ホイールを簡単に脱着するための、クイックリリース
ロードバイクやクロスバイクなどの、ホイール中心部分に装備されるクイックリリース。クイックリリースは、工具無しで簡単にホイールを脱着するためのパーツで、「クイックレリーズ」と呼ぶこともあります。
同様のパーツで「スルーアクスル」と呼ばれるパーツもあり、ディスクブレーキ仕様のロードバイクやマウンテンバイクなどでは、クイックリリースではなく、スルーアクスルが使われたりします。
▼▼スルーアクスルの詳しい記事はこちら▼▼
クイックリリースの特徴と種類
クイックリリースは、レバーを含むシャフト・ナット・スプリングがセットになっています。ナットを緩めてホイールから外すと上記画像のようなパーツ群になっています。
取り付ける時は、スプリングの向きに注意しましょう。内側が小さく、外側が大きい輪になるようセッティングしてください。
クイックリリースのサイズ
クイックリリースのサイズ(幅)は、ホイールのハブの幅で変わり、前輪と後輪で異なります。今のスポーツバイクだと、前輪は100mm、後輪は130mmと135mmのサイズが主流で、車種毎で異なってきます。
ロードバイク | MTB | クロスバイク | |
前輪 | 100 | 100 | 100 |
後輪 | 130 | 135 | 130 or 135 |
クイックリリースの形
クイックリリースは駆動方式の違いで2種類あります。ひとつは密閉カムと呼ばれる、駆動部がキャップの中にあり汚れがつきにくい形です。
もうひとつは開放カムという駆動部が露出したもので、汚れが付きやすいですが、部品数が少なく、軽量・低価格で作られることが多いモデルです。
クイックリリースを使う時はこんな時!
ではクイックリリースを使って、タイヤの脱着をする時は、どんなシーンか確認していきましょう。
チェーン等のメンテナンスで
チェーンやギアのしつこい汚れは、ホイールを外してクリーニングすると効果的です。後輪をクイックリリースでホイールが外せれば面倒なことはありません。
ホイールやタイヤを洗うのも、ホイールの着脱が楽に行えれば、効率的なメンテナンスができますね。
▼▼チェーン洗浄の詳しい記事はこちら▼▼
輪行する時
自転車を専用の袋などに入れて、電車などで移動する輪行。専用の袋に入れる時は、ホイールを外します。クイックリリースの扱いに慣れて、スムーズにホイールの脱着が出来ると、輪行の旅も快適になるでしょう。
▼▼輪行の詳しい記事はこちら▼▼
タイヤ交換やパンク修理など
「タイヤ交換」「チューブ交換」「パンク修理」など、これらの作業はホイールを外して作業します。これらの作業を行う際、ショップなどに作業依頼もできますが、自分で作業が行えれば、費用も時間も抑えることができるでしょう。特にサイクリング中にパンクした時などを考えると、自分で行えるようになるのが、おすすめです。
▼▼タイヤ交換、パンク修理の詳しい記事はこちら▼▼
クイックリリースの緩め方、締め方
それではクイックリリースの使い方を確認しましょう。
【緩め方】ホイールを外す時
●ブレーキをフリーに
ホイールを外すときは、最初にブレーキをフリーにしておきましょう。ホイールが外れにくかったり、無理に外してタイヤやブレーキが破損してしまうこともあります。
●クイックリリースのレバーを開く
正しくセットされたクイックリリースは、基本は手の力だけで開くことができます。万がいち、レバー部分が錆びて動かない時など、どうしてもレバーが開かない時は、最寄りのショップに相談するのも良いでしょう。
●ナットをまわして緩める
レバーではなく、ナット回して緩めていきましょう。クイックリリースのレバーは、開け閉めをするもので回すためのハンドルではありません。
●ホイールを外す
ナットを緩めていくと、ホイールが外れます。車体を少し持ち上げて下に落とすように外しましょう。
【締め方】ホイールを取り付ける時
取りつけは、まっすぐにセットできるように、できるだけ作業のしやすい平らな場所で行いましょう。
●車体をまっすぐに
車体をまっすぐにしておかないと、ホイールが斜めにセットされてしまうことがあります。可能なかぎりまっすぐにしてからホイールをセットしましょう。
●ホイールをセット
そのままフォークにホイールを入れればセットされます。車体がまっすぐになっていれば、押し付けなくても車体の自重で押さえるだけで大丈夫です。
この際、クイックリリースのレバーがある側を左右どちらかにするか悩むところですが、基本的にはチェーンなどがある右側ではなく、左側にするのが基本です。メンテナンス等を考慮すると、クイックリリースのレバーが左側になるように、ホイールを取り付けましょう。
●ナットをまわして締める
取りつけのときもナットを回して締めていきます。レバーを回転させて締めると締めすぎや開閉の間違い、レバーの破損などに繋がりますので注意しましょう。
●レバーの位置を決めたら締める
また、クイックリリースのレバーは外側に向けてしまうと、障害物などと接触したときに開いてしまうことがあります。フロントは後ろ向き。リアは前向きがおすすめです。フレーム(フォーク)に沿わせ過ぎると、外す時に手をかけられなくなってしまうので、フレームから10〜20度ぐらい開けた位置にレバーを倒しましょう。
クイックリリース使用の注意点
便利なクイックリリースですが、こんな注意点もあります。
ホイールの盗難リスク
工具なしで簡単に外せてしまうので、ホイールも簡単に盗難に遭うリスクがあると言えます。駐輪時、自転車から離れる時は、ワイヤーロックで前後のホイール・フレームに通し、固定物にロックしましょう。
取外しにアーレンキーを使うロックスキュアーというパーツもあるので、長い間、駐輪をする場合は、このようなパーツを検討しても良いかもしれません。
TNI 盗難防止スキュワー ロード用
重量 | フロント40g・リア44g |
---|---|
サイズ | フロント100mm・リア130mm |
フォークの爪を削るのはNG
フロントフォークには、レバーを開放しただけではホイールが外れないように爪がついています。誤ってレバーが開いてしまったときや、しっかりと固定されていないときの脱輪を防ぐ大切な部分です。
脱着をスピーディーにするために削る人もいますが、競技でも削ることは違反になりますし、何より安全のために削らないようにしましょう。
クイックリリースをカスタム!おすすめ8選
クイックリリースは豊富なデザイン・カラー・素材が各メーカーからラインナップされています。クイックリリースを交換して、おしゃれに・スポーティーにカスタムしてはどうでしょうか。
カラー展開豊富なクイックリリース
タイオガ カーブドクイックレリーズ
手になじみ使いやすい形状のアルミレバーを装備したモデル。カラーも6色展開されていて、フレームやホイールとのコーディネートに最適なモデルです。
素材 | スチール |
---|---|
重量 | 114g |
形式 | 開放カム |
サイズ | フロント100mm・リア135mm |
ウッドマン Gator Comp TiZ
アルミニウムのレバーと、スムーズな動きのために駆動部に真鍮を採用した、使いやすさを考えたモデル。レバーの開閉にも独自の機構を採用し、安全性を高めています。
素材 | チタン・アルミニウム |
---|---|
重量 | 103g |
形式 | 開放カム |
サイズ | フロント100mm・リア135mm |
通勤・通学に!耐久性重視のクイックリリース
BBB BQR-01
レバーの肉抜きで軽量化をしたコストパフォーマンスに優れるモデル。カーブしたレバーは、走行中に障害物に当たりにくくなるよう考えられています。
重量 | 87g |
---|---|
形式 | 開放カム |
タイオガ オフセットクイックレリーズ
レバーの表面積が大きく、手のひらで押し込みやすいデザインの密閉カム式クイックレバーです。ロード用130mmとマウンテンバイク用135mmが用意されています。
素材 | スチール |
---|---|
重量 | 110g |
形式 | 密閉カム |
サイズ | フロント100mm・リア130mm |
ロードバイクのカスタムに!軽量なおすすめクイックリリース
アデプト CNCクイックレバー
シャフトには柔軟性のあるクロモリ、レバーにはアルミ削り出しを使用した高品質なモデル。ロード用130mmとマウンテンバイク用135mmが用意されています。
素材 | アルミニウム・クロモリ |
---|---|
重量 | 65g |
形式 | 開放カム |
サイズ | フロント100mm・リア130mm |
グランジ バルブオフクイックリリーズ
レバーにカーボン・アルミニウム、シャフトにチタンを使用した軽量ハイブリッドモデル。マウンテンバイクに使用したときは、バルブに干渉しないよう設計されています。
素材 | カーボン・アルミニウム・チタン |
---|---|
重量 | フロント33g・リア34g |
形式 | 開放カム |
サイズ | フロント100mm・リア135mm |
トーケン TK220 HEROロード用クイックレバー
レバーにアルミニウム、シャフトにステンレスを採用したコストパフォーマンスの高い軽量モデルです。
素材 | アルミニウム |
---|---|
重量 | 68g |
形式 | 開放カム |
サイズ | フロント100mm・リア130mm |
CarbonTi X-Lock ROAD Ti
素材・デザインともに軽量に特化したモデル。競技を前提に作られているので取扱いには注意が必要です。
素材 | チタン |
---|---|
重量 | 54g |
形式 | 開放カム |
サイズ | フロント100mm・リア130mm |
【豆知識】最初に開発したのはカンパニョーロ
タイヤを簡単に付けたり外したりできるクイックリリースですが、最初に開発したのはコンポーネントで有名な「カンパニョーロ」。カンパニョーロがレース中のパンクでホイール交換が必要な場面に、素早く脱着するために考えられたものでした。
そのため、カンパニョーロのロゴにはクイックリリースレバーがあしらわれています。
クイックリリースを使いこなそう!
クイックリリースは、ホイールの脱着の要になる部品です。クイックリリースの扱いに慣れると自転車の楽しみ方の幅が、きっと広がるでしょう。また、様々なカスタムもできるので、お気に入りのクイックリリースを見つけるのも、自転車の楽しみ方の1つですね。