り一辺倒な山道。
あまり交通量がなく走りやすい一方で、休むポイントも少ないのがちょっと難点。でも、この自然に囲まれて、ひとり淡々と走っていく爽快感もまた好きなところです。

こういうカーブの先が見えない道ってなんだかわくわくしませんか。私だけですかね?

ひたすらに登りですが、電動アシストの「パワー」モードが助けてくれます。木々の隙間からほんの少しだけ街が見えます。
鳥の鳴き声と葉のこすれる音。そんな登りをひたすら進んで、到着。

今回の折り返し地点、西蔵王公園です。
西蔵王公園は、蔵王山系の緑豊かな環境に恵まれており、四季の草花を楽しめる花園や池があります。夜景を楽しめる展望広場や森の地形を活かした大型スライダーなどが目玉です。

ここにはキャンプ場やバーベキュー広場、アスレチック遊具などがあり、家族で遊びに来る場所としても楽しそうです。
電動アシスト自転車とはいえ、なかなかいい運動です。ここで少し休憩して、折り返します。

のんびりとした時間が流れていて、街の喧騒や普段の生活のあわただしさを忘れ、ふっと息が軽くなるような気がします。

また散策できる整備された道があり、森の雰囲気をゆったり味わうこともできます。こういう風景は写真に収めたくなるものです。
もし余裕があれば山形市野草園にも
時間と体力に余裕があるなら、さらに山形市野草園方面まで足を伸ばしてみるのもよさそうです。ただ、今回は天候が不安定だったこともあり、立ち寄るのを見送りました。
今回のような観光サイクリングでは、「予定していた場所を全部制覇する」よりも、「また来たいと思えるところで終わる」くらいがちょうどいいのかもしれません。
帰りはもちろん下り道。登りではあれだけ苦労したのに、帰りはあっという間。

遠くに見える山々を眺めながら、重力に引っ張られてのんびり下るのもまた気持ちいいものです。
最後にいっぷく

「やまがたクリエイティブシティセンターQ1」は、2004年まで校舎として使用されていた旧山形市立第一小学校をリノベーションして生まれた施設です。
古い施設を新しい形で活用しているところも、また山形らしいいいところだと思います。

そのQ1内にある「AndMERCI (アンドメルシィ)」さんに立ち寄りました。目一杯、自転車を楽しんできた後の甘いものは格別においしいものです。ほっと一息ついて、スタート地点である山形駅に戻り、レンタサイクルを返却して、今回の旅は終了になります。
今回のサイクリングルートを走ってわかったこと
今回のルートを走ってみて、気づいたこと、感じたことをまとめました。
休憩場所が少ない

今回のコースで特に感じたのが、山に入ってからの休憩場所の少なさです。市街地にいるうちはコンビニなどもありますが、山に入るとそうはいきません。特に夏場は、水分を多めに用意しておくのがおすすめ。
「ちょっと喉が渇いたな」と思ってから探すのではなく、余裕があるうちに水分を補給しておきましょう。また、夏の山形はかなり暑くなります。電動アシスト自転車だからといって、体力をまったく使わないわけではありません。
またヘルメットに加え、日差し・暑さへの対策もお忘れなく。
クマに要注意

もうひとつ、山形で自転車に乗るなら意識しておきたいのが野生動物です。山ではクマやシカなどが出ることがあります。
筆者自身、昼間に道路上で野生動物と遭遇した経験はそれほど多くありません。遭遇するとしても、猿やカモシカが道路脇にいる、といった程度です。とはいえ、山に入る以上、警戒するに越したことはありません。
今回のルートはメジャーな道で人通りもあり交通量はそこそこありますが、クマとの遭遇を避けるため、クマ鈴などの準備や出没情報のニュースなど事前にチェックしましょう。
レンタサイクルは便利!

今回利用したベニちゃりは、「観光地をいくつも巡りたい」という人にはかなり便利だと感じました。
山形市が運営しているコミュニティサイクル「ベニちゃり」。一部を除き24時間利用ができ、市内のサイクルポートで借りて、別のポートにも返却できます。
また全車が「電動アシスト自転車」なので、今回のコースのように街なかだけでなく坂道まで走る場合には、そのありがたみをかなり感じます。
今回は「ecobike」アプリで簡単に借りられて、1日1,200円で利用できました。便利な世の中になりました。
山形の魅力をもう一度、知ってみよう

今回、山形市を走って改めて感じたのは、街と自然の近さです。
山形駅をスタートして、少し走れば歴史を感じる七日町と文翔館。そのまま自転車を走らせれば、今度は丘の上から街を見下ろせるスポット。山へ入れば、木々に囲まれた静かな道路を走ることができます。
街、歴史、グルメ、丘、山。これらが1日のサイクリングの中に全部入ってしまいます。でも、たまには自分が住んでいる街を、自転車でゆっくり走ってみるのもいいものです。
いつもなら通り過ぎてしまう交差点で立ち止まってみる。気になった建物を写真に撮ってみる。
坂道の途中で振り返ってみる。住み慣れた街が少しだけ違って見えてきます。
今回走った西蔵王方面のコースも、決して「山形観光の超定番」というわけではありませんが、山形を訪れる観光客や、山形に住んでいる人にも一度走ってみてほしいコースです。