ホイール交換は自分でできる!?
ロードバイクのカスタムとして、初心者にもおすすめされる「ホイール交換」。
ロードバイクのホイール交換は、整備やパーツ交換のなかで、「中」くらいの難易度の作業です。
1つ1つの作業は工具さえあれば、難しくない作業ですが、作業工程はやや多めです。また、ブレーキ関連のパーツを触るため、注意が欠かせない作業でしょう。
リムブレーキかディスクブレーキか?
お持ちのロードバイクが「リムブレーキ」か「ディスクブレーキ」かで、作業方法や必要な工具が変わってきます。
ディスクブレーキ用とリムブレーキ用では、ホイールの互換性がありませんので、ホイールを選ぶ際は、気をつけましょう。
その他他にも、ホイールの規格でチェックすべき項目を、記事の最後に詳しく記載しました。そちらも参考にしてみてくださいね。
交換作業は5ステップ
ホイール交換の主な工程は、以下の5つです。
①古いホイールを、車体から外す
②タイヤを、新しいホイールへ
③スプロケットを、新しいホイールへ
④ローターも、新しいホイールへ ※ディスクブレーキ車の場合
⑤新しいホイールを、車体へ取り付ける
基本的には「ホイールの脱着」を行い、それに合わせて、ホイール周りの「バーツの移植(又は新品の取り付け)」が必要になります。
また、作業の際は、メンテナンス台を利用すると便利ですが、バイクをひっくり返して作業も出来ます。
では、それぞれの項目ごとに詳しく見ていきましょう。
①古いホイールを、車体から外す
まずは古いホイールを外します。リムブレーキとディスクブレーキで、外し方が異なりますので、それぞれご説明していきましょう。
リムブレーキ(クイックリリース)の場合
リムブレーキ車の場合は、以下の4ステップです。
⑴トップギアに入れる
⑵ブレーキを開放する
⑶クリックリリースを緩める
⑷ホイールを外す
上記は、工具などは必要なく、作業ができます。
⑴トップギアに入れる
まずは、ホイールを外しやすいようにリアの変速をトップギア(一番重たいギア=一番小さな歯)に入れておきましょう。
フロント変速をローギア(一番軽いギア=一番小さな歯)に入れると更に脱着が楽になりますが、必ずしも必要なわけではありません。
⑵ブレーキを開放する
キャリパーブレーキの場合は、ブレーキのクイックリリースレバーを開放して、ホイールを脱着できるようにします。
多くの場合、レバーが下向きで閉まった状態、上向きで開いた状態です。
⑶クリックリリースを緩める
次に、クイックリリースレバーを緩めます。レバーが閉じた状態からいったん起こし、反対側に倒せば緩めることが出来ます。
フロントホイールの場合は、クイックリリースレバーを回して更に緩めるか、完全に取り外しましょう。
リアホイールの場合は、レバーを反対側には倒すだけでもホイールの脱着が可能です。
⑷ホイールを外す
あとはホイールを持ちあげ、車体から外すだけです。
適切な方向に引っ張れば、力は必要なく外れるでしょう。上手く外れない時は、ここまでの手順を確認したり、斜めに引っ張ったりしていないか確認しましょう。
リアホイールの場合は、リアディレーラーが干渉して外しにくいことがあります。
そんな時は、ディレーラーを持ち上げ、ホイールの通り道を作ってあげると外しやすいですよ。
ディスクブレーキ(スルーアクスル)の場合
ディスクブレーキ車の場合は、以下の3ステップ。
⑴トップギアに入れる
⑵スルーアクスルを抜く
⑶ホイールを外す
スルーアクスルを緩めるのに、多くの場合6mmの六角レンチを使用します。
作業中は、以下の2点に注意しましょう。
・ブレーキローターやパッドに、油分を付けない、素手で触らない
・ブレーキローターが無い状態で、ブレーキレバーを握らない
ディスクブレーキは特に油分に弱く、チェーンオイル等はもちろんのこと、手の油分でも性能が低下する恐れがあります。
また、油圧ディスクブレーキの場合、ブレーキローターが無い状態でブレーキレバーを握ると、パッドが出すぎる可能性がありますので、ブレーキレバーは操作しないようにしましょう。
*指の油が付くので、ローターは触らない。
*レバーを握ってしまわないように注意。
⑴トップギアに入れる
まず、ホイールを外しやすいようにリアの変速をトップギア(一番重たいギア=一番小さな歯)に入れます。
フロント変速をローギア(一番軽いギア=一番小さな歯)に入れると、更に脱着が楽になりますが、基本的には必ずしも必要なわけではありません。
⑵スルーアクスルを抜く
ディスクブレーキ車の多くは「スルーアクスル」という機構でホイールを固定しているため、このスルーアクスルを緩めて抜きます。
作業には多くの場合6mmの六角レンチを用い、反時計回りに回します。完全に緩めたら、スルーアクスルを引っ張って抜けば完了です。
⑶ホイールを外す
スルーアクスルを抜いたら、あとはホイールを外すだけ。
フロント・リア共に持ち上げるだけで取り外せます。斜めに力を加えてしまうとローターを傷める恐れがありますので、まっすぐ上に持ち上げるようにしましょう。
リアホイールの場合は、リムブレーキの場合と同様にリアディレーラーを手で持ち上げ、ホイールの通り道を作ってあげると作業がしやすいですよ。
②タイヤを、新しいホイールへ
古いホイールを外したら、新しいホイールにタイヤを取り付けましょう。
必要な工具は、タイヤレバーと空気入れ。どちらもパンク修理等で用いているものと同じで構いません。
タイヤ交換の詳しい説明は、こちらの記事からご確認ください。
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③スプロケットを、新しいホイールへ
次にスプロケットの移植です。
スプロケットの脱着には専用工具が必要ですので、ご自身のバイクの規格に合った工具を揃えましょう。
こちらも詳しくは、リンク先の記事をご覧ください。
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④ローターも、新しいホイールへ(ディスクブレーキ車の場合)
ディスクブレーキ車の場合は、ホイールに取り付けられている「ローター」を移す必要があります。
センターロックの場合はロックリング外し工具、6ボルトの場合はT25のトルクスレンチが必要となります。
シマノ TL-LR10 ロックリング工具
シマノのセンターロック式ロックリング用工具。スパナやトルクレンチと組み合わせて使用します。
トピーク トルクスレンチ セット
セット内容 | T7、T9、T10、T15、T20、T25、T27、T30 |
---|---|
サイズ | L165×W66×H12mm |
重量 | 130g |
詳しい作業方法は、別の記事で紹介予定です。
⑤新しいホイールを取り付ける
最後に、新しいホイールを取り付けて完成です。ホイールの取り付けは、基本的には取り外しの手順の逆ですが、ブレーキ関連の調節が必要な場合があります。
リムブレーキ車の場合:ブレーキシューを調節する
ホイールを車体に戻す手順は、
⑴ホイールをはめる
⑵クイックリリースで固定する
⑶ブレーキのクイックレバーを閉める
の3ステップ。ホイールを外すときの逆と考えると分かりやすいでしょう。詳しくは、①のホイールを外す手順をご参照ください。
よくあるミスは、「⑶ブレーキのクイックレバーを閉める」を忘れること。レバーが開いたままだとブレーキがきちんと効かず危険ですので、閉め忘れの無いように心がけましょう。
上記の手順とは別に、リムブレーキ車の場合は、車体に付いているブレーキシューの交換や位置調節が必要な場合があります。
・ホイールを「アルミ⇔カーボン」の場合
ホイールのリム素材をアルミからカーボン(又はカーボンからアルミ)に変更する場合は、適切なブレーキシューに交換する必要があります。リム素材を変更するなら、ブレーキシューの交換も忘れずに行いましょう。
Swiss Stop FLASH PRO BLACK PRINCE
対応 | カーボンリム用ブレーキシュー、シマノ製キャリパーブレーキ用 |
---|
・ブレーキシューの位置調節
ホイールのリム幅等が変わる場合、ブレーキシューの位置調節が必要かも知れません。本来のブレーキ性能を発揮させるために、ブレーキシューの位置調節は欠かさず行いましょう。
詳しい作業方法は、以下の記事でご紹介しています。
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ディスクブレーキの場合:キャリパーの位置を調節する
ホイールをはめる手順は、以下の2ステップ。
⑴ホイールをはめる
⑵スルーアクスルを差し込み、締め付ける
ディスクブレーキ車の場合も「①ホイールを外す方法」を参考に、逆の手順で行いましょう。
スルーアクスルが緩んでしまうと危険ですので、定められたトルク(「〇Nm」など)で締め付けましょう。
トルクを測定するには、トルクレンチを用います。
ブレーキの調節は必要ない場合もありますが、ホイールによっては微調整が求められます。もし新しいホイールを取り付けた際、ブレーキローターがパッドに擦ってしまうなら、キャリパーを適切な状態にセッティングしましょう。
キャリパーの調節は、ブレーキキャリパーのピストンを奥まで戻したり、ブレーキキャリパーの位置を微調整したりして対応します。
*詳しい作業方法は、別の記事で紹介予定です。
新しいホイール選びは、規格が合っているかの確認がポイント!
現在市場に出回っているロードバイクには、様々な規格のものがあります。
新旧のホイールで規格を合わせておかないと、バイクに取り付けできなかったり、スプロケットやタイヤ等のパーツの流用が出来なかったりと問題が起こるかも知れません。
メーカーの独自規格や古いものも合わせると膨大な数になりますが、おおよそ近年で一般的なものでは、以下の項目をチェックしておくと良いでしょう。
・エンド幅、アクスル
・フリーボディー
・リム幅
エンド幅
フレームのホイールを取り付ける部分の幅のことで、「アクスル」はホイール固定に用いる軸部分のこと。
エンド幅とアクスルはセットで表示されることが多く、「9×100mm/9×130mm QR」や「12×100mm/12×142mm TA」が一般的です。この部分が新旧のホイールで異なると、フレームへ装着出来ません。
フリーボディー
スプロケットを取り付ける部分のことで、コンポーネントのブランドや変速段数によって適合が異なります。
適合するものでないと、スプロケットの取り付けができず、パーツ交換をしないと使用できません。
リム幅
ホイールのリムの幅のこと。主にリムブレーキで問題となり、後述するブレーキキャリパーの調整が必要となるでしょう。
また、使用するタイヤが23c以下(又は30c以上)のように細い(又は太い)場合は、タイヤの移植が適していない場合もあります。
ホイール交換で、愛車をグレードアップ!
ロードバイクのホイール交換は、アップグレードの効果を感じやすく、おすすめのカスタマイズの1つです。
初心者の方でも取り組みやすい作業ですので、ご自身でチャレンジしてみるのも良いでしょう。不安な場合は専門店に頼んだり、自分で作業をした後に点検を依頼したりするのも良いですよ。
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