【0.01mmを手で調整!?】驚きの三ヶ島ペタル・本社工場に潜入してきました。

【0.01mmを手で調整!?】驚きの三ヶ島ペタル・本社工場に潜入してきました。

日本のペダルメーカー「三ケ島ペタル」。シンプルなデザインと機能性で愛用者も多い三ヶ島製作所の工場見学に行ってきました。競輪選手にもペダルを供給する品質のベダルがどのように作られているのか…。自転車ファンなら気になる、あの会社の工場レポートです。

目次

アイキャッチ画像撮影:筆者

国内の自社工場でペダルを製造する三ヶ島ペタル

国内の自社工場でペダルを製造する三ヶ島ペタル

撮影:筆者

火の海から現れる多くのペダル部品。三ヶ島ペタルの生産工程の1つなのですが、何をしている所か気になりますよね。。

自転車ファンならおなじみの「三ケ島ペタル」。今回は、気になる工場の内部をご紹介します!

本社&工場に到着

本社&工場に到着

撮影:筆者

編集部が埼玉県所沢市にある、三ケ島ペタル本社に到着したのは、午前9時頃。

案内をしてくれたのは営業部長の弓場元さん、営業開発課の舟山さん、中村さんの、御三方。三ケ島のペダル部門のブレインの方々です。

会議室で見学中の注意などを伺い、いよいよ工場の中へ。

ペダルが出来上がるまで【①パーツ編】

ペダルが出来上がるまで【①パーツ編】

撮影:筆者

三ヶ島ペタルでは、ペダル軸や踏面などはもちろん、小さなワッシャーなどのパーツも、この工場で製造しています。

こんな形の素材から

こんな形の素材から

撮影:筆者

上の写真、何のパーツかわかりますか?

これは板状のアルミ合金をプレス機械で抜いて作られた、ペダル側板のスクラップです

長いプレート状になっていて、とても綺麗に型が抜かれていました。

ペダル軸の成形

ペダル軸の成形

撮影:筆者

車体とペダルをつなぐペダル軸は「冷間鍛造」という製法で成形されます。

「熱間鍛造」とは違い、「冷間鍛造」は、手間と技術が必要になり、精度と耐久性を持たせることができるそうです。

軸の成形

撮影:筆者

写真奥の鉄棒の状態から5回の鍛造を経て、ペダル軸の形になっていきます。

軸の成形

撮影:筆者

こちらでは、鍛造で成形されたペダル軸に、クランクへ取付けるためのネジ山を切っています。

軸の成形

撮影:筆者

三ヶ島のペダル軸のネジ山は、人の手でひとつひとつ作られているんですね

軸の成形

根本に隙間を作ることで、しっかりと奥まで取付けできるようになります。

熱処理

熱処理

撮影:筆者

冒頭で紹介した熱処理。工場内の炉で、素材の強度を上げるために、熱処理を行っています。

熱が加わると、表面は固く中心は粘りのある耐久性の高い素材に。

ペダル軸やトゥクリップ、ボディ部などに焼き入れをし、高い耐久性のペダルが出来上がるんですね。

ピカピカにしていきます

ピカピカにしていきます

撮影:筆者

ペダルを砂利に埋めている!? これはペダルを研磨する工程なんです。

ピカピカにしていきます

撮影:筆者

砥石の海を泳いだペダルは、メッキ処理したようなピカピカな仕上がりに。

ペダルを砥ぐ砥石

撮影:筆者

ペダルを磨く砥石は、種類や大きさが様々あり、パーツの大きさや仕上げによって変えているそうですよ。

ペダルが出来上がるまで【②組み立て編】

ペダルが出来上がるまで【②組み立て編】

撮影:筆者

工場で作られたパーツは、人の手とマシンで、ペダルの形に組み上げられていきます。

様々な組み立て工程

撮影:筆者

ペダルのボディに「ワン」というベアリングを押さえるための、回転の要になるパーツをセットしています。

様々な組み立て工程

撮影:筆者

ペダルには、本体に直接ベアリングを入れる「カップ&コーン」タイプと、パッケージングされたベアリングを使う「シールドベアリング」タイプがあります。

シールドベアリングは、軸やボディとの間に隙間があるとベアリングが機能しないので、密着させるために機械を使って圧入します。

ペダルのボディ側面のブレードをセットする作業

撮影:筆者

こちらは、ペダルのボディ側面のブレードをセットする作業。どのボルトも確実なトルク管理が行われています。

マシンから出てきたペダルを、最後は人の手で

マシンから出てきたペダルを、最後は人の手で

撮影:筆者

奥のシートがかかったマシンが、自動でベアリングをセットします。カップ&コーンのペダルはベアリングを入れ、最後は人の手で調整されています。

ペダルが出来上がるまで【③驚愕編】

では、今回、見学させていただいた中で、もっとも驚いた作業をご紹介します!

「0.01mm」の誤差を手で調整

「0.01mm」の誤差を手で調整

撮影:筆者

最高時速70㎞で走る競輪選手が使うペダルも、三ケ島ペタルで製造されています。

競輪選手が使うNJS認定品の組立てができるのは、社内でも3名だけとのこと。

手でペダルをまわしてチェック

撮影:筆者

このペダルの回転の滑らかさを調整する作業では、手でペダルをまわしてチェックしていきます。

何種類もの薄さのワッシャーで微調整

撮影:筆者

この回転の調整には、上記のような何種類もの薄さのワッシャーで微調整していきますが、その薄さは1ミリ以下の世界。一番薄いのもので、なんと、0.03mm!

極薄のワッシャー

撮影:筆者

極薄のワッシャーは、真横から見ると、薄すぎて見えませんでした。

プロが納得するペダル

撮影:筆者

この繊細な工程を得て、プロが納得するペダルが出来上がるんですね。

三ケ島ペダルって、こんな会社

三ケ島ペダルって、こんな会社

三ケ島製作所が創業されたのは1943年、当初は航空機部品を作るメーカーでした。上の写真は展示されている最も古いペダルです。

戦後間もない時期からの、歴史ある日本メーカー

戦後間もない時期からの、歴史ある日本メーカー

その後、1946年にペダルメーカーへと転身し、現在もペダルメーカーとして数々の製品を開発・製造しています。

長い歴史のなかで、定番の人気アイテムが生まれ、フォールディングペダルや脱着式ペダルのような、革新的なモデルも、積極的に開発しています。

現在も毎年ニューモデルが発表されています。

ショップとのタイアップも

ショップとのタイアップも積極的に

出典:Sim Works

また、三ケ島ペタルのモデルで、見逃せないのが、ショップなどとの、コラボレーションモデル。

代表的なもので、東京のサイクルショップ「BLUE LUG(ブルーラグ)」や、オリジナルの自転車アイテムを販売する「Sim Works」との、コラボペダルもあり、こちらも見逃せないアイテムとなっています。

中の人に、おすすめのモデルを教えてもらいました!

ここからは、多くの三ヶ島ペタルのモデルの中から、営業部長の弓場元さんに、各自転車カテゴリーごとの、おすすめモデルを聞いてみました!

ロードバイクには「ALLWAYS」

弓場元さん
弓場元さん
フラットペダルとしてのお勧めとなります。
見た目ほど、重量はなく、回転性能の高さとコンケーブ状踏面の恩恵で、高ケイデンスでも足裏へ吸い付くようなフィット感がありますよ。

クロスバイクには「MT-FT」

弓場元さん
弓場元さん
樹脂製でコスパの良いペダルとして人気で、少し高めの突起がグリップ力をもたらします。
リフレクターを取り外すと、ペダリング効率を高める為のトークリップを取り付ける事が可能で、
ゼファールなどの樹脂製ハーフクリップと合わせてご使用になられる方が多いです。

グラベルロードには「GAMMA」

弓場元さん
弓場元さん
踏面に8つのスパイクピンを備え、悪路でも高いグリップを発揮します。
MTB系ペダルに比べ踏面幅が狭い設計になっている為、コンパクトなペダリングを好む方にお勧めします。

マウンテンバイクには「GAUSS」

弓場元さん
弓場元さん
踏面に10のスパイクピンを備え、常時安定したグリップをもたらします。
比較的入手しやすい価格帯であり、初めてマウンテンバイクを買われる方にお勧めですよ。

MKS GAUSS

重量362g
素材アルミ
カラーブラック、ホワイト、オレンジ

気になる今後の展開も聞いてみました

ここだけの話ですが、今後の、新製品などのお話も伺ってきました!

新デザインのペダルも発表するとか。。

新デザインのペダルも発表するとか。。

三ケ島ペダルの気になる新製品は、流れるような斬新なデザインのフラットペダル。

踏み面も広く、アウトドアシューズとの相性もよさそうですね。これは期待大です。早く本物が見たいです!

え? アウトドアアイテム???

え? アウトドアアイテム???

続いて驚きの情報ですが、現在、アウトドア製品の開発を検討しているそうで、自転車関連製品ではなく、純粋なアウドドアに関するギアとのこと。

まだ、詳細な情報は公開できないそうですが、グラベルロードなど、アウトドアを楽しむ自転車と親和性が高いアイテムなのか…、妄想が膨らみます。これも、気になりすぎる情報でした。

ありがとうございました!

ありがとうございました!

三ケ島ペタルのスタッフ皆さま、今回は温かく迎えていただき、ありがとうございました!

高い品質のペダルを作る製造工程には、ただただ驚きの連続でした。

こだわりの三ケ島ペダル

撮影:筆者

ライトな三ケ島ユーザーであった筆者ですが、こだわりの三ケ島ペダル、愛着が2,000万倍ほど、倍増いたしました!

三ヶ島ペタル公式サイトはこちら

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