記事内画像提供:キャニオンバイシクルズ・ジャパン株式会社
危険を「予測」するコンセプトモデルをCanyonが発表

ドイツの自転車ブランドCanyonが、革新的なコンセプトモデル「Canyon Predict(キャニオンプレディクト)」を発表しました。
360度センサーアレイとEdge AI、レーダー、複数のカメラを搭載し、危険を「起きてから対処する」のではなく「起きる前に予測する」という、新しい自転車安全システムを提案するプロトタイプです。

この「Canyon Predict」は、2026年6月24〜27日にドイツ・フランクフルトで開催される世界最大の自転車見本市「Eurobike 2026」にて、世界初公開されます。
では、なぜ今、自転車の安全技術がこれほど注目されているのでしょうか。背景には事故の現実があります。
欧州交通安全協議会(ETSC)によれば、2024年にEU域内で命を落とした自転車利用者は1,926人にのぼり、EU全体の交通事故死者の10%を占めています。自動車側で安全技術が普及し死亡事故が減少傾向にあるのとは対照的に、自転車の安全技術の革新はほとんど進んでこなかったのが現状です。
Canyonのヘッド・オブ・デザインを務めるFedja Delic氏は、こう語っています。
「車はより安全になり、ドライバーの死亡事故はこの10年で減少しています。しかし自転車は、安全性において大きな改善が見られていません。テクノロジーがドライブをかつてなく安全にした一方で、路上での自転車走行はある意味でかつてなく危険になっています。それでも、現在利用できるテクノロジーをもってすれば、大幅な安全性向上は十分に可能なのです」
「見えないものを見る」Canyon Predictの仕組みとは

「Canyon Predict」は、ハイパフォーマンスなロードバイクとしての走行性能を損なうことなく、ライダーの周囲環境をリアルタイムで認識・分析する、知的な安全システムです。
カメラ・レーダー・分散センサーを組み合わせた360度マルチモーダルセンシングにより、死角をなくします。
分散センサーには、DT Swiss製ホイールハブ内の多次元モーションセンサーも含まれています。そして取得したデータは、すべてバイク上のEdge AIがオンデバイスで処理します。クラウド通信を介さないため、タイムラグやプライバシーのリスクを排除しながら、即座の判断が可能になるという仕組みです。

システムは、ライダー自身の速度・ステアリング・安定性といった走行データと、周囲の環境情報を統合し、状況モデルを構築します。
さらに、近づいてくる車両や物体の将来の軌跡を予測してリスクスコアを算出。方向指示ライト、触覚フィードバック(ハプティクス)、ハンドルバー内蔵ディスプレイといった直感的なインターフェースを通じて、ライダーに通知します。

表示される情報は、危険予測や車間距離だけにとどまりません。
路面状況の推定やコーナリング速度のアドバイス、集団走行(グループライド)時のポジション支援、さらには複数のユーザーが同時に利用する際の「スウォームインテリジェンス(群知能)」の活用まで想定されています。

また、緊急時にはブレーキング以外の対応手段も用意されています。ライダーがリモート操作でシートポストを素早く下げることで重心を低くし、クラッシュ前に安定性と制御性を高めることができるのです。
視界に情報を映すARヘルメット「Stingr」も登場

「Canyon Predict」は、同じくプロトタイプとして発表される拡張現実(AR)ヘルメット「Stingr スマートヘルメット」と連携します。
このヘルメットは、ドロップダウン式のバイザーと、データビジュアライゼーションスクリーンを備えています。

これにより、走行中に必要な情報を、ライダーの視界に直接投影することができるのです。
バイク側のセンシング技術と、ヘルメット側の表示技術。この2つが組み合わさることで、より直感的に情報を受け取れる体験が想定されています。
ツール総合優勝者が語る「次世代バイクへの期待」

ツール・ド・フランス・ファムの総合優勝者であり、CANYON//SRAM Racingに所属するカシア・ニエヴィアドマ選手は、次のようにコメントを寄せています。
「ロードでのトレーニングやレースでは、バイクのデータや周囲の安全情報が欲しいと感じる場面が何度もあります。路上での安全性を高め、刻々と変わる状況への対応を助けることは、すべての人にとってメリットになります。このような新しいテクノロジーを見ると、実際にどこまで進化できるのか、次世代のバイクがライダーに何をもたらせるのか、期待が高まります」
トップレベルで走るプロ選手にとっても、走行中のデータや安全情報は実感のある課題なのだと伝わってくる言葉です。
Canyon PredictはEurobike 2026で世界初公開
「Canyon Predict」、そしてその他の革新的なプロトタイプコンセプトは、2026年6月24〜27日にドイツ・フランクフルトのMesse Frankfurtで開催される「Eurobike 2026」にて展示されます。
会場は、Canyonブースのホール11.0、スタンドB50です。Eurobikeへの来場を予定している方は、ぜひ立ち寄ってみてください。今回紹介したシステムが、実際にどんなかたちで提案されているのか。その「未来の安全」を、自分の目で確かめられる貴重な機会になりそうです。