イタリア人の大イベント!ジロ・デ・イタリア
毎年5月になると、イタリアは「ジロ・デ・イタリア」で盛り上がります。日本の夏の甲子園のようにテレビで放映され、家族や友人の間でも話題になるほど、人気のイベントなんですよ。
こちらでは、イタリア在住の筆者が、ジロ・デ・イタリアの楽しみ方をまとめました。ぜひ現地に来た気分で、お付き合いくださいね。
3週間にもおよぶ、最高峰の自転車レース
ジロ・デ・イタリアは、自転車のプロ選手たちが順位やタイムを競うレース。ステージレースとも呼ばれ、3週間のうち、複数日かけて開催されます。ステージは21種類。山岳ステージやタイムトライアルなど、いろんなコースが用意されています。
テレビでも、 現地でも楽しめます
有料チャンネルはもちろん、国営のチャンネルでも特集が組まれ、連日テレビで中継されるジロ・デ・イタリア。休息日2日を除き、毎日レースがあるので、筆者は普段、仕事のない週末や平日夜のニュースのハイライトを楽しみにしています。
コースはイタリア各地にあり、現地観戦する人も少なくありません。ただ観戦と言っても、お祭りのような雰囲気なので、誰でも気軽に入れます。
家での楽しみ方は3つ
テレビで観戦するなら、こんな楽しみ方も。レースの様子だけでなく、選手たちが走る地域の景色や、食文化も味わいましょう。
地域の歴史を聞きながら、景色を堪能
番組では、選手の駆け引きなどの解説もありますが、コースとして選ばれた地域のおもしろい歴史、文化などについても紹介がありますよ。古い建造物や自然など、美しい景色も映されるので、観光気分で楽しめちゃいます。
「各賞候補の予想」で、大盛り上がり!
毎年と言っていいほど、大波乱が待っているのがジロ・デ・イタリア。2021年には、選手にチームカーが突っ込むトラブルもありました。激しい攻防戦で落車もあり、どんでん返しに驚かされるかもしれません。
家族や友人たちと各賞の候補者を予想して、ドキドキしながら観戦するのも、醍醐味!
4つの賞があります
賞は、個人総合時間賞(総合成績最優秀者)、ポイント賞、山岳賞、新人賞の4つ。賞を勝ち取ると、選手は翌日、決まった色のジャージを「勝者の証」として着ます。
各賞 | ジャージのカラー/呼び名 |
個人総合時間賞 | ピンク/マリア・ローザ |
ポイント賞 | 紫色/マリア・チクラミーノ |
山岳賞 | 青色/マリア・アッズーラ |
新人賞 | 白/マリア・ビアンカ |
上の写真は、個人総合時間賞のトロフィー。最終日までは、ミラノ中心地の「ヴィットリオ・エマヌエーレ二世ガレリア」に設置されます。
ワインステージは、ワインを嗜みながら
多くのイタリアの自転車レースは、ワインの産地を駆け抜ける「ワインステージ」があります。ジロ・デ・イタリアの2021年大会では、11ステージ「ペルージャ・モンタルチーノ」がワインステージとなりました。
イタリアの女王とも呼ばれる「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」が有名で、収穫からリリースまで5年かけて作られます。ワインステージは、産地のワインを飲みながら見るのも、オツなものですよ。
現地観戦は、圧倒的な臨場感!
迫力を味わうなら、やっぱり現地観戦!有名選手や地元の選手が通るときは、沿道の盛り上がりも最高潮。選手たちの姿を目の前で見ると、本当にワクワクするんですよね。
場所選びが重要
現地観戦は、場所選びがもっとも大切、と言って過言はないでしょう。当日は、通行止めになっている道路が多く、封鎖されたエリアも少なくありません。事前に通れる道をチェックしないと、すごく遠回りをさせられてしまいます。
筆者おすすめの観戦場所は?
イタリア人みんなと盛り上がりたいなら、王道のゴール近くがおすすめ。また、登り坂の途中も見逃せませんね。選手たちの必死な姿を、間近で観戦できますよ。反対に、落ち着いて観戦したいなら、柵などがあるコーナー以外の大通りが狙い目です。
ちなみに筆者は今年、タイムトライアルを観戦しました。13時45分から17時30分までと長丁場だったので、日陰を選んで正解!イタリアは、5月でも30度近くまで気温が上がり、紫外線が強い日もあるので、暑さ対策も欠かせません。
開催地域の食事、ワインも楽しめます
あえて遠くのステージを観戦しに行く人も多いですが、そんなときは、地元の料理やワインを楽しまずに帰れません。たとえば、イタリアのパスタの種類は650種類以上と言われていて、日本で食べられないパスタもあります。
地域の名物も、観戦場所を選ぶついでに見ておいてくださいね。
レースを見る前に、基本をチェック!
レースというより、お祭りのようなジロ・デ・イタリア。一方で選手たちは、厳しいルールのもと、勝利をかけた争いを繰り広げています。ここからは、簡単にレースの基本情報をおさえていきましょう。
自転車レースは、チームスポーツ!
自転車のレースは、チームで優勝を目指すスポーツです。なかでもジロ・デ・イタリアは、3週間も続くステージレース。チームのアシスト力は、優勝に欠かせません。
エースとアシストの役割がある
レースは1チーム8人編成。チーム内で、エース、アシストの2つの役割があります。
エースは、チームでもっとも実力があり、総合優勝を狙う選手のこと。爆発的なパワーでゴールする「スプリンター」や、坂道が得意な「クライマー」が多いですよ。
アシストは、エースの疲労につながる「風」を受け止める選手。空気抵抗の強い先頭に立って、ほかのアシスト役と交代しながら走ります。体力を激しく消耗する位置に立つので、縁の下の力持ち、と言えますね。
最終日・21ステージを観戦してきました!
ここからは、筆者が現地観戦してきた、最終日21ステージについて詳しく紹介します。21ステージは、ミラノ郊外のセナゴ市から、ミラノ市の中心ドオゥモまでの30.3kmのコース。近くに住んでいるので、歩いて見に行ってみました。
最終日はタイムトライアル
最終日はタイムトライアルのステージ。選手たちは時間をずらして、1人ずつスタートします。
選手たちのスピードは、なんと時速50km以上!風のように通り過ぎて行きますが、そのスピード感を味わえるのも、醍醐味ですよ。筆者も、選手たちをカメラに収めるのに苦労しました。
2021年は、コロナ禍で観客も少なめ
毎年盛り上がる最終日ですが、2021年大会は、コロナ禍で混雑を避ける人が多かったのか、観客は少なめでした。とはいえ、沿道の様子は上の写真の通り。例年は、比にならないほど人がごった返しているんですよ。
無料応援グッズも、少なめ
大きなスポーツイベントでは、無料の応援グッズをもらえることがあります。今回は、スポンジでできたインパクト大の「ウェーブハンド」でした。
ただ、例年は大会を主宰する新聞社「ガゼッタ・デル・スポーツ」の新聞や、ステッカー、オフィシャルカラーであるピンクのリボンなどももらえます。コロナの影響なのか、無料グッズは少なめですね。一方で、横断幕や、好きな選手の名前を書いたパネルなどを持ってきて、盛り上げている人もいましたよ。
掛け声いろいろ
レース中は、興奮した観客たちが「Vai!Vai!(行け、行け!)」、「Forza!Forza!(がんばれ、がんばれ!)」などと声をあげています。ほかにも、こんな声かけを使いますよ。
●Dai:がんばれ
●Corri:走れ
●Grande:すごい、素晴らしい
●Allez Allez:(仏語)行け行け
●Bravo:よくやった、素晴らしい
テレビで観戦するときも、ぜひ現地風に声を出してみてくださいね。
露店はほぼなく、商売っ気がない?のがイタリア流
日本では、スポーツイベントといえば、食べ物やグッズ販売の露店が並ぶイメージもあるかもしれません。一方イタリアでは、商売っ気がないのか、スポーツイベントや花火などで露店が出ることはほとんどありません。今回も、記念Tシャツの露店だけを見かけました。
たくさんの人が集まるイベントでも、露店をあてにするとご飯が買えないので、注意しましょう。
観戦するときの持ち物・服装は?
ジロ・デ・イタリアを観戦するときは、イタリアの天候も意識して、次のアイテムを持って行きましょう。
●サングラス、帽子、日焼け止めクリームなど、紫外線対策
●飲み物と軽食
●応援グッズ
●傘など、雨具
5月のイタリアは紫外線が強く、暑くなります。飲み物を売っているショップが近くにないこともあるので、持っていると安心ですよ。ちなみに日本だと、折りたたみ椅子を持って行く人も多いですが、イタリアでは目を離した隙に盗まれてしまいます。
また服装は、動きやすい格好と、履き慣れた靴がベター。バスなどもレースに合わせて止まってしまうほか、イタリアにはトイレが少ないので、たくさん歩くことを覚悟しましょう。
「ジロ」がイタリア人に人気な理由は、ここにも
いろんなレースがあるなかで、ジロ・デ・イタリアは、とくに地元民に愛されています。レース自体がおもしろいのはもちろん、こんな理由があるからかもしれません。
道路の整備が進む
イタリアの道路はデコボコで、陥没しているなど、整備されていないことも少なくありません。ところがジロ・デ・イタリアのコースとなった道路は、専門チームが事前に道路状況を確認して、必要なところを整備します。費用は市の負担になりますが、市民たちにとっては、理由がどうであれ嬉しいもの。
レースを通して普段使う道がきれいになるので、そういう意味でも、コースに地元が選ばれるのを楽しみにしているのかもしれませんね。
知名度が上がる
コースに選ばれた地域は、知名度がグッと上がります。地域愛の強いイタリア人にとって、自分の住んでいる都市や地域の名前が知られることは、嬉しいんです。そのため誘致されると、市民が一丸となって盛り上げるんですよ。
ジロ・デ・イタリア、一緒に楽しみませんか?
自転車レースで世界的に知られる、ジロ・デ・イタリア。同じく有名なツール・ド・フランスと比べると、山岳コースが多く、自然の美しい景色も堪能できるでしょう。スポーツバイクに乗っていない人、自転車レースを見たことがない人も、まずはぜひ、テレビ中継を見てみてくださいね。
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