自転車業界だけ?「アーレンキー」と言う呼び方

ロードバイクやクロスバイクのメンテナンスで必要な「アーレンキー」。現在のスポーツバイクのメンテナンスや組み立てには、アーレンキーは無くてはならない工具です。
実は、アーレンキーと言う呼び方は、自転車業界の独特の呼び方。一般的には「六角レンチ」、「ヘキサゴン」、「六角スパナ」などと呼ばれる事が多いでしょう。
六角穴を締めたり、締めるのがアーレンキー

自転車に限らずですが、アーレンキーは六角形の穴のついたボルト(キャップスクリュー)を締めたり緩めたりする工具です。
スポーツバイクではボルトの大半は六角穴のボルトです。六角穴ボルトは、トルクをかけてもプラス・マイナスネジより壊れにくい特徴があり、自転車以外にも多くの工業製品に採用されています。
多くの種類があるアーレンキー
そんなアーレンキーには、様々なタイプがあります。それぞれ特徴を見ていきましょう!
L字型

撮影:筆者
セットで売られてる事が多い「L字型」のアーレンキー。6本くらいから10数本とセットで売られている事が多く、長さも様々です。
短い方を持つと狭い場所や繊細な作業に適していて、長い方を持てば、奥にあるボルトやトルクをかけたい作業に適しています。
L字型(先端がボールポイント)

撮影:筆者
ボールポイントは製品ではなく、L字型のアーレンキーの先端の形状のコト。このタイプのモデルは、先端が“球状”になっています。真っすぐに差し込まなければならない六角穴に、若干の角度をつけて、作業ができます。
T字型

撮影:筆者
L字型と比べてトルクをかけやすく作業しやすいのが特徴の「T字型」タイプ。セットもありますが単品で揃えるモデルも多く、使用するサイズを確認して購入しましょう。サイクリングなどでの携帯には不向きです。
Y字型

3サイズのレンチが一体となっているY字型。揃える本数はL字型・T字型よりも少なく済みます。押し込む方向にも力をかけやすく、ある程度なら片手での作業も行えます。
折りたたみ可能なコンパクトモデル

撮影:筆者
いくつかのサイズがセットになった、折りたたみ可能なコンパクトモデル。携帯には便利ですが、力を入れにくく作業性は低いので、あくまで携帯用として使用するのが良いでしょう。
トルクス

撮影:筆者
自転車パーツでも使用が増えてきているトルクスは、へクスローブとも呼ばれ六角の星形形状の穴を持つボルトです。精密機器でも採用されていますが、自転車では6穴ブレーキディスクの取付けなどで使われています。
自転車に必要なアーレンキーのサイズは?
自転車のパーツやアクセサリーの取付けは2・2.5・3・4・5・6mmのアーレンキーを使うことが多く、ペダルなどで6・8mmを使うモデルもあります。単品でもセットでも、このサイズがあるかを確認しましょう。
アーレンキーはメーカーごとに違いがある?
アーレンキーは大半が鉄でできた製品です。どの製品も使用上に問題はありませんが、製造や表面処理で製品の品質が変わってきます。防錆はもちろんですが、熱処理などによって硬度を上げたり、硬質なメッキを施すことで耐久性を上げた製品もあります。少し価格が高めになりますが、長く愛用したい場合はそのような加工の製品を選ぶと良いでしょう。
主なアーレンキーを使う箇所を
では、自転車のどのパーツでアーレンキーを良く使うのか、主な使用例を画像でご紹介!
サドルの高さ調整

撮影:筆者
最もアーレンキーが活躍するのがサドルの高さ調整。サイクリング中に違和感を感じたら調整したりと、出先でも作業する時はあるでしょう。
ボトルケージの取付け

撮影:筆者
サイクリングで揃えたいボトルケージは、自分で取付ける方が大半だと思います。一緒に取付ける鍵や携帯ポンプなどの製品もあるので、よく作業する部分と言えるでしょう。
ハンドルまわりの、アクセサリー・ステムなど

撮影:筆者
ステムなども高さなどを調整したり、ステム本体を買ってきて自身で取り替えることが多いと思います。ポジションを考える上でもよく作業する部分です。
ペダルの取り外し

撮影:筆者
特にビンディングペダルはペダルレンチではなくアーレンキーで取付け・取外しをするタイプが多くあります。車載や輪行などでもアーレンキーでペダルを外すシーンは多いでしょう。
他にもこんなパーツで

撮影:筆者
駆動系の変速機やブレーキ、クランクなども取付けはアーレンキーで行います。一部メーカーではトルクスを採用しているところもあり、ブレーキディスクはトルクスで固定するタイプも多くあります。
アーレンキーの基本的な使い方
アーレンキーはボルトを回すための工具ですが、使用を間違えればボルト穴やパーツの破損もしてしまします。サドルの高さ調整を例に、簡単に使用方法をご紹介します!
①「ボルトのサイズ」と「アーレンキーのサイズ」を確認

撮影:筆者
ボルトの穴とアーレンキーのサイズを確認しましょう。
②差し込みは確実に!

撮影:筆者
確実に奥まで押し込んだのを確認してから力を入れましょう。穴からずれたり、斜めにはまったまま作業をするとアーレンキーやボルトを削り、破損に繋がります。
③ボルトを緩める

撮影:筆者
片手での作業は、アーレンキーとボルトがずれる恐れがあるので、両手を使ってアーレンキー本体を支えながら回転方向に力をかけましょう。
④サドル高さを調整&ボルトを締める

撮影:筆者
緩めるのと逆の方向に締めますが、強く締めすぎるとアーレンキーやパーツが破損する恐れがあります。力をかけるときは一気にかけず、ゆっくりと力を入れていきましょう。
最後は、トルクレンチの使用をおすすめしますが、トルクレンチがない場合は、アーレンキーが軽くしなる程度で止めましょう。
⑤完了!

撮影:筆者
最後に、確実にボルトが締まっているか、チェックして完了です!
長く愛用できる!おすすめアーレンキー12選
有名なサイクルパーツメーカーや工具メーカーから販売されている、品質の高いアーレンキー12モデルを紹介いたします。
ホーザン/W-110 ボールポイントレンチセット
自転車工具の老舗で、現在は電工精密機器なども手がける「ホーザン」のレンチは、ロング側にボールポイントを採用し材質は特殊合金に硬質クロムメッキを施した信頼のおける工具です。
●サイズ:1.5・2・2.5・3・4・5・6mm
●材質:特殊合金鋼・硬質ハードクロムメッキ仕上げ
●重量:130g
KTC/ボールポイントL形ロング 六角棒レンチセット (9本組)
自転車以外でも自動車などの工具メーカーとして一流で、指名買いする方も多い「KTC」がリリースするレンチは、精度の高い品質と耐久性で長く愛用できる一品です。
KTCボールポイントL形ロング六角棒レンチセット 9本組
●サイズ:1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10 mm
パークツール/HXS-1.2 ヘックスレンチセット
国内ではホーザンが代理店をしているパークツールブランドのレンチセットです。10mmまで対応しているので、このセットだけでペダルの取外しなどにも対応することができます。
PARKTOOL(パークツール)ヘックスレンチセット 9本組
●サイズ:1.5/2/2.5/3/4/5/6/8/10mm
●本数:9本
ペドロス/ Tハンドルヘキサレンチ マスターセット
プロメカニックの愛用者も多い、自転車用工具やケミカルを扱う「ペドロス」のヘキサレンチ・トルクスのセット。現場のフィードバックから開発したスライドアーム機構は狭い箇所や高トルクな作業も対応します。
●セット内容:ヘキサレンチ 2/2.5/3/4/5/6/8mm、トルクスレンチT10/T25/T30
NOGUCHI/ヘックスレンチセット
自転車パーツの老舗「NOGUCHI」がリリースするレンチセット。握りやすいグリップ形状と、壁掛けもできるスタンドで日ごろのメンテナンスにも適しています。
シリカ/YPSILON WRENCH
固定の4mm・5mmに加え、取り外し可能な磁気アタッチメントを採用し、幅広いサイズに対応しています。グリップは人間工学に基づいた設計になっており、軽量でメンテナンスにも使いやすいでしょう。
パークツール/Y型ヘックスレンチ
パークツールの定番レンチです。コストパフォーマンスに優れ、シンプルな構造とデザインは耐久性も高く使い勝手もよい、長く愛用できるレンチです。
トピーク/T25 デュオ トルクス レンチ
「トピーク」のエルゴノミックを採用したトルクスレンチ。トルクスの中でも特に使用の多いT25サイズです。
TOPEAK(トピーク) ツール T25 デュオ トルクス レンチ
●サイズ:L140 x W78 x H16mm
●重量:32g
BBB/トルクススター
オランダの総合パーツメーカーである「BBB」のY字型トルクスレンチ。全長120mmの手のひらにおさまるサイズで日ごろのメンテナンスや、サイクリングの携帯工具としても使用できます。
BBB(ビービービー) BTL-28T トルクスター Y型トルクスレンチ
トピーク/ラチェット ロケット ライト NTX+
小型ラチェットハンドルに六角・トルクスのビットをセットした携帯用のレンチセットです。2~6Nmまで測定できるトルクビットと、チェーン切りも装備しているので、ロングライドにもこれひとつで安心して出かけられます
TOPEAK(トピーク) ラチェットロケットライトNTX
●ナノトルクビット: 2、2.5、3、4、5、6、8mm
●サイズ:L120×W75×H30mm
●重量:230g
クランクブラザーズ/マルチ10 携帯工具 ニッケル
ペダルやパーツを展開し、根強いファンを持つ「クランクブラザーズ」の携帯折りたたみタイプ。シンプルなデザインに必要な機能を持ち、グローブのままでも作業できる使いやすさと耐久性があります。
EIGHT/ミニツール CN-M
日本国内製造の高品質なツールを送り出す「EIGHT」のフォールディングツールです。小型でサイクリング中もかさばらず、ボールポイント採用なので狭い箇所の作業も行えます。
使いやすいアーレンキーをみつけましょう

アーレンキーは自転車メンテナンスでの基本的な工具で、アーレンキーだけでも多くのメンテナンスを行うことができます。メンテナンスでは最も出番が多い工具だと思いますので、自分に会った長く愛用できるモデルを探しましょう!
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