BMXってどんな自転車?
BMXの車体の特徴は、20インチの車輪に、オートバイのようなグリップ部分が上がっているハンドル、頑丈でシンプルなフレームが特徴です。素材はスチール素材のクロームモリブデン鋼が一般的です。20インチのものがメインで、24インチのモデルで行われるレースもあり、まさに子供から大人まで楽しめる自転車です。
2020東京五輪でも脚光
BMXってどんな自転車か知っていますか? 最近では8月の東京五輪で初採用されたBMXフリースタイル・パーク競技での日本人選手の活躍が記憶に新しいのではないでしょうか。世界選手権で優勝経験もある中村輪夢(りむ)選手、大池水杜(みなと)選手の存在で有名になりました。
40代以上の人は、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「E.T」を見てBMXを始めた人も多かったりします。新興住宅街の空き地を縦横無尽に走るBMXの激走シーン。主人公たちが乗る自転車が日本製の「KUWAHARA(クワハラ)」だったことは有名な話です。
アメリカの少年たちの遊びが起源
BMXは1970年代にアメリカの少年たちが自分たちの自転車をオートバイに見立てて改造し始めたのが始まりとも言われています。普通の自転車からライトやキャリアや泥除けを取り外し、よりシンプルな形となっていったようです。
楽しみ方で大まかに3種類
BMXと言っても様々な遊び方があり、それぞれ車体の特徴も変わってきます。
①シンプルで速い、軽い「レース」
専用のコースを速く駆け抜けることが要求される「BMXレーシング」。いくつものジャンプやコーナーが連続する約400メートルのコースを同時に8人がスタートし、順位を競います。余計なものをそぎ落としたタイプの車体で、フレームはアルミニウムやカーボン素材のものが出てきています。
ビギナー用のものでもシンプルな作りなので、ロードバイク並みに軽量です。パーツも少ないので故障しにくいのもメリットで、ブレーキはスピード調節用に後輪のみにつけられています。公道を走る場合は前後ブレーキが付いたものを選ぶか、後輪にブレーキを追加しましょう。
②トリック楽しむ「フリースタイル」街中なら「ストリート」
その名の通り街中の「ストリート」で障害物をクリアして楽しむためのもの。階段をジャンプしたり、手すりにホイールの軸をひっかけてすべったり、街中の人工物を使ってそれをいかにクリアするか、自分のスタイルを見せるかを楽しみます。
ハードな使い方をしても壊れないことが重要で、フレームはクロモリ製が多く、パーツも頑丈で耐久性が求められ、重量もやや重めのものが多いです。公共の場で楽しむのが「ストリート」、そのストリートの障害物を「パーク」と呼ばれる競技スペースにギュッとまとめて競技性を持たせたのがオリンピック競技の「フリースタイル・パーク」となります。
「フラットランド」はBMX界の“フィギュアスケート”
舗装された平らな会場で、フレームやタイヤの上に乗ったまま、バイクを回転させたり、ライダー自身がフロントホイールに乗って、ハンドルごと回ったりします。華麗な演技で点数を競う様子は、まさに自転車界の『フィギュアスケート』と言っても良いでしょう。
車体は取り回しが効くよう、ホイールベース(前輪と後輪の間の距離)が他の車種より短くなっています。前後のタイヤに乗って車体をくるくる回したりするため、前後ブレーキが着いているほか、前ブレーキが着いていながらハンドルが360度回転するように『ジャイロ』というパーツがステムに付いています。
レース用BMXおすすめ3台
シンプルで軽量な、おすすめレース用モデルを3台紹介します。
HARO/2021 ANNEX PRO
1970年代後半、BMXレースのエントリー費を稼ぐために、10代のボブ・ハロー少年がレース用のナンバープレートを自作して販売したことが起源のメーカー。ANNEX PROはアルミのフレームにクロモリのフォークで5万円を切る価格が魅力。ブラックに明るい赤と青のアクセントが入ったカラーリングもポップです。
●フレーム:アルミ(フォークはクロモリ)
●カラー:ブラック
●参考価格:47,300円(税込み)
マングース/TITLE PRO(タイトルプロ)
蛇と戦う動物「マングース」のイラストが印象的なBMXメーカーの先駆け的存在。その中でレース用BMXの「TITLE」シリーズは、ジュニアから上級ライダーまでレベルと年令によって様々な種類のモデルが揃っています。中でも初級レベルのライダー用にデザインされた「TITLE PRO」は、価格も手ごろながらレースに出られる性能を持っています。
●フレーム:アルミ
●カラー:ブラック
●参考価格:56,100 円(税込み)
GT/MACH ONE PRO 20(マッハワン・プロ)
今ではマウンテンバイクも手掛けるオフロード系の総合ブランドですが、そのルーツはBMXのレーサーです。フレーム素材にはアルミにシリコンやマグネシウムを添加した6061-T6合金を採用し軽量と丈夫さを両立。ステム、タイヤまで同社製でまとめられて、税込み5万円を切る価格はビギナーにおススメの1台です。
●フレーム:6061-T6 アルミニウム
●カラー:ブルー
●参考価格:43,780円(税込み)
「フリースタイル、ストリート」おすすめ2台
ビギナーでも扱いやすいフリースタイル、ストリートモデルのおすすめ2台を紹介します。
Subrosa/ Wings Park 20inch Model
アメリカ・フロリダの BMXブランド「SUBROSA BRAND」。東京五輪日本代表の中村輪夢選手がプロデュースした「Wings」。「BMXの楽しさ、魅力を日本の人に知ってもらいたい」という同選手が乗るバイクのスペックをベースに、BMXに興味をもった人にも乗りやすい設計です。中村選手が乗るブラックも良いけれど、彼が生まれ育った「京都」の伝統色である京紫をイメージしたトランス・パープルも渋くて素敵です。
●フレーム:ハイテン
●カラー:ブラック、トランス・パープル
●参考価格:64,900円(税込み)
FIT BIKE CO.(フィットバイク・カンパニー)/SERIES ONE
1990年代のカリスマ的ブランド「S&M」から派生し、若いライダー層に向けて2001年に誕生したブランドです。2020年に発表されたSERIES ONE(シリーズ・ワン)は、エントリー向けのストリートモデルでライダーの体格に合わせて3サイズがラインナップ。フレーム素材は頑丈なクロモリ製。それぞれのサイズでカラーリングが違うほか、同価格でプロライダーのシグニチャーモデルもあるので、好みのカラーリングを選ぶのも楽しいですね。
●フレーム:クロモリ
●カラー:SM(スモール)=Gloss Red, Trans Ice Blue、MD(ミディアム)=Gloss Black, Root Beer、LG(ラージ)=Gloss Clear, Trans Gold
●参考価格:¥59,400(税込み)
「フラットランド」おすすめ2台
ビギナーでも、そのまま競技にトライできるスペックのフラットランド用のおすすめ2台紹介します。
MOTELWORKS/ 2022 Aux:E
日本のフラットランドライダーの第一人者・田中光太郎選手がBMX を中心に、アパレルライン、スクールなどを通してライフスタイルを提案しているブランド。ジャイロブレーキ、アルミペグを標準装備し、何も買い足さなくて遊べるフリースタイルのスタンダードモデルです。
●カラー:gloss black.gloss gray,gloss raw,matt beige,matt green,matt orange
●参考価格:74,800円(税込み)
ARES BIKES /SWORD
前後とも制動力の高いU-ブレーキに、アルミ製ペグが4本付属。そのままフラットランドの技ができます。フレーム設計も「ストリート」でも使える汎用性で、2.3インチのタイヤも専用に新開発されたもの。カラーは、マットブラックとグレー系の2色展開でシックにまとまっています。
●カラー:Mat Black, M.B GRAY
●参考価格:66,000円(税込み)
BMXは専門店で購入しましょう
BMXは普通の自転車より、ずっとハードな乗り方をすることが多いです。特別なパーツを使っていることもあり、購入や調整は専門店にお願いしましょう。また、レースや競技を始めたくなった時にも、ヘルメットやプロテクターなど専門用具の揃え方、競技の始め方について親切に教えてもらえるでしょう。