LUMOSとは?
アメリカのボストン生まれのLUMOS(ルーモス)は、自転車用ヘルメットをメインに製造するブランドです。
LUMOSヘルメットの特徴は、「フロントとリアライトを搭載した一台二役のヘルメット」ということです。さらにウインカーライト、自動ブレーキライト機能が搭載されたモデルも展開されています。
2015年にクラウドファンディングによって、最初のヘルメット「LUMOS Kickstart」のプロジェクトを立ち上げ、現在5つモデルを展開するメーカーです。
●Kickstart(キックスタート)
→スポーティな外観のハイスペックモデル
●Kickstart Lite(キックスタートライト)
→Kickstartを少しグレードダウンした廉価版
●Street(ストリート)
→ストリートバイクに合わせた丸みのあるデザイン
●Matrix(マトリックス)
→背面に大型LEDディスプレイを備えたモデル
●Ultra(ウルトラ)
→最も安価なスポーティモデル
革命的な「ヘルメット×ライト」
レビューに入る前に、まずはLUMOSヘルメットの3つの特徴を紹介していきましょう!
LUMOSヘルメットには、フロントライト/リアライトに加えて、ウインカー、自動ブレーキ(セッティング必要)が搭載されています。
①より安全に走るためのデイライト
日中にもライトを点ける「デイライト」の動きは、近年国内でも見られてきました。補助ライトとしての機能も備わっているため、自分の存在を周りにアピールして、より安全に走ることができます。
②視認性の高いリアライト
自転車よりも高い位置にリアライトを取りつけられます。高い位置から点灯できるため、ドライバーからも見やすくなっています。実際の見え方や明るさは、この後に紹介しますね。
③ウインカー機能
目立つ位置であるヘルメットに、ウインカーが備わることで格段に被視認性が上がります。
自転車用ウインカーの商品は一般に市販されていますが、取り付け位置に制限があったり、見えにくかったりと、いくつかの問題点があります。しかしLUMOSヘルメットはウィンカーも内蔵されているため、取り付けも不要、かつ見えやすい位置での点灯が可能です。
ハンドル上のボタンを押すだけで、ウインカーを出せるのも大きなメリットです。
ハンドサインを出して進行方向を後続者に伝える方法もありますが、片手運転が苦手な方には難しいでしょう。そういった方たちにはこのウィンカーシステムが優れていると思われます。
ドライバーにも伝わるシグナルを出せることは、交通量の多い路上では大いに役立つことでしょう。
またウィンカーボタンと固定するためのゴムバンドは、ヘルメット付属品になります。
ゴムバンドでハンドル上に取り付けるだけです。電池式のボタンになります。
今回はLUMOSヘルメットの中でも、最も安価なUltraシリーズをレビューします。様々なシチュエーションで実際に使ってきた感想を、本音で語っていきましょう。
スタイリッシュな外観
今回レビューするヘルメットは、ホワイトとブラックの2種類です。
ジェットホワイトM-L サイズ。光沢感のあるグロスホワイト。
チャコールブラックXLサイズ。光沢感のないマットブラック。
フロントのライトは、おでこのやや上に位置しています。すっきりしたライト外観で、ヘルメットに統一性を出してくれています。
リアライトは左右についており、スリット状に入っています。デザインを邪魔しない作り込みです。
ヘルメット後頭部にライト用スイッチがついています。ワンタッチでスイッチオン、長押しでオフになります。
ライトのライフは約4~10時間、充電時間は約3時間です(利用状況による)。
ボタンの真下に、Type-Cの充電コネクターがあります。オリジナル規格ではなく汎用コネクターなので、ケーブルを使いまわせていいですね。
アジャスターバンドに2か所、反射材が貼られています。
取り外し可能な内部クッションが4つついています。
面ファスナー(マジックテープ)で留まっています。クッションを洗濯の時には、ゴミがつきにくく助かります。
つづいて、パッケージ内容物を見てみましょう。
左上から順番に、ウィンカーボタン、ヘルメット充電ケーブル(Type-C)、ゴムバンド4本、傷保護テープ、説明書、が入っています。
ウィンカー関連の付属品があるのはありがたいですね。こちらのウィンカーボタンは電池式になります。
また自動ブレーキライト対応のウィンカーボタンも別売りされています。
こちらは充電式のウィンカーボタンとなっており、専用の充電ケーブルも付属されています。減速したことを後続車に伝えたい場合には、自動ブレーキライト対応のこちらのウィンカーボタンをつけるのがいいでしょう。
360度どこからでも見えるライト
ここからは実際に使ってみた感想を紹介していきましょう。
まずLUMOSヘルメット最大の強みは「360度どこからでも、ライトが見える」ことです。
まずは正面を見てみましょう。
フロントライトの光は、拡散されて柔らかい光のように見えます。COB LEDが36個内蔵されており、均一な発光を実現しています。手元なら照らせますが、遠くを照らせる光量はなさそうです。色味は、やや黄味がかっています。
後ろから。
細身のリアライトですが、光量は充分にあるようです。2灯ついているため、様々な角度から見ても照度が変わらないように見えます。フロントライトと比較すると、光が鋭いようにも感じられます。
真横から。
フロントライト、リアライトともに視認できます。ヘルメットに添うようなライト形状のため、360°の被視認性を確保できています。ヘルメットという高い位置で360°見えることで、安全性が高まります。
ライトってどれぐらい明るいの?
見た目での光量比較をしてみましょう。
①フロントの見た目
LUMOSヘルメットのライトをブーストモード(最大光量)にしています。自転車に取りつけているフロントライトは50lmです。
lm:ルーメン、光源から放たれる光の総量の光量のこと。
写真上ではほぼ同じ光量に見えます。しかし肉眼では、LUMOSヘルメットの方が50lmより光量が小さく、全体的に広がった拡散光のように見えます。
真っ暗な場所で比較すると、自転車のフロントライトは道の状態がハッキリ見えるほど明るく照らしているのに対して、LUMOSヘルメットのライトではほとんど路面が見えません。LUMOSヘルメットのライトは、道路交通法が定めるライトの規定に適合できないので、夜間はあくまでも補助ライトとして運用しましょう。
道は照らせませんが、自分の存在を知らせるという点では有効です。肉眼での被視認性が高く、人の頭の位置のライトはかなり目立ちやすいと感じました。
②リアの見た目
リアライトはブーストモード、自転車に取りつけているリアライトを50lmに設定しています。
こちらもフロントライト同様で50lmの光量はないように見えます。しかしこれで充分でしょう。というのも、リアライトは道を照らすことが目的ではなく、「自分の存在を他者へ知らせる」ことだからです。
見る角度にもよって変わるので、正しい評価が難しいですが、筆者はリアライトの光量に関してはこれで充分だと感じました。ただし安全のためには、自転車に取りつけたライトまたは反射材も必要なので、こちらも補助ライトとして運用するのがいいでしょう。
つぎは照度計を使って、測定してみましょう。
③照度計で測ってみた
他の光が入らないように部屋を暗くして、それぞれの照度を測ってみましょう。ライトからの距離1mの位置で測定しました。
フロントライトの結果です。
LUMOSヘルメット:9.6lx
50lm設定のライト:358.3lx(光源から直線上)、14.9lx(光線から約15°の位置)
lx:ルクス、特定の方向に放射された光源の明るさのこと。
50lmライトは光線上の照度は高かったのですが、角度がずれたところではやや落ちる結果でした。LUMOSヘルメットの場合は、照度がそもそも小さい反面、15°ほど角度をずらしてもほとんど照度が変わりませんでした。一様に広がる光で照らせるのがLUMOSヘルメットの強みです。
リアライトでも同じような結果でした。
LUMOSヘルメット:2.5lx
50lm設定のリアライト:17.6lx(光源から直線上)、11.0lx(光線から約15°の位置)
2灯あるリアライトですが、1mも離れると一様に広がるような照射に見えます。
もう少しだけ気になったので、どれほどの範囲を一様に照らせるのか見てみました。
LUMOSヘルメットのライトをつけて、真上から撮影した写真がこちらです。
照度計を使って、光の広がり方を確認してみました。
この範囲内であれば、ほぼ照度が変わりませんでした。
フロントライトは±15°ほど、リアライトは±80°ほどまで光が広がっていました。この範囲内であれば照度が大きく変化せず一様に照らしています。とくにリアライトの照射範囲の広さには驚きました。角度に依らず、後続のドライバーからはハッキリと視認できることでしょう。
肉眼では360度すべてから見えますが、さらにこれだけの範囲で安定して広範囲を照らせるライトとは…。LUMOSヘルメットのライトの強みがここにあります。
ありそうでなかったスイッチ音という機能
ヘルメット後頭部に設置されているスイッチですが、ここにも工夫が隠されていました。
タッチ式ではなく物理スイッチで、クリック感があるのもいいのですが、それ以上に良かったのがスイッチ音です。ライトオンで「ププッ!」、オフで「プッ!」とスイッチ音が鳴ります。自転車ライトにおいて、スイッチ音が鳴るというのは、これまでありそうでなかった機能です。
さらにオンとオフで音の種類が違うというのは大変助けられました。スイッチを押した動作で、オン/オフがすぐに分かります。特にトンネルに入る際に役立ちました。いつもリアライトをつけてからトンネルに入るのですが、音の種類が違うことで「いまはライトが点灯したんだ」と安心感を得られます。
ヘルメットを着脱せずに、ライトのオン/オフを知れるのはなんともありがたい工夫です。さらに音の鳴り方は専用アプリで変更も可能です。
またウィンカーボタンを押した際にも音が鳴るので、ウィンカーの消し忘れも防ぐことができます。痒い所に手が届く素晴らしい設計です。
使いやすいアプリ連携
iPhone/Androidともに対応するLUMOS専用アプリがあります。日本語設定もできます。アプリで設定できることは以下です。
ヘルメットのバッテリー残量
3段階のバッテリー残量の表示がされるので、充電タイミングがすぐわかり、急な充電切れを回避できます。バッテリー残量が少なくなるとアラートも出す設定も可能です。
3種類の点滅パターンを変更可能
以下のように設定しておくと、昼と夜で使い分けもしやすかったです。
フロント | リア | |
パターン1 | 点灯 | 点灯 |
パターン2 | 点灯 | フラッシュ |
パターン3 | フラッシュ | フラッシュ |
光量も変更可能
一般的な自転車用のライトは、スイッチ切り替えで光量設定します。押し間違えたりなど、少し手間がかかります。
しかしアプリを使えば、ワンタップで光量設定ができます。理想を言えば、バッテリー消耗を抑えるため、フロントとリアでそれぞれ光量を設定出来たらうれしいのですが。
ほかにもApple Watchと連携すれば、ジェスチャーコントロールによるウィンカー機能もあります。Apple HealthやStravaとの連携も可能なので、自転車ライフをさらに充実させられそうです。
ライトの防水性は?
小雨の中2時間ほど走りましたが、ライトやウィンカーリモコンともにまったく問題ありませんでした。光量が極端に落ちたり、操作が効きにくくなったりなどの不具合はありませんでした。
長期間使用ではどうなるか個人的には気になるところです。
ヘルメットのフィット感は、筆者に合わなかった…。
ここまでは長所の紹介でしたが、逆に気になるところもあったのでその話もしていきましょう。
それがヘルメットのフィット感です。
そもそも深く被れなかった
残念なことに、筆者の頭の形状には合いませんでした。筆者の頭の外周部は62cmなので、XLサイズ(61-65cm)を被っています。
ホールド感に乏しく、頭の上に乗せているようになります。
なぜこうなるかを見てみましょう。
とくに後頭部のアジャスターバンド位置が合いませんでした。首から頭にかけての凹みに合わせてフィットしてほしいのですが、それよりも高い位置にアジャスターが位置しています。
後頭部がフィットするようにズラすと、ヘルメットが上向いてしまい、これはこれでフィット感がありません。
おでこの上で留まっている位置になってしまいます。ヘルメットが浅く、ヘルメットを被り切れません。
幼いころから「頭がデカい」と言われてきた筆者だから合わなかった、という可能性もあります。もうすこし検証をしてみましょう。
急な動きにヘルメットが追従できていない…?
では頭を動かしてみるとどうでしょうか?
頭を前後に振る動きではほとんどズレませんでした。しかし、思いっきりブンブンと左右に頭を振ると、きちんと追従しませんでした。ヘルメット自体が重く、慣性が働き、頭の動きについてこれないような挙動です。Mips有り無しに関わらず同じ現象でした(Mipsについては後ほど説明しますね)。
筆者の頭がデコボコなのでこうなるかと思い、友人にも被ってもらいました。頭を様々な方向に動かしてヘルメットの動きを見てみました。その結果、やはり左右に頭を強く振る動作では、ややズレてしまいます。前後に振る、屈んだ姿勢では問題ありませんでした。
友人も深く被れない状態だったので、同様の挙動になってしまったのでしょう。
ヘルメットが合わなかったのは、「そもそも欧米とアジアでは頭の形状が違う」ためと考えられます。Lumosはアメリカのメーカーということもあり、アジア人の頭には合いにくいのかもしれません。
ヘルメットが重く感じる
・M-Lサイズ:388g
・XLサイズ:464g
*XLサイズはMips搭載のため、重くなっています。
手に持ってみるとずっしりと感じます。XLサイズで464gとは重い部類なのでしょうか?
気になったので、家にあったXLサイズのロードバイク用ヘルメットの重量を量ってみました。3つのXLサイズの平均を計算してみると、270gでした。同じサイズのLUMOSヘルメットはそれより約194g重いことになります。
Mipsとライトが付いているため、ヘルメットとしての単純比較ができませんが、やはり重量級だと言わざるを得ません。前1灯、後2灯のライトとバッテリーを積んでいるので、仕方がないのですが。
またヘルメットの重心は後ろ寄りのため、違和感があるのも事実です。ヘルメットそのものに重量もあるので、1日中被るには慣れが必要だと感じました。
とここまで、かなりネガティブに書きましたが、ヘルメットがいきなり外れるようなことはありませんでした。
下に屈んでもヘルメットがズリ落ちることもなく、大きく頭を振っても正しい位置に戻ってきます。ただ少しだけ追従しにくい挙動が出ているといった具合です。事故などの大きな衝撃でもヘルメットが飛んでいくことはないでしょう。
夜間での安全性が高いヘルメットなら、これ!
様々なシチュエーションで乗りましたが、向き/不向きがあるヘルメットだと感じました。
【おすすめライド】
・通勤&通学
・街乗り
【このライドは不向きかも】
・ロングライド
・レース
街中をよく走るのであれば、LUMOSヘルメットの長所をかなり活かすことができます。夕方の時間帯や、交通量の多い夜の街中を走る際には、自分の存在をアピールできて、より安全に走れます。
実際このLUMOSヘルメットを被って夜間走っていると、まわりから認識されやすくなったと思います。とくに車と歩行者からはよく見えるようで、早目にブレーキを掛けて停車してくれたり、道を空けてくれたりすることが増えたように感じます。このように自転車に取りつけるライトだけでなく、LUMOSヘルメットのライトもあるからこそ、夜間での走行の安全性が高まっています。
その反面、夜間走行を含むロングライドや連泊ツーリングにはやや不向きかもでしょう。連続照射時間が4~10時間を考えると、充電切れが心配ですこし心元ないと感じます。
連続点灯時間を最低10時間に延長してもらうか、重量を100gほど軽量にしてもらえたらありがたいと個人的には思います。頭とヘルメットの形状が合っていないので、余計に重たく感じているだけかもしれませんが。
「夜に走っていてヒヤリとした」「自転車用ライト以外に目立つにはどうしたらいいんだろう?」と感じた方におすすめしたいヘルメットです。夜の街中を走っているときにはかなり目立てるので、トラブルのリスクを大きく下げられると思います。
ライト×ヘルメットという珍しいアイテムですが、より安全に走るために試してみるのはいかがでしょうか?
Ultraシリーズのカラーとサイズ展開
レビューしたUltraシリーズのおさらいをしましょう。国内取扱いでは、3カラー/2サイズがラインナップされています。
3種類のカラーリング
Ultraシリーズには3色(ブラック/ホワイト/ライム)が展開されています。どんな服装とも合う定番のモノクロカラーと、遠くからでも目立つ蛍光ライムカラーです。
2種類のサイズ
サイズは2種類あります。
・M-Lサイズ(54-61cm)
・XLサイズ(61-65cm)
数字は、頭の外周部分で1番大きい周囲です。
頭部を守るMips
MIPSは頭部保護システムのことです。ヘルメット内部に保護層があり、衝撃を受けた際には位置がずれて、衝撃を分散できる効果があります。
LUMOSヘルメットは、XLサイズはMIPS対応モデルのみ、M-LサイズのMIPS対応モデルの提供は近日開始予定になっています。