なぜチェーン交換が必要?

小さな部品で組み立てられているチェーン。チェーンは使用による劣化が進むと「チェーン伸び」と言われる状態になります。長い間乗っていると、チェーン内部のコマを繋ぐピンが削れ、チェーン全体が長くなり、チェーンが”伸びて”しまいます。
チェーンの長さが1%伸びるとチェーンのコマとギア歯と合わなくなり、0.5~0.75%伸びた時が交換時期と言われています。ですが、正確に測るのは難しく「チェーンチェッカー」などの使用がおすすめです。
またチェーンの使用期間の目安もあり、サイクリングや通勤に使用している場合は3,000~5,000㎞、頻繁に乗らない方でも1年くらい。時期を確認して交換しましょう。
チェーンの基礎知識と選び方
チェーンの構造を理解しておくと、チェーン交換も覚えやすいでしょう。
チェーンの構造

チェーンは『アウターリンク』という外側のコマと、『インナーリンク』という内側のコマ、それを繋げるピンで、チェーンが構成されています。
チェーンをつなぐ方法は2種類
チェーンを1つの輪にする為に、つなぐ方法は2種類あります。
●アンプルピン(チェーンピン)を使う方法

チェーンのピン部分に、”アンプルピン”を挿入して、チェーンをつなげます。アンプルピンは新しいチェーンに付属してたりしますが、別途で購入の場合は、チェーン幅(ギアの変速数によってチェーンの幅は変わる)に合ったサイズを選びましょう。
画像のピンは左から10速・9速・6~8速用になります。
●ミッシングリンク(クイックリンク)を使う方法

アウターリンクの部分に、”ミッシングリンク”を取りつけてチェーンをつなぎます。各メーカーから出ていますが、チェーンのメーカー・変速数によって違いますので、購入のときは確認しましょう。
新しいチェーンの選び方

新しいチェーンは、自転車のコンポーネントと同じメーカーのチェーンを選びましょう。またリアのギア変速数に合わせたサイズのチェーンが必要ですので、変速数に合ったサイズを選んでください。アンプルピン、クイックリンクも変速数によってサイズが変わるので気をつけましょう。
また、チェーンのグレードは、材質や仕上げの違いなので、変速数が合っていれば、どのグレードのチェーンも使用することができます。
チェックの方法
チェーンが伸びているかの確認です。
チェーンチェッカーを使う方法
”チェーンチェッカー”はチェーンの間隔を測るための工具で、チェーンチェッカーを使用することで伸び具合を確認できます。

二つ折りタイプのチェーンチェッカーは、新しいチェーンにセットすると中央部分が浮きます。

古いチェーンは間隔が広がっているため、伸びきって中央部分がチェーンについてしまいます。
上記の2つ折のチェーンチェカーの他に、そのままチェーンに差し込んで測るタイプのチェカーも販売されています。
ITEM
BIKE HAND チェーンチェッカー CHAIN-8
チェーンの摩滅状態(伸び)を判定する点検器具。チェーンの伸びを0.75%と1.0%の2段階でチェックし、このポイントに達したらチェーンの交換時期です。
こんな方法でもチェックできます
チェーンチェッカーがない時は、前ギアにかかっているチェーンをつまみ、引っ張ってみましょう。

交換時期のチェーンは緩みがあり、引っ張ったときにギア歯が見えてしまいます。

新しいチェーンは緩みがないので、引っ張ってもギア歯が見えるほど持ち上がりません。
必要なチェーンと工具
チェーン交換には、チェーンを切る・繋ぐための特別な工具を使います。また、サイクリング中のチェーントラブルでも活躍する工具なので、チェーンメンテナンスを自分で行う場合は用意しましょう。
アンプルピン付属のチェーン
ITEM
シマノ チェーン CN-6701 10S
●スピード:HG 10S /ROAD 7900 type
●リンク数:118
●コネクティングタイプ:アンプルタイプ
ミッシングリンク付属のチェーン
ITEM
KMC X10SL Silver
●メーカー: KMC
●型式:X10SL Silver
●10速用
●シマノ、カンパニョーロ、スラム対応
●ミッシングリンク(1セット)付属
チェーンカッター
チェーンカッターは、チェーンを切断する工具ではなく、チェーンのピンを抜いて切り離すものです。アンプルピンの抜き差しや、チェーンの長さの調整に使います。
ITEM
シマノ チェーンカッター TL-CN28 Y13098500
●対応チェーン:6〜11スピード(HG, IG,HG-EV, HG-X)
▼▼チェーンカッターの詳しい記事はこちら▼▼
チェーンフック
チェーンをテンションがかかっていない状態で作業ができるツールです。
ITEM
BBB ハンディホック BTL-121
●チェーン保持ツール チェーンリベットピン。交換時またはチェーンの長さ確認にチェーンを引っかけて保持するツール。
リンク用プライヤー
チェーンリンクを外すための特別な工具です。チェーンにはペンチなどをかける凹凸が少ないため、チェーンの中に入る特殊なプライヤーでリンクを外します。
ITEM
KMC ミッシングリムーバー
それでは、今回はロードバイクでのチェーン交換をご紹介していきます。
アンプルピンでの交換方法
《用意するもの》
●新しいチェーンと新しいアンプルピン
●チェーンカッター
まずはテンションを緩めてアンプルピンを探す

まず、前後のギアを最も小さいギアにいれる「インナートップ」にして、チェーンのテンションを緩めましょう。テンションがかかった状態のチェーンで作業すると、外れたときにチェーンが跳ねて、ケガや車体に傷がつける恐れがあります。

ひとつだけ色の違うアンプルピンをみつけたら、アンプルピンを中心にチェーンフックをかけ、周囲のテンションをとります。アンプルピンを抜く準備をします。
アンプルピンじゃない通常のピン部分でもカットできますが、固く抜きづらい為、アンプルピン箇所を抜くのがおすすめです。
チェーンカッターでチェーンを切る

アンプルピンにチェーンカッターをセットし、ハンドルをまわしてアンプルピンを押し抜きます。

抜けたアンプルピンは再利用はできませんので破棄しまよう。また、新しいアンプルピンでも同じ穴に何回も挿入すると、穴が広がり破断の危険があるので注意しましょう。
アンプルピンが抜けたチェーンはゆっくりと、ギアから外してください。
新しいチェーンを適正な長さにカット

外した古いチェーンと新しいチェーンを並べて、古いチェーンのコマの数に合わせてカットします。
アンプルピンで接続する箇所は片側をインナーリンクリンク、もう片側をアウターリンクにします。

チェーンのカットは、チェーンを外すときと同様にチェーンカッターを使い、ピンを抜いてカットします。
正しいルートで新しいチェーンを取りつける

前後のギア、ディレーラーアームのプーリーという小さなふたつのギアに通します。
ディレーラーアームを通したチェーンにはテンションがかかりますので、跳ねないように注意しましょう。

矢印の順にチェーンを通しますが、ディレーラーアームの外側に通さないよう注意しましょう。
チェーンの向きに注意!

チェーンの刻印が外側に向くようにセットしましょう。正しい方向でない場合、変速に支障がでることがあります。
アンプルピンでチェーンをつなぐ
アンプルピンを挿入するときは、チェーンフックなどをセットしましょう。テンションのかかった状態では急にチェーンが跳ねたり、正しくピンが挿入されない恐れがあります。

アウターリンク・インナーリンクの穴を合わせ、手でアンプルピンを差し込みます。先端が丸くなっている方は細くなっており、手で差し込めるので、溝の切ってあるところまで入れましょう。
アンプルピンはチェーンに付属されていますが、単品での購入もできるのでスペアで用意しておくのもおすすめです。サイクリングでのチェーントラブルも、アンプルピンとチェーンカッターがあれば解消されます。

アンプルピンの溝の部分まで挿入します。入れすぎると抜け出てしまうので注意しましょう。

挿入前に差し込んでいた部分が、向こう側に出ればアンプルピンの挿入は完了です。
アンプルピンの出た部分をカット
アンプルピンが出たままではチェーンを回せないので、出た部分をカットします。

チェーンカッターには、アンプルピンをカットする機能がついたものもあります。ペンチなどでもカットできますが、細かい部分なので注意して行いましょう。

チェーンカッターのピンカット用の穴に、アンプルピンの突き出た部分を差し込み、そのままひねって折るようにします。

折ったピンは、使用しないので捨ててください。
動作の確認
チェーン交換後は、ペダルを回すなどして、適切にチェーンが回るか確認しましょう。もし自分で解決ができない場合は近くの自転車ショップなどで、見てもらうのも良いかもしれません。

アンプルピンは、新しく挿入するとコマの動きが固くなる場合があります。テンションがかかってもチェーンがまっすぐにならない時は、アンプルピン部分を前後左右にひねり、動きを慣らしましょう。
余ったチェーンは突然のトラブル用に保管

カットして余ったチェーンは、予備として保管しておいてサイクリングなどでサドルバッグに入れておくと、突然のチェーントラブルのときに使用できます。
次はミッシングリンクを使う方法をご紹介!
リンクでのチェーン交換のやり方
《用意するもの》
●新しいチェーンとミッシングリンク
●チェーンカッター
●リンク用プライヤー
リンクプライヤーで古いリンクを外す
チェーンにテンションがかかったままで切ると、外れたときに跳ねて怪我や車体に傷をつける恐れがあります。チェーンフックなどを使ってテンションのかかってない状態にして作業しましょう。

リンク部分を中心にチェーンフックをかけましょう。

リンク用プライヤーはチェーンの穴に差し込み、リンクを内側にずらすことで外すことができます。

リンクは再利用できるものと、再利用を推奨しないものがありますので、メーカーの取扱説明書を確認しましょう。
新しいチェーンを適正な長さにカット

新しいチェーンの長さは古いチェーンの長さに合わせてカットしましょう。ミッシングリンクの場合、両端をどちらもインナーリンクにします。
正しいチェーンのルートで取りつけ

アンプルピンでのやり方と同様に、正しいルートにチェーンを通します。

リンクの取りつけは、互いに重なるよう向きに注意しましょう。ディレーラーを通した状態のチェーンの作業は、チェーンが跳ねる恐れがあるのでフックなどをセットしましょう。
リンクをつける

リンクを重ねるようにして穴に通し、両側から引っ張るとセットできます。硬いときは、リアブレーキをかけながらクランクを回すと入りますが、それでも入らない時はプライヤーを使用しましょう。

セットされたリンクは、ピンが広がり外側になります。
動作の確認
リンクをセットしたときに、緩すぎると感じた場合は別のリンクに変えましょう。走行中にリンクが外れ、チェーンが脱落する危険があります。
チェーン交換後は、ペダルを回すなどし、適切にチェーンが回るか確認しましょう。もし自分で解決ができない場合は近くの自転車ショップなどで、見てもらうのも良いかもしれません。
チェーン交換が完了したら
新しいチェーンには、すでにチェーンオイルが塗られています。このオイルは、工場での組み立ての工程でチェーン内部まで行き渡らせてあるので、脱脂をしてしまうと内部のオイルまで落ち、新しく内部に注油するのは難しい作業になります。
チェーンに最初からついているオイルは落とさず、表面の余分なオイルを拭くだけにしましょう。