国内の自社工場でペダルを製造する三ヶ島ペタル
火の海から現れる多くのペダル部品。三ヶ島ペタルの生産工程の1つなのですが、何をしている所か気になりますよね。。
自転車ファンならおなじみの「三ケ島ペタル」。今回は、気になる工場の内部をご紹介します!
本社&工場に到着
編集部が埼玉県所沢市にある、三ケ島ペタル本社に到着したのは、午前9時頃。
案内をしてくれたのは営業部長の弓場元さん、営業開発課の舟山さん、中村さんの、御三方。三ケ島のペダル部門のブレインの方々です。
会議室で見学中の注意などを伺い、いよいよ工場の中へ。
ペダルが出来上がるまで【①パーツ編】
三ヶ島ペタルでは、ペダル軸や踏面などはもちろん、小さなワッシャーなどのパーツも、この工場で製造しています。
こんな形の素材から
上の写真、何のパーツかわかりますか?
これは板状のアルミ合金をプレス機械で抜いて作られた、ペダル側板のスクラップです
長いプレート状になっていて、とても綺麗に型が抜かれていました。
ペダル軸の成形
車体とペダルをつなぐペダル軸は「冷間鍛造」という製法で成形されます。
「熱間鍛造」とは違い、「冷間鍛造」は、手間と技術が必要になり、精度と耐久性を持たせることができるそうです。
写真奥の鉄棒の状態から5回の鍛造を経て、ペダル軸の形になっていきます。
こちらでは、鍛造で成形されたペダル軸に、クランクへ取付けるためのネジ山を切っています。
三ヶ島のペダル軸のネジ山は、人の手でひとつひとつ作られているんですね
根本に隙間を作ることで、しっかりと奥まで取付けできるようになります。
熱処理
冒頭で紹介した熱処理。工場内の炉で、素材の強度を上げるために、熱処理を行っています。
熱が加わると、表面は固く中心は粘りのある耐久性の高い素材に。
ペダル軸やトゥクリップ、ボディ部などに焼き入れをし、高い耐久性のペダルが出来上がるんですね。
ピカピカにしていきます
ペダルを砂利に埋めている!? これはペダルを研磨する工程なんです。
砥石の海を泳いだペダルは、メッキ処理したようなピカピカな仕上がりに。
ペダルを磨く砥石は、種類や大きさが様々あり、パーツの大きさや仕上げによって変えているそうですよ。
ペダルが出来上がるまで【②組み立て編】
工場で作られたパーツは、人の手とマシンで、ペダルの形に組み上げられていきます。
ペダルのボディに「ワン」というベアリングを押さえるための、回転の要になるパーツをセットしています。
ペダルには、本体に直接ベアリングを入れる「カップ&コーン」タイプと、パッケージングされたベアリングを使う「シールドベアリング」タイプがあります。
シールドベアリングは、軸やボディとの間に隙間があるとベアリングが機能しないので、密着させるために機械を使って圧入します。
こちらは、ペダルのボディ側面のブレードをセットする作業。どのボルトも確実なトルク管理が行われています。
マシンから出てきたペダルを、最後は人の手で
奥のシートがかかったマシンが、自動でベアリングをセットします。カップ&コーンのペダルはベアリングを入れ、最後は人の手で調整されています。
ペダルが出来上がるまで【③驚愕編】
では、今回、見学させていただいた中で、もっとも驚いた作業をご紹介します!
「0.01mm」の誤差を手で調整
最高時速70㎞で走る競輪選手が使うペダルも、三ケ島ペタルで製造されています。
競輪選手が使うNJS認定品の組立てができるのは、社内でも3名だけとのこと。
このペダルの回転の滑らかさを調整する作業では、手でペダルをまわしてチェックしていきます。
この回転の調整には、上記のような何種類もの薄さのワッシャーで微調整していきますが、その薄さは1ミリ以下の世界。一番薄いのもので、なんと、0.03mm!
極薄のワッシャーは、真横から見ると、薄すぎて見えませんでした。
この繊細な工程を得て、プロが納得するペダルが出来上がるんですね。
三ケ島ペダルって、こんな会社
三ケ島製作所が創業されたのは1943年、当初は航空機部品を作るメーカーでした。上の写真は展示されている最も古いペダルです。
戦後間もない時期からの、歴史ある日本メーカー
その後、1946年にペダルメーカーへと転身し、現在もペダルメーカーとして数々の製品を開発・製造しています。
長い歴史のなかで、定番の人気アイテムが生まれ、フォールディングペダルや脱着式ペダルのような、革新的なモデルも、積極的に開発しています。
現在も毎年ニューモデルが発表されています。
ショップとのタイアップも
また、三ケ島ペタルのモデルで、見逃せないのが、ショップなどとの、コラボレーションモデル。
代表的なもので、東京のサイクルショップ「BLUE LUG(ブルーラグ)」や、オリジナルの自転車アイテムを販売する「Sim Works」との、コラボペダルもあり、こちらも見逃せないアイテムとなっています。
中の人に、おすすめのモデルを教えてもらいました!
ここからは、多くの三ヶ島ペタルのモデルの中から、営業部長の弓場元さんに、各自転車カテゴリーごとの、おすすめモデルを聞いてみました!
ロードバイクには「ALLWAYS」

弓場元さん
フラットペダルとしてのお勧めとなります。
見た目ほど、重量はなく、回転性能の高さとコンケーブ状踏面の恩恵で、高ケイデンスでも足裏へ吸い付くようなフィット感がありますよ。
見た目ほど、重量はなく、回転性能の高さとコンケーブ状踏面の恩恵で、高ケイデンスでも足裏へ吸い付くようなフィット感がありますよ。
クロスバイクには「MT-FT」

弓場元さん
樹脂製でコスパの良いペダルとして人気で、少し高めの突起がグリップ力をもたらします。
リフレクターを取り外すと、ペダリング効率を高める為のトークリップを取り付ける事が可能で、
ゼファールなどの樹脂製ハーフクリップと合わせてご使用になられる方が多いです。
リフレクターを取り外すと、ペダリング効率を高める為のトークリップを取り付ける事が可能で、
ゼファールなどの樹脂製ハーフクリップと合わせてご使用になられる方が多いです。
グラベルロードには「GAMMA」

弓場元さん
踏面に8つのスパイクピンを備え、悪路でも高いグリップを発揮します。
MTB系ペダルに比べ踏面幅が狭い設計になっている為、コンパクトなペダリングを好む方にお勧めします。
MTB系ペダルに比べ踏面幅が狭い設計になっている為、コンパクトなペダリングを好む方にお勧めします。
マウンテンバイクには「GAUSS」

弓場元さん
踏面に10のスパイクピンを備え、常時安定したグリップをもたらします。
比較的入手しやすい価格帯であり、初めてマウンテンバイクを買われる方にお勧めですよ。
比較的入手しやすい価格帯であり、初めてマウンテンバイクを買われる方にお勧めですよ。
気になる今後の展開も聞いてみました
ここだけの話ですが、今後の、新製品などのお話も伺ってきました!
新デザインのペダルも発表するとか。。
三ケ島ペダルの気になる新製品は、流れるような斬新なデザインのフラットペダル。
踏み面も広く、アウトドアシューズとの相性もよさそうですね。これは期待大です。早く本物が見たいです!
え? アウトドアアイテム???
続いて驚きの情報ですが、現在、アウトドア製品の開発を検討しているそうで、自転車関連製品ではなく、純粋なアウドドアに関するギアとのこと。
まだ、詳細な情報は公開できないそうですが、グラベルロードなど、アウトドアを楽しむ自転車と親和性が高いアイテムなのか…、妄想が膨らみます。これも、気になりすぎる情報でした。
ありがとうございました!
三ケ島ペタルのスタッフ皆さま、今回は温かく迎えていただき、ありがとうございました!
高い品質のペダルを作る製造工程には、ただただ驚きの連続でした。
ライトな三ケ島ユーザーであった筆者ですが、こだわりの三ケ島ペダル、愛着が2,000万倍ほど、倍増いたしました!
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